関西学生アメリカンフットボール Div1 第3節



09月27日(土) エキスポフラッシュF 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
京都大学190-3-0
近畿大学10271-2-0
(現地観戦)
 
京都大学
近畿大学
1Q FL
RFL
TD
TD
1Q
FG× 2Q
G×
FG
FG
2Q END
3Q
FG
3Q TD
4Q
TD
FG
TD 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 試合最後のシリーズで京都大学のロングドライブがあるが、残り時間1分28秒で2TD差なので、近畿大学の守備の方針は、「一発でTDをとられなければ十分OK。ロングドライブで時間を消費させることが最優先で、1TDを奪われても問題なし」という考え方でディフェンスを行っている。

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 京都大学オフェンスQBは#17林田と#88佐々木の併用で、ともにランプレー中心の攻撃組み立て。QB#88佐々木のキープランとWRやRBの左右モーションからのオープンへのラン、中央へのRBのランというプレー数が多かった。
 近畿大学ディフェンスも、最初の頃はQB#88佐々木のオプションプレーに悩むシーンはあったが、キャリア限定だったこともあって、少しずつ対応できるようになっていく。

 第1Qの京都大学得点は、近畿大学のファンブルによる同じく敵陣スタートからのもの。チャンスを確実に得点に結び付けているところは買うが、オフェンスチームがランパスでドライブしてもぎ取った得点ではない。

 そんな中で第2Q最後のシリーズのFGドライブは、連続して中央ランを仕掛けていた時間帯にあって、突然、オープンをスピードで捲り上げるというRB#21大上による左オープン38ヤードのビッグゲインがきっかけになっている。

 しかし、後半の京都大学攻撃のFD更新回数は1回のみ(最終シリーズを除く)。前節神戸大学戦や開幕戦龍谷大学戦ではもう少し攻撃手段はあったと思うのだが、この日は攻撃パターンが少なかったことで近畿大学ディフェンスが完全に対応してしまい、ショートゲインしか見込めないプレーばかりになってしまった。

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 対する近畿大学オフェンスも、攻撃パターンはランプレー主体の組み立て。京都大学と違うところは時折でてくるビッグゲインでFD更新ドライブが繋がること。

 第1Q残り9分15秒からのTDシリーズは、自陣27ヤードから左横WRへのパスヒットからのラン35ヤード、RB#28久保が右OTを抜けて37ヤードゲインして敵陣1ヤードに到達、というビッグプレー2個の速攻。

 第2Q残り6分28秒自陣25ヤードスタートのシリーズは、RB#28久保による左オープンラン40ヤードゲインで敵陣侵攻するが、リバースでロスしたりホールディング反則ロスなどで攻撃リズムを乱してしまって、FGとなった。

 第3QのTDシリーズは、自陣13ヤードから、RB#37萩野谷による左OT16ヤードでFD更新し、QB#12高谷による左OTランが抜けて71ヤードのTDランとなる。京都大学DBが追走するのだがスピード競争で近畿大学QBが優位だった。

 そして第4Q残り7分16秒自陣47ヤードからのドライブ、4点差リードの近畿大学がセイフティーリードを確保できるかと言う貴重なシリーズだった。
 しかし、QB#12高谷8ヤードとRB#37萩野谷11ヤードとランによる連続ビッグゲインを重ねたあたりから京都大学ディフェンスに緊張が走る。
 RB#27久保7ヤードとRB#37萩野谷の6ヤード、ランプレーばかりで連続ビッグゲインをたたみ掛け、最後はQB#12高谷による右オープンキープ24ヤードのTDランで得点差を11点に広げた。

 近畿大学オフェンスの攻撃プランを「ランプレー主体」と冒頭には書いたが、特に試合後半は、時間消費を意図したところがあるかもしれない。

(了)








09月27日(土) エキスポフラッシュF 17:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
立命館大学243-0-0
龍谷大学1-2-0
(現地観戦)
 
立命館大学
龍谷大学
1Q
TD 1Q
2Q
FG
RTD
END 2Q
3Q
TD
3Q
4Q FG×
TD
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 第1節の立命館大学の攻撃スタイルは、セットバック隊形からの中央ラン突破に固執していた。それを受けての前節同志社大学戦戦前に私が考えていたことは、「パス比率を高めていくつかのパスパターンを確認する試合」というところにポイントを置いて観戦に臨んだ。

 第2節の立命館大学。オフェンスは思い描いていたとおりパス比率が増えていく。しかし予想に反したこともあって(というより、そもそも何も考えていなかった・準備していなかったのだが)、それは数名の選手が「フル欠場」したディフェンスメンバーだった。バックアップの選手に経験を積ませるという位置付けの試合になっていた。

「フル欠場」したのはDLLBDBで各1〜2名。その結果かどうかは不明だが、第2Qには同志社大学に6分に及ぶロングドライブを許している。その後は再び完封するようになったが、もしも今回欠場したDLLBDBが負傷してしまって、本当に欠場するようなことになった場合・・・を思い描くと、選手層としての不安を感じなくもないシーンだった。

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 前節同志社大学戦ではDLLBDB各ポジションで1〜2名のメンバー交代(フル欠場)があったディフェンス陣も、今回はほぼフルメンバーによる。

 一方の攻撃チームは前節同志社大学戦同様にQB#4前田が(最終シリーズを除いて)全シリーズを担当。前節同様にQB#4前田が試合の流れを作り上げて勝利に導いた試合、と言える。
 スターターの使命は、試合の流れを作り上げること、という点において、この試合では2回目のシリーズから得点を重ねていく。第1Qの残り5分から第3Q中盤までの全4シリーズで得点ドライブを組み立てている。

 オフェンスのプレーは多彩だった。WR(IR・OR)、RB(TB・FB)のキャリアによる中央のパワーラン中心にオープンへの展開やパスも組み合わせていくというスタイル。
 FB#33上山、TB#29玉井、TB#42長谷川、TE#85永野、WR#83中野、#6近江という第2節までの顔ぶれに、RB#5森本、IR#9小林が加わった。なお今回も数プレーだが#11猪熊のRB起用があった。

 しかし、必要なシーンで中央のランホールが空かなかったり、ライン戦においては少し苦戦するシーンがあったりするのが少々気がかり。  第2Qの消費時間6分で90ヤードドライブしたシリーズ、エンドゾーン手前まで迫りながらショートパス失敗→ランショート→ショートパス失敗→FG。本来は第1Dのパスで得点したかったのだと思うが、パス失敗を受けての磐石・鉄板のラン選択だったと思うのだが。  ロングドライブでOLが消耗してしまったなんてことはないと思うが、直後に龍谷大学のリターンTDが発生し、微妙なムードでのハーフタイムを迎えることになる。

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 そして第3Q、2回のパントドライブは、いずれも下記する第3DロングでのIRへのミドルパス失敗による。レシーバーがDBのタックルを受けながらもキャッチしていればドライブは繋がっていた、という表現は厳しいかもしれないが。

 試合前半でも第3Dロングのシチュエーションが何回かあったが、いずれもIRの縦パスをコールし、TE#85永野、IR#9小林がターゲットとなった。
 前半のそれは、QB#4前田とレシーバーの関係がしっかりしていてパス成功&FD更新となってドライブが繋がっている。

 しかし、試合後半になるとさすがに龍谷大学ディフェンスも対応してくる。後半の一度目はパスキャッチ成功するものの、その後はレシーバーとDBが交錯するようになり、ボールに触れるものの確保できずにパス失敗が2回、これがパント2回の原因である。

 その2回、QBからのパスはレシーバーの手に届いているので、投げるタイミングとレシーバーのタイミングは一致しているので、QB側には大きな問題はないのだろう。しかしパスキャッチできずでFD更新に至っていない。

 一般的に、同じシチュエーションで同じコースに飛ぶパスに対してディフェンスが対応するのは当然のこと。そんな判りきった状況でも確実にパスキャッチをするのがレシーバーの役割、と、厳しめの表現にしておこう。

 今回のIRへの縦ミドルパスに対して「同じシチュエーションに同じパスコース、だからDBに狙われてキャッチ失敗しても止む無し」のような意識はないと信じているが、それでは、レシーバーは、どこまで執念をもってパスキャッチを試みたか。

「判っているけれども止まらないプレー」というのは力強いプレーである。ディフェンスとしては対応しているのだがゲインを許してしまう。この心理状態から 試合の流れを変えていくことができる。このIRの縦パスはそんな種類のプレーにしておきたい。

********

 立命館大学の攻撃シリーズが少ないので、得点数や獲得距離の数値を他チームのそれと単純に比較すると見劣りするのは当然。1ドライブに5分をかけるというプランを確実に遂行しているということで十分である。試合内容としては完璧だった。

 ただし、王国首脳陣は「第3Dで距離を残すシーンが多い」というコメントを残している。私が考えていたことは「第3Dの攻撃シーンがある」ということ。言い換えれば1プレーで6とか7とか8とかのヤードをゲインしていれば、第2Dのプレー終了時点でFD更新している。第3Dがある、あるいは、第3Dで距離を残すということは、1プレーの距離が短いということ。

 正直なところでは、ここ数試合は、1プレー7ヤードゲインのパワープレーを連続して・・・という気持ちがなくもない(開幕戦観戦記では5ヤード連続で十分、という意図で書いたが、欲張りになるもので・・・)
 主旨は「前半戦の対戦相手には1プレー7ヤード出ていれば、後半戦の相手でも1プレー5ヤード程度はいけるのではないか」と想像できる。しかし「現在5ヤードならば後半戦は3ヤード??ではFD更新できないかも??」という疑問がなくもない。

 現在、セーブしている力はあるのか、ないのか。ここの力の入れ具合というのだけは、外から見ているだけでは判らない。

********

 もうひとつは、今年初めてと思うが、オフェンスチームのコミュニケーションが乱れてセットできなかったシーン。第4Q最後の得点ドライブ中。ディレイの反則とタイムアウトを1回消費、その後もフォルススタートの反則が加わる。

 ここまでバタバタしたシーンは今秋初めて(?)なので、3試合で1回ならば、ままそんなこともあるとも言える。しかし、重要な試合でモメンタムを逃がさないように、今回のミスが起きた原因は何?、解決方法は?というところは明確にしておきたい。

(了)








09月28日(日) 王子スタジアム 11:20
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西学院大学1615453-0-0
神戸大学1-2-0
(現地観戦)
 
関西学院大学
神戸大学
TD 1Q
FL
1Q FL
TD 2Q
TD
FG
2Q END
3Q
TD
3Q
4Q
FG
TD
G×
RTD 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方








09月28日(日) 王子スタジアム 14:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計勝敗分
関西大学2110413-0-0
同志社大学0-3-0
(現地観戦)
 
関西大学
同志社大学
1Q
TD
1Q
2Q
FG×
FL
FG 2Q
3Q
TD
TD
TD
3Q
TD 4Q
RFL
FG
G×
END 4Q
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 関西大学オフェンスは、前節同様に#8石内が先発QBとなった。ちなみに前節は、第3Q終盤までの8シリーズを担当し、第1Qこそリズムに乗り切れなかったが、第2Q以降でパス判断も冴えてきて5シリーズ連続の得点ドライブを披露した。
 その後に出場してきたQB#14岸村は2シリーズを担当し、1TDドライブを演出しているものの攻撃リズムを乱してしまいそうなシーンもあった。もっとも僅か2シリーズなので具体的にどのようなQBパフォーマンスを披露しようとしていたのか意図を掴むには時間が少し足りない。というのが前節の関西大学オフェンスの攻撃リズムの波である。

 そして今回。この試合では、先発QB#8石内が前半の6シリーズを担当している。結果は1TD2FG機会で、ホットラインWR#2木下へのロングパスは2回も決まるものの判断に迷うシーンもあって、前節とは違って攻撃チームとしてのリズムは芳しいとは言い切れない時間帯でもあった。
 一方で、後半開始から第4Q前半まではQB#14岸村が担当し、合計5シリーズで4TDという荒稼ぎ状態。この試合の流れを決めたのはこの時間帯だった。

 この日のQB#14岸村のパフォーマンスは秀逸で、その一つは、これまでレシーバーにとって優しくないパスが多かったのだが、この試合では長短のパスがレシーバーの受けやすいポイントに決まり続けていたこと。さらに強引なキープスクランブルがなく、オフェンスバックスとの一体感があったこと。視野が広く、ある意味で落ち着いていたのだが、それは相手ディフェンスとの兼ね合いによるものなのかは不明。
 この日のQB#14岸村のパフォーマンスは、開幕戦や春の試合とは少し違っていて、過去には一人でチームのリズムを乱すシーンが多かったのだが、今回はチームに溶け込んでいた。その結果オフェンス全体の攻撃リズムが良い方向に回転して試合を支配できるようになっていく。

 このように表現すると今節のQB#8石内のパフォーマンスはまったくダメだったように聞こえるが、そういうことでもない。確かに判断に迷うシーンは前節よりも多かったが、そんな苦しい状況でもホットラインへのパスは決めている。つまり復活するための糸口・突破口はあったわけで、第3Qも引き続き起用されていれば、3回目のホットラインパス成功がきっかけになってリズムが出てくる可能性もあった。本当は1試合全部を任されることになれば、試合の中での気分の「下げ→上げ」も経験できるのですが。

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 また、第2節と第3節は、少なくとも試合の半分をQB固定しているので、時間をかけながら一体感を醸成していくことができた試合でもある。第2節はQB#8石内による時間帯で試合の流れを作り出し、第3節今節はQB#14岸村の時間帯でオフェンスリズムを作り上げている。

 昨年〜今春の試合では、スピードやプレースタイルが異なるQB#8石内と#14岸村をほぼ交互起用する形だった。いろいろなことがフラフラしてしまって、オフェンスチームに一体感が形成されない時間帯が続く。さらに一人善がりなプレーやパス精度に課題があれば、そんな状態でチームがまとまるほうがおかしい。こうして開幕戦は、これまで同様の攻撃リズムを作り上げられないバタバタした試合になった。

 先発QBの使命は、試合の雰囲気を作り上げること、そして、攻撃の起点として、その試合の勝敗に責任を持つことの2点である。
 しかし、両QBとも、これまで試合の流れを作り出すほど長時間起用されることが少なかったので、試合の雰囲気を作り出す、つまりモメンタムを作り上げて自チームに引き寄せていく過程。ハイな気分になったことでさらに集中力が高まってプレーが成功していく過程を経験できていないと思われる。成功体験をし、その成功体験の記憶から成長していくスパイラルアップがない。また、小刻みな交代のおかげで、勝敗に対する責任・試合における義務のような意識は醸成されてきていないのではないか。

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 ところで、開幕戦観戦記やシーズン展望などで書いた得点力不足も解決してきた様子が伺える。(第1節25点・3FG2TD1S)→(第2節30点・3TD3FG)→(第3節41点・5TD2FG)。
 そもそも、関西大学オフェンスが自分の攻撃リズムを作り出せなかったことによる得点力不足なので、QBとライン・バックスに一体感・リズムがでてくれば、キャリアとプレー手段は眼に見えてくるだろうと考えている。

 ということで、おそらく次節第4節は今回のような方向性でQBは起用されるはず。どちらのQBの起用時間が長くなるか、あるいは完全欠場なるかは不明だが、それらも含めた両QBのパフォーマンスが展開されるはず。
 そして、第1節〜第4節で作り上げてきたいい流れを、第5節以降でも継続して披露してくれることを期待しています。

 一観戦者として外野の無責任な立場で言えることは「オフェンスのリズムを作り出せる(攻撃リズムを乱さない)QBと、オフェンスのリズムを作り出せる(攻撃リズムを乱さない)QB起用方法による試合を観たい」という一点?二点?です。

(了?)









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