ネオ アンジェリーク


 キャラクターと声優を一新した、新しい『アンジェリーク』。どこまでも上品で温かい雰囲気は、これぞネオロマンスゲーム、といったところでしょうか。 ネオロマの良さが追求された作品だと思います。
 物語の舞台となるアルカディアは、かつての理想郷。しかし今ではタナトスと呼ばれる魔物が出現する大陸となり、そこに暮らす人々は不安な日々を強いられていました。 そんなある日、主人公アンジェリークは、自分にタナトスを浄化する能力があることを知ります。 そして、世界を幸福で満たすため、他の浄化能力者とともにタナトスを浄化していくことを決意するのです。
 最近では西洋風の乙女ゲーは少数派なので、新鮮な気持ちでプレイすることができました。 その一方で、これまでのアンジェリークシリーズユーザーには懐かしさをも感じさせてくれるのが、このゲームのすごいところ。 キャラクターはもちろん、システムもゲームの流れも全然違うのに、作品に満ちている空気がまさにアンジェリークのそれ!  従来のシリーズの世界観や価値観、心意気がさりげなく、けれどしっかりと継承されています。 依頼を受けてそれをこなす、というRPG風のゲームなのですが、それぞれの依頼の内容も天レクの親密度イベントを髣髴させるほのぼのしたものだったりして。
 恋愛については、従来のシリーズとは異なり、キャラクターごとのストーリーが用意されています。 さらに、恋愛対象が6人と少ないぶん、それぞれのイベントが多くなっているので、一人一人との交流をじっくり楽しむことができました。 ただ、メインでない2人のイベントは、他の4人と比べると少なめ。 どうしてもメインの4人のお話のボリュームと比較してしまうため、物足りなさを感じました。
 システムはとても快適。ストレスを感じるところはないと言っても過言ではありません。 電源を切っても読み返せるメッセージ履歴にクイックセーブ・ロード、イベント回想もある想い出機能。至れり尽くせりです。
 『アンジェリーク』らしい飛び抜けた甘さもさることながら、個人的にはやはり、上品で温かい雰囲気がこの作品の最大の魅力だと思います。 優しい人たちの物語なので、心癒される。ずっといたくなる世界です。 また、主人公は「陽だまり邸」で他の浄化能力者たちと一緒に暮らすのですが、この陽だまり邸の空気がすごくいい!  主人公含め、自立した精神的に大人な人たちが仲良くやっていてなんだか安心感があるし、ベタベタしない友情がとても素敵です。 そんなわけで、この作品では恋愛なしのルートとエンディングが一番のお気に入り。ずーっとみんなで仲よく暮らしてほしいなあ、なんて思ってしまいます。

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