Unfretted Clavichord

オリジナルはJ. H. Sibermannの1775年頃の作とされるもので、5オクターブのunfrettedとしては小型の楽器です。
一般的にクラヴィコードの鍵盤は、全体の形としてはタンジェントのある奥の部分が演奏する手前側に対して低音方向にシフトしていますが、この楽器は ストレートです。つまり最低音と最高音のキーがまっすぐということで、その間のキーは他のクラヴィコードと同様にクランク状に曲がっています。クラヴィコードの鍵盤が全体的に低音方向にシフトしている理由は、個々のキーの左右のシフトの幅を同じくらいの範囲に収めるためと考えられます。例えば右に4cmシフトしているキーと左に2cmのキーがあるよりは、中間をとって左右とも3cmにした方がいいということです。
楽器のサイズを変えずにシフトさせると、鍵盤の手前部分が響板側へ移動するので、響板の低音側の面積が少なくなります。オリジナルの作者は限られたサイズの中で響板面積を最大限に確保するために鍵盤をシフトしない方法を選んだと考えられます。
ところで、この楽器のオリジナルにはサインがなく、J. H. Silbermann作というのはあくまでも推測の域を出ません。その推測に意義を唱える人もいます。
中高音域の濃厚かつ柔らかな音色と広いダイナミクスがこの楽器の特徴で、低音は弦長が短いためさらにソフトな印象です。低音は最初の製作時から少し張力を上げるために弦を張り替えましたが、少し張力を上げることで中高音とのバランスがよくなると思われます。

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