ツリモンストラム・
グレガリウムの実態

吻部(フンブ。口先)の鋏(ハサミ)でエビを捕獲するターリーモンスター

北米のイリノイ州にある石炭紀後期のメゾンクリーク層からツリモンストラム・グレガリウムという名前の奇妙な動物の化石が産出する。大きさは10〜15センチほどあり、全く骨格を認めることができない。多数の節に分かれた長楕円形の身体の先端(吻部)に鋏のような1個の突起がある。頭部には1対の有柄の眼を備え、尾部にある三角形の鰭(ヒレ)は方向舵と安定板の働きをした。身体を屈曲させて泳ぎ、甲殻類や小魚を鋏で捕えて食べていたらしい。主として河口付近の汽水域(淡水と海水の混ざった低塩分の水域)で生活した。俗にターリーモンスターと呼ばれるが、それは発見者のフランシス・ターリー氏に因んで付けられた(G.R.カセより改写)

(『古生態図集・海の無脊椎動物』P578。青色部分、筆者)


全体図ターリーモンスターについて、福田芳夫氏の『古生態図集・海の無脊椎動物』から報告したい。
この本でも、ターリーについてはわずか3ページをあてているにすぎないが、それでも多くの貴重な情報を得ることができた。

ターリーのその奇妙な姿を見て、恥ずかしながらてっきりカンブリア紀の生物かと思ったりしたが、実際は石炭紀後期(3億3300万年〜2億9000万年前)、ムー177号によると2億8000万年前に生息したそうだ(カンブリア紀は五億年以上前)。

体長はたった10〜15センチしかない。

『超自然の世界』によると、1958年、シカゴ近郊(イリノイ州)で発見されたそうである。


左図(a):ターリーの全形(背側)

ターリーの化石



ハサミ状の顎器

まず注目したいのは、口先がハサミ状になっていることである。ムー177号にもある福田氏の図を見て、立体感のない絵だなあと思いきや、あれはハサミのように、左右から獲物を挟むものだったのである。

右の化石写真からも、それは見て取れる。

右写真:顎器を備えた体前半部






ターリーの内部構造有柄の眼

ターリーの身体の中で最も奇妙な部分は、「バーオルガン」と呼ばれる有柄の眼だろう。
実は、この部分は腹側で棒状につながっており、その中心部分で身体とつながっているのである。

“ヒレ”には全く見えない。
また、陸上を這うにも不向きであることは明らかである。

左図(d):体の内部構造の復元。顎器(鋏)の基部中央に口があった。その後方を消化管が直走する。

なんか気持ち悪い‥‥(笑)

b:有柄眼の部分で身体を横断したもの。

c:さまざまな方向から見た有柄眼。

ターリーの眼

a〜e 図、『古生態図集・海の無脊椎動物』P579より、ターリーモンスター、ツリモンストラム・グレガリウムの復元と内部構造。ジョンソンとリチャードソンより改写



所属の謎

無脊椎動物であることは明らかなものの、ターリーが正確にどこに属する動物なのかは不明である。
しかし、有力な説として、ゾウクラゲに近い生物なのではないかと言われている。
確かに、形態や構造に類似があるように思われる。

ターリーとカリナリア

今までにターリーモンスターの所属を巡って多くの論争がなされてきた。ジョンソンとリチャードソンの両名は、ターリーモンスターが現生の異足目のカリナリア(和名ゾウクラゲ)に最も近いと考えている。それが本当なら、ターリーモンスターは異様な身体つきをした腹足類ということになるのだが。a はターリーモンスター、ツリモンストラム・グレガリウムの復元図。b は異足目(軟体動物)のカリナリア(ジョンソンとリチャードソンより改写)

(『古生態図集・海の無脊椎動物』P580より)



参考文献:『古生態図集・海の無脊椎動物』 図・著 福田芳夫 川島書店 1996.9.11発行




Update/1999.10.6


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