関東大学選手権 決勝



                                                              
12月5日(日) 川崎球場 13:30
TEAM 1Q2Q3Q4Q合計
法政大学 0771428
日本大学 6140020
(現地観戦)
 


第1Q 14分49秒 日本大学 TD TFP×
第2Q  8分35秒 日本大学 TD
第2Q 13分33秒 日本大学 TD
第2Q 14分47秒 法政大学 TD
第3Q 11分36秒 法政大学 TD
第4Q  4分37秒 法政大学 TD
第4Q 10分00秒 法政大学 TD


 日本大学は、準決勝中央大学戦でUBTBの中央突破ドローダイブに手をこまねいたことが原因で接戦辛勝となった。中央突破を完璧に止めるか、ロングゲインを許すかの両極端だったのだが、この決勝戦では、第3Q以降、この大きな「穴」が埋まることはなかった。


 法政大学のリターンで試合開始。自陣36ヤードからのオフェンスは、QBに#17木目田がセットしてシングルバックRB#2井出の中央ドロー。いきなり10ヤードゲインするが、その後はオープンへの展開がことごとく止められてのパント。

 日本大学は自陣24ヤードからQB#10桂によるショットガン。そして、WR#80中村剛、#81榎、#19中村昌弘へのミドルレンジのクイックパスが通って2回FD更新し敵陣30ヤードまで侵攻も第4D残り2ヤードか通らずに攻守交代となる。

 日本大学オフェンスのほうが好調な立ちあがりだったが、しかし、最初に得点機をむかえたのは法政大学だった。

 フィールド中央で攻撃権を獲得した法政大学は、オプションキープではこの日唯一ともいえるロングゲイン17ヤード、RB#29薄衣のドロー中央突破13ヤードの2プレーで、エンドゾーンまで残り22ヤードに到達した。
 しかし、左右オープンへの展開を試みるも日本大学LB#4財前他のスピードが早く、縦に上がれない。結局、第4D残り2ヤードをギャンブル失敗した。FGでとりあえず3点先制しておくという選択肢もあったが、法政大学はギャンブルを選択して無得点に終わった。

 法政大学オプションからの左右オープンへの展開は、日本大学ディフェンスが完璧にシステムで止めていた。包みこむようにQB,RBへ被いかぶさって、数の優位を作らせないままにタックル、横流れに終わるシーンが続いた。


 そして、ここからモメンタムが攻守ともに日本大学側へと傾いていく。


 日本大学QB#10桂のクイックパスは法政大学の緩いパスディフェンスの合間を見事に縫ってゲインを重ねた。さらに、SB#30信田、#33伊能がQBからトスを受けるとQBの動きと反対側へ抜けてディフェンスを撹乱、また、ショートパスターゲットとして、QBスクランブルのブロッカーとしてと、満点の役割を果たしていた。

 法政大学自陣でのパスをLB#5三室がインターセプトして、敵陣でチャンスを掴むと、クイックパスで侵攻する。法政大学にインターセプトされたが同時に発生したパスインターフェア反則でチャラにして、エンドゾーン前7ヤード。
 だが、日本大学の「背後ブロック」反則罰退10ヤードが影響して、ホルダー位置20ヤードからのFGトライとなった。

 センターのスナップミスでティーが吹っ飛ぶ。ボールをホールドできない。ホルダー#25十文字がボールを持ってスクランブルの構えだったが、完璧にフリーのレシーバーがいた。右#21杉浦へTDパスが決まる。ラッキーな場面だったが、次のTFPもキックできなかった・・・・

 次の日本大学オフェンスシリーズでもクイックパスを絡めてのドライブ。しかし、敵陣40ヤード第4D1ヤード、RB#30信田へのダイレクトスナップが、再び、タイミングミス。結局ギャンブル失敗で終わった。
 試合の流れは日本大学が支配していたのだが、それを懐深くに収めることができなかったということか。

 その後の2シリーズはパスによるドライブで2TDを奪取、結局日本大学は、前半7シリーズで3TDを獲得した。それでも「何もしていなかった」に等しい法政大学パスディフェンス相手だっただけに、結果論だが、もう1TDほしかった。



 法政大学は第2Q残り1分20秒、自陣40ヤードからの攻撃開始。シングルバック#29薄衣の右OG付近ドロー18ヤード、第4D3ヤードギャンブルからUB#40堀田の40ヤード中央突破で、エンド前6ヤード、残り18秒。そしてQBスクランブルTDで法政大学が試合の流れを変えるためのクサビを打ち込んだ。


 そして、第3Qの法政大学2回目のオフェンスシリーズ。UB#40堀田が中央を抜けて50ヤードのビッグゲインをする。これ以降の法政大学プレーは中央突破のみ。UB#40堀田、TB#29薄衣の中央突破でここをTDに結び付けて6点差。
 日本大学絶妙のパントで法政大学自陣1ヤードからのシリーズも、中央突破ロングゲイン2回含め6プレーでTDを獲得し逆転に成功すると、第4Q、自陣45ヤード第4D残り1ヤードギャンブルで、55ヤードTDランとなって8点のリードを奪った。


 第3Q法政大学が2個目のTDを挙げて6点差に迫った時点で、日本大学のオフェンスのテンポが崩れはじめた。背後に迫ってきた足音が大きなプレッシャーになってしまったか。無理なQBスクランブルやパスが増え、オフェンス全体があきらかに浮き足だってる。QBの慎重な判断=迷いが、相手ディフェンスのサックを誘発する悪循環で、第4Qの2シリーズを浪費した。

 それでも、第4Q第3シリーズ最後のオフェンスは、自陣20ヤードから試合序盤のようなクイックパスを復活させてロングドライブをした。しかし、前半は見られなかったキャッチミスが散見された。結局、残り1分36秒、敵陣18ヤードまで攻め入りながら、エンドゾーン付近へのミドルパスが法政大学LB#47平本のインタセプトされてしまった。



 法政大学オフェンスがオプションを捨てて、ドローダイブの中央突破に固執したことが勝因である。準決勝で見せた日本大学の弱点を見事に突いたのだが、「体力的に苦しくなる後半は中央突破」として最初から準備されていたのか、それとも「たまたまやってみたら通った」なのか。サンケイスポーツに掲載されているコメントからは、どうも後者のように伺えるのだが。

 さらに、法政大学パスディフェンスがほとんど機能していない。3−4だがLBがQBへプレッシャーをかけるでもなく、かと言ってレシーバーマークや谷間を塞ぐべく走り回っているのでもない。ただ中間位置で見ているだけだった。日本大学レシーバーがDBの前に入り込んだり、かわしたりで、どんなパスも簡単に通ってしまっていた。


 それでも法政大学が勝利してしまったのは、5連覇中の法政大学と9年ぶりが目前に迫った日本大学の差なのだろう。後半に日本大学が先に得点していれば違った試合展開になったのだろうが、法政大学が先にTDして6点差に迫った時点で、日本大学が前半とは全く違うチームになってしまった。




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