フルハウスキス


 女性向けゲームというものには縁遠いイメージのあったカプコンさんが放つ新感覚の乙女ゲー。「恋愛家政婦アドベンチャー」だそうです(笑)。一見突飛でありながら丁寧に作り込まれている作品なので、プレイしていくうちにその世界観やキャラクターたちに魅了されてしまいます。良作です。
 両親を亡くした上に無一文になってしまった主人公は、行方不明の姉を探すため、閉鎖的なエリート校私立祥慶学園への潜入を試みます。そこで出会った男と契約を結び、「昼は女教師、夜は家政婦」として生活していくことになるのです。 主人公は姉と再会できるのでしょうか。そして、同居している4人のプリンスたちとの恋はどうなっていくのでしょうか。
 笑える乙女ゲーは数あれど、根幹部からギャグのようなノリでできている乙女ゲーは今までなかったように思います。あまりにもありえない設定に萌えは期待せず、まあ笑って楽しく遊べたらいいかなと思い購入したのですが、 いい意味で期待を裏切ってくれました。確かに前半は爆笑の渦(ミニゲームなんて特に)。されど後半は萌えの嵐です。彼氏と付き合い始めることになるため何かと甘いし、御堂家での主人公の立場もただの家政婦から4人のプリンスたちのお姫様へと変化していきます。これは快感ですよ。 また、恋愛のパターンがいろいろあるので、攻略しがいがあります。こちらから告白したり、向こうから告白されたり、2番目の彼に乗り換えたり。その過程で振っちゃった彼とのその後の関係とか、付き合い始めた直後のぎこちなさといった見たい場面を外さずにきちんと見せてくれるところが好感度高いです。設定はぶっ飛んでいて現実離れしているのに、キャラクターや恋愛にはときどき妙に生々しいところがあって驚きました。エンディングも沢山用意されています。スチルはタイトルどおりキスだらけ。爽やかで健全な雰囲気なのにさらりとエロいときがあってウギャーとなります。
 システムで気になるのはセーブ・ロードの重さでしょうか。でも、ロードで「この章のはじめから」を選べる機能は意外と使えました。 2話だと長すぎてほとんど使いませんが、3〜5話では結構重宝しています。あと、ADVなのに既読スキップがない(メッセージスキップ機能自体はあります)のは厳しかった。
 好きなキャラクターはラ・プリンスの4人です。これ以上はどうしても絞れません(笑)。4人が4人とも本当に優しくてかっこよくてたまらんのですよ。恋愛なしルートがちょっと逆ハーっぽくてウハウハでした。 フルキスではこれが私の理想なのかも、なんて。妹を可愛がる4人の兄といった感じで最高に幸せなのです……!
 乙女ゲームもだいぶ種類が増えてきたこの時期に発売されながら、フルキスには目新しい新鮮な要素が多々あり、感動してしまいました。乙女ゲーの可能性を感じて。こういうゲームとしての面白さいっぱいの女性向けゲームがまた出てきてくれることを祈ります。

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