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攻撃回数は両チームとも、前半4回後半3回。10数年にわたって、試合毎に右上の表を作成してきた過去経験から言えることだが、このくらいの攻撃回数で終わる試合は、両チーム攻守とも見所の多い、かなり緊迫した展開になっていることが多く、この試合も例外ではない。 攻撃公式スタッツによる獲得距離は、関西学院大学328ヤード(R159P169)、関西大学319ヤード(R221P98)関西大学最後のドライブの50ヤード分は扱い方が微妙だが、それでも反則分を考慮すれば、互角・イーブンとみてよい。 この獲得距離を喪失距離として見ると、ディフェンス受難の日と言える。両チームともに、DLを2人にしてみたり3人、4人にしたり。さらにはフィールドポジションによってDLメンバー交代させたりと様々な試みが散りばめられた総力戦になっていた、にもかかわらず。 さらには、小雨が降る悪天候、ボールが濡れて芝も水を含んでいるにもかかわらず、というところが興味深い。 もうひとつ特徴を挙げるならば、両チームともビッグゲインが多かったこと。コツコツとショートヤードを積み重ねたドライブではなく、ロングゲインが頻発して攻撃が進みまくるという展開。ディフェンス視点に立てば、止め切れていない・対応できていないプレーがあることになる。最終節の展望についてはこのあたりを切り口に考えてみたい。 ******** 関西大学は前節で立命館大学に完封負けを喫している。その試合内容は前節観戦記に譲るが、私的にどのような見方をしていたかは、文面の端からにじみ出てしまっていることと思う。 その試合から、わずか2週間でここまで仕上げてくるとは思っていませんでした。もう少し違った展開を予想していてのですが、申し訳ありませんでした。 黒星を喫してしまった試合を今シーズンのベストゲームと言われるのは心外でしょうが、ここ数年の対関学対立命の試合を考えても、今回の試合は、私的には好きな内容でした。 展開のあやひとつで、行方のわからない試合になっていたのだが、その筆頭は、やはり敵陣でのギャンブルプレーの成否。得点差だけを見れば、ギャンブル失敗2回分が得点になっていれば・・・ということになる。 そして、個人的な思いでは、第1Qと第3Qの敵陣でのギャンブルプレーを、パントフォーメーションからのトリックプレーではなく、通常の攻撃で行ってほしかった。 だが、これは「タラレバ」の類になる。 おそらくパント隊形からのスペシャルプレーはこの日のために準備してきたものだろう。それを成功させれば気分は一気に盛り上がる。その高調感で一気に試合の流れも、という可能性も否定できない。 一方で通常の攻撃隊形からのスタートならば、スペシャルプレーよりも習熟度は高いはず。確実でミスがないが、単なる一つのギャンブル成功・FD更新になってしまうと、気分的な盛り上がりはスペシャルプレー成功によるものに劣る。 第1Q、関西大学FGによる先制点に対して関西学院大学がTDで逆転した次の関西大学攻撃。ここは是が非でも再逆転の得点がほしかったところ。 第3Qのギャンブルシーンは第3Q後半。2ポゼッション差なので、ここでも得点のほしいところ。その前後の関西学院大学攻撃は反則ロスやディフェンス堅守で手詰まり感が漂っていた時間帯だったので関西大学に得点が入っていれば。その過程はスペシャルプレーでもノーマルでもどちらでも。 ******** 関西大学QBは併用が続く。これまで第1戦はQB両名を交互起用、第2戦から第5戦までの4試合はQB#8石内を先発起用して最低でも前半2Q分を任すスタイルを貫き通した。そして今回、先発は#14岸村だったが、試合序盤から頻繁に交代を繰り返している。 ところで、今シーズンの各チーム事情を見れば、QB複数名を擁しているチームは多い。だが、大半のチームは、主戦QBを1名に決めている。シーズン全般で2名を並行して起用し続けているのは神戸大学と関西大学のみ。 神戸大学は、どちらかと言えばオフェンスシステムにQBを合わせるタイプなのでQB鳥取と櫻井のどちらを起用しても大きな違和感はなく、QB交代でチーム全体のリズムが乱れることもなかった。 一方で関西大学の場合は若干タイプが異なる2名。この両名を頻繁に交代起用すると弊害のほうが多いのではないかという考え方で、昨年以降今春今秋の関西大学オフェンスチームを観てきました。 ただ今回の試合に限って言えば、それほど大きな違和感がなかったのはなぜだろう。#14岸村のパスが少しづつ進化をし、#8石内のキープランも大きくゲインするようになってきているのも事実。お互いがいいところを補強しあって、両者の違いが少しずつ埋まってきているようにも見える。 この試合で言えば、第4Q最後ゴール前5ヤードに迫ったQB#8石内ドロー10ヤード。さらに前節第1Q、立命館大学リターンファンブルロストによる敵陣での第1DQBドローは、まさしくそんなシーン。 #14岸村のパスがレシーバーの手に収まるような高さで飛ぶようになったのは第3節同志社大学戦あたりから。 ただし交代の弊害が完全に消去された訳でもない。もしかしたらプレーコールの問題なのだろうか。「QB某だからこんなプレー」ではなく、「オフェンスシステムとして次はこんなプレー。それをQB甲もQB乙も確実に実施できる」という思考。 来年、どちらかが主将になることなく、イーブンの立場で、関西大学のランオフェンスとパスオフェンスを作りあげることに専念してほしいです。 ******** ******** 関西学院大学オフェンス。試合前半。今シーズン初めてビハインドの展開になった。これでパフォーマンスに変化があるか、緊張するかとか考えていたのだが杞憂に終わる。 直後のシリーズ、QB#11斎藤からフリフリ経由でWR#82横山へのロングパスが決まり、逆転TDのきっかけを作った。さらに次のシリーズでは、RB#40橋本とRB#28鷺野のミドルゲインとQB#11斎藤スクランブルを合わせて5分75ヤードのランドライブを完成した。 この前半のQB#11斎藤個人のパフォーマンスを見ると、過去5試合と比べるとサイドライン際へのパスでボールが浮くシーンもあったが、相手ディフェンスとの力関係を考えれば、まま、そんなこともあり得る。前節同様に、ベストではないにしてもQB起点で攻撃リズムが乱れるという状態ではなかったと思う。 試合後半。関西学院大学オフェンスは1FG2P。 後半1回目の攻撃はチョップブロックでFD更新まで25ヤードを強いられ、第2シリーズではエンクローチメント反則とQBサックロスでポジションを悪くする。 第3シリーズはRB#28のラン45ヤードのビッグゲインがあってFGに繋がっているが、敵陣侵攻後にFD更新できていない・ディフェンスに抑えられているとも。インサイドのランゲインが3ヤード5ヤードなのは関西大学ディフェンスがランキャリアに対応できたから? このように、後半の関西学院大学オフェンスは、自滅&相手ディフェンスに押さえ込まれていたという状態。反則のついては、ここ2試合で続いているオフェンスチーム全体の課題は解決していない、ということだろう。1TDでは逆転されない状態だったので半分は様子見のところもあったかもしれないのだが。 またオフェンス陣容としては、ランキャリアがRB#28鷺野、#40橋本に限定されているところが気にかかる。どちらかが負傷していると最終節は、混沌としてくるかもしれない。 ******** (とりあえず、了) |