Visitor's Review

僕をじっと見たって、だめだよ
WATA mail

小沢健二は今何をしているんだろう。本当は’98’年の1月1日に出るはずだったアルバムは無期延期、シングルは去年の3月の「春にして君を思う」以来出ていない。ディープにアンテナをはって情報を収集しているわけではないのだが、少なくともJAPANやその他の音楽雑誌に彼のことが掲載されてはいない。

みんなは待っていないんだろうか? 中村一義が台頭した今、小沢健二の存在意義はもう薄れてしまったのだろうか?このぐらいのインターバルでどうこういうものじゃないのだろうか?

「天使たちのシーン」が大好きだ。 日常の美しいシーンを切り取りそのまま僕の心に投影してくれる詩。ループの流れの中でどんどん熱を帯びていくメロディー。それらが13分という長い時間、僕をずっとつかまえていてくれる。

神様を信じる強さを僕に/生きることをあきらめてしまわぬように
にぎやかな場所でかかり続ける音楽に/僕はずっと耳を傾けている/耳を傾けている
〜天使達のシーン〜

神を信じるのではなく、必要なのはそこに生まれる強い心だということ。 そして音楽、ポップミュージックに対する深い愛情。 このフレーズで救われている僕は音楽に対する依存度が高く、本当に弱い人間なんだけどそんな僕をゆっくりと支えてくれる魔法のような曲だった。
2ndアルバムあたりから彼は純粋なポップミュージックの中に自分の立ち位置を見つけ、圧倒的なエンタテインメント性と自分の音楽性への自信によってある種のムーブメントとなった。3rdでのジャズへの傾倒で賛否両論起こっても、音楽への揺るぎ無い愛情という根底は何も変わってないように見えた。またそれを全身で表現していたので僕も「安心して」すべてを楽しむことができていた。

 しかし去年の元旦にでたシングル「ある光」によって僕は小沢健二が違うモードにいることを知った。ここで彼は「本当に素晴らしい世界が待っているのか?」と歌い、そして「そんなことばかり考えてる」と歌った。 しかしそれでも彼は「let’s get on board」 と叫んだ。8分もの長い曲の中で何回も何回も叫んだ。 あのオザケンが「一緒に行こう」と叫んだのだ。 この時から僕は彼の次の一手に対して過度の期待をよせるようになってしまった。

今だからこそ彼の歌が本当に聴きたい。 新しい世代と対峙していくのか、それともポップフィールドで生きていくのか、はたまた隠居してしまうのか、彼の宣言が聴きたい。 「let’s get on board」と叫んだまま岡村靖幸のように長い沈黙を続けるのですか。 僕は中村一義に「行こうよ」って言われても彼のことを考えてしまうんです。だから僕はまだ行けないんです。

♪神様はいると思った/僕のアーバンブルースへの貢献

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