俺の屍を超えてゆけ


 タイトルを打つだけで胸が熱くなる、不思議な魅力のある作品だと思います。一言で言えば和風RPG。でも、普通のRPGとはだいぶ勝手が違うとても新鮮なRPGです。 壮大なシナリオや個性的なキャラクターに魅了されるのではなく、自分の中で一族への愛情を育てて、内面的に楽しむ作品なのかな、という気がします。
 京の都の平和を乱す悪鬼「朱点童子」。この悪鬼に戦いを挑み、あと一歩のところで惜しくも敗れた夫婦がいた。朱点童子は夫婦の子供(=主人公)に短命の呪いと種絶の呪いをかける。 短命の呪いはどうにもならないが、種絶の呪いについては神様たちの協力により、子孫を残すことができるようになるので一安心。 いつの日か朱点童子打倒の悲願を達成するため、恐ろしい呪いに挫けずに一族の血を高めていきましょう。
 なんといっても、主人公の死があまりに早くてびっくりしました。短命ってここまで短いのか、と。どのキャラクターも愛着がわいてきた頃に死んでしまうのが切ないですね。何人もの死を見ることになりますが、そのたびに本当に悲しい気持ちにさせられました。 能力が高く戦いで大活躍してくれた子への感謝の気持ち、一度も交神させなかった子に対する申し訳ない気持ち、美形の子の顔が見られなくなる寂しい気持ち……。そういういろんな気持ちが、死に際して人生を振り返るときに溢れます。たくさん種類のある遺言がまたいい!
 このゲーム最大のお楽しみはやはり交神でしょうか。どの神様を選ぼうかとぐるぐる悩むのはとても楽しいです。私は顔重視で選んでいたものの、子供の顔はなかなか思い通りにいきませんね。
 そしてエンディング。正直、あそこまで感動するとは思いませんでした。なんかもう大変です。一族の顔を改めて眺めていると、誇りとか悲しみとか愛情とか思い出とかが一気にこみ上げ押し寄せてきます。涙までにじみます。 なんて悲しい一族だろうと思いながら涙をにじませていたら、思いがけない救いがありました。これがとにかく衝撃的で、しばらく興奮しっぱなし。なんか、強く生きていこうとしみじみ思った(笑)。このエンディングは強烈ですよ。今までに味わったことの無い感動でした。

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