HOME > Italian Harpsichord

Italian Harpsichord



イタリアンとしては2台目の楽器。
響板とボディの材質はヒノキ。17世紀イタリアのスタイルで設計。
フレスコバルディとの出会いは、高校生のときに聴いたFM放送だった。カセットテープにとってくり返し聴いていた。そのときに、Cento Partiteという曲名と、Corrente第4番のフレーズがつよく印象に残った。それから数年後にこのCorrenteの楽譜を見つけたときは、小躍りしたいほどうれしかったことを憶えている。最近になって、あのときの演奏者が誰だったのか気になって、テープを探してみたが見つからなかった。
すらっとのびたプロポーションと、その形に似合わない太身でエネルギッシュな響きがイタリアンの魅力だが、フランドルやフランスの楽器に比べて中高音部分の弦長がかなり短かい。北ヨーロッパの楽器の平均的なスケールが14インチ(c''の弦の長さ、約35センチ)なのに対して、もっともイタリアンらしく響くといわれるのが10インチ(25センチ弱)で10センチも短い。そのためイタリアンをイメージ通りに鳴らすのは難しい。
はじめて作ったイタリアンは、やはり鳴らなかった。けれどもそのことによって反対に、何が必要なのかを知ることができたように思う。どこをどう変えたらいいかが鮮明になり、その結果この楽器のプランができた。


製作してから10年経って、back 8'のみだが細めの弦に張り替えた。それまでは主に0.33mmの弦を張っていたところに0.285mmを張ったのだが、興味深い結果が得られた。響きに軽やかさが出て来たのである。張り替えたことによって計算上では張力が232kgから175kgに減った。60kg弱のダイエットである。楽器にかかるストレスが減った分、響きが軽くなったと考えると納得がいく。
最近もうひとつ気づいたことは、イタリアンには"dolce"の要素があるということ。"太身でエネルギッシュ"というイメージにとらわれていると気づかないある種の"甘さ"があった。時に力強く朗々と響くが時には甘く愛をささやく。イタリアンの響きはイタリア語のそれとやはりよく似ている(2012.3.23 追記)

Frescobaldi - Toccata Nona from "Partite et Toccate Liblo Primo" performed by Kazutaka Tsutsui

Domenico Scarlatti - Sonata K.308 / L.359 in C Major performed by Kazutaka Tsutsui