「初めて・・」



 「伊豆大島灯台 西南西 11m

 先週も大丈夫だったから・・。
そんな軽い気持ちが大きな誤算だったわけで。

今回は良い勉強になりましたです。


「南が吹いて、下げ潮速けりゃ〜 どんぶらこ」





 思えば、横横を走っている時も電光掲示板には「横風ちうい」の文字。確かにハンドルをとられそうなほど吹いてたよなぁ・・。


 風裏となる大津港を出て観音をまわったところで

ぶったまげた!

 そこには何度も通りながら見たことのない姿が一面に広がっていた。

 風は先週と同じでも、大潮の下げ潮で勢いを増した上っ潮と、観音崎を過ぎたところから強く吹きつける南西の風により長い波長のうねりと小刻みな白波がぶつかり合って一面が真っ白に見えた。


 高い操舵室からは、波で高く跳ね上げられる舳先と、次から次へと迫り来る大きな白波に今までにない怖さを感じた。
気づけば風を避け、できるだけ”きわ”を通り、波に合わせて速度を落としながら、船長は「オレが舵を両手で握らねーうちは凪だよ、だははは」と口数の少なくなったおいらを茶化していた。



結局この日は沖上がりを待つことなく、さお先は空を向いていた・・。





 なるほど、上っ潮が風と喧嘩するのがわかるような勢いでビシが流れる。岸壁で舫を解く時にせり上がっていた海面が、今こうして下がっていくんだなぁって実感。

久里浜の55mはかなりポイントが狭いんだろうか?久里浜の船を中心に7艘ほどが同じところを流していた。


 流し始めてから一時間ほどだろうか・・。右舳で、ちっちゃなオニカサゴやでっかいトラギスと戯れているうちにやや潮が緩んだか?
左舳で真鯛が喰った。手馴れた雰囲気で、うねりに合わせ慎重なやり取りをしているところから、まずまずの型のよう。
タモ取りに駆けつけると手繰るハリスの先で大波に揺られながら綺麗な魚体が浮いた。手際よくタモ取りされたのはこの日唯一、2.1kgの真鯛。
そして、その時・・さっき自分がトラギスに傷つけられ交換したばかりの赤いハリスが魚体から伸びていることに気づいたのだ。





 今更ながらに赤いハリスに反応したおいら。

「釣れる人と釣れない人」その間を埋めるためにはなにか細工を施さないといけないのかも・・なんて事を考えながら、鈍感なおいらもその理由を知ると藁にも縋る想いでチョイス。
今回は小細工としてコイツこいつを試してみたわけよ。

 今まではそれほど道具にこだわる事がなかったけど。
気づけば竿、天秤、ビシの穴。いろいろこだわるところって多いのかもしれないね。その一つ一つをゆっくり楽しんでいけたら。

給油中の走水港から見た海は優しい表情だった。

 寝不足も手伝って、今回は初めて沖上がりを待つことなく道具を片付けてキャビンで寝てしまった。(^^; 
これまた偶然かそばを流してたT正丸では上がり5分でバタバタ釣れたとか・・。
親方も言ってたんだよなぁ〜「釣れるとしたら上げ潮の今(上げ潮の淀み)だな。」って・・残念。



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