マイネリーベ 優美なる記憶


 2001年に発売されたGBA用ソフト「耽美夢想マイネリーベ」のPS2移植作。GBA版が手に入らなかったため、大喜びで購入しました。パッケージに「美少年誘惑シミュレーションゲーム」と堂々と書かれているのが笑えます。潔い!
 舞台は戦間期のヨーロッパ、とある島国にある全寮制の名門校ローゼンシュトルツ高等学園。女学生の憧れの的「シュトラール」に選ばれたエリートたちとの運命的な恋を、女友達から勝ち取りましょう。
 本編はGBA版ほとんどそのままの移植なのかイベントが少なく、全体的に薄い印象。エンディングの数も少なくて、恋愛EDと女友達に奪われるEDしかないようです。悲劇的なバッドEDなんかを期待していたので残念でした。 GBA用ならばこれでもいいかと思えるけれど、乙女ゲーが充実してきた現在のPS2用ソフトとしては物足りなさを感じてしまいます。キャラクターや世界観等の設定がとても魅力的なので、それを活かしきれていないのは勿体無いなあと思います。 ゲームに現れていない設定もあるようなので、シミュレーションではなくアドベンチャーにして欲しかったかも。そのほうが独特の耽美な雰囲気にどっぷり浸れそうな気がするのです。
 GBAっぽさは画面からも感じられます。キャラクターは常に顔アップで、動きもやたらと大げさ。移植にあたっては演出面の強化よりも、こういういかにもGBA!な部分を変えたほうがよかったのではないでしょうか。 では、注目の演出はどうだったのかと言いますと、面白かったです。1周目では爆笑させていただきました。一番笑えるのはやはりラブラブフィルター。男性キャラに対する一途な想いが強まるにつれて相手の姿が輝き、ますます美しく見えてしまうという恐ろしい演出です(笑)。 最初はキャラクターの周りにオーラのようなものが見える程度なのですが、親しくなるのにしたがってどんどん輝きを増していき、次第にその眩しさで背景がかすみ始めます。そして、最終段階では男性自身の姿すら見えないほど輝きが強くなる上に、声にはエコーがかかって、周りには虹が出現します。 これはもう凄いの一言。恋は盲目、ってことでしょうか。
 育成部分は同性キャラに爆弾がつくことを除けばまんまときメモ。クイックセーブ・ロードがとても便利で、重宝しています。この機能がなかったら途中で投げ出していたんじゃないかと思うくらいです。また、クリア後のアルバムはイベント回想も出来るのが嬉しい。これ以外のおまけも充実しています。
 いろいろと不満の残るこの作品ですが、なんだかんだ言ってかなり気に入っています。重かったり禁断だったりなシナリオ。幸福に酔いきれない切なさのあるハッピーエンド。ほの暗い雰囲気にぴったりの音楽。もう全てがツボでした。 耽美な設定は素敵だし、他のどの乙女ゲーとも違った個性があるので、このまま終わって欲しくない作品だなあと思います。またこういう方向性のゲームをプレイしたいです。

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