〜トンデモ超兵器ファイル[2]〜

プラズマ兵器体系崩壊


目次
プラズナーの射程距離
プラズマ爆風兵器
プラズナー衛星システム





最近私は、『UFOはプラズマだ』と言い出したら、得体の知れないUFO信仰者たちは太刀打ちできない、と思ったらしくて、『UFOというのはそのプラズマからできてるんだ』といい出しました。何の事かわかりませんが、ある漫画家はそれで一生懸命描いてます。もしプラズマでできてるUFOがあったとしたら、地球にやってきて、『地球は奇妙な物質だ、これは一体なんだ』と思うでしょうね 」

               〜大槻義彦『怪奇現象の正体 プラズマの謎』(悠飛社、1994年刊 )P43より





 
プラズナーの射程距離


 さて、プラズナーの科学的問題点をいくつか述べてきたが、今度は“プラズナーの射程距離”について検証したい。

 飛鳥氏の情報では、衛星でマイクロ波や中性粒子ビーム、磁力線を反射させることで、世界中を攻撃可能なシステムがすでに完成しているとのことである。しかし、この大雑把な情報には、全く信憑性というものがない。
 磁力線は論外として、まずマイクロ波について考えてみよう。

 マイクロ波は指向性が高いとされる時があるが、それは他の波長の長い電波と比べた場合である。レーザーやビームとは比較にならない。しかも、大気中で減衰しやすい特性があるので、高エネルギーを維持できるのは非常に限られた距離にすぎない。

 参考までに述べれば、マイクロウェーブ兵器の有効距離は1〜10kmである。とてもではないが、プラズマを発生させ得るような高出力のマイクロ波を、衛星を介して送れるとは思えない。ちなみに、プラズナー用の軍事衛星は静止衛星だそうなので、最短距離でも72000kmということになる。(静止軌道は36000km)

 拡散する率は、衛星放送を受信できる範囲を思い浮かべるとわかりやすいだろう。

 さらに言えば、野外でマイクロ波によりプラズマを発生させる事は不可能ではないだろうが、とても難しいことなのである。大槻教授の実験の場合、ケース内にメタンガスなどを満たし、さらに微細なダストを入れることで、それなりの「大気プラズマ」を発生させている(無論、電波発生源はごく近くにある)。一方、レーダー・サイトでは強力なマイクロ波を放射しているが、それによりプラズマ球が発生したという話は聞かない。

 マイクロ波によるプラズマは、兵器向きではないのである。



プラズマ爆風兵器


 それでは、より可能性のある中性粒子ビームならどうか?

 まず、『大真実』でも書いたが、中性粒子ビームというのは宇宙空間から地球を攻撃できないのである。そのため、SDI においては防御用の平和的兵器として喧伝されたのだ。
 この時点で、鏡衛星を使っても地上を攻撃できないことは明白である。

 ところで、プラズナー用の中性粒子ビームは、光るはずである。
 高出力の中性粒子ビームは、「地球上で最も明るい光」と言われることもあるほど、まぶしい光線なのである。

 ‥‥それはさておき、ビーム兵器の最大の問題は、エネルギーが高いほど射程距離が短くなってしまうという点である。皮肉なことに、高出力ビームにより大気中の分子がプラズマ化してしまうために、ビームが拡散して前に進まなくなるのである。そのため、パルス型ビーム(波長が、 ̄凵 ̄凵 ̄凵 ̄ ‥‥という感じのもの)を使用しても、せいぜい数10mから数100mの射程距離だった。
 実用レベルに至るにはかなりの技術革新が必要だが、SDI はとっくに終了しており、研究はのきなみ中止されてしまった。

 ここで、現実の兵器の話をしたい。
 SDI の副産物に、「プラズマ爆風兵器」というものがあった。高出力ビームにより発生したプラズマは、周辺の空気の圧力を増加させて爆風を起こす。ビーム兵器開発には障害となるプラズマだが、逆に兵器として利用しようというわけだ。これを戦車に当てた場合、高熱で装甲を溶かすと共に、衝撃波によって戦車内部を破壊する。

 イメージ的には、宮崎アニメの巨神兵のビームや、ラピュタのロボットのビームが近いかもしれない。また、飛鳥氏は映画『インディペンデンス・デイ』に出てくるエイリアンの超兵器をプラズナーだとしているが、プラズマ爆風兵器の方がより近いだろう。
 プラズナーは爆発しないのだから。

 ただし、プラズマ爆風兵器はアニメや映画の超兵器ほど大したものではない。射程距離が限られているので航空機に対しては使えないし、戦車装甲に融除材(熱を伝えるのを防ぐもので、ロケット先端部などに使用されている)が使われていると、爆風が生じない。
 プラズマ爆風兵器も、“使えない兵器”なのである。

 ところで、旧ソ連でも高出力エネルギー兵器の実験場サリシャガンにおいて、西側が“サリシャガンの虎”と呼ぶプラズマ兵器を開発していたらしい。ビームによりプラズマ球を発生させる兵器だそうだが、このソ連のプラズナーも、実態はアメリカと似たようなものだろう。

 飛鳥情報によると、ソ連が崩壊した原因は、プラズナーを知って自分達に勝ち目が無いことを悟ったからだとされているが、大いに疑問である。
 ソ連が崩壊したのは、やはり経済要因としか思えない。

 まとめとして述べると、プラズマ兵器は実在しているが、飛鳥氏の言うような超兵器ではあり得ないというわけだ。



プラズナー衛星システム


 今度は、プラズナー用軍事衛星について述べたい。
 飛鳥氏によれば、プラズナーは世界各地ですでに使用されているという。それを可能にするのが“リレー軍事衛星”であり、マイクロ波や中性粒子ビームを中継することで、世界中にプラズマを発生させられるそうだ。

 まず、エリア51やカリフォルニア州アンテロープ・バレーの上空には静止衛星が存在しているそうだ。さらに、イラク上空、イギリス上空、太平洋上空、そして北極上空にも静止衛星が配置されているという。
 これらの衛星は実在しているのだろうか?

 ‥‥どう考えても実在しているとは思えない。
 
なぜなら、静止衛星というものは赤道上空にしか存在できないからである(笑)。静止衛星というのは地球の自転の方向とスピードに合わせて飛んでいるが、赤道上空以外では自転方向と衛星の軌道がズレてしまうのだ。
 飛鳥氏は、ムー220号P42で、こう書いている。

「現在、アメリカが極秘裏に打ち上げた軍事衛星のひとつが、北極上空に静止衛星となって飛んでいる〜(中略)〜このほかに、6基の衛星を地球の各所上空に配置している」

 これは、静止衛星というものを全く理解していない言葉である。北極上空で衛星が同じ位置を保つには本当に静止していなければならないが、止まった衛星というのは、落ちるのである。これが米軍やNSAからの情報だというのだから、笑ってしまう。

 他にも衛星については、レーダーで地下シェルターの中を立体的に透視できるとか、赤外線で小動物の体温まで感知できるとか、トンデモな情報が目白押しである。山本弘氏がとあるトンデモ小説について、「この手の軍事アクション作家というのは、人工衛星を使えばなんでもできると思ってるらしい」(『トンデモ本の世界』P183、洋泉社)と書いたが、それは飛鳥氏についても当てはまりそうである。

 そういうわけで、プラズナー用衛星は実在しないと考えていいだろう。まあ、もしあったとしても、マイクロ波は減衰と拡散で役に立たず、中性粒子ビームも衛星まで届かないのだが。

 “プラズマの不可解な特性”や「プラズマ学」という名の擬似科学による言い逃れは、いくらでも可能だろう。しかし、そんな何の裏づけもない屁理屈が、「理論武装」だと思ったら大間違いである。
 そうした擬似科学理論を振りまわせば振りまわすほど、飛鳥氏の言うプラズマは現実のプラズマとは遠く隔たれてしまうのだ。僕などはプラズナーを検証していると、飛鳥氏という人物をマジメに論ずる事自体、バカバカしくなってしまうのだが。

 プラズナーというのは、なかなか魅力的なお話だった。しかし、それを信じてしまう事はお勧めできない。

 我々がこの社会で生きて行くに当たっては、現実と空想の区別をつける事が必要不可欠なのだから‥‥






参考文献
『殺さない兵器』江畑謙介(1995、光文社刊)
『UFOはこうして製造されている!』横屋正朗(1993、徳間書店)
飛鳥本


Update/1999.7.6

UFO2 最後の真実
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