童話王国クエスト日記

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醜いアヒルの子
 ミステリア大陸の北方にあってなお、緑豊かなフェロル王国には、美しい森や清らかな湖が、数多く残されている。
麗しのブルーバードから微笑みの森、そらまめ湖、さらに北東へ進んで、赤帽村を最後に人が住む村はなくなり、
白雪の森を過ぎて白鳥の湖に辿り着く頃には、風と水、緑以外に囁くものもない、
まるで世界に一人きりのような錯覚すら、覚えるのだ。

 静謐に満たされた湖のほとりで、リュークは一羽の幼鳥に出会った。
自慢のパートナーであるライトシーカー、フクロウの愛らしさには届かないとしても、
ふわふわと柔らかい羽毛、優美な曲線を描くボディライン、成鳥になればさぞかし美しい姿になると思われる彼女は、しかし、
姉妹に比べてバランスの悪い自らの容姿に悩んでいた。

 醜さも美しさも、この世に絶対的な基準など無く、
目に映るものよりも、見えないものの美しさにこそ、守るべき価値があることを、
どうしたら伝えていけるだろう………
 
赤い蝶ネクタイに黄色いアヒル……素敵なお風呂グッズ?orz  ブルーバードの高名な機織り師、ラムシア師匠の蝶ネクタイを
手に入れて、幸せそうな彼女に余計なことを言うのは止めた。

 いつか彼女が大人になったとき、
大事なことに気が付けるように、
日々を大切に生きられるようにと、心から願う。

 いつか彼女が大人になったとき、
胸を張って再会出来るように、
日々を悔いなく生きていこうと、リュークは心に誓った。



                   精歴157年土月24日