日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 



関西学院大学 秋の戦績  

○ 54− 0 同志社大学 CHART
○ 58− 0 近畿大学 CHART
○ 45− 0 神戸大学 CHART
○ 42−14 龍谷大学 CHART
○ 35− 7 京都大学 CHART
○ 17−10 関西大学 CHART
○ 21− 7 立命館大学 CHART


○ 55− 0 名城大学 CHART
○ 55−10 日本大学 CHART



富士通 秋の戦績

○ 68− 0 ハリケーンズ
○ 55− 7 明治・安田
○ 77−10 東京ガス
○ 41−13 IBM
○ 7 − 0 ノジマ

○ 65− 0 アサヒビール
○ 48−24 パナソニック
○ 27−17 オービック CHART
○ 44−10 IBM








●事前準備・富士通の試合映像調査

 今シーズン、富士通の試合を観戦したのは3試合。うち現地観戦したのは11月16日に長居キンチョウスタジアムであったパナソニック戦の1試合のみ。テレビおよびネット映像観戦したのが、JAPANXBOWLのIBM戦と準決勝のオービック戦。なお参考としてIBM対LIXILもネット映像観戦を行った。

 現地観戦したパナソニック戦では、この時点で社会人優勝を確信するような攻守圧倒したシーンだけが印象に残っている。だが、JAPANXの映像を観ると、攻撃側は相変わらず強烈なパスオフェンス&RB陣で圧倒していたが、守備側がなんか心もとないように見えてしまった。

 もっともJAPANXの試合は、序盤で相手側ミスから得点差が広がってしまったこと、さらにIBM−LIXILの試合内容(両チームディフェンス)を考慮すると、あまり参考にならないのではないかと思い、準決勝オービックとの試合映像に辿り着く。組み合わせの悪戯という言葉は正しいとは思わないが、この準決勝「富士通−オービック」のカードもハイレベルだった。



●富士通ディフェンス対関西学院大学オフェンス

 富士通ディフェンスがオービック戦のような前掛り守備だと、少なくとも関西学院大学ラン攻撃は、ほぼゲイン出来ないだろう。一方でJAPANXのような布陣だと、ランプレーでもゲイン距離を計算できそうだし、パス空間も広いように見えた。大きな違いはLBの位置だと考えている。

 関西学院大学オフェンスはパス攻撃メインにして富士通LBDBを後ろ目にすることが必須。そしてDL裏空間が空いたところでRB#40橋本やQB#11斎藤のスクランブルランが始めてゲインする。甲子園ボウルのようなランメインだけでは、さすがに前掛りになった富士通ディフェンスを崩すのは少々苦しそうだ。

 したがって、富士通ディフェンスを如何にして拡散するか、というところが大きなポイント、試合の行方を大きく左右することになる。そのためにもQB#11斎藤のパス成功率高止まりは必須。さらにパスだけでは苦しいので左右WRのモーションランとIR位置に入るRB#28鷺野のランナーレシーバー併用など、関西学院大学が得意とするところの多彩なオフェンスをテンポ良く。ノーハドルオフェンスを含めて、ある意味では関西学院大学の得意な土壌で闘える。
 そして、今シーズン、新たなレパートリーに加えられた息つく間のない短距離走(体感的には400m走)も、どこかのタイミングで披露されるはず。

 関西学院大学がパス比率を高める際に注意しておきたいのが、富士通ディフェンスDLとDBの外人両名。おそらくOLを掻い潜ってQB#11斎藤に向かってくるだろうDL#47フリンの動きを誰がどのような方法で止めるか、それとパスカバー秀逸なDB#40アディヤミとの対決を挑むか否か。

 そしておそらくこの試合のキーマンポジションは富士通LBである。ある意味では当たり前のことなのだが、LBがどのような位置でボールキャリアに絡むことが出来るか。



●富士通オフェンス対関西学院大学ディフェンス

 QB#3キャメロンがJAPANXの後半から出場していない。ここは確かに大きなポイントだが、QB#12平本、#18出原、そして大阪教育大学#15吉村によるオフェンス組み立ても、QB#3キャメロンの場合と、ほぼ同じスタイル、つまり、WR重視になっている様子。
 それは多彩なレシーバー陣を有効活用するためだろう、とにかくWR陣は綺羅星のアスリートが並んでいる。
 WR#81中村は日本大学時代からスピードあるアスリート振りを発揮しカンの良いターゲットである。WR#22宜本は立命館大学時代から器用なターゲットとしてフィールドを縦横無尽に走り回る。関西学院大学にも当時の記録と対処方法は残っているだろうが「要注意人物」というマークも付いているはず。
 さらに関西大学時代はTEだったWR#1強は、富士通ではORも担当、身体サイズを生かして安定感のあるパスターゲットとなった。学生時代からここ1番のシーンでの集中力がすごい。そして#17秋山は関西学院大学出身、長身高速ターゲットは健在である。このようなに綺羅星ターゲットが揃っているので富士通オフェンススタイルは、どちらかと言えばパス中心の組み立てになりそう。

 さらに、RB陣もRB#29ゴードンと#20高野橋というメンバーが揃う。スピードがあって走路を見極める嗅覚も鋭く、タックルミスはビッグゲインにつながる。ただし、QBがいずれもパスQBであってスクランブルの脅威が少ないことを考えると、ランプレーと判っているならば、なんとか対応できる???

 さて、昨年のライスボウルでは、オービックが第2Q以降中央ランドライブを繰り返して圧勝した。関西学院大学守備の弱点を見事に攻略したゲームプランだったのだが、それは、甲子園ボウルの対日本大学の試合でも露呈していた。オービックがそのシーンを観てライスボウル用のプランに組み込んだのか、それとも別経路によるのか、厳密には、不明ではある。だが「甲子園ボウルにおいて関西学院大学側が世間に弱点を示した」という点では正しい。

 それを踏まえて、今回ライスボウルのために改めて甲子園ボウルの映像を見直してみた。甲子園ボウルにおいて関西学院大学守備は何らかのウイークポイントを示してしまっただろうか。私の考えとしては「パス守備(DB間の連携)が心もとないことを示してしまっている」と思っている。

 なお、少し脱線するが、甲子園ボウル観戦記で「第4Q勝負になる試合展開が思いつかない」と書いたが、第4Q勝負になる試合展開は、ひとつだけだが可能性があったので、触れておく。
 第4Qまでもつれる拮抗した試合展開、「拮抗」も2種類あって、ロースコア(14−10)の場合とハイスコア(42−35)での拮抗と。そして、今回の甲子園ボウルではハイスコアでの拮抗した試合展開の可能性が、あった。
 関西学院大学のハイスコアリングはランゲインによるもの。そして日本大学がハイスコアゲームに持ち込む可能性は、WR#22、#25と他のレシーバーによるパスオフェンスが効果的だったとき。
 そして、実際にそのような試合展開にならなっかのは、関西学院大学が大量先行したため。そして、日本大学が先行しなかったため。

 ということで、「甲子園ボウルで脆さが出たか」に対しては、「出た」ということになる。それが富士通オフェンスの得意とするところのパスオフェンスだというところが、少々、気がかりなポイントではある。この観点からも富士通はQBに誰を起用するかというところは試合の行方を占う上でのもう一つのポイントになる。



●結論

 富士通オフェンスQBによって試合展開は若干変化しそうだが、いずれにしても、対社会人において、関西学院大学デイフェンスはある程度の失点は免れないだろう。それに見合う以上の得点を関西学院大学オフェンスが叩き出せるか。そして、脆さを露呈したパスデイフェンスは、その後の修正と集中力でカバーできるか。

 おそらく、お互いに4〜5TD程度のハイスコアリングゲームになるのではないか、つまり、ギリギリではあるが、今年は学生代表・関西学院大学にもチャンスはある、と考えている。

(了)