関西学生アメリカンフットボール Div.1 シーズン展望

Updated, 2011 Jul. 24 at 00:36 JST. (今春の成績)
Updated, 2011 Aug. 21 at 01:00 JST. (京大神戸甲南龍谷)
Updated, 2011 Aug. 25 at 02:09 JST. (立命関学)
Updated, 2011 Aug. 28 at 14:29 JST. (関大同大)



リーグ戦表へ 



立命館大学・関西学院大学・関西大学・京都大学・神戸大学・甲南大学・同志社大学・龍谷大学









立命館大学
(今春の試合結果) ○30−10同志社・○45− 0関西大・○31−14南山大・○23−12京都大
○65− 0大院大・○24−10早稲田・○59− 0東海大・○10− 7大産大
○17− 0パナ電



 昨年の立命館大学は、関西学生3校優勝のプレーオフを制し、西日本学生代表として甲子園ボウルに出場、2年ぶり7回目の学生日本一となった。対学生での唯一の黒星は、リーグ戦での対関西大学(15−17)。獲得TD数は同数だったがPATでの点数での黒星、この試合は昨年のベストゲームだが、公共映像が残っていない。しかし今年は、rtvがほぼ全試合を中継するそうなので、全ての試合で何かしらの映像が残ることになるのは嬉しいことだ。
 今春観戦したのは関大戦と京大戦の2試合。神戸ボウルも観戦する予定だったのだが、雨天だったこともあって欠席してしまった。そして欠席したもう一つの理由が、映像が残るなら・・・というところ。現地試合観戦の集客UPなるかという点で、賛否両論諸刃の剣という考え方になると思うが、何よりも最初は、ローコスト(旅費・時間・歩数など)でアメリカンフットボールに触れてもらうことが最優先だと思います。その一つの手段としてのネットでの無料映像中継は賛成です。ただし、ここに企業が出てきて有料放送となると賛否の分かれるところで・・・(以下省略)

「立命館大学つながり」でrtvによる「ほぼ全試合放送」の話へ逸れてしまいましたが、本題である立命館大学パンサーズについて以下に記載します。

********

 オフェンスのキーとなるOLは、昨年メンバーから入れ替えはあるものの、ここ数年、最終的には形にしてきているくる。それもサイズパワーを伴ってのもので春の倍返しの様相である。毎年コンスタントにこの傾向が続くということはチーム内にOL育成システムが備わっている証であり、今年も、この部分は大きくは変化しないだろう。昨年リーグ戦でも活躍した#70山口、#66北野に、今年は、#75馬場、#77藤井、#73坂口、#76木下などが新メンバーとして加わる。

 RB陣は、#3川端、#20北川、#33東松の4年生トリオが健在。今春試合出場経験は、もしかしたらRB#3川端だけかもしれないが、昨年までの経験値もあり、秋本番ではスピードだけでなくタックルポイントを外しながら走り回るテクニックを披露してくれることだろう。
 そして今春の試合で活躍したのが2年生RB#21井上、#29長山の両名。ともにスピードが身上だが、そこにランテクニックがどのように上乗せされていくか、シーズン途中での成長からも目が離せない。これらRBとOLによるパワープレーだけで、ポジションを進めて行くことが出来るチームであり、対戦相手としては、どのようにOLRBを処理すべきか、悩みの多いところだろう。

 レシーバーでは、WR#83岡部・#2宜本・#11頓花、#88今津、TE#89安藤など。ディープターゲット専任が存在しないが、いずれもマルチの器用なパスターゲットばかり。WR#11頓花とTE#89安藤は大型ターゲットでQBにとっては安心感のあるターゲット、WR#2宜本はディフェンスの隙間をすり抜けるテクニックと正確なハンドリングテクニックが秀逸で、QBの少々の投げミスをカバーするレシーブレンジの広さが光る。タレントは豊富だが、今年も新たなパスターゲットが出現することになるのだろう。

 QBは#15谷口が最上級生となって文字通りオフェンスの中心となっていく。チームのオフェンススタイルはパスとRBランそして自身のキープという組合せになる。ダイナミックなキープランはFB兼務の様相を呈するが、万が一の負傷の可能性を考慮するとプレーとして使用されるのは後半戦からになるか。
 一方で、パスだが、春の試合ではインサイドミドルレンジは成功率が高かったが、コーナーへのロングパスは成功率が低いというように、パスコースによって成否のムラが激しかった。ひと夏越えてパス精度がどのくらい上達しているか、ここは楽しみな部分である。
 バックアップQBには3年生#12荒木が存在する。来年のことを考慮すると今シーズンは試合出場機会が増えていくことになりそうだ。どのようなオフェンススタイルになるか、そしてQB#15谷口のスタイルとどのように融合していくのか、この部分も、少々、興味がある。

 以上のオフェンス陣による攻撃だが、まず、OL+RBQBのランプレーは、ライン&RBのスキル&フィジカル諸々を併せて考えると、完璧なランオフェンスユニットになりそう。ここにパス精度向上が加わったなら、このオフェンスチームはなかなか攻略できない、のだろうか。どのポジションを見ても完成したオフェンスチームのように見えるのだが、強いてウイークポイントを挙げるとすれば、どこだろうか。

 やはりQB#15谷口のパス精度が接戦時にはキーを握ることになるだろう。強烈なスピードのあるDLLBを相手にした時の、パス判断スクランブル判断等々。まずはOLがライン戦で勝利するか否かが最大ポイントであることはいうまでもない。そして次は、様々なパスコースにパスヒットするのか、固定コースのみなのか。あるいは、捨てパスを見せる余裕のあるプレーコールも出てくるのであれば、少々のパスミスは帳消しになる。
 完璧ランオフェンスユニットに対抗する策については、パワー対決ライン戦で正面激突するという考え方が、まず最初に思い浮かぶ。次に思い浮かぶ手段もあるのだが、正直なところ、私の頭が考えたものではないので、記載省略します。

 対戦相手視点での狙い目は、ロースコアの試合展開にして、今春経験したことのない領域へ立命館大学オフェンスチームを引きずり込むことだが、そのためには、強力なディフェンスチームが必要になる。今年の関西学生他の7チームを見たときに、可能性のあるチームを探していくことになるが・・・。

********

 ディフェンスは、DLでは#95山本、#6藤井、#44武知などが昨年経験者、ここに#54神山、#91谷本などが加わる。破壊力では、2年#44武知の爆発ぶりに目がいくが、#95山本、#6藤井の冷静堅実なプレーがあってこそのもので、タイプの異なる選手が揃っていて結果的に安定感が増す、そんなディフェンスラインである。さらに高さもあるのでDLによるパスカットシーンも増えてくるだろう

 LBは主将OLB#10名倉、#47谷腰、ILB#52猪野、OLB#69太田などが今春試合で出場したメンバーになる。先発メンバーで言えば昨年の選手構成から3名入れ替わりになるが、昨年リーグ戦でも試合出場経験はある。突進力破壊力では3人とも高い位置で均一化していて、文字通りディフェンスの核になる資質は十分備わっている。
 DBの今春試合先発選手も#35柘植、#7水澤、#13石井など昨年リーグ戦経験者が多い。S#35柘植は嗅覚判断力が際立ってて最終列セイフティにふさわしい。そしてCB#13石井は2年生ながら立命館大学CBのエース番号#13を背負うアスリート。

 さて、このような立命館大学ディフェンスを対戦相手視点で見たときに攻略できそうなポイントはあるのか。やはり、今年もミドルレンジのパスディフェンスということになるか。
 今春の試合を見ると、ディフェンスにとって窮地に陥った試合は、少ない。社会人電工戦もワールドカップ開催目前ということもあって、さらに、雨天の試合ということもあって、パスディフェンス云々を言うほどにはならなかった。強いてあげるとすれば、早稲田大学戦??(rtvの映像をもう一度見てみようと思っている)

 ディフェンスが接戦を経験していないことと、ミドルレンジのパスに晒されなかったことの経験不足が、強いてあげるウイークポイントになるか。LBメンバーの先発メイン起用は今シーズンから。DBは昨年試合経験はあるが、それならば、昨年のパスディフェンスからの上乗せ分があるか。

********

 今年の立命館大学攻守の陣容および春の戦績内容を見ていると、他の7チームよりも少し完成度が高いように思う。さらに、ポジションによっては選手層も厚くバックアップメンバーには事欠かない状態で、優勝争いという点では若干リードしているかも。立命館大学視点に立てば、連覇達成が、目標となるのは間違いない。

 では、このような立命館大学チームに死角はないのだろうか。上記したように、競った試合を行っていないことの経験不足、いざというときの対応方法(タイムアウトの取り方・時計の止め方)についてなどのゲームクロックマネジメントの部分がポイントになるのだろうか。確かに10年くらい前の立命館大学ならば、このような観点でも十分に注目ポイントになっていたのだが、例えば、昨年の競った試合、関西大学戦や関西学院大学戦を見ていても、特別に手際の悪さを感じた部分はないので、今年も昨年同様の緻密なクロックマネジメントを行うことになりそうだ。

 春の試合、京都大学戦、早稲田大学戦ともオフェンス得点が低調に見えるが、これは真の姿なのか、春の練習試合の一環として様々なメンバーが出場した結果なのか、だとすれば、それは、ロースコア僅差の試合のための攻守の練習の意味があったのか、なかったのか。このように山のようなデータの中から本当のウイークポイントを探っていくことになる。



************************



関西学院大学
(今春の試合結果) ○28− 7大産大・○23− 7日本大・○31− 7関西大・△ 7− 7近畿大
○30− 7京都大・○37− 0日体大・○24−14慶應大・○22− 14明治大
○66− 7桃院大・○44− 0西南学・○52− 0大院大



 昨年は3ぶりに関西学生優勝を果たすも3校同率でのもので、プレーオフで敗退し甲子園への道が3年連続で途絶えている。つまり2007年が最後の甲子園ボウル(@長居)出場なので、現在のチームに甲子園ボウル経験者はいない。今年のチームはどのような成績を残すことになるのか。

 今春観戦したのは全5試合。一般的に春の試合は、成長&経験を重ねるための貴重な試合なのだが、日本大学、関西大学、京都大学戦ともに対戦相手の調整モードに付き合うような試合展開ばかりで、関西学院大学側の課題あぶり出しに役立ったシーンは少ない。あるいは課題をあぶりだせないように対戦相手が仕組んだのかと思わせるほどの徹底振りだった。したがって、5月の試合結果は参考程度にしかなりえない、というのが私の観戦した印象である。
 そして6月の慶應義塾大学戦・明治大学戦が僅差の試合になりかけたのは、対戦相手が全力で向かってきたからに他ならない。JV戦では得点を重ねて完封勝利するものの、所詮JVである。春の試合内容&結果をどのように眺めていくべきか、悩ましいところである。

********

 今年のオフェンスはQBは#11糟谷をメインに据えたチームになることは間違いないが、春のほとんどの試合は3年生QB#18畑が先発し、そして、フル出場した試合が多い。QB#11糟谷がスターター出場なったのは6月のトップチーム最終戦明治大学戦だったが、関西学院大学ペースの試合に展開を作り上げたのは試合後半出場したQB#18畑による。この試合では明らかに、QB#11糟谷よりもQB#18畑による攻撃のほうがリズムがあったのも事実。その後、QB#11糟谷も7月のNEWERAでクイックパス中心にオフェンス大黒柱として活躍し、ようやく、昨秋のケガから本格復帰となった。

 このような経緯を踏まえての今秋リーグ戦だが、リーグ戦主戦QBは冒頭に記したようにQB#11糟谷になるが、課題はQB#11糟谷によるオフェンスチームになったか、具体的にはNEWERAで関大レシーバー相手にショートパスを決めていたコンビネーションが、チーム内WRTE間で整備されたか、という部分になる。
 もっとも、復帰して3ヶ月以上経過しているので、QBWR間コンビネーションは完璧熟成している、と考えるべきだが、もしかしたら、秋序盤のいくつかの試合ではWRとの連携を確認する試合になってしまうかも。ここが今年の関西学院大学オフェンスにとっての注目ポイントの一つになるだろう。
 そしてバックアップQBは#18畑。レシーバーのコンビネーションが試合を重ねるごとに向上していき、さらに攻撃の指揮という点でも明治大学戦勝利に導いたパフォーマンスは要注目。関西学生8チーム中では最強のバックアップQBと言える。

 バックスでの話題は、4月の日本大学戦でRB#43望月がパワーランナーとして出場したシーンが衝撃的だった。そして試合を重ねるごとにプレー開始前のセット位置がラインから少しずつ離れていく。OLとともになだれ込むようなパワーランナーというよりは、TB位置から縦突破を狙うパワーランナーへと変貌を遂げた。
 RB陣はパワー系#43望月、そして#20坪谷、#2野々垣、#31尾嶋、#47兵田、そして1年生#28鷺野などが今春の試合で出場している。昨年後半戦で活躍した#31尾嶋のプレー機会は今春トップチームではごく少数、さらに主将#7松岡はプレー機会なしだが、ランプレーバリエーションはどのようになるか。ショベル&スクリーンの担い手は、#7松岡オンリーになるのか、そのあたりも気になるところだ。もっとも近年はディフェンスチーム側でもショベル・スクリーンに対しては完全に対策できているので、以前のようには、ビッグゲインメーカーとしては機能しない可能性も高い。

 パスターゲットでは、WR#87小山、#16和田、そしてFL#80南本などが今年のメインターゲットになる。いずれもフルレンジ&種々コースをカバーできる器用なレシーバーである。中でもWR#16和田への20ヤード程度のミドルインのパスは芸術的。走るコースが左から右/右から左にクロスするのでDB特にSが振り回される可能性もある。反対に、接戦の試合終盤では、相手ディフェンスもこのWR#16和田へのミドルパスは、警戒してくる確率は高い。それでもQBはパスを投げ込むか、DBパスディフェンスがカットするか、この攻守攻防は、今年の関西学院大学戦勝敗の行方を大きく左右するポイントになるだろう。

 他のレシーバーでは、SE#9梅本のスピードに注目、さらに大型サイズTE#85榎の存在など。そして1年生WR大園も今春の慶應義塾大学戦でスピードと高さを披露してパスキャッチ2回を記録しているので注目しておきたい。なお、ロングパスはいずれも右SE縦という印象だが、あくまでも印象であって集計していません。

 以上のバックス陣によるランとパスの成否は、全てOLの整備状況によるが、RB#43望月、#20坪谷、#2野々垣が中央ラン突破できなかった京都大学戦や明治大学戦が印象に残る。パワー対決となった京都大学戦ではホールディング反則ロスを繰り返したシーンもあり、明治大学戦では最終的にはパスと時間消費も加わった総合的なゲームメイクによって白星獲得となったが、安心していいのか微妙なところ。
 そのOL陣は、#57谷山、#58小林、#71和田などの昨年メンバーに、#73木村、#79友國という2年生が加わって今年のラインズを構成する。
 春序盤はランプレー主体の攻撃スタイルでライン整備を試みていたが、その後、昨年まで同様にパスメインに路線変更なったか。ひと夏経過して、関西学院大学オフェンスのプレーバランスに変化があったか否か、興味のあるポイントである。

********

 ディフェンスメンバーは、DLが昨年のメンバーがほぼ残るが、LBとDBは世代交代が激しいポジションである。

 その中でDBは、#23保宗や#25大森、#34高など新しいメンバーがスターターの座を獲得、特にパスディフェンスにおいては、パスインターセプトを量産(トップチーム5試合9回)、まさにDBの嗅覚と運動量判断のポテンシャルの高さを示すバロメータであり、攻撃チームから見たときのこのDB陣は悩みの種になりそうだ。昨年までの経験者、#4香山、#12重田や今春LB起用されている#8池田も健在で、選手層の厚いポジションになってきている。

 一方でLBは、3年生#41川端、#59前川やDBからコンバートされた2年生#8池田、#56阪本などが、春の試合でスタートメンバーとして出場している。昨年までトップチームでの試合経験が少ないこともあってか、今春のいずれの試合でLB陣が活躍したシーンが印象に残っていない。
 今春の試合でも選手層の厚くなったDBから#8池田がコンバートされ、昨年OLBを経験した#4香山もDBLB両睨みで起用されていた。春の経験にひと夏の成長分をプラスして秋再登場となるのだが、もしかしたら新しい選手の台頭があるかも。ディフェンスの頭脳となるLB陣をどのように構築してくるか、興味深いポイントである。

 DLは#98長島、#90梶原、#93池永と昨年もメインで出場した選手が残り、さらに#69岸、#99朝倉などバックアップメンバーもスターターメンバーと遜色はない。
 今春のDLによるQBサックシーンは京都大学戦3回、明治大学戦2回、(他戦計2回)。この2試合とも接戦僅差になりそうな試合展開でのパスシチュエーションに狙いを定めたQBサックを見舞ってDLの存在感をアピールしてゲームコントロールした。

 DLの懸案事項の一つ目は、スターター4名の枠は埋まっているが、負傷欠場時のバックアップメンバーが成長しているか、少々気になるところだが、ひと夏超えて若い世代から新メンバーが登場してくるのを楽しみにしています。
 そして懸案事項の2個目、それは、2007年の長居での立命館大学戦あたりから見られるようになった中央突破1プレー10ヤード喪失というシーン。今春も、京都大学戦・日本大学戦、明治大学戦などなど、中央突破のランで切り崩されたシーンが多かった。今秋再登場するディフェンスチームは、この課題をどの程度克服できただろうか。
 もしもリーグ戦前半戦でも中央ラン突破されてビッグロスが続くようであれば、シーズン後半戦は、維持できないかも。DLがコントロールされLBが成長していないとなると、どの対戦相手も中のランプレーを執拗に繰り返すことになっても不思議ではない。この傾向が顕著になって数年が経過するが、そろそろ積極的に狙ってくるチームがあってもいい。そして、そろそろ、関西学院大学ディフェンスチームに対策があってもいい。この部分は、チームの試合展開・ゲームプランを大きく左右することになるのは間違いないだろう。

********

 オフェンスはRBによる中央ランプレーでゲインできず、一方でディフェンスは中央ラン突破でゲインされまくる状態。春終盤の数試合で見られたシーンだったが、この苦しい状態を、ディフェンスDLの前掛かりな守備とDBパスディフェンスで切り抜け、パスオフェンスとタイムコントロールで勝利に辿りつく。関西学院大学の底力を見た、とも言える。

 攻守ともにランプレーに課題があり、一方でパス攻撃はターゲットが多彩でタレントが揃い、パスディフェンスでもDB陣の反応がいい。ランとパスでは好対照なところが近年の関西学院大学チームの特徴になっている。
 春を見た限りでは、昨年までの傾向を踏襲しているような印象なので、その延長線上ならば、少なくとも後半戦は昨年同様の試合展開・接戦続きになるかもしれない。あるいは、何か大きな変革があるのだろうか。どのような解決策を持って秋シーズンに臨むか、ここの策の効果がシーズン結果を左右することになりそうだ。



************************



関西大学
(今春の試合結果) ● 3−10桃院大・●13−35法政大・● 0−45立命館・● 3−16龍谷大
● 7−31関学大・●29−38早稲田・○14−13パナ電



 今年の関西大学はチーム史上初のリーグ3連覇を狙う大事なシーズンを迎える(過去の連覇は昭和22年度シーズン〜23年度シーズン)。一般的な話だが、2連覇は前年に活躍していた選手がある程度残っていればなんとか達成は可能で、昨年の2連覇も攻守各ポジションでそのような傾向がある。QBなど一部ポジションは、すでに昨年から試行錯誤しながらのシーズンだったが、初年度選手との連携が実って連覇達成となった。

 だが、3連覇を目指すとなると、初年度メンバーはほとんど卒業してしまい、かなりの選手の入れ替わりが起きいて、全く別のチームになってしまう。そして、それでもリーグ戦を勝ち抜けるとなれば、それはチームに選手育成システムが整ってきたことになる。つまり、今年のチーム成績は関西大学チームスタッフののポテンシャルを測定する意味でも重要なシーズンになる。

 ところが、現役選手、特に今年の4年生3年生にとっては、入学当初に「リーグ優勝」を達成することに対してどこまで具体的なイメージ・ストーリーを持っていたかわからないが、なぜか「リーグ優勝」が2年も連続してしまい、そして今年はチーム史上初になるかという重責を背負わされることになってしまった。周囲の期待は膨らむ一方で「そんなつもりではなかった・・」という考え方も、もしかしたら、あったかもしれない。
 だが、春序盤シーズンから試合を重ねるごとにそんな考えが払拭され、チームスタッフの指導方針が少しずつ浸透していった約半年間、そして、その集大成となるリーグ戦を迎えることになる。

 今年のチームも春から様々な試行錯誤が続いた。6月の電工戦はその時点での戦力で試合勝利に結びつけたが、今年の最終形状はないはず。その後も試行錯誤と整備が続いて、秋開幕戦を迎えることになるが、そのリーグ戦途中にも細かい変化が加わっていくはず。確固たる年間ストーリーの中で繰り広げられている「変化」を楽しみにしています。(私が、その変化を捉えることが出来るか否か、私自身に興味のあるところです。)

********

 今年のオフェンスだが、QBは#19井上が担当することになる。昨年も春シーズンは盛んに起用されていて、秋の主戦QBかと思わせたが、シーズン開幕してみればQB池井という隠し玉があった。
 しかし、今年は、QB#19井上によるシーズンになる。確かに春の試合ではQB#7高崎、QB#92北川という攻撃シリーズもあり、さらにWR#18岡にもQB経験はあるので、今年も隠し玉??ということも考えられなくもない。だが、プレーオフ発生などチーム総力戦という状況にならない限りは、あってもサプライズ的なワンポイント起用まで。オフェンス方針はQB井上のスタイルでプランを立てていくことになる。そしてバックアップメンバーは選手層が厚く、問題はない。

 QB#19井上のプレーについて、昨春の試合からの成長の足跡を見てきたことになるのだが、試合経験を重ねるごとにオフェンスリーダとしての風格が備わってきている。試合中、サイドラインベンチにおいて次の攻撃シリーズに備えてミーティングをするのだが、その中心で指示を出す姿がまさしく攻撃の司令塔としての姿になってきた。
 今春の試合で最も強烈なインパクトがあったのが早稲田大学戦。OLWRとの連携良くスムーズにパスを決めて、点を取るべき攻撃シリーズで確実にモノにしていた姿が印象に残る。

 そして攻撃のキーとなるOLだが、今年のオフェンスチーム各ポジションで選手交代に悩んでいる状態にある中で、比較的世代交代がスムーズに行われ入れ代わりが順調なポジションである。4年生#79大旗、#72西田、#59抱、3年生#51五ノ井、#56林田、#76吉川、2年生#57阪口、1年生#64向井など昨年リーグ戦や今春の試合で経験をかさねている。そして春終盤の試合ではQBとの連携も完璧でロールアウトしたQBに1名以上のライン確実にフォローするなど自由自在な対応を見せている。秋再登場では大型サイズながら動けるラインろなって登場してくることだろう。

 RB陣は、FB#33森重、TB#26井角、#21松谷、#20中島、そしてパワー系FB&TB担当#99宗實。日本代表候補2年生#22前田がクローズアップされていて、確かにそのスピードは驚異的だが、一人のランナーでリーグ戦を勝ち抜けるほど関西学生リーグは甘くない。。関学戦ではTE#2高木がTBを担当したのは、TEとしてのブロックの役割を知るためのものか、それともRB兼務を狙ったものか。そして、電工戦ではOLとFBTBによる中央突破ランのパワープレーでドライブを重ねていたのが印象に残る。選手層は厚い。

 レシーバーではWR#18岡、#17長島、#7高崎、そしてTE#86平山、#2高木が今春試合出場したメンバーであり、NEWERAでもBLUEチームのパスターゲットとして確実なハンドリングを見せていた。ショートミドルのターゲットとして#18岡とTE#86平山、ミドルレンジ以上を#17長島と#7高崎が担当することになるだろう。
 #18岡は試合経験豊富でLBDBの隙間に入り込むのが得意な器用なレシーバー、#86平山はその大型サイズを生かして文字どおりのビッグターゲットとしてレシーバーの重責を担う。WR#17長島と#7高崎はスピードがあってSEとしてロングターゲット、一発TDのパスキャッチを見せてくれるはずで、注目しておきたい。

 パスで印象に残る試合といえば、上記の早稲田大学戦。黒星敗戦にはなったが、パスを繋いだテンポアップした攻撃を見せて3TDを獲得しているのが印象的。反対に電工戦でランプレーが際立ったのは、パス成功率が悪かったことの裏返しであり、パス成功率に試合毎?のムラがあるかもしれない。もちろん相手ラインとのライン戦結果も影響するので、すべてがQBWRの関係だけではない。むしろ、ランでもパスでも、その日の調子のいいほうで攻撃ドライブできるという考え方もできる器用なオフェンスになったと見るべきかも。なお、6月中旬に関東地方の社会人と非公式&非公開の試合を行っていて、電工戦同様にロースコアながらも1点差勝利しているらしい。

********

 ディフェンスはDL#98石田と#94上田が今春の試合にほとんど出場しなかったこともあって、いろいろと経験を重ねたポジション選手が多い。こうした取り組みの中から、今年もDLLBの世代交代と新たな取り組みの可能性が見え隠れしている。
 そのDLは、#68清家、#91池井、#10小林が台頭してきて、NEWERAでもBLUEチームのDLの大黒柱となって活躍、関西を代表する選手になる日も近い。さらに2年生#74藤原、#96澤田、#43鈴木、1年生#91新川など若手選手含めて成長してきていて、選手層は厚く、次代のメンバーにも事欠かない状態だ。
 昨年も活躍していた#68清家はほとんどの試合時間で出場していて文字通りDLの中核を担う。2年生DE#10小林は、ある試合後半でサイドラインに下がっていたのだが、フィールド内に戻っただけで試合の流れを変えてしまった存在感のあるDEになってきた。さらに他の2年生の中でもスターターに就こうかというくらハイレベルな争いになっている。ここに今春出場機会の少なかった#98石田と#94上田が復帰すれば、鉄壁DLは完成する。

 LBは、昨年同様に今春もポジションチェンジ含めて試行錯誤が続いた。その間の出場選手は#4谷、#44島津、#47井上、#12金部、そして1年生#45林など、昨年までの経験者も存在するが、今春初めて経験するポジションだったり初スタメン選手も存在というばらつきの大きいポジションである。
 その課題は昨年に引き続き、ILBの目を育てることだったと思う。ILBというポジションはオフェンスにおけるQBと同じで司令塔の役目を果たすことになる。秋本番、誰がILBのポジションに就くのか、私的には、いくつかの案があるが、それを挙げるのは止めておく。だが、春シーズンILBとして見えた風景を秋シーズンで還元しながらディフェンス全体をリードしていかなければならない。これは必須事項になる。

 NEWERAではOLB#4谷が2回のインターセプトでMVPを獲得、それ以外の試合でも昨年までの経験値にさらに磨きのかかった鋭い反応を示したいた。#12金部は今春私の観戦ではほとんど見る機会がなかったが、そのスピードは秀逸。そして#44島津と#47井上が今シーズンからのスタートメンバーとして名を連ねる。さらに1年生#45(36,39)林は、関西学院大学戦でOLBとして起用されてソロタックルを決め、電工戦ではILBも担当、いずれのポジションでも1年生らしくない嗅覚は際立っていた。

 DBは、#1砂川、#11中谷(祐)、#3平井、#30中谷(祥)など。今春の試合、関西大学ディフェンスはLBDB全体で連携がとれていなかったような試合がいくつかある。お互いに見合ったりタックルミスあり・・。CBのロングパスターゲットへのカバーディフェンス含めて、経験者が多い中で経験値が実戦で見えなかったポジションだが、さて秋本番ではいかに。

 ディフェンス全体で見れば、早稲田大学戦は散々だったが、電工戦では鉄壁ゴール前ディフェンスを披露してディフェンス失点を2FGに抑えている。これは一昨年あたりから続く関西大学ディフェンスのストーリーと同じで、相手オフェンスチームにはゲインできるように思わせておいて時間を使わせるものの、最終的には最悪でも3点しか与えない、というもの。
 この鉄壁ストーリーが再現したことで今年もディフェンススタイルは確立した、といっても良いだろう。それも試行錯誤中のメンバー構成でありながら、つまり、DLはベストメンバーでないにもかかわらず、というところが、反対の意味で、本当の姿が見えてきていない。秋本番どのようなパフォーマンスを披露してくれるのか、とても楽しみである。

********

 関西大学の春シーズンは、ここ数年、様々な選手を様々なポジションで起用して、視点を広げ経験値を重ねるという傾向が続く。トップメンバーだけで試合を行うと来年以降に繋がらない、かといって秋シーズンに来年の選手を起用できるかどうか対戦相手との戦力均衡度合いは秋にならないとわからないのであれば、春シーズンで来年以降を見据えた選手器用になるのは当然。今年もいくつかのポジションでは、今年と来年を両睨みした選手起用方法が続いた。
 関西学院大学戦でディフェンスフォーメーション3−4を試みたあたりは、いろいろとデータ収集できたのではないだろうか。そんな取り組み方を見るのも春の楽しみ方の一つになる。春シーズン、結局、勝敗に固執した試合というのは、おそらく6月の電工戦が最初で最後ではないだろうか(もしかしたら前週の早稲田大学戦も??)チームを応援する外野から見ると、物足りなさを感じるかもしれないが、全ては秋の戦い方を検討するためのデータ収集でありポジション適正を見たり、視野を広げるために必要なものばかりである。

 ディフェンスはバックスの連携、攻撃ではQBWRのパス精度が春の課題だったが、春終盤には上昇ベクトルを描いていた、その延長線を想像して秋本番になるのではれば、今年も上位争い以上の可能性は十分に高い。
 今年の選手による今年の戦い方でリーグ戦各試合に臨むことになるが、一つ一つの試合を大切にしていく、全て同じ重さ、一つの積み重ね、という考え方は、この連覇を達成する中で刻み込まれたはず。当面は関係のない過去の歴史に惑わされることなく、今年のチームとして試合に臨んでいくスタイルが貫かれるならば、終わってみれば、歴史の新たな一ページが加わっていた、そんなシーズンにしてほしい。期待しています。



************************



京都大学
(今春の試合結果) ○14− 0龍谷大・●12−23立命館・● 7−30関学大
○35−13東京大・●10−42日本大

 昨年は4勝3敗で4位という成績。コンスタントに中位を維持しているが、ここから上へ突き抜けない。かつては三強の一つを担っていた時期もあったが、関西大学の台頭によって、その座を奪われた格好になってしまっている。
 今年こそは上位進出をしたいところだが、春の試合では東西トップレベルの対戦相手には黒星が続く。だが関西学院大学戦では先発QBがバックアップ2年生#19小原だったりと、いろいろと試みがあったのも事実なので、試合結果ではなく試合内容を見ていきたい。ひと夏経過して上乗せ分に期待しています。

********

 オフェンスは4年生QB#17今村が2年目のシーズンを迎える。オフェンススタイルは今年もセットバック体型からパスとランのバランスアタックを展開することになるが、QB#17今村のパス判断とスクランブルタイミングとコースを含め、昨年来いろいろと経験を重ねてきて、いよいよ最終学年となった。バックアップQBには5月岡山での関西学院大学戦で先発出場した#19小原が控えている。

 OLは#65駒井、#57上森、#56藤本などの昨年経験者に、#77岡田、#79西本、#72山内などが加わって今春の試合のメンバーとなった。今年も京都大学らしい大型ラインを構成することになりそうだ。例年通りラインパワーが炸裂した関西学院大学戦と、立命館大学DLトップメンバーに対してもラインとしての役割を果たせていたシーンは記憶に残る。

 RBはTB#21高木のスピードランとFB#33田原、#34安河内のパワープレーによる。関西学院大学戦ではOLパワーブロックとFBTBの連携プレーによって中央突破ラン1回10ヤードゲインというシーンが続いた。このパワープレーは、今年も多くの対戦相手に通用することになるだろう。

 レシーバーではWRは#1上廣と#8薮田、#81杉本、TE#87畠野など。ミドル担当TE#87畠野、ディープも担当#1上廣、#8薮田という分担で、特に大型TE#87畠野の存在はオフェンスキーとなる。もっとも、パスプレーは水物で、春最終戦日本大学戦ではパス失敗が続いてオフェンスリズムを壊してしまったのはマイナスなイメージである。

 ショットガンスタイルが全盛な昨今、京都大学だけは、セットバックスタイルを貫き通している。そしてセットバック体型から繰り出す攻撃バリエーションには、奇をてらったものはなく、単純にパスとランの組合せだけである。TB#21高木スピード、FB#33田原、#34安河内のパワーラン、そしてQB#17今村キープ、さらに、TEWRへのミドルパスとクイックパス。プレー種類は少ないかもしれないが、組み合わせる工夫をすれば十分に対抗できるところを、5月の立命戦と関学戦で示している。

 ただし今春の試合における獲得得点は、東京大学戦を除くと2TD14点付近が最大到達点になっている。春の試合なのでパス練習→パス失敗という攻撃シリーズもあるので得点数そのものは参考程度に見ておくべきであろう。だが、実際に得点したシーンを見ると、やはり、ショートゲインの積み重ねによるロングドライブの結果の得点となっていて、試合時間を消費することになる。
 これはここ数年続く京都大学オフェンスの特徴で、今年もその系譜に従って、結果的にはロースコアの試合が多くなりそうだ。したがって、得点できるシーンでは最低でも3点、できることならば7点を確実に獲得して積み重ねていきたい。

 今春はパス精度に関してWRハンドリングミスやQBWR連携不一致な試合など、いまひとつかみ合わせが悪かったが、そのあたりの精度向上も得点を増やしていく一つの方法になる。さて、ひと夏を経過してその成果は、いかに。楽しみにしています。

********

 ディフェンスは、DL#92徳原、#91畠中、#98森田、#94柴田、#5番矢という昨年も活躍したの鉄壁ラインメンが健在で、#92徳原を筆頭に破壊力を誇示することになりそう。さらに2年生柴田などメンバー豊富になってきた。春の試合ではそのスピード&パワーをセーブしていた様子も伺えるが、昨年実績を踏まえると、今年も軽量OLであれば簡単にコントロールして突破していくことになりそうだ。
 さらにラインズ4名とも長身で高さがあり、春の試合でもQBのパスを叩き落すシーンを見る機会があった。相手QBから見ると、何度か叩き落されると、その後はパスコントロールが乱れてきたりパスを躊躇することになるかも。存在だけでも脅威をあたえるラインメンである。

 LBは関西を代表できるLBに成長してきた#84福田を筆頭に、#41巌、#48白石など。さらに今春出場経験なかったかもしれないが#20下川にも期待。#84福田のプレー判断は昨年以上に秀逸になていて春の試合でも重要なシーンでソロタックルを確実に決めていたのが印象に残る。LB#41巌もそのスピードがいい。ところで、DLメンバーが豊富なことともあって、もしかしたらDLからコンバートがあるか、フォーメーション自体を触ることになるかもしれない。

 DBは#11槙塚、#15後藤、#24大岡という昨年までの経験者に2年生#14小林が加わる。経験豊富なメンバーが3人も揃っているのだが、が、今春は、日本大学戦、関西学院大学戦などパスの得意とするチームにミドルレンジ以上のパスをかなり決められていたのがマイナスの印象として残る。極端なDLプレッシャーがなかったことでパスを投げやすかったことを除外しても、スピードのあるSEのレシーバーに対してどのように対応すべきかというところは、春の課題として残っている。

 一方で中央縦のライン、LB#84福田、#41巌、DB#15後藤によるランディフェンスはキャリアへの集まるスピードが速くて強くて重い。今春の立命館大学戦でロースコア均衡した一因は、このランディフェンスにある。

 京都大学といえば、毎年のように選手層が課題に挙がる。ディフェンスLBDBいずれもスーパーアスリートの存在が頼もしいが、先発メンバーとその次との格差があるかも。ひと夏を越えて、新たな選手の台頭によってトップチームの層の厚みを増して行きたいところだ。そんな若いメンバーもシーズンリーグ戦序盤戦で経験値を重ねて、後半戦上位進出のための試合の足掛かりとしたい。

********

 開幕戦は、西京極陸上競技場で神戸大学と対戦する。京大神戸のカードはなにかしら接戦になることもあるので、気の抜けないところ。詳細は第1節展望にて。願わくば、この開幕戦で白星スタートを切って勢いに乗りたいところだ。
 開幕白星スタートならば、その後も順調に白星を重ねていき、さらに、後半戦でも1個以上の上乗せがあるかも。反対に、万が一にも黒星になるようだと、その先のことは考えたくない。

 関西DIV1では、セットバック体系でのパワフルなオフェンスをする唯一のチームとなってしまったが、京都大学らしい力強い試合を期待しています。



************************



神戸大学
(今春の試合結果) ●24−28大教大・○12− 0甲南大・●16−17横国大・○20−19同志社
●20−21桃院大・●15−17龍谷大・○30−19エレコム神戸



 春観戦記にも書いたが、春から最も多く試合観戦したチーム。春の戦績は二部チームに3敗、甲南大学、同志社大学ともに際どい試合となったが勝ち星獲得、そして、社会人エレコム神戸には完勝とは言わないまでも、今春の試合の中では、最も神戸大学らしいコントロールできた試合だった。
 勝敗数だけなら黒星先行だが、攻守ともの取り組みとしては、いろいろと秋に繋がる興味深い仕掛けが多かった。その成果となる秋リーグ戦は、個人的にも楽しみにしているポイントがたくさんある。

********

 今年の神戸大学オフェンススタイルは、中央ラン突破とミドルレンジまでのパスをつないだドライブ、というシーンが続いた。ロングターゲットも存在するが、パス比率的にはショートミドルが圧倒的に多い。このオフェンスンの目論みは、10ヤード程度のショートミドルのパスを成功させて、さらに中央突破ランを織り交ぜることによって、DBLB付近が左右に混乱させることが出来るかもというところになりそう。
 したがって、1試合を通じて圧倒的に神戸大学優勢ということはないかもしれないが、オフェンスリズムが整った時、あるいは、ディフェンスに少しの迷いが生じたときに、ランでもパスでも攻撃手段は揃っているので、一気に畳み込めるオフェンススタイルになる。

 オフェンスはQB#7林が2回目の秋を迎えるて、司令塔としての重責も十分にこなせるようになってきた。オフェンススタイルは上記したようにランとパスのマルチで展開するが、パスコントロールやレシーバを見る目、そしてスクランブル判断とも一回り大きく成長している。
 そしてQBバックアップは#14原田、#4尾原など。特に#14原田はキレキレのカウンターキープでビッグゲインを狙う。QB#7林とのチェンジオブペースな起用は重要な攻撃手段の一つになっている。2年生QB#4尾原は来年以降を睨んで経験値を重ねるが、ランパスマルチスタイルを継承できるQBに成長している。このようにQBのバックアップ体制は十分に整っている。

 パスターゲットとなるレシーバー陣は、WRに4年#87東江、3年#19塩見、#82岩本、2年#11中島、#81麻生など、多岐に渡る。SE・FLいずれもショートパスターゲットになるのが得意で内に外にと距離10ヤード付近で様々なレシーバーに盛んにパス成功を繰り返していた。さらに#11中島などボールへの執着心の強い根性ある選手が揃っているので頼もしい。

 RBにはTB#9羽星FB#45植田が今春試合で経験を重ねたが、4年生RB#29種、#26大仲も健在でタレントは豊富になってきた。さらにQB#7林、#14原田がキーパーとしてスクランブルゲインできるところも守備チームとしては対応しにくいところだ。
 同志社大学戦やエレコム神戸との試合ではTB#9羽星、FB#45植田、QB#7林で執拗に中央突破ランを試みていて、実際にそれでゲインを積み重ねていたのが印象に残る。このプレースタイルは、今年の神戸大学の大きな特徴になるだろう。

 上記神戸大学攻撃バックスを支えるOLは、昨年メンバーからかなりの入れ替えがあるが、昨年までの経験者#50立里を中心にして建て直しをはかっている。3年生#67佐原、#76有川、、#64木村2年生#79旗福、#73川原などが今春出場選手であり、結果的には若い学年が多くなるので来年にも期待できるメンバー構成になった。新規先発メンバーの多いラインズとRBによる中央ランプレーを繰り返すことで、OLとRBのコンビネーションを確立していた春の試合だった。

 OLは再建色が強いが、それもひと夏超えて払拭、経験豊富なバックスメンバーとの融合によって攻撃がテンポアップしていけば、面白い試合は増えていくはず。QB・RB・WRそしてOL、いろいろと期待しています。

********

 ディフェンスのラインDLは、#92白石、#94都間、#93谷口、#91駒井など。NEWERAでもBLUEのDLとして活躍していた経験豊富な#92白石、#94都間に新スターターが加わる形になるが、選手層でみると若干手薄な状態なのが気がかり。春の試合では#92白石がOLB的なポジションでもプレーしていたシーンがあり、細かい点での試行錯誤が続いた。

 LBはILB#52柳下、OLBに#41高松と#8長渕という構成になる。ILB#52柳下は「I」として冷静な目を持っていてランプレーのキャリアには確実に絡む堅実なプレーを得意とする。そしてOLB#8長渕のスピード突進力は、まさにOLBに適任。春の試合でもオープンプレーで確実に絡む運動量と熱い心が試合の流れを作り出していた。

 DBも主将#2梅本、#34吉江のS(セイフティ)陣は経験も豊富、CBは#23湯澤、#25田中、#13小川はSに比較すると試合経験不足しているところがあって、春の試合でもロングパスで抜かれるシーンも多かった。ただしランディフェンスに関してはLBDBともに反応が早く正確なタックルを決めている。

 神戸大学のディフェンスは各ポジションともに核となるアスリート経験者が揃っていて、そこに新規メンバーが融合していって、そして、全体がシステマチックなディフェンスを組めるか、というところになる。春の試合の印象は、個々では動けているけれどもフィールド内11人が統括されていない、若干、一体感に欠ける、そんな感じだった。
 ビッグネームは点在しているのだが、それがチーム力になっていない、抽象的な話ばかりで申し訳ないのだが、オフェンスの一体感と比較すると、もう少し、何かがあっても良い、そんな印象だった。少なくとも春の試合で顕著な上向きベクトルではなかったが、ひと夏超えての成長分に期待しています。

********

 パワープレーに徹したラン攻撃と短いパスで小刻みながらもテンポいい攻撃が続けば試合の流れは引き寄せられる。ディフェンス陣もターンオーバーを虎視眈々と狙う眼があり、守備でもチャンうを伺う。攻守ともに手段系は揃っているチームである。
 この攻守充実度合いと春の戦績がまったくの無相関なので、果たして本当の神戸大学の実力は?と、最終的な結論を導き出す段階で、決断を鈍らせてしまうのだが、「春の成績」ということで軽く片付けてしまうことにした。一方で春の最終戦社会人エレコム神戸との試合、後半に追い上げてくるエレコム神戸に対して、攻守両面の集中力とファインプレーで乗り切った力は本物だろう。

 開幕戦は、京都西京極にて京都大学と対戦する。その後、立命館、関学、関大と続くが、その勢いを決めるのはすべて開幕戦京都大学戦にかかっている。京都大学戦を神戸大学ペースで展開できるのであれば、その後の3試合のうちの1試合ぐらいは、再び均衡した試合になる可能性もありそうだ。一つでも多くの白星を獲得しています。



************************



甲南大学
(今春の試合結果) ● 0−12神戸大・● 7−35龍谷大・△27−27学習院
 



 2011年の甲南大学チームは、ディフェンスは昨年メンバーが多く残るが、オフェンスはゼロからのスタートで完全組み直しとなる。今春観戦したのは2試合。いずれも攻守ともにテンポの悪かった試合だった(神戸大学戦でのディフェンスを除く)が、5月中旬の出来事なので、そこから大きく変化していることは間違いないだろう。
 近年のリーグ戦戦績は、2008年にDIV1に復活後、08年2勝4敗1分け6位、09年2勝4敗1分け5位、10年2勝5敗6位とある意味では安定しているが、ここからの上位躍進できないまま、攻撃チームをリセットするシーズンを迎える。
 したがって、今年のチームがどのようなパフォーマンスでどのような成績を残すのか、まったくもって想像することが不可能な状態です。昨年よりも多くの白星を獲得することになるか、それとも黒星が増えるのか、あるいは、同数か。
 春の状態は、まだまだ、立ち上がりかけたばかりのところ。秋9月、どのような姿で登場してくるか、とても楽しみにしています。

********

 オフェンスは、昨年までのQBが卒業し、さらにOLも#74尼谷4年生と#67林(秀)2年生以外ほぼ全面交代ということで、今年のスタイルはゼロからの構築になる。観戦した2試合でもラインズの起用方法は試行錯誤だったが、ひと夏超えて、整備が進んでいることは間違いないだろう。

 RBは快速#29三谷、#34永井が昨年来の経験者としてスピードランを担当、さらに#10蒲生、#8青野などが新規メンバーとして名を連ねることになりそうだ。ただし、パワー系かスピード系かで分類すれば、スピードが得意なメンバーばかりと偏りの激しいところが、少々、惜しいところである。
 だが、ラインが作り出した中央のランホールに突っ込むことを厭わないランナーばかりであるところは頼もしい。スピードに任せたオープンへの展開とラインとの共同作業による中央ラン突破と、攻撃バリエーションは少なくはない。ただし春の試合では中央ラン突破で負傷者続出だったので、その回復状況が気にかかるところではある。

 レシーバーでは、TE#92林(駿)WR#85前田、#15西山、さらに#88上田、#81松田など選手層は厚い。もっとも試合経験値としては、昨年までも交代出場での経験はあるものの、メインターゲットとしての実戦経験はほとんどゼロに等しい。それ故に未知の楽しみも少なくない。例えば龍谷大学戦ではSE#88上田が2人のDBに掴まれながらもエンドゾーンまでボールを運んだシーンは今でも鮮明に覚えている。
 大型TEと快速SEターゲット、FLには器用なボールへの執着心のある選手等々、ショートミドルからロングレンジまでにタレントが揃っていることが強みである。さらに#34永井と#3永吉はレシーバーも兼務可能、これらレシーバー陣が活躍するシーンが増えていけば、そのまま得点力UPにつながる。

 今年の甲南大学オフェンスにおいての最大の懸案事項はQBが新規になることであろう。春は3年#3永吉と#13小野を起用しているが、最終的には#13小野で行くことになるか。昨年の試合でもほとんど出場経験なく、実戦での経験値が未知数なので、どのようなオフェンススタイルになるかすら、春の段階では見えてこなかった。

 以上は、いずれも5月中旬の2試合を見ただけの状況。そこから4ヶ月近くも経過すれば様相は一変する。QBとWRおよびOLRBとのコンビネーションが熟成されて再登場する9月をを楽しみにしています。

********

 甲南大学オフェンスはゼロからのスタートだが、ディフェンスはDL・LB・DB各ポジションともに昨年までの経験者が多く残っていて、上手に世代交代を行うことができるメンバー構成になっている。

 LBは主将#9溝渕、#6内芝、#4平瀬など1年目から試合経験を重ねるメンバーが4年目や3年目を迎えることになる。さらに春は#5松村、#54山田などの若手も参加していた。
 DBも4年生#23豊福、#24田中、3年生#22政倉、2年生#1中津、#18延原など昨年も経験を積むメンバーがそのまま残っている。今春はこのなかから#23豊福がLBにコンバートされた試合もあり、選手層の厚いポジションである。そしてDB(S)#1中津のスピード判断と芯に決めるタックルはすばらしく、最終列のまさに守護神として君臨する。#22政倉、#18延原も負けず劣らずの熱いハートで最終列を構成する。

 4月神戸大学戦ではDB陣で4回のパスインターセプト奪取、ショーとミドルレンジのパスに対する嗅覚は凄まじいものがある。一方でロングパスで抜かれまくっていたのが5月の龍谷大学戦だった。この試合はランプレーでも切り崩されパスも決められと、ディフェンス災難な試合だったが、5月中旬という時期的なことを考えると、集中力その他含めて、まだまだ発展途上・回復途上だったと考えておくほうがよいだろう。運動量と熱い気持ちを持つDB陣は甲南大学ディフェンスの基盤を構成する。

 DLの昨年経験者は#44安楽、#52吉田、#99堀など。今春2試合では#52吉田が先発メンバーから消えて#89宋、#98稲原などの若い選手が経験を重ねている。

 春は各ポジションともにまだまだ連携不足なところがあった。春夏を経過して本番を迎えることになるが、経験豊富なメンバーがどのようなパフォーマンスを見せてくれるか、楽しみにしています。

********

 攻守ともに未知数なところが多いチームであること、攻守ともにラインが新規スタートメンバーとなり、オフェンスはQBなども交代してスタイル一新の年となる。したがって春の段階での試合内容のついて一喜一憂したり、その内容云々してもほとんど意味がない。
 再構築となるオフェンスだが、ランでもパスでも担い手は複数名存在し、攻撃手段的には手数が多くなりそう。したがって、リーグ戦序盤戦は止むを得ないかもしれないが、試合を重ねながら形を作り上げて、最終的にはリズムに乗った攻撃を仕掛けるスタイルが完成しそうな勢い。ディフェンスは昨年までのパフォーマンスに上乗せして再登場してくるはず。未知数な部分に期待しています。



************************



同志社大学
(今春の試合結果) ●10−30立命館・● 2− 3立教大・○16− 7京産大・●19−20神戸大
● 0−21龍谷大・●17−35慶應大・○34−14天理大


 今春観戦したのは、5月の神戸大学戦と6月の慶應義塾大学戦の2試合。だが、この1ヶ月での変化は激しく、神戸大学戦の時のチームと6月アミノバイタルで見た同志社大学攻守は、まったく別物だった。やはり5月の試合は参考程度で6月の試合を観戦してみないと秋本番の姿は見えてこない、ということを再確認した。

 リーグ戦開幕する9月は、さらにそこから3ヶ月が経過しているのだから、春の試合データを用いて、秋展望を考える、という作業は、無謀といえば無謀である。その3ヶ月間の空白を埋める方法は開幕戦を観戦して軌道修正する以外に方法はない。

 ところで今年のリーグ戦開幕節も土曜日曜の二日間でナイター4試合という同時刻別場所開催となった。同志社大学は王子スタジアムで関西学院大学と対戦するが、私AKは、王子と万博の自宅からの距離を比較し、若干、王子のほうが近い、という理由もあって、同志社大学の開幕戦を観戦予定です。
 もう一つの理由は、やはり5月から6月の急激な上昇カーブが印象に残っていて、それならばひと夏の変化量は??という疑問を、一刻も早くこの目で確認したい、というところにあります。

 昨年の同志社大学リーグ戦戦績は、1勝6敗で入れ替え戦出場となったが、大阪産業大学に17−12で勝利してDIV1残留を決める。その前の年は4位を確保、そしてその前年は・・・・と遡っていくと、7−4−8−8−・・・・と、順位変動が激しい。その当時の環境(対戦相手や自チームの状況)もあるが、それだけ力が均衡していることの現れであろう。(ちなみにここ10年での最大順位変動は、とあるチームの3位〜8位)
 今年のチームが最終戦を終わってどの位置に到達するかだが、冒頭に記した成長曲線の傾きを考慮すると、目が離せないチームである。

********

 オフェンスは全体で見れば昨年メンバーが半数は残り、残りを新規メンバーで構成する状態で、新旧融合ができれば面白いチームになりそうだ。ただし、課題はオフェンスのキーとなる攻撃の司令塔QBだろう。今春の試合では2年生#14中沖がスターター起用される試合が続いた。6月の慶應義塾大学戦では1プレー毎にサイドラインへ戻ってコーチの細かい指導を受けて次のプレーに備える、という姿が見られた。
 2年生スターターなれば至極当然なことで、その成果が秋のリーグ戦で見られるだろう、どのようなQBに成長していったのか、とても楽しみにしています。なお、バックアップQBには#17福井などが名を連ねる。春、神戸大学戦ではQB#福井が2TDパスを決めている。

 同志社大学オフェンスのスタイルは、今年もランパスをバランスよく組み込んだ攻撃パターンになりそう。まずランプレー担当RBでは、副将#41土井はFBTB兼任、3年生TB#2中島、TB#21斉藤、FB#36井上、TB#1山崎などが今春の試合でプレーを見た選手。各学年に均等に在籍しているところは、今年だけでなく来年以降のことを考えても頼もしいところだ。
 RB#41土井は昨年まではインサイドのパワーランナーとして起用されていてラインを上手に使いながら距離を稼いでいた。今年もインサイド担当はもちろんだが、春はオープンへ展開するプレーも加わった。また6月慶應義塾大学戦ではFB#36井上、TB#1山崎、QB#14中沖によるオプションユニットも誕生するなど、選手層プレー選択肢ともに、厚くなってきている。

 レシーバー陣もSB#46青木、WR#82黒田、#8山林という昨年までの経験者に、3年性#18新宅、#84岡井、#15安田という新しいターゲットが登場してきて選手層の厚さを伺わせる。SB#46青木のシュアなハンドテクニック、#82黒田、山林はスピードとボールへの執着心に注目したい。そして、これらの選手を若手が見習って、試合の中で成長していくという年間ストーリーである。

 そして攻撃の要となるOLだが、OL#54内堀、#79庄林、#71馬場、#77中村が昨年から。ここに#76山口、#56岩田が加わったのが神戸大学戦スタートメンバーだった。今年はQBが2年生ということもあるのでOL陣には多くのことが要求されることになりそうだが、成長曲線ベクトルを考えると、秋にはQBと連携は十分に整備された状態で再登場となることだろう。

 そしてオフェンスの最後に、リターナー#1山崎について触れておきたい。慶應義塾大学戦で始めてみたのだが、スピードは速いし、突進力があって衝突することを厭わない、そんな心の熱いリターナーに注目してください。さらに、同志社大学パンター#93前田の絶妙なコントロールパントは、今年も絶妙なフィールドポジションコントロールを見せてくれるだろう。

********

 ディフェンスも昨年の選手構成から半数交代という理想的な世代交代を果たしている。DLは#96大西、#93前田という4年生に、#75高田、#74川口、#90樋口が新規に加わる。#96大西の熱いタックルに注目、一方の#93前田は冷静堅実な目で正確なタックルを決めるという印象で、対照的な存在だが、両名に共通していることは、ともに最後までプレーに参加するところだろう。そんなプレースタイルを横目で見ながら若手選手が成長していくことだろう。

 LBは、主将#6木下、#44板倉、#52高田、そして昨年1年生ながら起用され続けた#53糸井、#45北野が健在である。5月神戸大学戦では普通に4−3スタイルだったが、6月の慶応義塾大学戦では3−4スタイルを試みていて試行錯誤していたのが印象に残る。3−4の試みはDLと併せて押し込まれていたが、その中で、秋本番に繋がる何かが見つかっただろう。

 DBも#29岸田、#5中嶌という今年でスタータ3年目の選手に、#28吉川、#22水田が加わる。そして3−4ディフェンスでインサイドを破られまくっていた慶應義塾大学戦で大活躍だったのが#28吉川と#22水田、抜けてくるRBに的確にタックルを決めていたのが印象に残る。新旧メンバーが融合して分厚い第3列になる可能性がありそうだ。

********

 攻守ともに昨年メンバーの半数が残るという理想的な世代である。この中で攻撃の司令塔QBが2年生で新規スターターというところは、一見すれば「課題」として捕らえてしまう。だが、反対に見れば、ここを解決すれば、その他は昨年にプラスアルファが十分に見込める陣容であるということ。それ故、プレー毎にサイドラインへ戻してプレー注入していた6月の試合なのだろうと思う。

 春の試合は、例年通りに黒星が多いが、その中で、今年もきっかけを掴んだはず。昨年チームはシーズン開幕当初から負傷者が多かった様子だが、今年は如何に。開幕戦は王子で関西学院大学戦。どこまで肉迫できるだろうか。とても楽しみにしています。



************************



龍谷大学
(今春の試合結果) ● 0−14京都大・○16− 3関西大・○35− 7甲南大・○21− 0同志社
○21− 7大教大・○17−15神戸大・○36−35京産大



 龍谷大学は、昨年の入れ替え戦で近畿大学に勝利してDIV1昇格、これでチーム史上4年ぶり3回目のDIV1シーズンを向えることになる。今年のチーム目標は、最低限のものとして「DIV1残留」だが、本意は白星をいくつか獲得して中位以上進出を狙っているはずだ。

 今年の龍谷大学チームは、オフェンスディフェンスとも昨年メンバーから交代するポジションが少ない。そして攻守ともに昨年メンバーが残るのであれば、システム面でも前年の方向性を踏襲するスタイルになる。が、当然の如く、一から作りはじめるよりは完成度は高くなるだろう。そして実際にもチームの仕上がり状態は、かなり早いペースで進んでいるのは間違いない。

 春の戦績は7戦6勝。6勝の中で、当面の対戦相手となる同志社大学、神戸大学、甲南大学に勝利していてこれだけでリーグ戦順位5位は確定する。春の試合なのでそれぞれ対戦相手毎にチーム事情があり、この結果がそのまま実力差にはつながらない。だが、秋本番でも同数以上の白星を目論む、そんな勢いのあるチームである。

  ********

 オフェンスで昨年から残るメンバーは、OL#74太田、#73西口、#50山崎、QB#6上西、FB#44植野、TB#9奥田、WR#7など。ライン3名とバックス全てのポジションで昨年メンバーが残っているところが今年の龍谷大学の強みである。RB#9奥田、WR#7堀ともにスピードあり、ラン走路の判断もよく、一発ロングゲインTDプレーを狙える選手である。

 さらに今春の試合で活躍したWRでは#19高山、#1新田、TE#89内藤など。WR両名は#7堀と同等のスピードとボールへの執着心の強いレシーバーであり、選手層は厚い。RBも#26吉田、がTB#9奥田の後継者として同様のスピードランナーとして存在する。
 このようにRB#9奥田とWR#7堀に注目が集まるが、決してワンマンチームではなく、同じような資質を持ったアスリートが複数名存在しているチームである。したがって、例えばパスにおいては複数ターゲットが一気に散らばることになるので、守備側としては、少々、厄介なことになるだろう。また、ケガによる戦力ダウンの問題も、かなりの部分で解消されるはず。おそらく極端な戦力ダウンは起きないだろうと考えている。

 オフェンスの司令塔QB#6上西は3年生だが、1年生の時からスターターとして攻撃を指揮しているので経験値は豊富である。OL含めてDIV1チームとの対戦は初体験だが、春に、当面の目標である4チームと対戦しているので、DIV1のディフェンス陣のスピードやパワー、タイミングについても経験値を蓄積していることは間違いないだろう。

 龍谷大学オフェンススタイルは、ショットガンフォーメーションからのシングルバックRBと4人レシーバーによるランパスマルチスタイル。ランナーレシーバーともに、いずれもスピードあり判断力ありのアスリートという点で、一つのタックルミスはロングゲインにつながる可能性もある。この流れでいくと、もしかしたらリーグ戦序盤戦から、ちょっとした嵐を巻き起こすことになるのだろうか。ライン戦でどこまで優位に立てるかが分かれ目だが、序盤戦の注目ポイントの一つとして挙げておきたい。

********

 ディフェンスで昨年から残るメンバーは、DL#91坂上、#95西村、#10淵崎、LB#54森本、DB(S)#25酒井、#4橋本などが昨年もスタートメンバーとしてリーグ戦を経験している。各ポジションで半数が経験者&アスリート、そして残り半数が新規スターターということで新旧融合しながらシステムを構築していける理想的な選手構成である。

 そして今春から新たに加わったメンバーととしてDL#90福井、#92小林、LBでは#濱本、#金山、#31平野、DB(CB)では出村、岡田など。2年生で新規スターターに就く選手が多いのが特徴であり、今後数年の戦力は安定していきそうだ。

 そして今年のディフェンスの特徴は、過去龍谷大学ディフェンスチーム同様に、アグレッシブで心が熱くかつスピーディーな動きをする選手ばかりで構成されていることだろう。中央からOT付近のランプレーに対して各選手の集まりのスピードは激しく危険、今年も勢いのある選手が多い。
 一方で課題をあげるならば、OLBとCBが新規スターターとなること。フォーメーションの中心となるILBとDB(S)は経験者で固まるが、サイドライン際のプレーに対応するOLBとCBの経験不足は、気になるポイントではある。だが、春の試合経験にひと夏超えた成長に期待したい。

********

 以上、龍谷大学の今年の攻守を眺めてみたが、リーグ戦前半戦の上位校との対決において、どちらかと言えば、オフェンスのほうが計算できる。ディフェンスはもしかしたら、分断されてしまうかもしれない。しかし、オフェンス得点力が発揮されるならば、点の取り合いに持ち込んで・・・この様な展開で、なんとかならないだろうか。
 そしてリーグ戦後半戦は、春に均衡したのと同じような試合展開になれば、勝敗の行方はわからなくなる。その結果の白星は、いくつか獲得できるのではないだろうか。今年の龍谷大学チームは、秋リーグ戦星取表を賑わす存在になりそうだ。
 3回目のDIV1シーズン、攻守ともに最上級生と若いメンバーがいいバランスで融合していけば、今年も来年も、楽しみな存在になる。面白い試合を期待しています。



************************