関西学生アメリカンフットボール Div.1 シーズン展望


Updated, 2014 Aug. 30 at 14:50 JST.


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関西学院大学・立命館大学・関西大学・京都大学・龍谷大学・近畿大学・神戸大学・同志社大学





 今春観戦した試合を分析してみると、試合会場毎では王子5試合、万博4試合、関大2試合、立命1試合。チーム毎では、多い順に4試合・4試合・2試合・2試合・1試合×4チーム、となる(RTVでの2試合は含まず)。つまり単純に試合会場までの移動時間の問題である。ただ、以前は、どんなに遠くても観戦に行っていたことを考えると、今春はフットワークの劣化も認めざるを得ない。少なくとも3試合はそんな理由でパスしている。また1試合しか観戦していないチームが4チームもあるというのは、やはり異常というべきか。どこが4チームなのかは以下の文章量から判ってしまいそうです。

 これは私の観戦準備としてまとめていたものの中から公開用に編集したものです。開幕間近ですがとりあえずアップしておきます。今回は、間に合わなくても私の準備ができればいいというスタンスで書き始めたものなので、過去シーズンの展望と趣旨が若干異なっているところがあると思いますが、ご容赦ください。




関西学院大学
(今春の試合結果) ○37−28慶應大・○17−14日本大・○30− 0龍谷大・○38−28明治大・○38−14関西大
● 7−31パナソニック・○70− 0大院大・○36− 0甲南大


 今春の試合で感じたところはOL・DLのパワー不足なところである。慶應義塾大学戦・明治大学戦・関西大学戦とも攻守ライン劣勢になり、試合の流れが相手側に移動する時間帯があった。OLvsDL、あるいは、DLvsOLで見ると、春の時点では立命関大京大のほうがパワー優位なのではないかと思える。
 OLはまだベストメンバーでない状況だったので上積みはあるだろうが、DLはベストに近いメンバーだったのではないか。したがってDLのさらなるパワーアップの余地は少ないのではないかと考えている。昨年甲子園ボウルのようなランドライブで押し込まれるシーンは、今年はリーグ戦でも見られるかもしれない。

 一方で、攻守ともにバックフィールド(RB・WR・TE・LB・DB)は相変わらずメンバー豊富多彩で楽しみである。その中でRB層が、近年と若干異なる風景が見える。スピードタイプはRB#28鷺野だけで、#46橋本など、パワー系のランナーが充実しているのである。ここにOLのサイズが加わればまったく違った攻撃スタイルも可能なのだが、少なくとも今年は、そこまで大きく転換することはないかもしれない。来年はスピードタイプがいなくなるのか新人から出てくるのか、興味のあるポイントである。

 QBは線の細さが気になっていたが、5月の関西大学戦では、OLが苦戦している第2Qに集中力と技術で得点をもぎ取ったドライブは印象に残る。社会人パナソニック戦では散々だったが、とりあえずは対学生リーグ戦から。そしてバックアップQB#17伊豆の存在は大きく、瞬時の判断力と図太さは秀逸である。今年はバックアップとして支え、来年以降は対戦相手にとってはイヤなQBになりそうだ。なおパンターとしての登場機会は今年も多いはず。第4Dパントシーンで今年もパフォーマンスを展開してくれることだろう。




立命館大学
(今春の試合結果) ○45− 9名城大・○41− 6東海大・○40−10近畿大・●16−23早稲田・○39− 7京都大
○53− 7サイドワインダーズ・● 3−13パナソニック・○24−20名古屋


 今年の先発メンバーは、攻守ともそのほとんどが昨年までスターティングメンバーの経験がないという陣容である。つまり、言葉は悪いが、経験値は不足しているし、単純に言えばほぼゼロからのスタートになる。歴代で培われてきた立命館大学の伝統が途切れてしまう可能性も秘めている大きな出来事である。もっとも、途切れてしまったほうがよい慣習もあるので、全否定するつもりはないし、ある意味ではチャンスでもある。そんな今春のスタートだったが、さらに2試合しか観戦していない、攻守ともに完成度は高いところに届きそうな勢いを感じる。

 まずオフェンスは、QB#4前田、WRは#83長野と1年生#11近江が春から活躍。TE#89藤原、#85永野と人材豊富でダブルTEフォーメーションも可能。RBはスピードタイプ#32西村、#36森本、#42長谷川とパワータイプ#33上山が存在、SB位置からショートパスターゲットにもなりうる。それを支えるOLは高さはないが横幅は大きく動けている印象。こうして陣容を振り返ってみると各ポジションともかなり充実している。
 春当初は、どんなチームになるのか見当もつかなかったが、ランでもパワー系とスピード系、パスもショートターゲットからミドルロングまで、ディフェンスをストレッチする手段は十分に揃っている。ただし、得手不得手が偏っている印象もなくはない。それを克服しつつのリーグ戦の中で成長していくことになる。そして最終的には、どのような攻撃プランで臨むのかは試合を大きく左右しそうだ。

 ディフェンスは今年もDLがサイズもありスピードもある。攻守ともラインサイズがあるのは、申し訳ないがいい方向に誤算だった。LBは主将#44山本、#56浦野の動きは際立ったパナソニック戦。経験豊富なDB#2大貫が最終列を死守する。

 ところで、昨年秋には京都大学に敗退し、今春は早稲田大学に黒星を喫するというように、戦績の中に黒星がチラホラするようになって来た。負け癖がつきそうな際どい状態だが、チーム内ではどのように考えているのか。こだわりがあるのかないのか。また、ここ数年で緊張した試合そのものが少なかっただけに、勝敗を左右するような重要な場面でのコーチスタッフも含めてチームとしてのゲームマネジメントが発揮できるか。このあたりが、きがかりなポイントではある。
 冒頭にも書いたように、今年のベストメンバーでも昨年の試合経験が少ないところが気になっていたが、春シーズンだけを通しても、選手の個々のスキルは整ってきた印象がある。クロックマネジメントなどでつまらないミスがなければ、面白い存在になりそうだ。




関西大学
(今春の試合結果) ○ 9− 3中央大・○19− 0神戸大・●14−38関学大・●10−27早稲田・●21−26立教大
 


 今春観戦したのは4試合。このうち「今年のチーム」で戦ったのは関学戦の途中まで。それ以外は、今年と来年のチームの混合による試合になった。確かに他のチームを見ても、そのような取り組みのところはあるのだが、それでも、どこかで「今年のチームフル出場」な試合はある。しかし、関西大学には、私の知る限りはそのような試合がなかった。
 「来年のチームに経験を積ませる」という趣旨もあるだろうが、単に試合に出るだけなのと、チーム全体の方向性が決まっていて課題が与えられて試合に出るのとでは、大きな違いがあると思うのだが、どちらだろう。実際にどのようなことが行われていたのか、当初の目論見どおりなのか、それとも、誤算があったのかを知りたいが、それは外部には漏れてこないだろう。
 6月の早稲田大学との定期戦を観戦しながら、これで秋本番に間に合うのかという心配をしてしまったのだが、それは、6月中旬での印象。その後の触れ幅は「ゼロ」もあれば「通常の2年分の成長」もありうる。経験不足が影響するのかしないのか、このような取り組みが秋シーズンにどのような姿で現れてくるだろうか。という点で、斜に構えての意味ではなく真剣に興味深いところです。

 なので、攻守ともに各ポジションごとで選手の名を挙げることはできる。しかし、今年のスタイルはオフェンスもディフェンスも明確には見えなかったので、ただ、それが線となってどのようなプランで、フォーメーションで、連携して動くのかというイメージが浮かばない。したがってオフェンスバックフィールドはビッグプレーをした数名をあげればRB#20地村、#22東條、TE#1田中、WR#15森田になる。ディフェンスではDL#90藤谷、#95福岡、#93新川が鉄板を構成する。LBは充実していてILB#11東條、OLB#38阪本、#4林という布陣は関西トップクラス、課題は今年もDB陣というディフェンスである。

 チームとして充実している部分は、ディフェンスのフロント付近DLとLBのあたりで、ここは安心してみていられる。そこを抜かれたときのDBのサポート体制とパスディフェンス、そして、オフェンスチームによる今春の得点が1試合最大2TDまでという得点能力自体が不明な攻撃側は、QB含めて方針が見えていない。いうのは春の試合だが、いろいろなメンバーでの試合なので参考程度。昨年秋リーグ戦も第2節神戸大学戦はロースコアの拮抗した試合になってしまったが、今秋も前半戦でそんな試合があるとすれば、守備が整備されたチームとの対戦時ではないかと予測している。

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(20140906追記)

 私が観戦した試合は4試合で、最後の立教大学戦は観戦していません。しかし、この最終戦で「今年のチームフル出場」な試合になっていた可能性もあります。したがって一部訂正します。すみません。



京都大学
(今春の試合結果) ○20−14同志社・○27−10東京大・● 7−55日本大・○21− 7名古屋・● 7−56慶應大
● 7−39立命館・● 0−27アサ飲


 昨年メンバーから大きく変わる攻守チームという印象。さらにサイズやスピードも例年に比べて一回りダウンしたかの印象を受けている。だが、今春、唯一観戦したのが立命館大学との試合なので、そこでサイズやスピードを云々しても立命館大学との相対比較になってしまうので、このような印象につながるのも止むを得ない。正しく判断できていないというべきだろう。
 この試合ではWR#83山本、#82白根、さらに玉木、竹内などに人材豊富なことは判った。この人材を活用するための投げ手にはQB林田が春から経験を重ねた。また、RBは#21大上がいいプレー見せていた。ただ、選手層として万全なポジションは攻撃ではレシーバーだけで、その他のポジションはバックアップメンバーの台頭が必須な印象だった。そこからどのように変化しているか。開幕戦は龍谷大学戦。ここをどのように乗り切るかでシーズンを左右するそんな年になりそうだ。期待しています。




龍谷大学
(今春の試合結果) ● 0−34桃院大・○14−13甲南大・● 0−30関学大・○ 7− 3同志社・○30−14神戸大
○37−17愛知大・●17−21大教大


 過去の龍谷大学の印象は攻守ともにスピード勝負のチームだったように思う。RBに高速ランナーを擁し、パスターゲットにも足の速い選手が揃う。ディフェンスはLBのブリッツに象徴されるように攻撃的なディフェンススピードが特徴といえるチームだった。しかし、今年のチームは、どちらかと言えば、サイズ重視の印象がある。特にOLは縦方向にも横方向にもサイズアップしている。RB#36井上もスピード系だけとも言い切れないサイズである。一方でパスターゲットは、スピード&テクニックのWR#1持田と技巧派TE#2田村などが健在、QBも経験を重ねた竹内が最上級生として攻撃の中心に据わることになるだろう。

 最初に書いたように、オフェンスチームの人材としては若干だが方向性が変わってきているシーズンを迎えることになる。パワー系も可能なランナーを抱えた陣容で、ランとパスをどのように組み合わせるかという組み立て方をどのようにするか、このあたりは興味深い。いい方向に回転すると面白い存在になりそうだ。
 一方で、タイムマネジメントに関しては、微妙なシーンが続いている。有名なところでは昨年秋の京都大学戦の最後。その教訓は生かされず、今春神戸大学戦でも大事には至らなかったが同じようなシーンがあったが、本番はいかに。おそらく開幕戦京都大学戦で、この緻密な運用が要求される試合になるだろう。




近畿大学
(今春の試合結果) ○22− 9明学大・●10−40立命館・○23−10同志社・○30−13専修大・○17−10中央大
 


 本当は、アミノバイタルでの中央大学との試合を観戦する予定だったのだが、諸々の事情で中心になった。どちらかと言えば5月の同志社大学戦よりもチームの完成度は高いだろうと、楽しみにしていた試合の一つだったのですが。そして、その5月同志社大学戦では、近畿大学については2試合観る予定だったので、1試合しか観戦できないだろう同志社大学重視としたのだけれども、結局どっちつかずのまま前半が終了するという、久しぶりにダメな観戦となった試合。また同志社大学戦ではオフェンスを、中央大学戦では守備をという分担を予定していたので、特に守備側の視点も落ちてしまっています。

 という状況の中で、オフェンスチームはNEWERA同様にRB#28久保が活躍、他にRB#35高谷、#37萩野谷など複数名を起用しながらのオフェンスとなった。パスターゲットは高速ターゲットWR#88金田が存在。さらに、という陣容である。QBは若手ながら#18小林が担当した春。RB#28久保のプレーで得点を重ねた感はなくもないが、攻撃手段は揃っている。さらに同志社大学戦でロングFG2本含め3回成功させたK#20山田の存在も大きい。ロースコアの展開になればFGの積み重ねでも白星を獲得できそうだ。特に開幕戦。
 若い学年で構成されるオフェンスチームだがランプレーに関してはOLRBQBで突破口は開けそう、そこからパスを広げていく方向性と、方針がはっきりしているのはいい。ディフェンスではDL#91藤井、#96松田、LB#1塚本、#54高村、DB#9岡本などに注目。




神戸大学
(今春の試合結果) ○17− 0甲南大・○21−13大教大・● 7−31横国大・● 0−19関西大・●14−30龍谷大
●14−16桃院大・● 7−19エレコム神戸


 今年も神戸大学らしいチームになった。毎春シーズン終了後にこんな印象を持つようになってから何年が経過するだろうか。「国立大学なのに、毎年この位置をキープできているのはすごい」という表現があるが、それは京都大学を指し示すことが多かった。しかし、神戸大学のそれも負けず劣らずである。むしろ「同じ位置をキープし続けている」という意味においては、大過去を振り返ると圧倒的に京都大学だが、私が物心ついた以降では、神戸大学のほうが安定性の継続期間は長いかもしれない。

 今年のオフェンスチームはスキルポジションが総入れ替えに近い状態で始まった。QB#7櫻井、#9鳥取を中心にRB#22中平、WR#80八田、#18多田、#11金岡という陣容で、例年通り左右アウトサイドへのパスとランで切り崩すというプランで仕上がって生きそうだ。ただし、ボールキャリア全体で線が細いことと選手層の薄さは気にかかるところ。ディフェンスはDLLBの#13村上、#52久保、LB#8川手、DB#14佐藤などがキーマンとして率いる構成される。

 今春の試合は、ロースコアの試合も最後はディフェンスが力尽きてという展開が多かった。春後半は白星にも恵まれなかったがその中で作り上げたものがあるはず。期待しています。




同志社大学
(今春の試合結果) ●14−20京都大・●13−28慶應大・○19− 7京産大・● 3− 7龍谷大・●10−23近畿大
●13−27立教大・○15−14天理大


 同志社大学は、わずか1年でDIV1に復帰することになった。ただしDIV2だった昨秋昨春の試合をほとんど観ていないので、私のデータに連続性がなくなってしまったことと、今春もほとんど観戦できていないので、意思形成ができていない。近畿大学戦の印象では、攻撃に伸びシロを感じたチーム陣容、ランパスキャリアの人数は揃いそうなので時間をかけて整備すれば面白そう、という印象。得点ドライブのシーンは印象に残ります。NEWERAでは13人を派遣してDIV1を再確認したことと思います。期待しています。