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ハゲワシと水と石 | |
彼は喉が渇いていた。 傷ついた翼を休めるために、ひととき地上へ舞い降りたはずが、はや幾日。 再び飛び立つための力が必要な体は、水と栄養を欲していた。 大空から狩り放題だった獲物達は、草原に散ってしまい姿を見せない。 人里を避けるように選んだ場所が、誤りだったのか……… その変な人間は、くたびれた彼を見ると怖じ気づきもせずに近寄ってきた。 もはや疲れ果て、攻撃的なセリフしか出てこない彼、 その窮状と訴えを至極真面目に聞き終わると、人間はまた、ふい、と何処かへ行ってしまった。 所詮は人間、他の生き物の事など気にかけよう筈もない。 気まぐれな旅人、通りすがりの好奇心だろう。 彼は戻れない空を思い、じっと目を閉じた……… *************************** 「これだけ集めるのに、ずいぶん時間がかかってしまったよ」 |
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気がつくと目の前に差し出された水を、彼は夢中で飲んでいた。 「キミの情報には少し不備があると思うよ?」 柔らかく笑う人間の耳が尖っている事など、彼には判らない。 所詮はハゲワシ、人間とエルフの違いなど気にかけよう筈もなかった。 精歴115年金月19日 |