高原を歩いているとコヒョウモンやクジャクチョウを始めタテハチョウ科のチョウをよく目にします。遠くから漠然と見ていたのでは気づきにくいのですが、この科のチョウは足が4本しかないように見えます。昆虫は足が6本のはず、不思議な感じがします。実は前脚は著しく退化し、着地、歩行に全く使用していないのです。前脚は折りたたまれて体毛の中に埋もれているので、無いように見えてしまいます。捕まえてつまようじなどで探ってみると、他の足より短く弱々しい前足が確かにあることがわかります。自由に動かすこともできなくなっているようです。
昆虫の中にはカマキリやユスリカのように前脚を歩行以外の目的に使用する虫はいますが、完全に退化させてしまった虫は珍しいと思います。