コトキタウン〜なにかが かすかに はじまる ところ O


 「ポケモン連れていれば、キミも立派なポケモントレーナー」

 「えっ、どうして私がトレーナーだとわかるの?」

 「その手を見れば、わかるさ」

シズクは、自分の手を見た。その手には、ラムサールのボールが握りしめられていた。

 「ボクの挑戦受けるよね」

シズクが答える間もなく、短パン小僧のカズキが勝負を仕掛けてきた。
短パン小僧のカズキは、ジグザグマを繰り出した。

 「もう、私、急いでいるのに…」

シズクは、手の中のボールを投げる。

 「ラムサール、お願い」



相手のジグザグマは倒れた。
勝負は、あっけなく着いた。短パン小僧のカズキとの勝負に勝った。

 「ああ負けた…もっと育てておけばよかったよ」

シズクは、賞金として80円手に入れた。

 「キミ、強いなら強いって最初から言ってくれよな」

カズキは、捨て台詞を残して去っていった。

 「そんなこと言ったって、何も言わせてくれなかったくせに…」

シズクは、一人ふくれるのであった。


しばらく行くと、道の脇の木に寄りかかって少年が休んでいる。
シズクは、急ぎ足で通り過ぎようとした。

 「おい、そこのトレーナー」

 「えっ、私?」声をかけられて、シズクは思わず振り返る。

 「おっと目が合ったな。虫ポケモンで相手をするぜ」

虫取り少年のシンイチが勝負を仕掛けてきた。

 「どうして、トレーナーだと…」

 「『トレーナー』と呼ばれて、応えればトレーナーに間違いなし」

虫取り少年のシンイチは、ケムッソを繰り出した。

 「むう」シズクは、ふくれっぱなしである。

 「ミリア、行きなさい」

 「ぴーっ」ミリアが飛び出す。

 「ミリア、ケムッソに『でんきショック』」

 「パリッ、パリッ」

ミリアの体が電気に包まれたかと思うと、そこから腕が伸びたかのように電撃が細く飛び出てケムッソを襲う。
相手のケムッソは倒れた。

 「ふうん、離れていても攻撃できるのね」

 「ピチューか、どこで手に入れたんだ。う、うらやましい…。じゃなかった続いていくぞ」

シンイチは、倒れたケムッソをボールに戻すと、別のボールを投げる。
虫取り少年のシンイチは、ケムッソを繰り出した。

 「ミリア、もう一度『でんきショック』」

 「ちゅどーん」

相手のケムッソは倒れた。

 「よくやったわ、ミリア」シズクは、ミリアを抱きしめる。

 「ぴちゅ」ミリアも誉められて嬉しそうである。

虫取り少年のシンイチとの勝負に勝った。

 「負けてしまった」がっくりと肩を落とすシンイチ。

シズクは賞金として64円手に入れた。

 「目が合ったトレーナーには、勝負を挑むのが決まりさ」

シンイチは、すごすごと去って行く

 「だからぁ、無理やり合わせたくせにぃ」


この辺から、イベントではない戦闘が増えますよね。
初期のソフトと違って上手く避けていこうとすれば、結構避けられる配置になってはいるんですが、
急いでいるシズクには気持ちの余裕がありません@@
それで、周囲も余り見てないし、さっさと終わらせて進もうとするので、物語も単調で描写が少ないです;;
初見ではその辺が非常に物足りなく思い、どうにかふくらませられないものか、と考えましたが、
シズクに感情移入すれば余計に、どうでもいいと本人が思っている戦闘シーンに付け足すものを、私は見つけられませんでした…


シズクは、なるべく野生のポケモンに出遭わないように避けられるところは草むらを避けて歩いていた。

 「ここは、無理ね」道全体が草むらで覆われている。

シズクは、慎重に歩を進める。

 「ガサッ」

 「ポケモン?」

草むらの中から少年がぶつかって来た。
身構えるシズク。

 「ぼく…背が低いから草むらを歩くと潜っちゃうんだ。葉っぱが鼻の穴に入って、ふぁ、ふぁ、ふぁ、ふぁ…ぶわっくしょーん」

少年は、そのまま去って行った。

 「全く、おどかさないでよね」

シズクは、北に向かって曲がっている道を見ながらため息をついた。

 「私、この102番道路って嫌いになりそう」


 「ボトッ」

何かが、木から落ちてきた。
上を見上げると、木の枝にポケモンがぶら下がっている。まるで木の実のような形をしたポケモンだ。
下を見ると、同じポケモンが起き上がれずに、じたばたもがいていた。
シズクは、そのどんぐりのようなポケモンを起こしてあげた。
なにやらシズクに対して敵意を示す。

 「どうしたの、起こしてあげたのが気に入らないの?」

どうやら、木から落ちたのがシズクのせいだと言っているらしいが、シズクには伝わらない。
それに、それは明らかに八つ当たりである。
シズクは、ポケモンの剣幕に押されて後ずさりをする。