昨年の立命館大学は、関西学生3校優勝のプレーオフを制し、西日本学生代表として甲子園ボウルに出場、2年ぶり7回目の学生日本一となった。対学生での唯一の黒星は、リーグ戦での対関西大学(15−17)。獲得TD数は同数だったがPATでの点数での黒星、この試合は昨年のベストゲームだが、公共映像が残っていない。しかし今年は、rtvがほぼ全試合を中継するそうなので、全ての試合で何かしらの映像が残ることになるのは嬉しいことだ。
今春観戦したのは関大戦と京大戦の2試合。神戸ボウルも観戦する予定だったのだが、雨天だったこともあって欠席してしまった。そして欠席したもう一つの理由が、映像が残るなら・・・というところ。現地試合観戦の集客UPなるかという点で、賛否両論諸刃の剣という考え方になると思うが、何よりも最初は、ローコスト(旅費・時間・歩数など)でアメリカンフットボールに触れてもらうことが最優先だと思います。その一つの手段としてのネットでの無料映像中継は賛成です。ただし、ここに企業が出てきて有料放送となると賛否の分かれるところで・・・(以下省略)
「立命館大学つながり」でrtvによる「ほぼ全試合放送」の話へ逸れてしまいましたが、本題である立命館大学パンサーズについて以下に記載します。
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オフェンスのキーとなるOLは、昨年メンバーから入れ替えはあるものの、ここ数年、最終的には形にしてきているくる。それもサイズパワーを伴ってのもので春の倍返しの様相である。毎年コンスタントにこの傾向が続くということはチーム内にOL育成システムが備わっている証であり、今年も、この部分は大きくは変化しないだろう。昨年リーグ戦でも活躍した#70山口、#66北野に、今年は、#75馬場、#77藤井、#73坂口、#76木下などが新メンバーとして加わる。
RB陣は、#3川端、#20北川、#33東松の4年生トリオが健在。今春試合出場経験は、もしかしたらRB#3川端だけかもしれないが、昨年までの経験値もあり、秋本番ではスピードだけでなくタックルポイントを外しながら走り回るテクニックを披露してくれることだろう。
そして今春の試合で活躍したのが2年生RB#21井上、#29長山の両名。ともにスピードが身上だが、そこにランテクニックがどのように上乗せされていくか、シーズン途中での成長からも目が離せない。これらRBとOLによるパワープレーだけで、ポジションを進めて行くことが出来るチームであり、対戦相手としては、どのようにOLRBを処理すべきか、悩みの多いところだろう。
レシーバーでは、WR#83岡部・#2宜本・#11頓花、#88今津、TE#89安藤など。ディープターゲット専任が存在しないが、いずれもマルチの器用なパスターゲットばかり。WR#11頓花とTE#89安藤は大型ターゲットでQBにとっては安心感のあるターゲット、WR#2宜本はディフェンスの隙間をすり抜けるテクニックと正確なハンドリングテクニックが秀逸で、QBの少々の投げミスをカバーするレシーブレンジの広さが光る。タレントは豊富だが、今年も新たなパスターゲットが出現することになるのだろう。
QBは#15谷口が最上級生となって文字通りオフェンスの中心となっていく。チームのオフェンススタイルはパスとRBランそして自身のキープという組合せになる。ダイナミックなキープランはFB兼務の様相を呈するが、万が一の負傷の可能性を考慮するとプレーとして使用されるのは後半戦からになるか。
一方で、パスだが、春の試合ではインサイドミドルレンジは成功率が高かったが、コーナーへのロングパスは成功率が低いというように、パスコースによって成否のムラが激しかった。ひと夏越えてパス精度がどのくらい上達しているか、ここは楽しみな部分である。
バックアップQBには3年生#12荒木が存在する。来年のことを考慮すると今シーズンは試合出場機会が増えていくことになりそうだ。どのようなオフェンススタイルになるか、そしてQB#15谷口のスタイルとどのように融合していくのか、この部分も、少々、興味がある。
以上のオフェンス陣による攻撃だが、まず、OL+RBQBのランプレーは、ライン&RBのスキル&フィジカル諸々を併せて考えると、完璧なランオフェンスユニットになりそう。ここにパス精度向上が加わったなら、このオフェンスチームはなかなか攻略できない、のだろうか。どのポジションを見ても完成したオフェンスチームのように見えるのだが、強いてウイークポイントを挙げるとすれば、どこだろうか。
やはりQB#15谷口のパス精度が接戦時にはキーを握ることになるだろう。強烈なスピードのあるDLLBを相手にした時の、パス判断スクランブル判断等々。まずはOLがライン戦で勝利するか否かが最大ポイントであることはいうまでもない。そして次は、様々なパスコースにパスヒットするのか、固定コースのみなのか。あるいは、捨てパスを見せる余裕のあるプレーコールも出てくるのであれば、少々のパスミスは帳消しになる。
完璧ランオフェンスユニットに対抗する策については、パワー対決ライン戦で正面激突するという考え方が、まず最初に思い浮かぶ。次に思い浮かぶ手段もあるのだが、正直なところ、私の頭が考えたものではないので、記載省略します。
対戦相手視点での狙い目は、ロースコアの試合展開にして、今春経験したことのない領域へ立命館大学オフェンスチームを引きずり込むことだが、そのためには、強力なディフェンスチームが必要になる。今年の関西学生他の7チームを見たときに、可能性のあるチームを探していくことになるが・・・。
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ディフェンスは、DLでは#95山本、#6藤井、#44武知などが昨年経験者、ここに#54神山、#91谷本などが加わる。破壊力では、2年#44武知の爆発ぶりに目がいくが、#95山本、#6藤井の冷静堅実なプレーがあってこそのもので、タイプの異なる選手が揃っていて結果的に安定感が増す、そんなディフェンスラインである。さらに高さもあるのでDLによるパスカットシーンも増えてくるだろう
LBは主将OLB#10名倉、#47谷腰、ILB#52猪野、OLB#69太田などが今春試合で出場したメンバーになる。先発メンバーで言えば昨年の選手構成から3名入れ替わりになるが、昨年リーグ戦でも試合出場経験はある。突進力破壊力では3人とも高い位置で均一化していて、文字通りディフェンスの核になる資質は十分備わっている。
DBの今春試合先発選手も#35柘植、#7水澤、#13石井など昨年リーグ戦経験者が多い。S#35柘植は嗅覚判断力が際立ってて最終列セイフティにふさわしい。そしてCB#13石井は2年生ながら立命館大学CBのエース番号#13を背負うアスリート。
さて、このような立命館大学ディフェンスを対戦相手視点で見たときに攻略できそうなポイントはあるのか。やはり、今年もミドルレンジのパスディフェンスということになるか。
今春の試合を見ると、ディフェンスにとって窮地に陥った試合は、少ない。社会人電工戦もワールドカップ開催目前ということもあって、さらに、雨天の試合ということもあって、パスディフェンス云々を言うほどにはならなかった。強いてあげるとすれば、早稲田大学戦??(rtvの映像をもう一度見てみようと思っている)
ディフェンスが接戦を経験していないことと、ミドルレンジのパスに晒されなかったことの経験不足が、強いてあげるウイークポイントになるか。LBメンバーの先発メイン起用は今シーズンから。DBは昨年試合経験はあるが、それならば、昨年のパスディフェンスからの上乗せ分があるか。
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今年の立命館大学攻守の陣容および春の戦績内容を見ていると、他の7チームよりも少し完成度が高いように思う。さらに、ポジションによっては選手層も厚くバックアップメンバーには事欠かない状態で、優勝争いという点では若干リードしているかも。立命館大学視点に立てば、連覇達成が、目標となるのは間違いない。
では、このような立命館大学チームに死角はないのだろうか。上記したように、競った試合を行っていないことの経験不足、いざというときの対応方法(タイムアウトの取り方・時計の止め方)についてなどのゲームクロックマネジメントの部分がポイントになるのだろうか。確かに10年くらい前の立命館大学ならば、このような観点でも十分に注目ポイントになっていたのだが、例えば、昨年の競った試合、関西大学戦や関西学院大学戦を見ていても、特別に手際の悪さを感じた部分はないので、今年も昨年同様の緻密なクロックマネジメントを行うことになりそうだ。
春の試合、京都大学戦、早稲田大学戦ともオフェンス得点が低調に見えるが、これは真の姿なのか、春の練習試合の一環として様々なメンバーが出場した結果なのか、だとすれば、それは、ロースコア僅差の試合のための攻守の練習の意味があったのか、なかったのか。このように山のようなデータの中から本当のウイークポイントを探っていくことになる。
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