魔法使いとご主人様


 タイトルの「ご主人様」とは主人公のこと。気に入った人を自分の従者にするという目的がステキな主従恋愛アドベンチャー&シミュレーションゲームです。
 主人公は魔法王国の王族でありながら、魔法を使うことができません。そこで、身の安全を確保するため、王国一の魔法学校で生涯の供を探すことに。 人生を左右する25日間をどのように過ごすかはプレイヤー次第です。
 この作品の魅力は、なんといっても「主従」。ここまで主従な乙女ゲーは初めてだと思います。「ご主人様」と呼ばれるのが最高に気持ちいい(笑)。 そういうシチュエーションに快感を覚える人にはぜひプレイして欲しいです。その反面、万人受けするゲームではないなあとも思います。
 まず、主人公の個性が少々強め。乙女ゲーの主人公としては珍しく、意地の悪いところやずるいところもあります。そして身分が高いので、当然ながら言動や振る舞いはやや傲慢。 とはいえ、主人公自身も自分に悪い部分があることは自覚しており、その上で前向きにしっかり生きているので魅力的でした。 乙女ゲーの主人公としては珍しいかもですが、現実にはよくいる(地位や権力は抜きにして)タイプの普通に良い娘さんだと思います。プレイしていて気持ち良かったし、好きです。
 次に、システムがもったりしているため、プレイしていてストレスが溜まるという点が大きなマイナス。攻略対象とひたすら会話を繰り返して好感度を上げていくというシステムなのですが、 移動時などに無駄なエフェクトが多く、異様に時間がかかります。これには本当にイライラさせられました。さらに、主人公のパラメータにかかわる部分は、ランダム要素だらけです。 パラメータそのものは恋愛には関係ないとはいえ、思い通りに調整できないのは不快に感じるかも。 私の場合はとにかく恋愛EDを見ることだけを目的としていたので、食事作りを自動にし、香水選択も勉強もせず、全てをランダムに委ねていました。 とりあえず恋愛は成功するし、少しは時間を短縮できるのでおすすめです。
 システムがそんな感じだったり、テキストに誤字脱字や不自然な言い回しが多かったりで、完成度の高い作品ではないけれど、個人的にはかなりツボで気に入りました。 特に、最初から主人公命の使い魔セラスの下僕根性溢れる台詞には、震えるほどの感動を覚えましたよ……(笑)。 その上、プレイしていくうちに、主人公が実はセラス以外のキャラクターからも特別な想いを向けられていることがわかってきます。まるで逆ハーです。 愛され、尽くされ、敬われ。とにかくいい気分になれるゲームでした。主従万歳!

「ゲーム感想」トップ
トップページ