プリティ☆ウィッチ☆アカデミー!


 ポップで可愛らしい雰囲気の18禁乙女ゲーですが、そこはやはりゆうきあずささん。それだけでは終わらない作品でした。
 全ての願いを叶えるという「黄金竜」に出会うことを目指して、名門魔法アカデミー「シルバースターアカデミー」に入学した主人公ユメ。 黄金竜の召喚者に選ばれることを目標に、にぎやかな学園生活を送る裏側で、彼女自身も知らない運命が動き出していた――。
 選択肢の少ない、ひたすら読んでいくタイプのアドベンチャーで、密度の高い物語が紡がれます。 ファンタジーでありながらシビアな世界観や、欠点が多く人間くさい登場人物。 観念的で、お世辞にもわかりやすいとは言えないテキストなど、ゆうきさんワールド全開の個性的なゲームだと感じました。 で、プレイしていると、その個性が不思議とくせになってくるのです。 特に、キャラクターが恐ろしく魅力的。乙女ゲーでは珍しい、主人公に対して遠慮のないキャラクターたちとのガチンコの人間関係に魅せられて、 長い物語も一気に読み切ってしまいました。
 しかし、本作のシナリオがそんなキャラクターの魅力を最大限に活かしたものになっているかというと、残念ながらそうは思えません。 どのキャラクターと恋愛しても物語の大筋は変わらないし、それどころか、台詞の口調が相手役によって微妙に変化するだけで、 それ以外はどのルートでもまったく同じ、というシーンが少なくないからです。いわゆる金太郎飴シナリオ。それぞれに違う個性を持った人物のはずなのに、 みんながみんな同じ行動をとるというのは、どうしても違和感がありました。
 システム周りはおおむね快適。ただ、前述のようなルートによってほとんど変わらないシーンを全部読むのは、回を重ねるごとに苦痛になってくるので、 スキップの既読判定はもう少し細かくしてもらいたかったと思います。話の長さを考えるとイベントCGの数が少ない気もしますが、 演出が派手なおかげか、プレイ中に物足りなさを感じることはありませんでした。
 そんな本作、きょうだいもの好きの私はそもそも血の繋がらない弟であるアキトを目当てに買ったわけですが、 彼は弟キャラとしてのいろんな要素のバランスがすんばらしいキャラでした!  しかも、姉弟の関係はアキトルート以外でも大きなテーマになっているため、二度おいしかった(笑)。良い弟を生み出してくださった制作者様に感謝です。 もちろん他のキャラやこのゲームの世界観も気に入っているので、ぜひファンディスクなど作っていただきたいなあ。

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