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私事の都合により、第1試合後半からの観戦となった。さらに、私事に少しだけ気を取られていたおかげで「シーズンパス」を持っていくのを忘れてしまい「前売り券」を購入しての観戦となった。しかし、今日の2試合は両方とも見所が多くて面白い楽しい試合だった。試合終了後の満足感は、もしかしたら明日のそれに匹敵あるいはそれ以上かも知れない。 先週のDiv.2B「大阪大学―京都産業大学」観戦中にも考えていたことなのだが、いわゆる「3強」にだけ目を奪われていると、何かとても大切なものを逃してしまうのではないかということを感じた。 甲南大学が3試合連続となる終了間際の得点劇で3勝目を勝ち取った。 今日の関西大学攻守は、今までの不調が悪い夢だったかのように、第1戦近畿大学戦で見せてくれた勢いのあるプレーを披露してくれた。それだけに、今日こそは白星かと思ったのだが、最後に甲南大学にひっくり返されてしまった。 関西大学のレシーブで後半開始する。QB#12月野のオフェンスは京都大学戦に続いて今期2度目。#10古澤のランニングアタックとは少し趣が変わり、パス中心のオフェンスとなる。フィールド中央付近から、TE#89中川へのパスヒットを皮切りに、WR#82池ノ上他合計5本のミドルレンジパスでTDをあげた。テンポいいパスオフェンスに感動していたのだが、甲南大学もすぐに追いつく。 甲南大学はQB#11仲田が指揮するオプションオフェンス。IからのRB#32新宮のオープンがWRのブロックもよくビッグゲインし、QBキープも中央付近を抜けて同点のTDドライブとなった。 その後は関西大学LB#49半谷、甲南大学DB#19西本、関西大学DB#26福田のインターセプト合戦でモメンタムが右往左往する落ち着かない展開となったが、それぞれのディフェンスがしっかりとパス・オプションに対応して追加点を許さないまま終盤を迎えた。 関西大学のパントはコース距離とも見事にコントロールされていて、甲南大学攻撃権獲得位置が自陣奥深くという状態が続いた。そして第4Q残り約2分で関西大学のパント。 今回もナイスコントロールで蹴られたボールは甲南大学エンドゾーン近くまで転がってきた。そして関西大学3人はエンドゾーン手前でボールデッドにするために追いかけてきたのだが、あと少しというところで惜しくもタッチバックになってしまった。 甲南大学自陣20ヤード、残り時間1分49秒という2ミニッツオフェンス実践の場が提供された。近畿大学戦、神戸大学戦に続いて3度目のミラクルを披露してくれるのか。結果は、WR#87松下へのタイミングパスやRB#33西山のランなどでFD更新を重ねてエンドゾーンに近づく。最後は#87松下から#3五島へパスが決まって、第4Q残り10秒逃げきりのTDを奪った。 2ミニッツでしっかりと得点できる甲南大学の強さは本物である。 一方で、元気が戻った今日の関西大学には勝たせてあげたかったという思いもある。パントボールの転がりがほんの少しでも変わってタッチバックにならなかったら・・・そんなことに思いをめぐらせてみても結果は変わらないのだが・・・。最終戦となる神戸大学との闘い、期待しています。 |
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大阪産業大学のリターンで試合開始する。最初のシリーズは、QB#3天野率いるオーソドックスなIフォーメーションから#40菅野、キープを試みるも簡単にパントとなった。 しかし、次のシリーズからまた面白いフォーメーションを見せてくれた。QBの後ろに3人のRBが縦に並ぶ(「トゥルー アイ」とか「メリーランド アイ」という名称がついている)。普通の「I」では2人が縦に並ぶところを、もう一人増やしたことになる。そして、このフォーメーションが神戸大学ディフェンスを最後まで苦しめることになった。 大阪産業大学オフェンスはもともとオプションオフェンスが得意である。だが、シーズン当初はピッチを受けるRBがいなかった。それが第4節あたりからRB#31松岡とのコンビが成長してメインプレーとなってきた。特にQB#3天野は相手ディフェンスをぎりぎりまで引きつけてからピッチするので、ピッチを受けたRBは、フリーになりやすい。 そして、RB3人を配置してピッチターゲットとブロッカーを増やしたことによって、神戸大学ディフェンスを大混乱に陥れた。 QB#3天野のキープ、3人の先頭UB#40菅野の中央突破、3人のRBの最後尾に配された#31松岡のオープンの3通りのプレーに、QB天野が適度にフェイクを入れて幻惑する。さらに、松岡のオープンランでは、2人のRBがブロッカーとして相手ディフェンスを処理する。数的優位になってロングゲインするシーンもたびたびあった。 結局、試合終了まで大阪産業大学のペースが続いて大量得点となった。 神戸大学オフェンスは、QB#18上岡、UB#2仁科、TB#33大月のオプションオフェンスなのだが、シーズン当初からあまり変化が見られない。大阪産業大学ディフェンスにしてみればターゲットを絞りやすかったのだろう、LB#51華岡、#46一色、DB#32今若などが一直線に入ってきて何度かロスタックルを見舞う。 神戸大学は第3Q終盤、オプションではなくWR#8小林、TE#85大竹、WR#80伊藤のパス攻撃で得点するのが精一杯だった。 この試合のために大阪産業大学がどれだけの準備をしてきたのかが伺える内容だった。神戸大学ディフェンスのどこにどんな「穴」があるのかを探した結果の「3人RBのI」なのだろう。そして見事にはまった。 勝敗の行方を左右する要素に「戦術」が占める部分が大きいことを改めて認識した試合だった。 |
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コイントスで選択権を獲得した立命館大学は「後半行使」を選択し、関西学院大学リターンで試合が始まった。 自陣15ヤードからの関西学院大学最初のシリーズは、シングルバックのパスフォーメーション。しかし、ドロップバックしたところを、立命館大学DL#58三輪、DB#5古庄、LB#99小西が追いかけてきた。結局LB小西のサックで、マイナス10ヤードのハンデを負うことになる。しかし、第3Dでピッチを受けたRB#33井岡が右ライン際を一気に88ヤードの独走でTDを奪った。 以後、関西学院大学はランプレー主体のオフェンス組み立てにシフトした。スタッツにもあるようにパス試行回数5回は、今までの攻撃パターンとは全く異なる。 そして、ランプレーはTフォーメーションをメインとした。QBの右斜め後ろ、左斜め後ろに2人のRBを配する。そして、立命館大学LBDBの早いリアクションを逆手に取るためのフェイクを絡めた。先制TDも、右に配されたRBが左へ切れこむと見せて、左のRB#33井岡が右オープンへ抜けてのTDランとなったのである。 関西学院大学自陣36ヤードからの第2シリーズも、QBスクランブル、#2三井へのロングピッチからの30ヤードラン(反則で半減)や「T」を絡めて敵陣残り15ヤードへ侵攻し、第4D残り1ヤード。 ここで前節と同様ギャンブル突破かと思われたが、タイムアウト後にFGトライへ変更して10点差とした。 第2Qになると関西学院大学はQB#19岡村が登場する(毎日放送アメリカンフットボールダイジェストによると有馬は脳しんとうとのことらしい)。そして、この日唯一決まった48ヤードパスがWR#87田富へヒット、RB#33井岡、#34猪狩のOT付近からオープンへのランとテンポよく進む。最後はQB#19岡村がドローフェイクからのスクランブルでTDを挙げた。 関西学院大学OLが立命館大学DLをコントロールしているというよりは、「T」からのフェイクにLBDBが右往左往しているという感じが強い。 立命館大学オフェンスはRB#36川田、#45寺町、#39磯谷の中央突破とオープンが全く抜けない。関西学院大学DL#90石田他によるスクリメージライン上でのタックルによる。立命館大学DL以上の強固な壁のおかげで、前半でFD更新したのは、関西学院大学の反則と、TE#84片山への15ヤードのパスによる2回のみと、ほぼ完封されてしまった。 第3Q、立命館大学オフェンス最初のシリーズは自陣奥深くでファンブル、立命館大学が抑えて事なきを得たがパントが思わしくなく、関西学院大学に敵陣38ヤードからというポジションを献上した。 関西学院大学はここの時点で17点差、絶好のフィールドポジションとなれば、一気にTDを獲得してモメンタムを手中に収めたいと考えたのだろう。QB#19岡村がドロップバックしてエンドゾーン近くのパスターゲットを探す。しかし、この瞬間にDL#58三輪のサックを浴びてファンブルロストとなってしまった。 ここから流れが変わった。立命館大学オフェンスは後半からパス主体の組み立てに変更しての第3シリーズ。ここも#1松本へのパス20ヤードを皮切りに、#9沖への左右へのミドルクイックパスなどで、敵陣26ヤードへ。最後は第4Dギャンブル残り10ヤードで#9沖へのTDパスが決まって10点差とする。 続く関西学院大学オフェンスを簡単にパントに追い込んで、第4Q、流れは一気に立命館大学かと思われた。しかし、関西学院大学ディフェンスが力で流れを取り戻した。DL#57松浦のラッシュに苦し紛れに投げたパスを関西学院大学DB#26北村がインターセプト。 再び「T」によるRB#33井岡、#34猪狩のドライブを敢行して第4Q8分29秒、17点差となるTDを奪った。 立命館大学は、この点差をひっくり返すのに残り時間8分15秒は少なすぎると思ったのだろう、自陣20ヤードで第4Dギャンブルをしなければならないほど追い詰められていた。結局ギャンブル失敗となって関西学院大学がFGによる追加点をゲットして試合を決めた。 立命館大学DLが関西学院大学相手にまったく機能しなかった。「T」フォーメーションをへの対応策が試合中に出てこないまま時間が経過してしまったという印象である。DLの壁が強固でパスのためのドロップバックにはサックのシーンもあった。しかし、「T」からのフェイクでLBDBが吊られてしまう様子は最後まで変わらなかった。 数年前、立命館大学ディフェンスが京都大学オプションに手をこまねくシーンがあったが、基本的にはそれと全く変わっていない。 そして、もう一つ関西学院大学が優位に試合展開できた原因をあげるならば、関西学院パントチームの活躍である。P#89榊原のコントロールも見事だったのだが、ボール着地の瞬間に、カバーチームがリターナーの目前に到達していた。そのために立命館大学のリターナーにほとんどリターンできていない。 逆に関西学院大学のリターナーは10ヤード以上リターンしていたので、これだけで優位なフィールドポジションを確保していたことになる。 |
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