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ウサギとカメ | |
ウサギは悩んでいた。 自らの慢心が招いた種とはいえ、カメの一族に走り比べで負けたとあっては、 安穏と故郷にいられるはずもなく。 放浪の果てに辿り着いた静かな森の国は、すべてがゆったりと流れる時の中、 自分同様に耳の長い、穏やかな人々が暮らしている場所で、 ようやく、この地で密やかに、暮らしていけると安堵したばかりだというのに…。 どうすればいいのだろう。 何かと手助けをしようと思えば、無知をあげつらうことになる。 今度こそ勝利して故郷に帰ろうと思えば、弱い者いじめの感が拭えない。 自分はと言えば、美しい花園で静かに過ごしていたいだけなのだが… |
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無欲の勝利、と言う言葉がある。 何かに無心に打ち込む姿は美しい、と言われる。 しかし本当にそれらは一様に誉むべき事柄なのだろうか? 誰しも何かを得たいが為に、道を歩むのではないのだろうか? 無垢な心は時に人の心を和ませ、 無垢な言葉は時に人の心を深く傷つける。 努力すればするほどに裏目に出てしまう者の気持ちを、 彼は理解してくれるだろうか……… カメの代理だという耳の長い若者は、 穏やかな眼差しをして、ウサギの質問を待っている… 精歴125年金月48日 |