No.33 沼津市妙覚寺の碑

所在地 静岡県沼津市下河原町1147-1、妙覚寺内
建立 1991年4月
建立者・管理 妙覚寺住職、横山政道
設計 杉山匡孝設計事務所
素材 黒御影石
ひとこと

門を入ってすぐの場所にあります。井上靖の碑文を中心に、井上、藤井、岐部、金井、露木の沼中時代の短歌や詩も刻まれています。   (記:ばりばり蟹座)

画像 碑外観(36.3KB)
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関連サイト

沼津市教育委員会』 『芸術・文化』>『沼津市の文化財』>『文学碑編』>『(4)妙覚寺』

・『沼津市公式ホームページ』 『沼津の観光』>『史跡めぐり』>『文学碑編』>『(4)妙覚寺』

※基本的に両方とも同じ情報です。

地図 MapFan Web ロゴマーク ※境内、門を入ってすぐにあります。
碑文

思うどち 遊び惚けぬ そのかみの 香貫 我入道 港町 夏は夏草 冬は冬濤

井上靖

ここちよき 衣のしめりよ 靄ふかき 灯ともし頃の 町をゆきけり

−井上靖、沼中五年−

私は沼津中学時代、三学年に進級した大正一三年(一九二四年)四月から下河原町の妙覚寺に下宿させて貰った。正確な言い方をすれば、預かって貰ったのである。そして翌一四年四月に沼津中学校の寄宿舎に入るまで、一七歳の春から一八歳にかけて、妙覚寺を根拠地として、なんと自由に、少年らしい明暮を持たせて貰ったことか。妙覚寺には、たいへんお世話になった。と言って、お世話になったのは、私ひとりではない。私を取り巻いている友人全部と言わなければならぬ。藤井寿雄、岐部豪治、露木豊、金井廣らの面々で、いずれも、少年詩人でもあり、少年歌人でもあった。詩を書いたり、詩を作ったり、香貫山を歩き廻ったり、千本浜で泳いだりした。この間の消息は「夏草冬濤」に詳しい。それから、いつか、茫々六十余年、藤井、岐部、露木の三君は故人になっているが、金井上はまだ健在で、顔を合わせる度に、遠い妙覚寺時代を偲び、自分たちはあのすばらしい青春の泉から出発したと、そうした思いを深くしている。平成二年六月  井上靖

註。碑面に刻んだ少年たちの短歌、詩は、いずれも当時の沼津中学校の校友会誌に掲載されている。

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