第38回グルメフロンティア記念
〜私的名馬紹介〜

グルメフロンティア@フェブラリーS
Photo by speed
平成4年4月19日生・牡・鹿毛
厩舎 田中清隆[美浦(北)]
生産 白井牧場[門別]
馬主 石井政義
トウショウペガサス
バンビファバー
通算成績 38戦9勝 2着8回
主な勝鞍 H10フェブラリーS(GI)
H10中山金杯(GIII)
平成11年
現役引退
現在、種牡馬
(繋養先:白井牧場)
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美食開拓者
 
翔け!グルメ
地元後援会(?)の横断幕
関係者の方、このページをご覧の上での
ご連絡メール有り難う御座いました(^^)
 私がこの馬を本当に好きになったのは、実はこの馬が5歳になってからの事です。
 平成八年の早春、この年の4歳クラシック戦線には私にとって余り興味をひく有力馬もおらず、また古馬のスターホース達も本格始動するには早い時期だった為、丁度競馬に退屈していた頃でした。
 ある日、私はいつもと同じように中央競馬をTV中継で見ていました。雨が降った土曜競馬の午後、メインレースの東風Sを見ていた私は、このレースを勝ったインターユニークではなく、2着に入った馬が目に止まりました。
 グルメフロンティア、訳すと「美食開拓者」。何か凄い名前(笑)だなと思い、早速戦績を調べてみると……明け5歳、3走前に900万条件を岡部騎手で勝っている。その前はというと…おっと、4歳時にNHK杯(GII)(芝2000m、ダービーTRだったが現在はNHKマイルCに改編されている)で4着になっている。日本ダービーには残念ながら出られなかったのかぁ。父はトウショウペガサスか、トウショウボーイの甥っ子だな……と、○父は基本的に応援する方針(^^;の私は、とりあえずこの馬の名前を記憶にとどめたのがこの時でした。
 すると丁度時期が良かったのでしょう、グルメはまるで私の記憶から消えてしまうのはごめんだ(笑)とばかりに毎月必ず一回は出走し、準オープンレースを立て続けに3着2着2着2着(^^;と、安定はしているが非常に勝ちみに遅い走りを見せてくれました。このお陰で私にとってグルメは「次走もまた2着なのだろうか(笑)」と期待させる、注目度No.1の馬になったのです。
 
 夏、900万クラスに降格するもその緒戦(勝浦特別)で勝ち、すぐに準OPに戻ったグルメは、その後主戦が岡部騎手から加藤騎手に変わっても例の善戦(^^;を続け、遂に再昇級後4戦目の市川Sにて念願の準OP勝ちを収めました。この時の嬉しさは私自身も良く覚えています(^^)。
 しかし、まだオープンクラスに昇格するのには少し賞金の足りなかったグルメは、その後も準OPレースに出走します。またもう一勝するのにどれくらいの時間が掛かるんだろう…と不謹慎な事を考えていた(^^;私ですが、明け6歳となったグルメは予想に反し、わずか2戦目(笑)でテレビ山梨杯を勝ってくれました。
 
善戦マン飛躍の予感
 
 さて、準OPを2回勝ってしまい、もう条件クラスには戻れない身体となってしまった(笑)グルメが、オープン昇級後最初の目標としたのはなんと中山記念(GII)でした。幾らなんでも、昇級直後いきなりGIIは厳しいんでないかい……と驚いたのですが、実はグルメの父トウショウペガサスの主な勝ち鞍はこの「中山記念」。もしかしたら…という気も片隅にありました。
 レースの結果は4着。「重賞でも結構やれるじゃないか」という気持ちと、「今後も勝ちみに遅いレースを延々繰り広げるのかなぁ(^^;」という気持ちを交錯させながら、私は外れた単・複の馬券を捨てたのです(今から思うと取っておけば良かった…(;_;))。
 この時、私は仲間内で私設「グルメに『秋の盾』を獲らせる会」(笑)を結成しました。と言っても本当に内輪で会員は数人でしたけど(^^;;;。
 
 しかし、ここまで休まず15ヶ月で17戦もした(^^;疲れが出たのか、グルメは休養に入ります。そして復帰してからの重賞2戦も、余りぱっとしない結果に終わりました。それに合わせるかの様に「グルメに『秋の盾』を獲らせる会」は「グルメを秋天に出走させる会」にトーンダウンする始末(^^;。
 
 その後、夏に再度の休養に入ったグルメが秋の復帰緒戦に選んだのは、ダートのオープン特別「ながつきS」でした。このレースは以前からダート戦線で活躍している、エムアイブラン武豊騎手騎乗で出走していたのですが、鞍上が岡部騎手に替わった(戻った)グルメは、私の見ている目の前で鮮やかな逃げ切りを披露してくれたのです(^^)。
 でも、私が本当に「やっぱりこの馬はかなり強いんだ」と実感させられたのは、やはり大本番の天皇賞・秋(GI)に於いてですね。
 加藤騎手を背に、カブトヤマ記念(GIII)3着から連闘で臨んだこのレース、勝ったエアグルーヴ、2着のバブルガムフェローからは少し離されましたが、同世代のジェニュインロイヤルタッチと併走しての5着入線(因みに快速馬サイレンススズカはこの直後の6着です)。
 中距離のレースなら、一戦級の中でもそれ程遜色無いと思わせてくれるのに十分でした。
 
思わぬ舞台でつかんだ栄光
 
 その後もグルメの好調は続きます。年末の中京で行われた愛知杯(GIII)では足を余しての惜しい2着でしたが、重賞で勝利を得るのは時間の問題になりつつありました。
グルメ@中山検量室前
中山金杯を勝った直後の「グルメ
 そして遂に、その時はやってきます。
 翌年、明け7歳となったグルメが出走したレースは、平成十年競馬の幕開けを告げる「中山金杯(GIII)」です。鞍上も岡部に決まり、距離も得意とする芝2000m。勝てる要素はかなりありましたが、私にとっては勝利の期待と「ここでも惜しい二着のような善戦に終わった場合、もうこのまま結局は重賞を勝てずに終わってしまうのかも知れない」という心配が混じった複雑な気持ちだったのを覚えています。
 しかし結果から言えば、この私の心配は全くの杞憂に終わりました。グルメは堂々の1番人気に推され、中山の直線坂上で先頭のセイリュウオーを捉えた後、軽く追っただけで突き放す横綱相撲で見事初重賞制覇を成し遂げたのです。
 
 遂に念願の重賞を制覇したグルメが、次に何処に出走するのかは私にとっても非常に興味が有りました。
 私の個人的な予想では、去年重賞初挑戦で善戦した中山記念(GII)を使い、少し小休止した後安田記念(GI)か中距離の重賞レースを使って、春の最終目標を宝塚記念(GI)に置くのではないかと勝手に思いこみ、その舞台でグルメが大ブレイクする姿を想像してはニヤニヤしていました(危ない奴だ(^^;;;)。
 
 ところがグルメ陣営は、私のこの妄想を嘲笑うかの如く「フェブラリーS(GI)」を次走に選びました。
 ダートの適性については、以前にながつきSでダート重賞馬のエムアイブランを破っている位ですから、適性が無いことはありません。しかし、今まで出走した重賞は全て芝だったし……距離がやや短めの1600mと言う事も少し気に掛かる要因でした。案の定、競馬予想各紙は「ダート適性はあるが、いきなりGIはどうか」とか「距離がやや短いし、この前勝ったながつきSは足抜きの良い馬場だったが為。今回は果たしてどうか」と言う論調が殆どで、重い印を付けていた予想家も殆ど居なかったと記憶しています。
 
 私もこれらの点から非常に不安でした。しかし、ここまで本当に良く成長してくれたグルメです。彼を信じて、この日の少し前に減税によって還付された3万前後のお金を、このレースのグルメの単勝・複勝・馬連に全て注ぎ込みました(笑)。
 そして実際のレースでは……スタート、道中の位置取り、追い出しのタイミング、スパートしてからの脚色、全て文句の付けようのないレース運びで、2着に4馬身と言う大差を付けての圧勝!!
 恥ずかしいことに、この時はナリタブライアンが三冠目の菊花賞を勝ったとき以来の大興奮で、一緒に見ていた弟達と共に大騒ぎしたことを今でも覚えています(^^;;;;;。私の馬券も10万円以上の黒字となり、何もかもうまくいった1日でした(^^)。
 
更なる開拓の旅
 
グルメフロンティア@東京大賞典
東京大賞典にて (Photo by speed)
 …その後、グルメは疲れが出て休養し、春はダート重賞の武蔵野S(GIII)から帝王賞(GI)、更に調子が良ければ宝塚記念(GI)へ進むローテが組まれていたようですが、軽度の深管不安が出て全休。
 秋はご存じの通りぶっつけで臨んだ天皇賞・秋(GI)で大敗し(;o;)、1レース叩いた後の東京大賞典(GI)ではスタート直後「あわや落馬か」と思うような躓きで出遅れたのにも関わらず、最後は猛然と追い込んでの5着。正直な気持ち、上手く運んでいれば、優勝はともかく、2着は絶対争えただろうと言う気持ちが非常に強く残り、かなり残念でした(;_;)。
 
 そのグルメも今は現役を引退し、故郷の白井牧場に於いて「白井牧場生産初のGI馬」と言う事で種牡馬になりました。「フロンティア方式」でシンジケート結成を目指します。世界の主流からは外れたトウルビヨン系(シンボリルドルフトウカイテイオーメジロマックイーン等がこの系統)ですが、グルメにはノーザンダンサー系の血統が全く入っていないのと、父トウショウペガサスの牝系はあの「華麗なる一族」と呼ばれたソシアルバターフライの系統だと言うのが多少の注目点です。
 父トウショウペガサスも、毎年ほぼ数頭〜十数頭と言う非常に少ない産駒の中から、既にグルメ・スエヒロジョウオー(阪神3歳牝馬S(GI)の勝馬。産駒ではスエヒロコマンダー鳴尾記念(GII)等を勝ち活躍中)と2頭のGI馬を輩出していると言うことは、もっと評価されて良いことだと思います(^^)。
 
 ともかく、雄大な馬体を持ち、芝もダートもこなせるグルメフロンティアの力を最大限に受け継いだ産駒が、各地の競馬場と言う舞台で活躍することを私は今から楽しみにしているのです。

○父グルメフロンティア H4.4.19生 牡 鹿毛   全38戦9勝 2着8回 3着3回  芝27戦4勝 D11戦5勝
勝率23.7% 連対率44.7% 複勝率52.6%  収得総賞金 369,119,000円  血統表を見る

年月日 開催 レース名 頭数-馬番-人気 着順 騎手(斤量) 距離 タイム-着差 通過順位 1着馬(2着馬) 馬体重
H 6.11.13 5東京4 3歳新馬 13-10- 8 大 塚(54) 芝1400 1.25.3-0.4   7-7-7 サクラトニーオ 508
H 6.11.27 5東京8 3歳新馬 13-10- 6 大 塚(54) 芝1600 1.37.7-0.9   8-9-8 ミズムアゲイン 506
H 7. 1.15 1中山5 4歳未勝利 16-16- 4 大 塚(55) D1800 1.57.2-0.1 1-1-1-1 メジロテンジン 510
H 7. 2.12 1東京6 4歳未勝利(父) 16- 4- 1 大 塚(55) D1600 1.41.6+0.1   1-1-1 オンワードアイ 514
H 7. 3.12 2中山6 水仙賞500 15- 3- 8 大 塚(55) 芝2000 2.05.9-1.2 1-1-2-2 サンテアンドオ 510
H 7. 4. 1 3中山3 4歳500万下(父) 11- 3- 1 岡 部(55) D1800 1.53.3+1.2 1-1-1-1 インターブラボ 510
H 7. 5. 7 2東京6 NHK杯GII 16- 7-10 岡 部(56) 芝2000 2.02.1-0.4 16-16-16-14 マイネルブリッ 508
H 7. 6.10 3東京7 エーデルワイスS900 10- 4- 2 田中勝(55) 芝1600 1.36.3-1.1   2-4-3 サイレントキラ 518
H 7. 7. 9 2福島8 4上900万下 13- 8- 4 橋本広(54) 芝2000 2.04.8-0.9 2-2-1-2 マルタカサドラ 512
H 7. 8. 5 3福島7 飯盛山特別900 12- 8- 2 10 ソ ト(54) D1700 1.48.7-3.8 3-3-3-3 ファイヴナカヤ 508
4ヶ月半休養
H 7.12.24 5中山8 ジョッキーズG900 12-11- 8 田 原(55) 芝1800 1.50.6-0.6 4-3-3-4 メジロアムール 508
H 8. 1.14 1東京5 5上900万下 11-11- 2 岡 部(56) D2100 2.13.6+0.2 6-2-3-1 ダイワトーレン 512
H 8. 2. 3 2東京3 金蹄S1500 16- 2- 5 安田富(54) D2100 2.13.1-0.8 3-7-8-8 デュークグラン 520
H 8. 2.24 1中山1 内外タイムス杯1500 16- 5- 2 安田富(56) D1800 1.55.9-1.3 7-8-10-10 ヘイセイエルザ 522
H 8. 3.16 1中山7 東風S1500 16- 5- 8 岡 部(56) 芝2000 2.01.1-0.1 13-13-12-10 インターユニー 524
H 8. 4.14 2中山8 総武S1500 16-13- 5 岡 部(56) 芝2000 2.00.9-0.3 6-5-5-6 アプローズシチ 522
H 8. 5. 3 3東京5 薫風S1500 13- 4- 3 岡 部(56) 芝1800 1.48.2-0.2 8-10-12-11 サクラスーパー 526
H 8. 6.15 3中山1 湾岸S1500 10- 4- 1 岡 部(56.5) 芝2000 2.00.4-クビ 5-5-5-1 グロリーシャル 526
H 8. 6.29 3中山5 安達太良S1500 14-13- 1 岡 部(57) 芝1800 1.47.3-0.4 4-4-4-4 クラウンシチー 528
H 8. 8.11 4中山2 勝浦特別900  6- 5- 1 柴田善(58.5) 芝2000 2.02.0+0.1 2-3-2-2 ドリブルラッシ 530
H 8. 9.28 5中山7 セプテンバーS1500 10- 8- 4 加 藤(57) 芝1600 1.36.1-0.2 3-6-7-5 タイキマーシャ 536
H 8.10.27 5東京8 白秋S1500 13- 9- 2 加 藤(57) 芝1800 1.46.9-0.2 7-7-6-5 キングオブダイ 532
H 8.11.17 6東京6 ノベンバーS1500 18- 9- 3 マシュ(57) 芝1600 1.35.0-ハナ   11-11-7 メジロブロス 534
H 8.12. 8 6中山4 市川S1500 16- 4- 1 加 藤(57) 芝1600 1.34.7+0.1 7-8-7-6 ランフォーロー 538
H 9. 1.11 1中山4 初富士S1500 16- 7- 2 加 藤(58.5) 芝1600 1.35.3-0.2 5-7-5-6 ランフォーロー 534
H 9. 2. 9 1東京6 テレビ山梨杯1500 16- 1- 1 加 藤(57) 芝2000 1.59.7+0.6 6-8-6-6 キャッシュラボ 530
H 9. 3. 9 2中山6 中山記念GII  9- 3- 5 加 藤(57) 芝1800 1.49.1-0.4 5-6-7-7 キングオブダイ 526
3ヶ月休養
H 9. 5.31 3東京5 エプソムCGIII 13- 7- 9 加 藤(57) 芝1800 1.47.0-0.4 8-9-9-11 タイキマーシャ 520
H 9. 6.29 1函館8 函館記念GIII 16- 7- 3 10 田中勝(55) 芝2000 2.01.0-1.7 7-10-6-6 アロハドリーム 530
3ヶ月休養
H 9. 9.27 4中山7 ながつきSOP  8- 3- 3 岡 部(56) D1800 1.51.1+クビ 1-1-1-1 エムアイブラン 526
H 9.10.19 2福島8 カブトヤマ記念GIII 12- 6- 4 加 藤(55) 芝1800 1.49.2-0.2 4-5-7-3 テイエムオオア 526
H 9.10.26 4東京8 天皇賞(秋)GI 16- 8-15 加 藤(58) 芝2000 1.59.9-0.9 5-4-4-6 エアグルーヴ 530
H 9.12. 7 3中京6 愛知杯GIII 16- 1- 2 加 藤(55) 芝2000 2.00.6-クビ 6-6-11-8 サクラエキスパ 536
H10. 1. 5 1中山1 中山金杯GIII 15-15- 1 岡 部(56) 芝2000 2.01.4+0.3 11-11-8-5 セイリューオー 534
H10. 2. 1 1東京2 フェブラリーSGI 16- 6- 6 岡 部(57) D1600 1.37.5+0.7   4-6-6 メイショウモト 534
9ヶ月休養
H10.11. 1 4東京8 天皇賞(秋)GI 12-12- 7 11 岡 部(58) 芝2000 2.02.3-3.0 8-8-7-5 オフサイドトラ 528
H10.11.21 6京都5 トパーズSOP 14- 5- 3 松永幹(59) D1800 1.51.3-0.8 9-9-10-11 オースミジェッ 532
H10.12.23 16大井3 東京大賞典GI 15- 4- 3 岡 部(56) D2000 2.06.6-1.2 15-15-15-15 アブクマポーロ 536

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