遙かなる時空の中で3


 遙かシリーズ待望の第3弾です。舞台は前作(遙か2)からさらに100年後の異世界。源平の争乱期なので、前2作とはだいぶ雰囲気が違います。システムもがらっと変わり、新たな遙かを楽しむことができました。
 ごく普通の高校生であった春日望美は、「白龍の神子」に選ばれ、導かれた異世界で、源氏の軍と共に平家と戦うことになります。彼女を待ち受けるのは数々の悲劇。だからといって諦めてはいけません。想いの力で運命を変えて、ハッピーエンドを勝ち取りましょう。
 今回の遙かには、「遙か」というより、別の新たな歴史系乙女ゲームといった印象があります。というのも、源平合戦が物語の中心になっており、「神子」、「八葉」、「龍神」などのいかにも遙かな要素があまり重要ではなくなっているのです。 そして、徹底的にアドベンチャー。ミニゲームがなくなったし、1日ごとに行動を選択するシステムでもなくなったので、サクサク進みます。これが「運命上書きシステム」にぴったり。おかげで最後まで飽きずにプレイできました。
 3の最大の特徴である「運命上書きシステム」とは、一度プレイした章をやり直すことができる、というものです。負けた戦に勝てるようになったり、新たなイベントが起こったりと、上書きするたびにどんどんストーリーが変わっていきます。これが予想以上に楽しかった。 「ゲーム」というものの本質的な面白さを最大限に活かしたシステムだなあと思います。また、クリア後もキャラクターの能力や絆が引き継がれるため、プレイすればするほど楽になる(主に戦闘が)、という意味でも有難いシステムでした。 1周目では大苦戦したボスが、全員クリアする頃にはあっという間に倒せるようになっていたりするのです。最後のほうの戦闘はひたすらに爽快でした(笑)。
 このように、前2作とは大きく異なっている遙か3。恋愛の過程も全く違います。これまでのように恋愛イベントがほぼ一本道のメインストーリーの中に挿入されるのではなく、途中からキャラクターごとのシナリオに分岐する形式。 どのキャラと恋愛するかによって物語が変わるから、毎回ドキドキしながら進めることができました。本当にどれも先が気になって仕方ないお話なのですよ〜。そして、恋愛イベントとメインストーリーが区切られていないことにより、恋愛がとてもドラマチックになっています。 股がけはできないけれど、そのとき恋愛しているキャラクターに一直線で惚れていられるのがいいなあと思いました。しかし、時折物足りないと感じるシナリオも。さらに、EDの現代・京を選べないことなどを考えると、甘さは控えめになっているかもしれません。
 その他、システム等は素晴らしく親切でした。戦闘時以外いつでもどこでもセーブ&ロード可だから気軽にプレイできるし、情報画面では各キャラ攻略のヒントまで見られて攻略本いらず!  この驚くほどの親切さや、全員クリアにあまり時間がかからないことを考えると、これまでの遙かシリーズの中で一番プレイしやすい作品なのではないでしょうか。
 そんなわけで非の打ちどころがないようなこの作品ですが、欠点もございます。……アニメです。各ストーリーの盛り上がりどころに入っているアニメが、なんというかもう、とにかくひどいのです。 シリアスな場面だというのに、あまりのとんでもない絵に笑ってしまうこともありました。クライマックスでの萌えや感動が台無しです。せっかく普段のグラフィックが美しいんだから、無理にアニメを入れる必要はなかったんじゃないかなあ。
 一番好きなキャラは九郎さん。といっても、遙か3はキャラクターそのものだけではなく、それぞれのストーリーもバラエティに富んでいたから、好きなキャラと好きなお話は別だったりします。それがなんとも面白いところ。

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