掲示板ログ 2004年8月
[1272] 鋼都に思う 投稿者:永田 投稿日:2004/08/01(Sun) 20:45 |
仕事で島根県の安来市にある日立系の工場に行った。遠くからわざわざきたということで、鋼製造の歴史や工場の中を見学させていただいた。
島根県の地図を広げると分かるが、このあたりは、本州本土が島根半島と2箇所陸続きになって宍道湖を作り、もう一箇所も陸繋砂州で閉じ込められそうになって中海を形作っている。太古の昔は島根半島は本州から切り離された島であったらしい。それがこの工場の祖先でもあり映画「もののけ姫」にも出てきた、たたら師たちが、山奥の川沿いの崖を切り崩し、土砂の中から砂鉄を取っていた。それを千年以上も続けるものだからこのような地形に島根県はなったとの事であった。
それを出雲風土記では「国引き神話」として、陸地を神が寄せ集めて出雲を築いたと説明している。このたたら師たちは他にも日本神話に登場し、「ヤマタノオロチ」とはこの地方一体に住んでいたたたら師、鍛冶師たちの一大勢力をキャラクター化したものであるらしい。敗北とともに剣をのこすとは、いかにも鍛冶師らしい話である。ちなみに今でもこの安来地方の山中ではたたら製鉄による日本刀の原料である玉鋼の製造が日本で唯一行われている。
現在この工場は近代的な設備により、近代科学により洗練された特殊鋼を製造しているが、たたら師たちの直系の子孫が行っているわけではない。日立系の会社で採用された全国からの大学卒達が
技術の伝承発展を担っており、血縁をつながりとした子孫ではなく、職縁をつながりとして千年以上もの連続を保っている。中には何度も潰れかけたこともあったらしいとも聞くが現役の製鉄工場としても日本最古であるらしく、まるで奈良の法隆寺でも見て感動するのと同種の思いをもった。
古いが悪く、新しいが良いの一辺倒でTI化を進めてきた風潮がこのところの日本にはあったが、まるで明治人が言った「和魂洋才」が息づいている思いを持った。
[1273] 初めて参加します。 投稿者:指月紀美子 投稿日:2004/08/07(Sat) 20:22 |
少し前に初めてのメールを入れさせて頂いた者です。今日は、「ちょっと一言」のコーナーにコメントを書き込ませてもらいました。参考にして頂けるとうれしいです。
井上靖について語れる場があることは、とても楽しいことですね。私も折を見て、また作品についての感想など書いてみたいと思います。
今回は、「フライイング」という短編について書いたのですが、小説とは別に井上靖の散文詩がとても好きなので、詩についても語ってみたいと思っています。それから、紀行文についても。私もシルクロードが好きで(このきっかけは井上靖とは別のところにあるのですが)、独身時代には何度か中央アジアを旅しました。サマルカンドやアム・ダリアを巡り、10代の頃読んだ井上靖の紀行文を懐かしく思い出したものです。そんなこともまた、語ってみたいですね。
[1274] こちらでは初めまして。 投稿者:ぺ 投稿日:2004/08/11(Wed) 22:49 |
前に「四角な船」を読むとゲストブックに書いてからだいぶ経ったように思います。
「四角な船」を読み読み終えたのは5月ですが、
他の井上作品とはかなり違った作風にただ圧倒されました。
丸子が甍と接触するのはたった1回、しかもかなり短い時間だけで、
後は本人は出てこないという展開には大変驚かされました。
しかもそれでいて登場人部物の心の中には常に甍という人物が存在していて、
少なからず甍に会った人は彼に心酔してしまうという描写は、
実際に甍を登場させる以上に彼の不思議な魅力を物語っていたように思いました。
現在は「兵鼓」を読んでます。
[1275] 連続すいません 投稿者:ぺ 投稿日:2004/08/11(Wed) 23:42 |
今サイドメニューから「兵鼓」を見てみたら、
探しているそうなので僕の持ってる本からわかるだけを書いてみます。
お役に立てて頂ければ幸いです。
初版発行:1982年6月25日
解説:福田宏年
頁数:246
収録作品数:1
初出目録:「小説新潮」昭和34年1月号〜昭和35年2月号連載。
単行本は昭和52年5月。 文藝春秋刊。
背中の紹介文:「源家再興の風雲の中に屹然と立つ青年武将木曾義仲のかたわらには兄妹のように慈しみそだてられた中原兼遠の娘である巴の武者姿が形影のごとくいつも侍っていた。
それは、戦場に参加し生死をともにすることでしか義仲への愛情を表現できない巴の悲しくも切ない女の姿であったが、鼓高鳴る決戦迫った一夜……。」
備考:104-25
[1276] 夏休み 投稿者:ばりばり蟹座 投稿日:2004/08/15(Sun) 23:49 |
みなさん、お久しぶりです!
今は夏休みと言うことで滋賀県の実家に帰ってきているのですが、その休みも明日で終わり。
また忙しくなる前に、久々の書き込みです。
この夏休みは、北海道へ行って来ました。
北海道と言えば旭川、旭川と言えば井上靖生誕の地と言うことで、旭川へも行って来ましたが、この話は後ほど。
>座禅草さん
三島の文学碑にある『少年』の文章は短くて分からなかったのですが、田舎育ちの少年の劣等感が書かれていたのですね。
小説を読む時には、その辺りも気にしつつ読んでみます。
言われてみれば、文学碑を読むだけでも、確かに三島の賑やかさや「私たち山村の少年たち」なんて文章がありますね。
>リンゴ・スターさん
実を言いますと『蒼き狼』を読んだのは2回だけなんです。
けれど、短編を除けば2回以上読んだことがある井上作品は『遠い海』と『蒼き狼』だけなので、やはり好きな作品ではあります。
大岡昇平との“蒼き狼論争”にあるような歴史小説としてどうとかいう意識はなく、単純に物語として好きですね。
実は登場人物の紹介にある文字数にも現れているのですが、好きなのはトオリル・カンとジャムカの二人、鉄木真のライバルが好きだったりします。
ひたすら強大になっていく鉄木真の前に立ちふさがる、この二人の生き方と死に様が好きでした。
>ヘディンさん
井上靖の作品に登場した店が、今も残っていたとは。
知っていて聞いたのではなく、ヘディンさんが気になって聞いてみたら実は……なんて、すごいですよ。
実は『化石』は読んだことがない上に、今は実家で文庫本が手元にないのでフォローは今度と言うことで申し訳ありません。
こうした、ふとした偶然で井上靖の世界と出会えるなんて、嬉しいですよね。
>野良犬少年さん
いや〜、こちらこそご無沙汰しております。
掲示板だけは見ていたので京都オフは知っていたのですが、参加できず非常に残念です。
秋以降は多少余裕も出来ると思うので、次のオフ会は是非とも行きたいです。
しかし、キリ番が分かったのは初めてですよ。
ここは一つ、太っ腹にゼリービーンズを1袋なんてケチなことは言わずに、5袋プレゼントしちゃいます(笑)
今度のオフ会、お楽しみに〜♪
>mori_suguruさん
おぉ、久々の未所有文庫本情報!
欲しいです!
>永田さん
宍道湖に、そんな歴史や伝説があったとは知りませんでした。
また、その歴史を受け継いでいる会社が今もあるのですね。
製鉄の古い歴史を持つ土地で、日本最古の製鉄所とは感慨深いものがあります。
そういえば、この辺りは井上靖の作品に登場していないような気がしますね。
>指月紀美子さん
先日は「ちょっと一言」へのメールをありがとうございました。
近いうちに紹介させて頂きますね。
また、いろんな作品の感想を教えてくださいね。
それにしても、中央アジアを旅されたことがあるとは。
井上靖の作品では歴史小説に限らずよく登場する舞台ですよね。
指月さんの中央アジアの思い出など、また聞かせてくださいね!
>ぺさん
僕も『四角な船』の展開には、ぐいぐい引き込まれていきました。
甍も、いつ登場するのか?どうやって登場するのか?と気にしながら読んでいたので、あの結末には驚かされました。
また読んでみたい作品です。
そして、『兵鼓』の情報をありがとうございました!
また使わせて頂きます。
しかし紹介文を読むと、ますます欲しくなってしまいますね。
本当にうまいこと書いてます(笑)
なんだか随分と長くなってしまいましたね。
更新&旭川の話は、また明日にでも。
それから、ゲストブックの[88]にあった作品ですが、どなかたご存じの方がおられましたら、よろしくお願いします!
[1277] もう少し 投稿者:ばりばり蟹座 投稿日:2004/08/18(Wed) 00:31 |
「また明日でにも」と書いた更新と旭川の話ですが、また忙しくなってしまったので、もう少しお待ち下さい。
今週末くらいには、何とか出来ればと思っていますので。
[1278] 久々の書き込みです 投稿者:MT 投稿日:2004/08/20(Fri) 13:27 |
MTと申します.2000年にゲストブックに書きこんで以来の久々の書き込みです.仕事が忙しくてなかなか読書をする機会がありませんでしたが,最近は環境が変わったこともあってまた読書する時間が持てるようになりました.
この夏休みは18きっぷを使って,静岡・伊豆,富士五湖,琵琶湖,金沢を巡ってきました.ご存知の通り,すべて井上靖縁の地です.欲張っていろいろなところに行ってしまってゆっくりと見物することはできませんでしたが楽しい旅でした.伊豆湯ヶ島では井上靖の墓参りをして,駿河平の記念館では企画展の読書感想文コンクールの作品を読んできました.作品には,しろばんばを取り上げておぬい婆さんとさき子の死から身近な人間の死について述べたもの,さらに夏草冬濤を取り上げて洪作が不良となっていくことを純粋に悲しんでいる文章などがあり,自由に書かれている印象でした.しろばんばはじめ自伝的小説を読み返してみたいと思いました.
井上靖の一ファンとして仲間に入れていただければうれしく思います.
よろしくお願いします.
[1279] お久し振りです! 投稿者:ばりばり蟹座 投稿日:2004/08/23(Mon) 19:18 |
>MTさん
夏に18きっぷで、のんびり井上靖の旅、いいですねぇ♪
琵琶湖や金沢では、どのようなところを回られたのでしょうか?
それにしても、『夏草冬濤』で洪作が不良になっていくことのを悲しむというのは、そういう感想もあるのだなと新鮮な思いです。
機会があれば、僕の色んな感想を読んでみたいです。
では、これからもよろしくお願いしますね!
[1280] 夏休み 投稿者:ばりばり蟹座 投稿日:2004/08/23(Mon) 20:14 |
★旭川★
記念館の前には公園があり、隣には美術館と、なかなか良い環境でした。
山の中ではありませんが、駿河平の文学館と似ていますね。
資料には初めて見るものもあり面白かったのですが、あまり時間が無くて、じっくり見ることが出来なかったのが残念です。
そして、井上靖通りへ。
最初は記念館の前にあるのかと思っていましたが、少し離れた場所でした。
この井上靖通りは四季をモチーフにしているらしく、それぞれの季節の植物が楽しめるのだと思います。
ここで、文学碑を発見。
てっきり記念館にあるのだと思っていました……あぁ勘違い……地図も修正しておきました。
そして、井上ふみさんの文学碑も発見、井上靖と旭川について書かれていました。
最後は、旭川の中心街へ。
旭川信用金庫前の文学碑を見て、旭川の井上靖の旅(?)は終わりです。
次は、もっとゆっくりと訪れたいですね。
★鈴鹿★
滋賀に帰省している時、友達に「伊勢湾を見よう!」と行って鈴鹿の白子港まで連れて行ってもらいました。
そして、白子港の横にある公園へ。
伊勢湾をバックに井上靖の文学碑とモニュメントがあって、なかなかの眺めでした。
文学碑は大黒屋光太夫について書かれていて、隣には解説の碑も置かれていました。
せっかくなので、この辺りの名産を食べることに。
鼓ヶ浦海水浴場にある観光案内所で、あなごが美味しいと教えてもらい、あなご料理の店へ。
あなごの天ぷらも驚きの大きさで美味しかったのですが、初めて食べた薄造りも美味しくて大満足でした。
みなさんも、『おろしや国酔夢譚』の舞台巡りで白子を訪れた際には、是非あなご料理を(笑)
[1281] 琵琶湖,金沢 投稿者:MT 投稿日:2004/08/26(Thu) 14:02 |
>ばりばり蟹座さん
電車の乗り継ぎの都合で琵琶湖には一時間くらいしか滞在できず,
長浜城のある公園を散策するのが精一杯でした.
今度はゆっくり滞在していろいろ見て回りたいです.
金沢には一日滞在しました.
「北の海」縁の場所を巡りました.
まずは,内灘砂丘へ.
海水浴場なっており,砂浜には花火,バーベキューのゴミが散らばっていて
とても汚かったです...
「北の海」,詩「流星」に描かれていた美しい砂丘のイメージは崩れてしまいました.
もう少しきれいにならないのかなと思いました.
金沢市に戻り,香林坊から,桜橋まで犀川に沿って歩きました.
桜橋と寺町の間にW坂があります.
坂の途中には「北の海」の碑があり,杉戸が洪作に向かって「お腹がすいているとき
にこの坂を登ると悲しくなる...」と話す件の引用が刻まれています.
近代文学館,兼六園を見物して,今度は浅野川に沿って散歩しました.
川辺には犬を散歩させている人,買い物に行くおばさんなど川の近くに住むひと
たちが往来しており,犀川に比べて地域に密着した川だなという印象を持ちました.
川沿いの小高い緑地公園で一眠りしました.
近代文学館は二度目の訪問でした.
井上靖の展示は,昭和の森と駿河平の記念館に比べて物足りない感じがしました.
いくつか写真が展示されていますが,中でも作家円熟期の頃(60歳代の頃でしょうか)
の写真が,優しくいい表情をしています.この写真は他の記念館や文献で見たことが
ありませんでした.
井上靖以外の作家にも興味を持ちました.
作家で精神科医でもある加賀乙彦.
29歳の若さで物故した詩人,画家の廣津里香.
石川に縁のあるこの二人の作品も今後読んでいきたいと思います.