PANETTONE パネトーネ
イタリアのナターレ(クリスマス)では主役で、日本ではほとんど認知さ
れていないもののひとつに、パネトーネが挙げられる。
クリスマス・ツリーは、日伊いずれでも共通の主役なんだけど…。
(イタリアの巨大ツリーについてのエッセイは『イタリア色のレモンリキュ
ール』を参照)
クリスマスに食べられるケーキには、他にパンドーロなるものがある
が、どちらかと言えばパネトーネの方がポピュラー。もともとミラノの郷
土菓子のパネトーネは、干し葡萄と砂糖漬けの果物が入った、王冠型
の卵たっぷりのパンである。
写真のはアリタリア航空の通販で買い求めた100グラム500円のもの。
恐らく、イタリアでは一番の安物の部類に属するものだろう。
と、邪推してしまうのも、箱の写真とは裏腹に、ほとんど干し葡萄しか入っていない、卵も感じさせないシロモノ
であるから…。
昨年アリタリアで盛んに売っていたし、近所の輸入食品店でも積まれていたから、食べた人も多いかも。
で も、これが本場モノと思ったら、イタリアーノは「待った」をかけるかもしれない。
ナポリ在住のSさんいわく、9000リラ出せば、干し葡萄とドライフルーツが半々という贅沢さが味わえると言う。
高くなればなるほど、フルーツの質と量が上がっていくそうで、下は7000リラ位から上は2?3000リラ位まで。
高価なパネトーネは箱からして風格が違うらしい。
パネトーネは12月に入って雨後の筍のように現れる。
スーパーなどではいろいろな種類のパネトーネが、設けられたコーナーに高々と積まれる。
そしてナターレを境に在庫処分に切り替わる。
姿を消す時期は店によってまちまち。だいたいお正月に再び少しだけ脚光を浴び、エピファニアが終わると一気 に安売りが始まって、3個で10000リラくらいで叩き売られ、やがて自然消滅的に無くなるとのこと。
日本では、クリスマスケーキは25日にはダンピングされ、そして一気に消える。それよりは長生きというわけ。
これというのも、パネトーネが保存料をたっぷり含んでいるからだろうか。それとも、料理家の塩田ノアさんの言う
ように、「クリームを使ったケーキと違い」、単に「パン菓子」だからか。しかし写真のパネトーネ、半年以上の賞味 期限が箱に印字されているところを見ると、「パン菓子」というのは、長寿の理由にはならないような…。
パネトーネについては、『イタリア幸福の12か月』に記述があるので、ぜひ読まれたい。
PAPIRO パピルス紙
パピルス紙と言えば、グーテンべルクとともに印刷の歴史の項目で頻
出 し、古代エジプトを思い起こす方も多いだろう。最古の紙と言われる
この素材、イタリアとどう関係しているのだろう、と一瞬考え込んでてし
まうかもしれない。
しかしシチリアのシラクーサでは現在でも生産され、博物館もあり、り
っぱなみやげ物屋さんまでドンと建っているから驚き。
そして、パピルスの木そのものにも、このシラクーサではあちらこち
らで遭遇することになる。
ギリシャ神話の舞台として有名で、シラクーサでは観光の目玉である
ア レトゥーザの泉。ここでも、泉を泳ぐアヒルたちは、周りに群生するパピルスの葉の隙間から顔をのぞかせ、神話的な鳴き声をあげるのである。
シラクーサの州立考古学博物館の切符売り場の手前には、パピルスに手書きで描いた絵がたくさん並べられ、
売られている。ノンナ(おばあさん)が、パピルス紙に絵を描くという、デモンストレーションも見物できる。
ギリシャ神話の世界を描いた作品が多い中で、写真のようなトリナクリアのものがひときわ目立つ。
トリナクリアとは、いわばシチリアのシンボル。三本足はシチリア島の三つの岬を表わすとも、シチリアの灼熱
の太陽を表わすとも言われている。真中には、メドゥーサの頭。バールの看板にもやたらに描かれている不可思
議で独特のマーク。これが、土地の原産のパピルス紙に描かれると、なんとも言えないアンティークな雰囲気が醸
し出される。 (写真)
パピルス紙は、パピルス草の茎の外皮をはいで、中の白い髄を薄くそいだものを重ねて並べ、圧搾して紙状に
したもの。肌色の古色蒼然としたその材質には、現代的なモチーフよりも、やはりトリナクリアや古代ギリシアのア
ンフォラ(手の付いた壷)などがふさわしいだろう。
無地のパピルス紙も売られているので、他では手に入らない、ちょっとしたおみやげになる。
GRISSINI グリッシーニ
イタリアのリストランテ。テーブルに無造作に置かれた籠。そこには、グリッシーニ入りの長細い袋が、顔をのぞかせている。
ご自由にお食べください、と言ったところか。付け合せのパンは別に用意されるから、食事前のおつまみの一種とひとまず考えたい。かと言って、お金は取られないから、アンティパスティ(前菜)とも異なる。まあ、サービス料のウチと思っていい。
そして、このグラッシーニ。乾パンの一種であるが、ポッキーよりも細長い、塩味のスナックといった感じ。
トリノ産、そしてエクストラ・バージンのオリーブオイルを使っていることが、袋に太字で書かれている。
食感は、さくさくと軽く、油っぽくなくて、うす塩味である。
これはいけるとばかりに、さくさくと食べる。しつこくないから、知らず知らずのうちにひと袋はあっという間になくなってしまう。
これが落とし穴。イタリア料理はただでさえ量が多いのに、食事に入る前、それもアンティパスティも出ていないうちに、グリッシーニを食べてしまったら、後はどうなるか。胃袋を泣かせることになる。
だから、テーブルの上から、いくらグリッシーニが愛らしく誘惑してきても、手を出さない。食べてもいいけど、せめて1、2本にとどめたい。それが鉄則。
ここで食べられないのも残念。こっそり持ち帰ってホテルで食べようか、そんなふうにも考える。でも、とっても丈の高いグリッシーニのこと。こっそり持ちかえることなどできないから、カメリエーレに品格を疑われることになる。
トリノ産とあるが、これは立派にイタリアの国民食。南はシチリアのリストランテでもお目にかかれるシロモノ。そして今や、日本でも、百貨店、高級スーパー、ちょっと気のきいたワイン・ショップで手に入る。
だから、イタリアではぐっとがまん。リストランテでは、メインの料理を中心にして楽しむに限る。
VESPA ヴェスパ
ヴェスパ。イタリア語で「蜂」という意味を持つ、このスクーターは1946年生れ。
イタリア・ピアジオ社が、航空機製造の技術を応用して製作した、独特の鋼板プレスのモノコックボディを持つ、ユニークなスタイルのスクーターである。
まさに50年以上の歴史を持つこのヴェスパは、その魅力的な外観ゆえに、「ローマの休日」などの映画で重要な役割を果たしたことは、万人の記憶に残るところ。
また、60年代のイギリスでは、若者のカウンター・カルチャーである「モッズ」の必須アイテムとして大活躍。
そして、日本では、松田優作主演のドラマ「探偵物語」のもう一人の主人公とも言える位置づけを与えられた。
国産スクーターといえば、ちょっと前だと、ホンダ・ディオや、ヤマハ・ジョグといった、尖った感じのカラススタイルが主流だった。
が、ホンダがヴェスパまがいのスクーター・ジョルノを発売するやいなや、イタリアン・スタイルがスクーター界では、すっかり定番と化してしまった。
この大ヒットにあやからんと、スズキがヴェルデ、ヤマハがヴィーノとネーミングもイタリア語のイタリアン・スタイルを発売するに至る。(ジョルノが「日」、ヴェルデが「緑」、そしてヴィーノは「ワイン」という意味。なぜ、乗り物にワインなのか?ヴィーノとは、飲酒運転を肯定するかのような、どうにも不可思議な名前である…。)
あの魅惑的なスクーターに乗れたら、と思いつつも、スクーターくんだりに20万も30万も出せない、という経済的な理由、そしてギアチェンジ時の掌の苦痛という、操縦性の問題などから、どうしてもヴェスパ購入を踏んぎれずにいた購買層が、国産イタリアン・スクーターに飛びついた、というのが、昨今のヒットの背景だろう。
スクーターのフォルムに合わせる形で、お椀型のヘルメットをかぶる若者も、ここのところ激増した。
しかし、ヴェスパの音だけは絶対に国産ではまねできない。ものすごくうるさいのだが、高音でふきあげるあの音は、かなり遠くから聞こえてきても、ヴェスパのそれと即座に分かるのである。
イタリアでは、50ccには免許不要。だから、ピアッツァ(広場)では、年端もゆかぬ子どもがヴェスパを乗りまわしている光景に出くわす。
また、ヘルメット着用の義務はないから、長い髪をなびかせながら、シニョリーナがミニスカートでヴェスパにまたがるという、なんとも粋な風景がイタリアには存在する。
ピアジオ社はベスパ50周年を記念して、当社の航空機、10数台のスクーターを展示するミュージアムを1998年、仮オープンさせた。
18色のバリエーションを持ち、いまや、様々なラインナップを持つヴェスパ。この先の50年も、きっと世界中の人々を魅了し続けるに違いない。
PRADA
プラダ
1913年にマリオ・プラダによって皮革製品店としてスタートしたプラダ。
戦後、苦難の時代を経て1978年、孫のミウチャがオーナー兼デザイナーに就任して以来、再び人気ブランドの道をかけのぼっていく。
特にプラダ再生の鍵となったのは、「ポコノ」というナイロン素材のバック゛。軽くて強い工業用の素材で仕立てられたバッグは、現代女性の合理性への志向にマッチして、大ヒット。今では、キャンバス地などの素材でも冒険するプラダだが、やっぱりプラダといえば、このナイロン素材が定番である。
プラダは高い。しかしこの不況下、どこのショップも大盛況。
日本での異常なまでのブレイクから、本国のショップはもとより、フィレンツェ郊外の工場にまでツアーが出向き、大都市の支店の店員たちは、当たり前のように日本語を操り、日本円で会計してくれる。(でも、店に入ったら、まず店員の人にボン・ジョルノのひと言をぜひとも言ってほしい)
Limoncello リモンチェッロ
ナポリ近郊のソレント(生産250万本/年)や、カプリ島で作られているレモンのリキュール。
96度のアルコールに、特産の無農薬のレモンの皮(実の部分はジャムの原料になるもの以外は捨てられる)をつけこんで作る、美しい色合いのお酒。
カプリではさすがに本場だけに、小さい(ピッコラ)のから大きい(グランデ)ものまで、また丸っこいものや三角のものまで実にいろんな瓶(ボッティリア)を見かけた。
バールの棚にも、あたりまえのようにリモンチェッロの瓶が置かれ、現地の人たちにとっては日常的な嗜好品だということがうかがえる。
口あたりは、さわやかで、とろりと甘くて美味。でも、33度とアルコール度は高いので、よーく冷やして、食後に小さなグラスで飲むのがよい。
しばらく前までは、空港では手に入らなかったが、昨年ぐらいからローマのフィウミチーノでも2、3種見かけるようになった。観光客にも人気上昇中か?!
OTOSAN オトサン
お父さんにあらず、オトサン。ラテン語でオトは耳で、サンはサニタリー(衛生)の意味からきている、と聞く。
イタリアの薬局(ファルマチア)に行けば、たいがい積み上げて売られている、耳あか掃除の必殺アイテム。
日本でも一時期マスコミで取り挙げられ、ずいぶん出まわったものだけど、使い方を誤って事故が発生したとかで回収騒ぎになった。
以来、日本では危険と見なされて、残念ながら市場から消えてしまった。試したいと思いつつ、願いのかなわなかった人も多いはず。だから、イタリアへ行ったらぜひゲットしてほしい。
ロウでコーティングされた布の筒っぽを横向きに寝た形で耳穴に垂直に差しこむ。そして、先に火をつけて燃やすこと約五分。火は自然消火するけれど、一応、安全用の丸い台紙もついている。
頭上で炎がめらめら燃えているから、説明書の写真のように誰かに押えていてもらうほうがいい。側には水をはった洗面器を置いた方がいいかもしれない。とにかく危険な火にはちがいないから。
何だか、熱い。相棒にはまだかまだかと聞きたくなる。怖いのである。きっと相棒も、慣れるまでは冷や汗ものだろう。そして様子を知るために、鏡を所望するかもしれない。そして、一目見て、炎の大きさにぞっとする。だが、結果を見れば、恐怖はたちどころに忘れてしまう。
燃え残った芯を解体し、中身を見ると、耳あかが、ウンと入っているのである。(個人差あり)
だから、すぐに同梱されたもう一本を、次の耳に差しこみたくなる。
1998年、日本円で2本ワンセットで700円くらいだった。箱で買うといくらか安くなると店のシニョーラは言っていた。
INVICTA インビクタ
画一的なファッションをしがちな日本の若者と違って、イタリアの若者は各々が個性的なヨソオイをする、と聞く。 実際にイタリアの都市を歩くと、みんな思い思いのファションを楽しんでいる。
でも、殊にリュックとなると、事情は変わってくるから、ふしぎ。
イタリアの若者は、リュック好きである。そして、そのほとんどが、インビクタというブランドに一極集中している。
いつ頃からこの現象が始まったかは分からないけれど、個人的な観察によれば、ここ5年ぐらいの間はすたれることなく、流行っている模様。
登下校時の小学校の前を通れば、日本のランドセル並みにみんながみんなインビクタである。
鮮やかなビタミン・カラーが主流だが、カーキ色などのしぶめのものもある。大きさもいくつかあるが、たいがいバカでかい。
後部に背もたれの板が入っているので、物が入ってなくても四角っぽい。「隠し」のも含めて、ジッパーが多い。また、自分の所属や趣味を表わすような言葉が刺繍されている。
画一的なイメージにならないのは、色と規格のバリエーションがかなりあるからだろう。若者の集団を見かけても、10人が10人ともちがうデザインのインビクタということがよくある。
ちなみに私もパレルモのインビクタで紫と黄緑を組み合わせたデザインのもの(写真)を買ったが、同じものを背負った人に会うまでに、4年の歳月を経ることになる。色は同じでも、刺繍が違ったりするのだ。
あれは、カプリで坂道をテクテクと上っていたときのことだった。たぶん地元の小学校から下校する男の子だと思うが、私たちは異口同音にして「あっ」と叫んでしまった。そして、振り向きざまに相手のインビクタをまじまじと見つめてしまったのである。
それくらい、みんなインビクタでありながら、みんな違うインビクタなのである。
いくら同じブランドであるとはいえ、使いやすさにプラスして、かような多様性を持ち得るからこそ、イタリア人に愛され、支持され続けているのだろう。
ビタミン・カラーゆえか、日本ではインビクタ旋風は依然として起こらず。池袋のパルコで見切り品として、ワゴンから派手な姿をのぞかせているのを目撃したくらい…。
フルッタ・デッラ・マルトゥラーナ
アーモンドペーストで作った、シチリアの伝統のお菓子。
ご覧の通りの、果物そっくりのお菓子である。バナナや桃の少し傷んだ部分が、妙にリアルである。
シチリアの通りを歩いていると、時々バールやパスティチェリア(お菓子屋)のショー・ウィンドウに陳列され、売られている。
ひとつ何リラというのではなく、100グラム何リラという風に、量り売りされている。
値段は失念したが、決して安いものではなかった。
が、その精緻なつくりをひとたび目にすれば、むしろ安いとも言える。
食べてしまうのは、なんだかもったいない。
しかし、鑑賞用としては、暑さで表面が溶けてしまいそうだし、それほどもちはよくないみたい。
そこでかじってみた。ガムのような弾力のある食感に、アーモンドの味わい。なつかしいシチリアのにおい…。
このお菓子は、11月2日の「死者の日」に子どもにあげる習わしがあるそうだ。もっともフルーツ型のものは良い子だけがもらえ、悪い子には骨の形のものが渡されるらしい。骨バージョンにはお目にかかっていないが、これもリアルだったら、ちょぴり怖いかも…。
フルッタ・デッラ・マルトゥラーナというと、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の『みんな元気』(’90)が思い出される。マストロヤンニ扮するシチリアのおじいちゃんが、孫娘のために持ってきたお土産がこれであった。
長旅ゆえに壊れてだめになっていしまったマルトゥラーナにがっかりするが、孫娘の方は、「ローマでも売っているから」とケロッとしている。ここでマストロヤンニは、なんだか寂しいような、期待が外れたような、そんな表情を浮かべる。彼は、初めて目にするマルトゥラーナに驚愕し、狂喜する孫の姿を思い描いていたのだろう。きっと。
しかし、私の見たかぎりでは、本場シチリアのそれとローマのそれとでは全然ちがった。
シチリアからローマ入りした私は、わりと容易にフルッタ・デッラ・マルトゥラーナと再会したが、ローマのものはいかにも「土産物」だった。
シチリアではほぼ等身サイズだったが、ローマのはミニチュアサイズで、小さな篭に複数個はいってのセット売り。
本場ものも売られているのかもしれない。が、デパートで各地名産が買える日本(特に東京)とはお国事情がちがうイタリアでは、土地の特産は、やはりその土地で手に入れるのが正攻法なのかもしれない。
STATUA di GESSO a ROMA 白い彫像
もしかしたら、ローマ以外の都市にもあるのかもしれない。でも、個人的にはローマでしか見たことがないものに、白い彫像をもりだくさんに積載した屋台が挙げられる。
コロッセオ、バチカン美術館付近の通りに、不可思議な屋台がいくつか見うけられる。日本でいうところのアート・グッツの屋外販売と言ったところ。
そして、この屋台のそばには、ミケランジェロやダ・ヴィンチなどの巨匠の絵をプリントしたTシャツを売る屋台も腰をすえる。
いずれも、バチカン美術館に訪れる観光客めあての商品だが、この手のTシャツはフィレンツェなどでもよく見かけ、白い彫像よりはずっとポピュラーなものなのだ。
実際、Tシャツの方が、買いやすいアイテムである。値段も1万リラ(700円位)程度だし、ローマとかミケランジェロとかいったロゴも刷りこまれているので、イタリア旅行を証明する、ちょっとしたみやげ物にもなる。サイズもSからXLまでと豊富で、アメリカ人にも日本人にも対応できるという自在さもいい。
だから、Tシャツは買っても、彫刻の屋台へ顔をのぞかせる人はあまりいないと思う。遠目に見ると、プラスチックのまがいものみたいで、すごく安っぽく感じられる。だから真の美術愛好家は近づかない。それに値段も遠くからは分からない点が少々コワイ。
でも、ちょっと勇気を出して屋台に近づいてみよう。暇そうにつっ立っているおじさんに、軽く挨拶をしてから、つぶさに彫像を観察してみよう。すると、これはりっぱに石膏(っぽい?)で出来た彫像であることに気づかされるだろう。
種類も大きさも実に様々。シーザー、マリア、カンピドリオの雄狼、ダビデ、キリスト、皇帝ネロ……。値段も安くても2万リラ位(約1500円)はする。でも、単体で手にしてみると、意外とずっしり重く、繊細な造りになっているので、かえって割安感すらある。
私は、マリア像をひとつ買い求めた。日本に持ち帰って眺めると、うーん、なかなかのオブジェ。
しかし、この像は、ローマの青い空の下、屋台の上であふれんばかりに積載されているのを眺めたほうが合っている。その安っぽさ、豊かさ、ユニークな感じで、あまりにイタリアっぽくて、より味わい深いのである。
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