童話王国クエスト日記

「Copyright c Lager・SUCCESS・GAMESPACE24 2003」

愛のカウンセラーT
 観光、そして保養地として有名な『そらまめ湖』のほとりに、今日も佇む美しい人影があった。
その優しげな横顔に、リュークは見覚えがある。
森の王国、フェロルの王都ブルーバードに屋敷を構える豪商ウィルバー氏の娘、アイリーンだ。

 冒険者の仕事柄、リュークは様々な噂や情報を集めている。
そらまめ湖で耳にする話は王国の中枢に関わる事柄もあり、意外と重要な情報源であったりするのだが。

 その日、リュークが湖を通りかかると、アイリーンは珍しく独りでいた。
おつきの執事や乳母、あるいは地元の青年団など、護衛だか見張りだか判らないような人々に
普段から囲まれている彼女が、ただ独り、さざ波立つ湖面を見つめているその姿は、
今にも空に消えていきそうな、この世のものとも思われないほど儚げに見えて…

 思わず立ち止まってしまったリュークが見つけたものは、
透きとおった湖面のように揺れながら今にもあふれそうな、彼女の瞳に宿る涙だった……!
  
いつの時代も商人は騎士より裕福らしい…;  「泣かないでください、美しいかた…!」

 初めは戸惑いを隠せない様子のアイリーンだったが、
リュークの真摯な言葉に触れ、自分を取り戻したようだ。
はにかみながら、少しずつ、事情を話し出す。

 「…判りました、私にお任せください」


 恋する女性は美しいが、愛を知る女性は強く、優しい。
自分もいつか、そういうひとに出逢えるのだろうか…
美しい緑に囲まれた場所で、
リュークはまだ見ぬ面影に思いを馳せた………

                   精歴138年金月9日