Visitor's Review
はじめから読む

O.K.internet(final)
Published Enemy

「ひとまずの結び」

レディオヘッドほどではないにせよ、僕が如何に自分の生きている社会を憎んでいるかを滔々と語った。が、憎むけれど逃げられないとも言った。

なぜ逃げられないかは明白で、システムというものの正体は僕達そのものだからだ。より具体的に言うと、他者同士で暗に交わした約束、
「一緒に生きていこうね」
という誓約が、システムを作っているからだ。

なぜそんな言葉を想像してしまうのか。

みんな弱いからじゃん?
うっ。アホらしい結論だ、って、同じ事最初の回から言ってるよね。ああもうダメダメだ。でもそうなんだ。善し悪しとか美醜は無関係に、現実認識と、して。

あなたの居る世界で生きたいです。あの人の見える世界で生きたいです。あの音が聴ける世界で生きたいです。とにかく独りきりはいやです。
モノでもヒトでもいい。何か一つでも思い当たるだろうか。それがあなたとシステムとの関係の鎖だろう。この鎖の存在だけで僕はヒトを弱いと思う。それ以外に判断するポイントが見当たらないからだ。

なんだ、この上なく全身で僕達は集団、群れというシステムの形成を訴求しているんじゃないか。逃げられるだろうか?僕は当分ここから離れる気はしない。そんな大それたこと、今ではとても言えない。

仕方ない。よって公の場で個を突出させることと他者と共存することには厳然たる妥協がある。社会は息苦しい。嘘つきまくってる。「お前、さっさと消えてくれ」の一言も言えない。それは僕が僕に吐いている言葉そのものだからだ。

これはネットでも同じ気がしてならない。このロッキンオン非公認サイトでとは限るまい。どこへいこうが、同じモノは同じだ。
ネットは情報の奔流だと言ったが、参加者の意志は、ある。それは、接近。確実に他者あるいはその情報への接近からなっている。
この一見平等なメディアがかなりの度合で他者の言葉に接近しやすいことは確かだ。だからこそ、コミュニケーションの問題も顕著に現れる。

そう、僕達はやっぱり互いに苛ついていた。そして今後ともそのようにするだろう。だけど、ヒトの群れになりたがるという根本の部分は決して変わらず、その証拠に他人の言葉に一喜一憂する。めちゃくちゃコミュニケーションの「成功」を願ってるのだ。残念がる気持ちも、うんざりする気持ちも同じだろう。あなたの「個」が成らなかったらそう思っても無理はない。
ただし現実がネットに変わったところでコミュニケーションに成功などない。それは断言する。
僕があなたじゃないので、できない。そこに妙な期待は置かない。

今のところの僕の関心がそういうことに集中しているのでどうも音楽から離れがちでいってしまうが、別に文化論的なモノ言いでネットの問題を語りたいんじゃない。むしろ逆。煽りたい。いや、ただ、「面白くしたい」だけ。
本音を言ってしまえば、どうせならネットの上に「ロックな」言葉を見たいのだ。

ロックというのは僕にとって、音楽の諸々から抽出され、一種のキーワードになった。集団生活から生じる攻撃性、本来どこにも行けない朽ちゆくだけのそれを、妄想じみた裏ルートを通して集団の中に気持ち良い爆弾として投下できる。こんな痛快な話もない。抑圧バンザイ。システム手帳バンザイだ。で、その行き来の駆動力をなんとなく「ロック」と言ってみたりしている。他に言葉も知らないしね。

前回言った、落される言葉、情報の私生児というのはその怪しいルートを通せば、本来の意図通りに「刺さる」ものへと変貌できる。何も考えずに
「ファッキン!」
と言うだけでもそれなりに何らかの悔しさも伝わるが、こういうのがちっともロックに感じられないのは僕だけだろうか、なんつうか、攻撃性の欠片もない。本人のファッキン度が伝わらない。めちゃくちゃ残念だ。もっとガツンとファッキンを届けて欲しいのに。

こうして考えていても、誰かが何かを落しているような気はする。うまいこと誰かがネットの渦から拾い上げてあげられるだろうか。自分は大体どうなんだ。どうもそんなことにしか気がいかなくなってきた。


うーん。あー、つかれた。そろそろケリだ。僕の私観は、こう。
まず、「弱い」ことはオッケー。「私的」な発信、大オッケー。
でも、システムの中でそれを言うには、「表現」という、感覚から感覚へのインターフェイスが必要。
ロックでは、システムの正しさは追わないし負わない。個の突出と衝突が引金で、反発が強いほうがロック的に凄くなる。
ネットは近すぎるメディアなんで、より個性、よりロック的(いい加減この言葉やめたいけどほかにないんだよう)にならんときつくない?
だから磐井由香さんは間違ってるというわけでもない。
ロッキンオン非公認サイトを今後ともよろしく。

以上。御静聴いたみいります。反論(「ダメ!」とか)、意見(「つまんねえ!」とか)等、あったら是非ともよろしく。

投稿先
to TOP