短  歌  集
 2 0 0 7 年
11月
ボーナスの評価を告げる声低く査定する身の辛さが沁みる 07.11.30
酔客がネオンの街角ふらふらと後姿に寂しさ漂う 07.11.29
街角のネオンサインが鮮やかに行きかう人も慌しくなり 07.11.28
夜明け前一番電車がゴーゴーと今日という日のことばを乗せて 07.11.27
子供らの願いを秘めた夢ふうせん天つ空へと吸い込まれてゆく 07.11.26
天空の城を目指して気球たち深きロマンを乗せて飛び立つ 07.11.25
今日の日があればこその人生に生まれし時の母もおらずに 07.11.24
勤労の喜び感ずる日とあらばこの人生もまた勤労なるかや 07.11.23
ふわふわと踊る雪ん子楽しげに子犬が跳ねてさっと消えゆく 07.11.22
着膨れにダルマのように丸くなり初冬の朝の電車の風景 07.11.21
夕暮れの大高森にたたずめば影絵となって浮かぶ松島 07.11.20
古寺の紅葉を写す鏡池精霊の住処と思うほどにて 07.11.19
晩秋の桜の花の咲く道にほのかな甘き香りがするなり 07.11.18
底冷えて雪を抱いた蔵王山白いベールがほどなく似合う 07.11.17
映像の沈む地球の神秘さに生まれしこの世に喜び増すなり 07.11.16
秋深しボジョレーヌーボーの解禁日ワインの似合う季節になるや 07.11.15
太陽の光が淡く射し込みて神秘の世界が広がる朝に 07.11.14
朝焼けに初冠雪の蔵王山燃えてほのかに赤みを帯びる 07.11.13
冬立ちて天つ空ゆく雁の群れ落穂を求めて八の字になりし 07.11.12
廃線にすすきを揺らして”くりでん”の走る姿は輝いており 07.11.11
廃線の別れを惜しんで八ヶ月いま蘇り”くりでん”走る 07.11.10
街角の仙台太郎のサンタさんあっという間に暮れゆく一年 07.11.09
立冬の朝を迎えて太陽の光も冷たく心も寒し 07.11.08
こわごわと歩くつり橋ゆらゆらと奈落の底はこんなものかと 07.11.07
山間の長老湖にたたずみて思うは命の深さなりけり 07.11.06
紅葉の山の中にてジャズ演奏”旅愁”の曲に故郷思う 07.11.05
雲間からさっと陽がさす秋の山舞台の中の早替わりに似る 07.11.04
陽が昇り遠い彼方のうろこ雲もの憂う秋の時が流れる 07.11.03
道端に踏みつけられし銀杏の実秋の香りがむなしく過ぎゆく 07.11.02
霜月や秋の終わりの落ち葉踏みしっとり濡れて冷たさのこる 07.11.01