童話王国クエスト日記

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愛のプレゼント
 三賢者の試練を受けてからというもの、何かと細々した用事を頼まれるようになったリューク。
リュフ村の防衛に加えて冒険者の仕事は数多く、ブルーバードやレインボー、赤帽村やレタス村など
各地を転々と移動する傍ら、微笑みの森を通りかかる際には律儀に賢者への挨拶を忘れない。
自然と、賢者の弟子である森の青年、ビンソンとも親しくなった。

 ビンソンは父親である狩人のルーキではなく、母親のギスカに似たらしい。
優しい顔立ちに温厚な性格で、勉強熱心な学者肌の好青年である。
賢者に教えを請う傍らで、怪我をした父親の狩りにつき合い、母親のために家事を手伝う。
将来は森の人ドクサスをしのぐような、有能な森の番人になれるだろう、とリュークは思っている。

 ところがこの彼が、幼なじみのカリーノにぞっこんなのだ。
カリーノは森の木こりジェロの娘で、つまりは親子共々幼なじみなのだが、
父親に甘やかされて育ったせいか、美人であることを鼻にかけたところがある困った娘だ。
  
お金のかかる彼女がいるとツライねぇ…  彼女がずっと行きたがっているブルーバードの街には、
もっと美人で、性格も愛らしい女性がたくさん居ることを
実際、リュークは知っているのだが、
さすがに面と向かって本人に告げる気にもなれない。

 『カエル沼のダイブフロッグ、人魚の海を知らず』 
とは誰が言ったか知らないが、
良く出来た格言だと、リュークは思う……。

                   精歴125年木月10日