アンジェリーク エトワール


 アンジェリークシリーズですが、今回の主人公は「アンジェリーク」ではなくエンジュ。しばらくコレットでのプレイが続いていたので新鮮です。恋愛対象は既存のキャラ16人+新キャラ3人=19人! よりどりみどりではあるけれど、全EDを見ようと思うと根性が要ります。
 新しく誕生した宇宙が危機に陥ったときに現れるという救世主、「伝説のエトワール」。社会科見学に出かけた先でそれに選ばれたエンジュは、聖獣の宇宙を発展させるため、3つの宇宙を駆け巡ることになります。素敵な方々の力を借りて使命に励み、恋と冒険の1年間をエンジョイしましょう。
 プレイ前には、ずっとこのシリーズを愛してきた者には受け入れ難いかな、と思っていた新主人公エンジュや「伝説のエトワール」という立場は意外にすんなりと受け入れることが出来ました。でも、教官・協力者については駄目みたい。 私は彼らが「教官・協力者」だったから好きだったんだ……と、つくづく思い知りました。心狭いなあ。
 シリーズ最新作としての位置を考えると、エトワールはゲームとしての出来そのものは決して悪くないのに、どの層をターゲットにしているのかがよくわからず、中途半端な作品になっている気がします。シリーズのファンは設定の変更に違和感や抵抗を感じ、新規ユーザーは恋愛の薄さに不満を感じるのではないでしょうか。 原点に戻るという方向で作られた作品だそうですが、私は女王試験を舞台にしていた頃のアンジェとトロワの中間のような印象を受けました。メインストーリーとは絡まずに進んでいく恋愛は前者、時間制限だけでライバルがいないため平和に進められるメインストーリーは後者に近いかなあと。
 そんなわけで、前作同様のんびりした雰囲気の本作。そののんびり感のせいか、ゲームとしての面白さに欠けています。本筋の守護聖探しが単調だから、次第に飽きて作業になってしまうのです。 せっかくデートは前作以上に遊べて面白かったのに、勿体無いなあ。ゲームには何をおいてもゲーム性が必要だと思う……! スチルやムービーはきれいです。PS2版オリジナル要素である想い出機能が充実していることもあって、これなら全員分のEDを見たいわ!と攻略意欲をかき立てられました。 システムについてはセーブ・ロードの遅さが少し気になるくらいで、他は快適だったように思います。
 また、エトワールでの恋愛はややロマンチックさに欠ける気がしました。親密度を上げていくと唐突に惚れられて、唐突に「愛している」と言われるような。でも、この恋愛の流れはまさに初期のアンジェと同じなんですよね。ただ、初期のアンジェには禁断要素があったから、恋愛の流れ自体はそんなでもロマンチックだった。 エトワールでは普通の女の子が普通に恋をしている感じで、あまりに平和に恋愛できるため、どうしても物足りなさを感じてしまいます。やっぱりアンジェは「女王か恋か」がいいなあ。「聖天使」という立場だとおそらく「聖天使も恋も」が可能なので、「女王」ほどの重みがありませんでした。
 新キャラは3人ともそれぞれに魅力的です。彼らとの恋愛は素直に楽しめました。これだけのキャラを持ってこられるなら、思い切って総入れ替えしたほうが良かったんじゃないかなあ。いろいろな事情もあるでしょうが、そろそろシリーズ完結を考えても良い時期なのではないかと思います。

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