童話王国クエスト日記

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理想の村長
 連盟「花散里」の面々は、それぞれに違う副業を持っていて、お互いを助け合いながら生活している。
冒険者としての経験を積んだ今でも、依頼される仕事だけでは暮らしていけないということもあるし、
依頼を受けて遠出をする時や、遺跡の探索に出かけるために必要な物資を調達するためにも、
生命線としての副業に日頃から精を出しておくことは、必要不可欠なことなのだった。

 近頃のリュークは、タケノコを使った料理に凝っている。
タケノコは、ミステリア大陸広しといえども、ここ白雪の森の奥深くでしか得ることの出来ない、
いわば、フェロル王国の特産品のひとつである。
このタケノコと新鮮なスズキを、ほどよい割合で炊き込んだスズキご飯が、非常に美味い。
噂によれば、大陸一の大酒呑みである、あの放蕩キリギリス氏も、酒の肴はスズキご飯だとか。

 豚肉と穀物酒を使うタケノコ料理もすでにレパートリーのうちではあるのだが、
育ち盛りのラムダはともかく、カロリーを気にするルキアには、魚料理のほうが喜ばれるようだ……
たまさか手に入ったマグロとタケノコを使うソテーに挑戦しながら、リュークは赤帽村に思いを馳せる。
   
タケノコが掘れないと入れない宝の洞窟があるらしい…(謎)  白雪の森へ行く途中にある赤帽村は、
次の村長選挙の話題で持ちきりだった。

 エルフの風習通りに年長者を選ぶか、
村のために真剣に働く若者を選ぶか。

 いずれにしても人々は、
自らの選択に従わなければならない。
選ぶ権利と従う義務。
それが、民主主義というものの形なのだ…


 
      精歴138年金月1日