東西大学王座決定戦 毎日甲子園ボウル



甲子園ボウル 



12月19日(日) 阪神甲子園球場 12:10
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計
関西学院大学 141771452
法政大学 607013
(現地観戦)
 
(スタッツ数値の説明) 関西学院大学 法政大学
TD 7 1
PAT (1点)回数-成功 7-7 1-1
(2点)回数-成功 0-0 0-0
FG 回数-成功 1-1 2-2
SF 0 0
FD 18 13
パス 試投-成功-インセプ 13-8-1 26-8-2
獲得ヤード 97 52
ラン 回数-獲得ヤード 43-323 52-262
攻撃 回数-獲得ヤード 56-420 78-314
反則 回数-喪失ヤード 5-35 5-25
ファンブル 回数-喪失回数 2-0 3-1
ボール所有時間 27:10 32:50
3rd-Down Conversions 4/11 4/15
4th-Down Conversions 1/2 1/3
(関西学生連盟Fネットサービスより)


第1Q  8分23秒 法政大学 FG  KG自陣で被パスインセプト。UB#40ドライブ
第1Q  9分54秒 関西学院 TD  KG#34 ドロー55ヤードTDラン     
第1Q 12分33秒 関西学院 TD  法政自陣パントをKG#21ブロック。持込みTD
第1Q 14分53秒 法政大学 FG  法政QB#17キープ65ヤード        
第2Q  4分39秒 関西学院 FG  KG#33キックオフリターン65ヤード    
第2Q 10分 5秒 関西学院 TD  KG自陣からドライブTE#89TDパス20ヤド
第2Q 14分27秒 関西学院 TD  KG中央からドライブTE#31TDパス10ヤド
第3Q  3分25秒 関西学院 TD  KG#3−#87TDパス20ヤード      
第3Q  9分 2秒 法政大学 TD  KGパントミスから、UB#40TDラン    
第4Q  0分20秒 関西学院 TD  KG#33ドロ−TDラン60ヤード      
第4Q  7分34秒 関西学院 TD  KGOL#92パスインターセプト10ヤードラン


 今年の甲子園は、寒かった。最高気温がこの冬初めて一桁だったこともあるが、その「一桁」を感じさせない熱戦が繰り広げられるべき甲子園の体感温度は零下だったかもしれない。

「重箱のスミ」をつついてみた「展望」だったが、まさしく「重箱のスミ」だった。QB#17木目田率いる法政大学オフェンスは、序盤からゲインできるのが中央突破に限られてしまった。オプションピッチのオープンはキレがないままLBに覆われて横流れのみ、パスは正確性を欠く。そして、関西学院大学ディフェンスがUB#40堀田の中央突破ダイブにアジャストした段階で、攻め手がなくなってしまった。

 一方で法政大学ディフェンスはというと、#33井岡#34猪狩の中央突破をことごとく許した。日本大学戦でも感じたのだが、LBDBがブリッツを入れるでもなく関西学院大学に自由にプレーをさせてはテンポの悪かった関西学院大学オフェンスも立ち直ってしまう。


 ところで、関西学院大学の53得点は史上4番目だが、その1番目は、第37回の日本大学65−28京都大学である。京都大学が甲子園に初出場した年なので、この大差は、許されるだろう。
 ちなみに、2番目は第33回の日本大学63−7関西学院大学で日本大学5連覇の最初の年、3番目は第30回の関西学院大学56−7明治大学で関西学院大学5連覇中の3連勝目である。



 法政大学のリターンで試合開始した。自陣38ヤードからの法政大学オフェンスはQB#17木目田・UB#40堀田・TB#2井出によるIフォーメーション。UB#40堀田の中央突破連続2回とTB#29薄衣のドローでFDを更新した。中央突破はゲインするという感触は掴んだだろう。
 しかし、更新後、#2井出への左ピッチ、#29薄衣への右ピッチはことごとくLBサックにあい全くゲインできなかった。フリーのLBがダイレクトに突っ込んでくるので、キャリアは横流れが精一杯の状態だった。そして、パス失敗でパントとなる。

 関西学院大学は自陣20ヤードから。QB#3有馬・RB#34猪狩のシングルバックに#33井岡のモーションで、変幻自在のマルチオフェンスを仕掛けてくる予感。
 しかし、中央ラン2回でFD更新すると左ロールからのパスは、あわやインターセプトの失敗。そして、ドローを挟んでの再びのパスをレシーバー前に入ったCB#27吉田にインターセプトされた。

 法政大学は敵陣36ヤードという絶好のポジションを獲得し、UB#40堀田の中央突破の連続でFD更新する。だが、ホールディング反則罰退が効いて、第3D残り4ヤードを再更新できず、FGに終わった。 (第1Q KG0−3法政)

 続く関西学院大学は、自陣30ヤードからオプションライクのQBキープ15ヤードで前進すると、#34猪狩の右ドローがOLナイスブロックもあって約55ヤードTDランとなって簡単に逆転した。(第1Q KG7−3法政)

 この試合3回目の法政大学シリーズは自陣37ヤードから。最初のプレ−は、何度かゲインしているUB#40堀田の中央突突破ダイブで11ヤードのゲイン。しかし、FD更新したあとにオープンへのランを2回連続で試みている。少なくとも第1シリーズでゲインしないだろうことを把握したはずだが。ここも第1シリーズと同様にLBに抑えられてパントシチュエーション。
 そしてキッカーの前に関西学院大学#21福田が飛び込んでキックブロック。転がったボールをそのまま拾い上げて約35ヤードを走りって追加点を挙げた。(第1Q KG14−3法政)

 法政大学オフェンス第4シリーズは、QBキープが65ヤードのビッグゲインとなるも、関西学院大学ディフェンスの健闘と#40堀田が何故か登場しなかった(軽度のケガ?)おかげでFG止まりとなって、得点差は縮まらない。(第1Q KG14−6法政)

 第2Qに入ると、関西学院大学は#33井岡の65ヤードリターンから敵陣へ侵攻も第4D残り10ヤードでP#89榊原のパントフォーメーション。そして、パントフェイクのスクランブルが左へ抜けてFD更新となってしまう。いくら敵陣といえどもというギャンブルプレーだが、ある意味挑戦者魂がここ数年の関西学院大学を作っているのは確かだ。
 ただしオフェンス不調でFG止まりとなった(第2Q KG17−6法政)。この11点差は1TDでモメンタムがひっくり返る危うさもある。

 それを追いかけるべく5回目の法政大学オフェンスは自陣20ヤードから。UB中央突破0ヤードの後に右WR#1市村へ初めてのクイックパス10ヤードでFD更新、小刻みな中央突破を重ねてFD更新、#2井出のドロー22ヤードと執拗に中央攻撃に徹する。
 それを許してしまう関西学院大学ディフェンス。第2Q中盤、ここで法政大学がTDを挙げていれば試合の行方はまだわからなかった。

 しかし、敵陣に入ったところでエクスチェンジミスから痛恨のファンブルロストとなる。結果的には、これが致命傷となった。

 ターンオーバーで掴んだチャンスに関西学院大学オフェンスは、反則罰退もあったがRB#34猪狩、#33井岡のドローがビッグゲインする。そして、QB#3有馬がTE#89榊原へのアクロスを決めてTD、さらに、TE#89榊原へのポストパスとTE#31高橋へのTDパスで第2Q終盤に得点を重ねた。(第2Q KG31−6法政)

 関西学院大学オフェンスがランパスで得点して調子を取り戻してしまったために、前半を終わって25点差は、如何ともしがたい差となった。
 第3Q、関西学院大学リターンで再開し、#2三井の40ヤードリターン、ドローも通って、右WR#87田富へのTDパスで(第3Q KG38−6法政)、後半の法政大学ディフェンスに大きな変化がなかったことと32点差で、試合は決した。

 その後、関西学院大学にパントミスやオンサイドキックを許すなど緩みはあったが、大勢には影響しないまま時間が経過、最後はQB#11赤坂が試合を〆た。



 法政大学最初のシリーズで、法政大学オフェンスが関西学院大学ディフェンスを崩すためには、中央突破しかないということが見えた。RB#2井出、#29薄衣のオープンはLBに止められる。唯一進むプレーがUB#40堀田のダイブだった。それだけに、関西学院大学に逆転された後の法政大学第3シリーズとQBキープロングゲインのあった第4シリーズがキーポイントだと思う。

 この2シリーズとも最後はオープンへの展開を試みた。UB堀田のダイブを選択しなかったのが、負傷によるものなのか、プランとして選択しなかったのかで大きく変わってくるのだが、少なくともオープンにこだわったのは敗因の一つだろう。負傷であってもバックアップRBの中央突破ダイブという選択はあってもよかったと思う。
 法政大学がこの2シリーズで、パントミスからの7失点およびFGの加点3点に終わったのが、ジワリと効いた。

 そして、第5シリーズ。自陣20ヤードから中央突破のみに固執して、ようやく、法政大学本来のドライブが始まった。関西学院大学ディフェンスがリーグ戦の近畿大学戦で見せたずるずる後退するシーンが続いた。しかし、ファンブルロスト。
 もし、TDでも挙げていれば関西学院大学を慌てさせるのに十分なドライブだっただけに、自らがモメンタム放棄してしまったミスは致命傷となった。


 関西学院大学ディフェンスは、LB陣が法政大学のオープンへの展開をことごとくしとめたことが勝因の一つだろう。そして、LB陣が自由に動けたのはDLがOLを圧倒していたからである。
 ただ、オフェンス陣は、序盤にビッグゲイン一発はあったものの、どちらかと言えば不調だった。ディフェンス陣の踏ん張りと、相手のミスで巡ってきた試合の流れを掴んで流れに乗ったという状態だった。今年のオフェンスの特徴と言ってしまえばその通りなのだが、それでも、ノセルと恐いオフェンスに変身するのは脅威である。



 久し振りに大差のついた甲子園ボウルだった。法政大学が崩れて行った過程を私なりに探るのに1週間を要した。

 法政大学オフェンスは、ゲインするのが中央突破のみだということに気付いただろう。ただ、どの時点で判ったかが問題だということと、それとは関係ないミスで自滅したという結論である。
 法政大学ディフェンスは、LBDBが仕掛ける様子が伺われなかったのは残念だった。OLBのブリッツなんか面白いのにと思って観ていたのだが。守りのディフェンスであって、攻めのディフェンスではない。


 さて、「コーチ主導か学生主導か」よりも、「法政大学が窮地に陥るのが年に1回だけしかないことによる対応能力の欠如」の方が大きな問題だろう。したがって、「関東大学リーグ戦で年に何回も窮地に陥っている他のチームが、法政大学をねじ伏せて甲子園に出てきた時」に新しい展開になると思う。当然の事だが・・・・・。

 もちろん法政大学が少しだけ変わればいいことだが、他のチームが台頭してくるほうが時期的には早いかもしれないと、関東大学選手権準決勝を観て、感じた。