遙かなる時空の中で5


 異世界の幕末期を舞台とした、遙かシリーズ第5弾。メインキャストが4までと異なっていますが、過去4作それぞれの個性や魅力を継承していると感じられる作品でした。
 主人公・蓮水ゆきの暮らす世界と、幕末期にある異世界とが共に危機にさらされた。ふたつの大切な世界を守るため、少女は命を削って時空を駆け巡る……!
 「時空を越えて悲劇的な運命を変える」という点で遙か3を踏襲しつつ、「命を削る」、「ふたつの世界を行き来する」といった新たな要素が加えられた本作。 このうち「命を削る」設定については、ストーリーに悲壮感を与える効果はさておき、ゲームシステムとしてはゲームオーバーのきっかけを作るくらいの 役割しか果たしていなかったので、あまり意義を感じませんでした。 一方で、「ふたつの世界を行き来する」要素は、壮大な世界観で繰り広げられる長い物語にメリハリをつけていたと思います。 派手な展開も用意されていて、特に天海の物語や大団円EDの流れにはわくわくさせてもらいました。
 ただ、いかに新しい要素を加えても、「時空を越えて悲劇的な運命を変える」物語は遙か3に続いて二度目。3をプレイしていると、どうしても新鮮味に欠ける部分があります。 そのため、自分がまっさらな状態でこの物語を味わえてはいない気がするのが、残念なところです。 もし3よりも先にこっちをプレイしていたら、もっと感動できたんじゃないかなあ。
 また、本作の主人公にはゲーム進行上の要請と思しきたくさんの設定が付いており、どちらかといえば個性は強め。 育ちがよくもなければ留学経験もない自分が果たして共感できるだろうか……とプレイ前には思っていました。 が、いざやってみると、命をかけて世界を守ると決意するまでの過程が丁寧に描かれているため、 考えていたよりもずっと感情移入しやすい主人公でした。 恋愛部分も、主人公の鈍感さに相殺されている嫌いはあるものの、遙かシリーズにしてはしっかりじっくり描写されていたように思う。 主人公が命を削っていたり、八葉さんたちの立場がバラバラだったりするわりに、シナリオには笑える場面が多く、和やかな雰囲気なのも気に入っています。
 システム面では、若干の不親切さが目に付きました。 戦列画面や章選択画面を開いた状態のままでは人物情報を参照することができないとか、 イベント内戦闘直前の戦列画面において、強制参加のキャラクターは列の中ですら動かせないとか。 せっかく全体的に丁寧に作られていると感じられる作品なのに、 こんなところでプレイヤーに地味なストレスを与えてしまってはもったいないよー。 あと、できればイベント回想機能をもっと充実させてほしかったです。
 と、書いてみたらなんだか妙に硬い感想になってしまいましたが、 実際のところはウヒョウヒョ萌え萌え言いながら楽しくプレイしていました。 面白かった! 5まで来てもまだ、遙かシリーズは全部好きだと言えることが嬉しくてなりません。 ネオロマらしい品のよさが大好きです。それから、アーネストが大好きです(笑)。配信イベントも楽しみにしてる!

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