その老人はトコトコと舳先に上がってくるとオレの横に並んで立ち、話し始めた。


 「餌はどんな感じでつければいいのかねぇ」


なんでもその老人は前回、初めてのワラサ乗り合いで5本を捕ったんだとか、道具立てからして普段はアジ釣りを楽しんでいるようだ。


 「前回は入れたら直ぐに釣れたもんだからね」

 「今日はダメなのかねぇ・・」



前回三本目で折られたというビシ竿を修理して挑んだ今日、二匹目のどじょうは居ないのか?・・






 普段アジ釣りを楽しんでるお年寄り、初めてのワラサに大型のクーラーを持ってくるはずも無く・・前回は宿でもらった発砲に二本を入れて残りは宿に置いていったそうだ。


東京湾一デカイ船のはずなのに
片舷八人でオレはこんなとこへ・・



 持ち帰ったワラサの一本をご近所にお裾分けし、もう一本をお婆さんと一緒に食べたところ、これが美味しい事。


 「婆さんがもっと釣って来いって・・」

 「大きい入れ物買って来たんだけど・・・」



確かに・・コロの付いた立派なクーラーが老人の足元に・・・。

  (そーいえば、あいつが何かを新調すると
    釣果が落ちるなんて事もよくあったよなぁ。)


準備が良過ぎると得てしてありがちな話だけど・・。ちょっぴり寂しそうな老人を励ますかのように


 「また潮が変わればポツポツ喰うと思いますよ」

 「とにかく飽きずにコマセ撒いて
        クーラーに土産入れて帰ってよ」






 沖よりのポイントは朝からポツン・ポツンと顔を見せ、反応もあるけど二本、三本と竿を絞り込むほどの勢いが無く、どこかの船でたまーにタモが入れられる程度。

早朝の船団が引き上げ始め、キワから沖への潮が反対に変わった時合いが今日のクライマックス。

老人も腰を下ろしたまま全身で竿を押さえてリールを巻いている。
親方が操舵室から出てきてオマツリを解きながら糸を手繰る、タモには二本目のワラサが入った。


 
「良かったね」


と声を掛けると興奮冷めやらぬ様子で笑顔が引きつっていたっけ。
宿で写真を撮ろうって声を掛けてもはにかんだ様子で拒んでた、まさか「魂抜かれる」なんて思ってはないだろうけど・・。





■ ジンクス? ■

AM3:00 第三京浜を走行中 ケータイメール
この時間はたいてい なかじまさん か のぶさん

聞けば深夜残業を終えたなかじまさんがタクシーで帰宅中だとのこと
一旦家に帰って宿へ向かうので久々ご一緒することになったんだけど・・。

んー ・・・

なかじまさんがコマセを振ると竿が突っ込む!

「右舷舳先・・」

なかじまさんがコマセを振ると竿が突っ込む!!

「左舷舳先・・・」

ちなみに なかじまさん は右舷二番手(汗)

そんなことを繰返してるうちに過酷な労働による睡魔が ・・
連日の深夜残業じゃ無理もない・・

喰い渋りでも久しぶりに一緒できて良かった
またヨロシクお願いします。


どーも ホームで誰かと一緒すると ”あれれ?” って感じで
終っちゃうことが多いなぁ・・(汗)

誰かこのジンクスを止めるてくれー



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