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愛のカウンセラーT | |
観光、そして保養地として有名な『そらまめ湖』のほとりに、今日も佇む美しい人影があった。 その優しげな横顔に、リュークは見覚えがある。 森の王国、フェロルの王都ブルーバードに屋敷を構える豪商ウィルバー氏の娘、アイリーンだ。 冒険者の仕事柄、リュークは様々な噂や情報を集めている。 そらまめ湖で耳にする話は王国の中枢に関わる事柄もあり、意外と重要な情報源であったりするのだが。 その日、リュークが湖を通りかかると、アイリーンは珍しく独りでいた。 おつきの執事や乳母、あるいは地元の青年団など、護衛だか見張りだか判らないような人々に 普段から囲まれている彼女が、ただ独り、さざ波立つ湖面を見つめているその姿は、 今にも空に消えていきそうな、この世のものとも思われないほど儚げに見えて… 思わず立ち止まってしまったリュークが見つけたものは、 透きとおった湖面のように揺れながら今にもあふれそうな、彼女の瞳に宿る涙だった……! |
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「泣かないでください、美しいかた…!」 初めは戸惑いを隠せない様子のアイリーンだったが、 リュークの真摯な言葉に触れ、自分を取り戻したようだ。 はにかみながら、少しずつ、事情を話し出す。 「…判りました、私にお任せください」 恋する女性は美しいが、愛を知る女性は強く、優しい。 自分もいつか、そういうひとに出逢えるのだろうか… 美しい緑に囲まれた場所で、 リュークはまだ見ぬ面影に思いを馳せた……… 精歴138年金月9日 |