Eメールを含む日常の文書からコンピュータ関係のことばまで、英語に関する知っていて得はしないかもしれないが損もしない(多分)トピックスを拾い集めたものです。念のためオコトワリしておきますが、当然のことながら筆者は決して英語の達人ではありません(失笑)。むしろ勉強のために集めた内容ですので、いろいろと間違いがあるかもしれません。大方の叱正を乞うゆえんであります。ではどうぞお楽しみ下さい。(内容は順次追加の予定です)
今日、もはや必須、というよりも持っていることすら意識しなくなるほど普及した携帯電話。いわゆる「着メロ」や待受け画面、ストラップなどを好みにアレンジしたアイテムを老若男女みんなが持ち歩くというのも、考えてみれば面白い光景ではある。そうしたカスタマイズ志向には、どこかケータイを「体の一部」のように思う感覚があるような気がする。携帯を家に置き忘れたまま出掛けたり、電話の調子が悪いときの不安感は、ほとんど自分の体の具合が悪くなってしまったような感じに近くはないだろうか。あるいは機種変更の際、お店の人に自分の携帯の内部やメモリをいじられるときのあの妙な気分、とか。 さてこの携帯電話、英語では通常「cellular phone(発音は「セルラー」より「セリュラー」に近いと思いますがどうでしょう)」という。cellularとは「細胞 の、細胞質の」という意味。細胞(cell;セル)の派生語で、れっきとした生物・医学用語でもある。そう、携帯電話はことばの上でも、文字どおり「体の一部」という意味をもっていたのだ。携帯電話イコール細胞電話、なのである。 もちろん、ホントに体の一部になってしまうような電話だからcellular phoneと呼ばれているわけではない。細胞をあらわすcellはもともと「小部屋、仕切られた空間」というような意味合いがある。種明かしをすると、cellular phoneという語には携帯電話の歴史が関係しているのだ。 1976年にアメリカで始まった初期の携帯電話サービスは、東京タワーのような、一つの巨大な電波塔を基地にして行われる方式だった。しかしこのやり方は使えるチャンネルが大幅に制限されてしまう上、送受信可能エリアの拡大もさせづらいなど、多くの難点があった。そこで1979年に改良方式として始まったのが、ちょうど現在と同じように、複数の比較的小規模な基地局をおき、基地局ごとにその担当エリアを区切って通信を行う、という方式である。エリアを地図上にプロットしてゆくと、ちょうど蜂の巣状のタイルを敷き詰めたような感じになる。そこでこのエリアのことを「cell」と呼んだのだ。cellular phoneという名前はこれが由来になっていたのである。 電話が携帯であることをあらわす単語にはおなじみの「mobile(発音は「モバイル」より「モーボー」に近いと思いますがどうでしょう)」などいろいろなものがあるようだが、「cellular」はひときわ歴史と意味の深みを感じさせる(?)コトバだったのである。 |
Webページやドキュメント上でコピーしたい文字列などを選択するとき、マウスでドラッグして選択範囲を反転表示させることがある。ところで、この「反転」は英語でなんと言うのだろうか。反転している写真フィルムを「ネガティヴフィルム」などと言うのと同じく、「negative string」(stringは「ひと連なりになったもの」の意で、ここでは「文字列」の意味で使われている)であろうか? 「反転(表示)させる」は英語では「highlight」を使う。スポーツ中継などで「今日の試合のハイライト」などというときのハイライトで、名詞で「やま場」「要点」、動詞で「目立たせる」「強調する」といった意味がある。「選択領域が青く反転する」などというように、日本語の「反転表示」には文字そのものだけでなく地にもに注目した「陰」のニュアンスがあるように思えるが、それとは対照的なのが面白い。 ちなみにhighlightには「蛍光ペンでなぞる」という意味もあり、これは納得できる。蛍光ペンは英語では「highlighter」だ。 |
MS-Windows、MacOS等のOSをはじめ、我々が使っているソフトのほとんどは外国の会社製のものである。つまり我々はこうしたソフトの和訳版(日本語版)を使っているということになる。もちろん、InternetExplorerやNetscapeなど主要ブラウザも例外ではない。
誰の目にも明らかな誤訳(あるいは誤植かもしれないが)である。これでは暗号化しない方がプライバシーの保護につながることになってしまう。
とすべきであろう。
で、日本語にはあまりなじみのない無生物主語を直訳しているためになんだかこちらが「不正な処理を行った」ような気分になってしまうのだ(事実、ビギナーの中にはこのメッセージが出ると「パソコンにしかられた」という印象を持つ人が少なくない)。また「強制終了」ということばはプログラムの世界ではよく使われるようだが、日常語としてはshut downは「休止、中断」くらいの意味でもよいはずだ。
上の例が適当かどうかはともかく、外国製ソフトの日本語訳にずさんなものが多いのは残念ながら事実である。システムや機能に偏重した開発方針、日本語版リリースまでに時間をかけられないことなどの悪条件による弊害であろう。だがパソコンを使っていて抱く「分かりにくさ」や「しっくりとこない感覚」の原因のひとつが、実はこんなところにあるとしたら・・・。問題は重大である。ことばとは、コンピュータで最も大切なインターフェイスなのである。コンピュータが使いやすいものとなるか否かの最前線は、まさにこうした「ことば」にかかっているといっても過言ではないのだ。そんな懸念の重要さを指摘する声があまりにも少ないことが、気になる。 |
I sent you an e-mail.で「あなたにメールを送りました」という意味だが、最近は「メールする」という日本語がすっかり市民権を得てきた。ここはぜひ英語でもe-mailを「Eメールする」という動詞として使ってみたい。I e-mailed you.で「メールしたよ」の意味になるはずだ。表現もとてもスマート。もともとmailには「郵便で送る、投函する」という動詞用法があるので、違和感なく受け入れられるだろう。そう言えば「ファクスで送る、ファクスする」のfaxも動詞(現代的なことばで、辞書にはまだ名詞用法しか載っていないものも多い)。日本語でファクスというとファクス機の方を思い出すが、いまでは英語で単にfaxというとこちらの動詞の意味になることも多いようなので、日本語のファクス(名詞)は英語ではfax machineと表現しよう(ちなみにfaxはfacsimileの略で、語源はfac(<[ラ]facio=作る)+simile(=同じ)、つまり「模写する」という意味)。 |
mediaはmediumの複数形。「媒体」、つまりなかだちをするものという意味だ。(ラテン語起源の語には、このように単数形が-umで複数形が-aになるものが多い。「データ(data)」も複数形で、単数形はdatum。)日本語でよく使われる「マスメディア」ということばに対応するmass-mediaという語もあるが、これはたとえば映画なども含む広い概念になるので注意が必要かもしれない。報道機関などのマスメディアという意味ではthe news mediaと言ったりする。なお、mediumと同語源のことばには「middle(中間の)」「mediate(仲介する)」、あるいは「mean(平均の、中間の)」などがある。 |
どこかで必ず書く機会のある月(month)の名前。しかしスペルが意外と難しいこともあってか、しばしばJan.、Sep.などと省略して書いてしまうことがある。しかし特に文章中ではこれらの月の名前は省略せずに書くのが普通。辞書をひいてでもJanuary、Septemberなどというように全部書きましょう。また、¥、%、&などの記号も文中では使わないほうがいいようです。しっかりyen(yensとするのは通常誤り)、percent、andと書いたほうが無難。ちなみに、時刻の午前・午後をあらわすAM/PMは、時刻の後に小文字でピリオド付きで9:00a.m.のように書く(えっ常識ですか?)。 |
日本語サイトによく見られる「Sorry, Japanese only.」の表示。申し訳ありませんが日本語のみのサイトです、という意味だ。しかしこの掲示、個人的にはあまり必要ないのではないかと思う。そのうち英語版を作るつもりなら、現在は日本語のみです(たとえば「Only Japanese version is available now.」など)という案内を出しておくのもひとつの方法ではあるが、そうでもなければことさら日本語のみであることを「謝る」必要はないんじゃないかな、というのが筆者の考えである。もはやインターネットは英語圏だけのものでなくなってしまったのだから。ちなみに、2007年にはインターネットの全コンテンツのうち英語以外の言語で書かれたものが50%をこえるという予測があるそうだ。筆者などはどちらかというと「まだそんなにかかるの?」という感想を持ってしまう。ともあれ「Japanese only」では「日本人以外お断り」というイジワルな受け取り方もされかねない。日本語のみであることをどうしても英語でひとこと書いておきたい場合には「All in Japanese」くらいでよいのではないだろうか。 |