遙かなる時空の中で4


 遙かシリーズ第4弾。今度の舞台は遙か1よりも前の世界、神代です。そのため、ファンタジー色が強め。壮大で神秘的な世界観が新鮮でした。
 普通の女子高生として暮らしていた主人公・葦原千尋。なんと彼女は豊葦原の中つ国の姫だった! 他国に滅ぼされた中つ国を取り戻すため、さあ立ち上がりましょう。
 ゲームのつくりとしては、おおむね遙か3を継承しているようです。章選択システムや能力引継ぎのおかげで、3同様サクサク進めることができました。 新しくなった点は、まず戦闘システム。これまでよりも戦略性が高くなっており、戦闘だけでも結構楽しめます。 次に、フィールド画面をポリゴンで歩き回るようになったのには最初違和感がありました。が、これはやっているうちに慣れました。ただ、私はやっぱり前のほうが好みです。 遙かシリーズの水彩風の背景絵が気に入っていたこともあって。そして、今回何よりも新しいのは、主人公がお姫様であることだと思います。 お姫様扱いしてもらえるのはシリーズ通しての特徴のひとつでしたが、今回はとうとう本物のお姫様。 それだけに、お姫様もののお約束がてんこ盛りで、ウハウハでした。身分違いの恋とか、たまらない。
 あと、スチルが全体的にきれいですね。数は少ないけれど、出てきたときにワーイと思えるクオリティが嬉しい。立ち絵も相変わらずの美しさで。 アニメがないのも……流れをぶった切られなくて良かったんじゃないかと思います。
 しかしながら、本作はネオロマンスゲームにしてはやや完成度が低いような気がします。特に気になったのはシナリオ。 といってもそこはネオロマですから、キャラクターの魅力がバシバシ伝わってくるものにはなっていました。なので、萌えはあります。 ではどこが問題なのかというと、恋愛イベントの流れが散漫なところ。 キャラクターの魅力は十分に描かれていても、主人公との恋愛過程の描写が不十分なのです。 おかげで、「この熱い想いはどこにぶつけたらいいんだ!」という気持ちになってしまいました。 そのくせエンディングは結構甘く、しっかり恋愛したことになっているあたり、唐突感が拭えません。あんたと恋愛した覚えないよと言いたくなることがあった(笑)。 キャラクターがそれぞれに魅力的で、キャラクター全体のバランスもすごくいいだけに、残念で仕方ありません。4のキャラともっと濃い恋愛をしたかった! これに尽きます。 他にもシナリオに関しては、共通ルートの盛り上がりがいまいちで序盤が冗長に感じられたり、説明不足でよくわからない部分や広げた風呂敷をたたんでいない部分があったりしたものの、 恋愛が主目的のゲームであることもあり、恋愛部分ほどは目に付きませんでした。
 システムまわりは、今回も快適です。いつでもセーブ&ロード可、攻略情報がゲーム中に提示されているため攻略本いらず、など。 でも、イベントスキップができないことや、イベント回想がスチルの部分に限られていることを思うと、 ネオアンやコルダ2に比べて後退しているような気がしなくもない。少々不思議なところです。
 不満点について長くなりましたが、私はこのゲーム、気に入っています。世界観もキャラクターもお話も音楽も好きだし、面白かった。 だからこそ、いくつかのいまいちな点が残念でなりません。もっと良い作品になり得たと思うんだよなあ。ううむ、今後の遙かシリーズに期待します。

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