こんにちは、ピカナです。
これは、ポケットモンスター・ルビー版をプレイした、ピカナのだんなさまが作ってくれたお話です。
でも彼はとってもシャイなので、ここに来て語ってくれません。
だからピカナが元のお話をちょこっと書き直したものを、彼の代わりに語りますね。
ハンドルネームは、ピカナのだんなだから、ピカナダ!(笑)


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番外編 ラムサールへ50の質問
ニナへ50の質問

トウカシティ〜しぜんと ひとが ふれあう まち @


 「ラルトス、お願いがあるの。後で必ず出してあげるから、このボールに入ってくれないかしら」 

シズクは、モンスターボールを取り出すと、ラルトスによく見えるように差し出した。

 「あたしね、オダマキ博士に頼まれて図鑑を……あれ? 『図鑑のことよろしく』 とは言われたけど、『よろしく』 ってどういう意味なんだろう。
 うーん、やっぱり完成させてくれってことよね……ううん、あたしが完成させたいの。だから、お願い」

ラルトスは、こくんと頷いた。

 「ありがとう! 絶対、ここに戻してあげるからね」

シズクは、モンスターボールを操作してラルトスをボールに入れた。するとボールはブンとゆがんだかと思うと消えてなくなった。

 「まただわ。見間違いじゃないし落としたわけでもない、あたしの手の中で消えたもの。ああ、早くユウキに訊きに行かなくっちゃ」

シズクは、ようやく町の入り口にたどり着いた。
取りあえず、ルーラをボールに戻す。
さっきみたいに消えてしまったらどうしよう、と不安だったが、モンスターボールはシズクの手の中からどこへも行かなかった。

 「ユウキは、と………」 辺りを見回すが、それらしき人は見当たらない。

 「やっぱり、ポケモンセンターよね」

 「あの、すみません」

ポケセンに向かうシズクに、女の人が声をかけてきた。

 「102番道路から来たのでしょうか?」

 「はい。今着いたところですが」

 「ミツルという男の子を見かけませんでしたか?」

 「ミツル君ですか?……えーと、102番道路で出会ったのは、カズキとシンイチ、それにイサムだったわ……
 あの、ミツル君とは、会いませんでした」

 「そう、うちのミツルはどこまで遊びに行っちゃったのかしら…。もうそろそろシダケタウンに出かける時間だっていうのに…」

 「もし見かけたら、お母さんが捜していたって伝えます」

 「ありがとう、お願いね」

ミツル君のお母さんは、別の方向へと捜しに向かうようだ。


シズクはポケモンセンターのほうへ向かった。
案内板がある。


 ここは トウカ シティ
 しぜんと ひとが ふれあう まち 
 

近くに、黒い帽子に黒い背広、白いひげを生やした、どことなくアヤシイおじいさんがいる。
シズクは少し迷ったが、声をかけてみることにした。

 「あの、すみません。ユウキという少年か、ミツル君という少年を見かけませんでしたか?」

 「ユウキ? ミツル? いや、見なかったな。
 それよりもな、知っているか? ポケモンを既に6匹持っているときに新しいポケモンを捕まえる。
 するとパソコン通信で自動的にボックスに送られるのだよ」

 「えっ、6匹? ボックス?」

 「そうじゃ、嬢ちゃん。パソコンは持ってないのかな。パソコンのボックスに送られるのだよ」

 「いえ、家には有りますが、今は持ってません」

 「譲ちゃん、『いんたあねっと』 というものを知らんのかな。全てのパソコンは、一つにつながっているのだよ。
 そしてポケモンセンターには必ず1階と2階にパソコンが置いてあってだな。トレーナーなら誰でも…」

 「ありがとうございました!」 シズクは、急いでお礼を言うと、全速力でポケモンセンターに走り出した。

 「…と。 人の話は最後まで聞くもんじゃぞ、譲ちゃんや」

老人はシズクの後ろ姿に向かって、つぶやいた。

 「あたしのレーシィも、ラルトスも、みんなボックスに、送られたんだわ。だからボールが、なくなっちゃったように、見えた、んだわ」

シズクは、息が切れるのもかまわずに、走りつづけた。やがて、ポケモンセンターが現れる。

 「はあ、はあ、はあ」

シズクは、ポケモンセンターの玄関を入ったところで動けなくなった。
心臓が、周りの人にも聞こえるのではないかと思うほど、ドキドキしている。
かろうじて動かせる目で、パソコンを探す。

 「あ、あった…」 受付カウンターの隣の壁際に、パソコンが置かれている。

しかし、その横には男の人が、パソコンを使っているわけでもなく、ただ立っている。
なんとなくその男の人を避けたいような気になったシズクは、息が整うのを待ちながら、どうしようかと悩んでいた。
すると、ようやく言葉がしゃべれそうになったところを見計らったように一人の女の子が話しかけてきた。

 「あなた、あなた。ちょっといい?」

 「は、はい。私ですか」

 「そう、あなた。あなたの最初のポケモンはなに?」

 「えっ、ミズゴロウのラムサールだけど…」

 「そう、ミズゴロウね。では、知っている? ポケモンには、色々タイプがあるの。
 で、タイプには相性があるから、ポケモン勝負のとき、有利だったり不利だったりするの。
 例えば、あなたのミズゴロウは水タイプだよね。炎タイプに強くて草タイプや電気タイプが苦手ね」

少女は、それだけ言うと満足したようにシズクから離れていった。
入れ替わりに少年がやって来て、いきなり話し出した。

 「お前、知っているか? ポケモンにオレンのみを食べさせたら体力が回復したんだぜ」

少年は、ポカンとしているシズクを、してやったり、という感じで眺めると去っていく。

 「今のは何?」