大学選手権 決勝 毎日甲子園ボウル



甲子園ボウル 



関西学院大学 秋の戦績  

○ 48− 0 同志社大学 CHART
○ 55− 7 龍谷大学 CHART
○ 49− 7 神戸大学 CHART
○ 80− 0 甲南大学 CHART
○ 17− 3 関西大学 CHART
○ 12− 3 京都大学 CHART
○ 37− 7 立命館大学 CHART



○ 55− 6 中京大学


4月24日 定期戦の結果

関西学院大学23−7日本大学 CHART

日本大学 秋の戦績  

○ 27−21 日本体育大学
○ 82− 0 東海大学
○ 98− 7 関東学院大学
○ 51− 3 専修大学
○ 15− 7 明治大学
○ 68− 0 国士舘大学
○ 14−10 早稲田大学 CHART

○ 27−17 法政大学 CHART

○ 42− 0 仙台大学








 昭和の時代の甲子園ボウルでは定番カードだった関西学院大学VS日本大学も、東西各校の台頭等々によってなかなか実現しにくくなってきた。

 2校で甲子園を独占していた時代もまた懐かしいが、1990年代以降で繰り広げられてきた様々な大学が出場して毎年のように対戦カードが変わる頂上決戦も捨てがたいものがある。
 そしてアメリカンフットボール界の発展のためには複数校による切磋琢磨の競争は必須要件であることは間違いない。なので「定番」が「定番」でなくなることは、正しい方向性であることは認めつつも、若干の寂しさ懐かしさを感じる世代が存在することも認めて欲しい。

 今回の対戦は2007年以来4年ぶりとなるが、「@阪神甲子園球場」となると、日本大学45−14関西学院大学という結果になった22年前の1989年第44回大会に遡る。
 さらに「@阪神甲子園球場」における関西学院大学勝利は、そこからさらに12年さかのぼった1977年の第32回大会になる。
 現役選手が生まれるか否かという過去の話、というよりも、現役選手の親御さんが現役選手相当だった時代にまで遡ることになる。

 私も、この関西学院大学勝利の試合は、テレビ観戦の記憶もない。(翌年1978年の関学VS日大が、私のテレビでの初観戦だと思う)

 今年の甲子園ボウルは、両チームともカラージャージ着用が許可され、緑の絨毯の上での青と赤の攻防、という昔懐かしい時代の甲子園ボウルの色になる。長いこと生きていると、過去にはこんなことがあったなぁ、と、ふと振り返ることもある、そんなワンシーンが、第66回甲子園ボウルで実現した。

(平均寿命の折り返し地点でターンしようかという年齢にになれば、多かれ少なかれ、昔を振り返ってしまうものです。といっても、私はそれほど生きてきたわけではなく、今後50年は生存できる予定??です。

 そして、少なくとも今後34年間は、このHP運営を続けていきますが、そのために必要なもの不要なもの、止むを得ず中断するものなど、いろいろなシーンで取捨選択していくことになると思います。
 来年以降、一部のカテゴリーで形態変更を行う予定ですが、御了承願います。)

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 さて、今シーズンの関西学院大学の試合を振り返ってみると・・・。

 秋リーグ戦前半は、極論すれば(本当に極論ですが・・)、得点のとりやすい方法で(一発ビッグゲイン等々)で速攻で試合の主導権を握ってしまい、攻守ともに、試合の中でプレー精度を充実させていくというような試合展開ではなかったように思う。
 攻撃ラインが押しこまれながらもバックスの個人技だけで得点になってしまうこと、守備もDLだけで相手攻撃をシャットアウトしてしまう状況が続く。今年のベストメンバーが長い時間フィールドにいることと、一発で得点が入ってしまい、試合の流れ・機微に触れることのないまま、つまり、試合の中で育つという機会がないまま、そして、ベンチワークも微妙にイマイチ、というリーグ戦前半4試合だった(あくまでも、極論です)。

 さらに、今年のオフェンス方針として掲げられていたであろう「ランプレーでゲインすること」という目標も、序盤4試合では目立つことなく、パス中心の組み立て&得点ばかりで、観戦していてもフラストレーションのたまる時間が長かった。
 第4節のメモ書き程度の観戦記の中で、スターターの攻撃ラインズよりもバックアップメンバーのOLとRBのほうが、まともにブロック&ランドライブできている、とコメントしたが、それも、ここに由がある。

 また前半4試合で特徴的だったのは、ギャンブルプレーを盛んに仕掛けたことだった。パントフォーメーションやFGフォーメーションからのランパス、そしてオンサイドキックを繰り返した。まるで、今年はギャンブルプレーが成功しなければリーグ戦勝ち進めません、と言っているかのような。

 しかし、実際のところ、これらは、シーズンを通しての壮大なフェイクトリック・スクリーンプレーとなっていた。第5節以降、パントやFGからのギャンブルプレー・オンサイドキックは一切用いていないし、OLのパワープレーも時折、披露している。
 某王国に「騙された」との記載があるが、私も「今春以降からの大仕掛けに引っかかった」という気分である。

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 第5節。関西大学戦@長居第二陸上競技場。

 この試合での関西学院大学オフェンスは、特徴的だった。第2Q、関西学院大学がFGで10−3とリードを広げるまでの前半3シリーズ、関西学院大学オフェンスプレーで、パス回数は、わずかに5回のみ(うち1回はRBへのバックパス)。QBキープ含めて徹底的にランプレーを仕掛けていた。

 そしてOLブロックによるRBの中央突破でもゲインしていたシーンが多かったのが衝撃的。OLラインが中央に縦ギャップを作り、隙間をRBがすり抜けて10ヤード近いゲインを稼ぐ。ラインのダウンフィールドブロックも加わったランドライブが続く。

 関西大学DLも重くて早くて、攻撃から見ても厄介なラインズだと思うのだが、関西学院大学OL陣が押し負けていなかった。こうして、ラン偏重ドライブで1TD1FG1Pの合計3シリーズで前半24分をほぼ消化するタイムコントロールオフェンスを展開する。
 それまでの4戦とは違うオフェンス内容を見て、戸惑ったのは事実です。

 また関西学院大学DLは、関西大学のランプレーをほぼシャットアウト、前年までの「中央を突破され続ける関西学院大学ランディフェンス」という姿も見られなかった。のだが、この点については第5節関西大学戦では確証を得るところには至らなかった。この関西学院大学中央ランディフェンスについては、次節、京都大学戦でキーとなる。

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 第2Q中盤までのパワフルなランオフェンスに関西大学ディフェンスは戸惑っていたかどうか事実はもちろん不明。だが、関西大学ディフェンスが第4節まで3−4ディフェンスを試み、この試合でもエンドゾーンを背負いながらも3−4でセットするシーンもあった。このあたりは、関西学院大学OLパワーの実態を掴みかねていた、と考えられなくもない。

 さて、このように関西学院大学がラン偏重オフェンスで試合主導権を握ったのだが、第2Q残り時間1分の攻撃から、オフェンスコール含めてバタバタしてくる。このリズムの乱れは第3Qにも引き継がれていった。

 関西大学にとって惜しむらくは、第3Q最初のフリーキックでオンサイドキックを試みたこと。結果は失敗で、最終的にはWR#16和田へのスローバックTDパスドライブのフィールドポジションにつながる。

 だが、もしも、関西学院大学オフェンスリズムが第3Q以降も乱れたまま、ということが第3Q開始時点で判っていれば(未来予知できれば)、オンサイドキックではなく、普通にキックを蹴って、じわじわと試合の主導権を引き寄せるという方法もあったはずだが・・。

 この試合で、関西学院大学OLパワーとランオフェンスの可能性が見え隠れしてくる。第4節観戦記で「スクリーンプレー」を執筆した直後だったのだが、実際に繰り広げられると衝撃的で、思考停止に陥ってしまいました。

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 第6節。京都大学戦@神戸ユニバ記念陸上競技場。

 関西学院大学はFG4本だけで勝利、K#3大西が最優秀選手賞を確定した試合、ともいえる。

 この試合は、京都大学オフェンスが執拗に中央突破のランプレーを試みていたのが印象に残る試合だが、そこには伏線があって、春5月、岡山で行った関京戦・京関戦に遡る。

 5月の岡山での試合、京都大学のパワフルなOL+RBによる中央ラン突破では1プレー10ヤードの荒稼ぎ状態だった。昨年まで続いていた「関西学院大学ディフェンスは中央ラン突破を止められない」という傾向は、今年も続く・・ということを、私が改めて確信したシーンだった。

 そして、私の神戸ユニバ関京戦前の思いは、京都大学攻撃は春にゲインし続けた中央のラン突破を多用してくるのだろうか、というところがポイントになった。
 一方で関西大学の中央ランプレーに対応していた関西学院大学ディフェンスの姿は本物か、というところでの攻防を想定していた。

 結果は、京都大学の中央ランでは関西学院大学ディフェンス中央を切り崩すことが出来なかった。3回連続中央突破を試みるも合計8〜9ヤードゲインまで、というシリーズが多い。(詳細未カウントだが、観戦メモには中央が多い旨のコメントあり)

 ところでこの試合、京都大学のパス攻撃は適度にヒットしていてミドルゲインを稼いでいた。
 試合の早い時間帯で、中央ラン突破に見切りをつけるか、中央ランに固執しているフリをしたパスを用いていたならば、もしかしたら、違った試合展開になっていたかもしれない。

 なお、京都大学RB陣は、TBタイプのランナーが欠場していたこと、FBタイプのランナーばかりだったので、止むを得ず中央ラン突破に固執したのか、中央ランで切り崩せると考えたから負傷しているTBを休養させたのか、あるいは、そもそも、京都大学サイドラインに春の岡山で中央10ヤードゲインしていたこととはまったく無関係に、この試合のプレーを組み立てたのか、そこは、与り知らないところです。

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 第7節。立命館大学戦@長居陸上競技場。

 戦前の試合展開予想の多くは、ロースコア僅差の試合、というものだったようだ。では、私が何を思って、どのような予想の元に観戦していたか、その内実を明かすと・・。

 準備したのは5種類。文字通りロースコア均衡した試合と、見かけ上はロースコアながらも立命館大学ランオフェンスが圧倒している試合。そして2002年の関西学院大学大差敗退の試合と、2009年の立命館大学が大差敗退の試合。そして2004年や2007年のように得点の取り合い。
 これだけ準備しておけば、どれかの展開になるだろうと思いながらの観戦でした。(このように書くと、文字通り、後出しジャンケンで「私の勝ち」になってしまいますが・・)

 この試合、やはり、立命館大学QB谷口君を負傷で欠いたことで、試合の方向性が大きく変わってしまったのは否定できないところです。

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 以上が今シーズン後半、関西学院大学の試合の観戦前後に考えていたことになります。

 今年の関西学院大学リーグ戦7試合は、いずれも関西学院大学が先に得点を獲得して、そのまま、先行逃げ切りというパターンになっていること。
 後半の天王山3試合(関西大学戦・京都大学戦・立命館大学戦)でさえも先取点を獲得して試合の主導権を握り、試合途中で、相手側に流れが行きかけた所を持ち堪えて、逃げ切りというパターンに収まっている。

 つまり、今シーズンリーグ戦で、追い込まれたシーンがないのである。時間に追いこまれ切羽詰って・・・という経験がないまま、甲子園ボウルに出場することになるのだが・・・ここが、私の思うところの懸念事項の一つである。
(もっとも、経験していないからと言って、即、出来ない、にはつながらず、やってみれば、案外、普通に出来るかもしれない・・・)

 オフェンスメンバーは、QB#18畑が3年生ながらスターターポジションを獲得、ショットガンからのキープランもり、パスも長短左右にと、攻撃パターンが豊富になってきた。

 RB陣では、エース#7松岡がランナー&レシーバーとして大活躍、さらに高速ランナーRB#2野々垣、#6鷺野と存在していて層が厚い。そして期待のパワフルランナー#43望月の存在は、OLブロックが本領を発揮し始めたリーグ戦後半戦から光り始める。

 レシーバーにも快速・快足なメンバーが揃う。4年生WR#16和田はインサイもドアウトサイドも可能な器用なレシーバー。遅いタイミングでダウンフィールドへ侵入した時は、それはビッグゲイン勃発のシグナルである。
 さらに2年生#2梅本、1年生#88木戸は、若手ながらDB陣との駆け引きも際立つ高速レシーバー、そして、インサイドターゲットには#87小山、#80南本などが名を連ねる。

 私が考えるに、リーグ戦立命館大学戦における攻撃チーム側のキーマンは、この快速レシーバー陣を筆頭に挙げたい。それも、パスを受けるターゲット以外の存在も含めた全員の仕掛け、という意味を込めたもので、甲子園でも攻撃側パフォーマンスの鍵を握ることになるだろう。

 そして攻撃を支えるラインズは、#79友國、#71和田、#57谷山、#53濱本、#72田渕。攻撃プランはラン中心となるかパスメインになるかフタを開けてみないと判らないが、攻撃の安定感が出るか否か、ラインズの活躍次第だろう。

 ディフェンスは、DL#98長島、#90梶原、#69岸、#91池永、#99朝倉、#93佐藤など。昨年まで課題だった中央ランディフェンスの穴は完璧になくなり、フロント4人だけで試合を組み立てられる、そんな、頼れるラインズになった。

 LBでは#1池田、1年生#52小野の速さが際立ち、それに呼応するかのように#41川端も動きがよくなってきている。シーズン終盤にきてようやく2011年DLLBメンバーがしっくりとくる印象になってきて、例年以上にスピード重視&スピード実績のあるライン&バックになっている。

 DB陣は、S#4香山、S#12重田、CB#34高、CB#14大森に、#23保宗、#37鳥内。こちらもスピードのある選手が揃う。特にパスに対する反応がすばらしい。チーム全体でのインターセプト回数は今シーズン関西学生トップの11回になる。

 こうしてみると、攻守ともにバックスメンバーはスピード重視の陣容になっているのは、昨今の関西学院大学特徴をそのまま引きづくが、今年は昨年以上に人数豊富で充実していて穴がなくバランスがいい。凹凸があると、凹あるいは凸をを狙われる、あるいは、凹と凸のギャップに付け込まれる可能性があるが、全員がスピードアップすれば、別のものになるかもしれない。

 そして、関西学生最優秀選手&年間最多得点獲得となったK#3大西の存在も大きい。FG3点を確実に加えていくキック力は、甲子園でも重要な得点源となりうるだろう。

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 東日本代表となる日本大学の今年の試合を振り返ってみるのだが・・・春観戦したのは、4月の関西学院大学戦と6月の京都大学戦の2試合。秋リーグ戦は、テレビ観戦だが、早稲田大学戦と法政大学戦の2試合(明治大学戦は録画漏れで観戦できず。)

 ところで今春、関東学生所属の4チーム(早稲田大学・明治大学・慶應義塾大学、そして、日本大学)を観戦した。この4チームの中から関東だ学生代表チームが現れるとすれば・・として考えていたチームがあるのだが、正直に言うと、それは日本大学ではない。
 日本大学については春終盤の6月京都大学戦でも特にインパクトが残らなかったのである。(法政大学など今春観戦していない大学は、この検討対象から除いています)

 そして、この展望を執筆するにあたって、秋リーグ戦の日本大学の映像を見てみたのだが、やはり、攻撃にビッグネームが存在するわけでもなく、ビッグプレーメーカー・快速ランナー・高速レシーバーというイメージもない(注1)。
 ディフェンスチームは全ポジション全選手のスピードが魅力だが、DL全員が規格外だった2007年ほどに手が付けられない・攻撃側が頭を抱える、というラインではないかも(注2)。

 それでも、勝ち上がってきているので、選手個人技で云々ではなく、チーム全体のシステマチックなところ、個人々々が役割を完璧に果たすことができる精錬された選手が揃っている、ということなのだろう。
 そして、試合組み立て・戦略・分析とアジャスト、このあたりにも勝因があるのは間違いない。この部分は最もアメリカンフットボールらしいところなので、正直、かなり、不気味なチームです。

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 第6節。明治大学戦

 明治大学戦はテレビ観戦できず。なので、関東学生公式ページのドライブチャートを参考にして、AK−chart(王国が命名してくれました)を作成してみた。
 明治大学攻撃は第2Q以降FD更新回数は1回か2回で、攻撃は完封されている。得点は第1シリーズの62ヤードのランビッグゲインをきっかけにしたもののみ。明治大学RB(川上・高松・小形)陣をほぼシャットアウトしている。

 反対に日本大学攻撃は、後半になればなるほどゲインを稼ぐ。そしてディフェンスパスインターセプトの敵陣ポジションからのドライブでダメ押し点を獲得して逃げ切り勝利となった。

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 第7節。早稲田大学戦

 早稲田大学戦は、3つ巴による得点差が絡んだ試合で、早稲田大学は優勝のために17点差以上の勝利が必須、一方の日本大学は4点差までなら黒星でもOKという試合だった。

 このような条件の下、第2Qを終わって、早稲田大学が10点差リードしていたので、文字通り第3Qの攻防が白黒を別けることになる。先攻早稲田大学は4分間ドライブが得点に繋がらず、反対に日本大学は5分を費やして7点を獲得する。

 合計9分を費やした攻防の結果、3つ巴の条件とタイムリミットから早稲田大学のリーグ優勝の可能性がかなり厳しくなってしまい、これが第4Q日本大学の逆転ドライブにつながる。この試合を詳細検討材料として見るならば第4Q序盤あたりまでになるだろう。

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 関東大学選手権・あずまボウル。法政大学戦

 この法政大学戦では、珍しく日本大学が先制したが、その後、法政大学がビッグプレーを連発させて逆転される。それでもK#39井ノ口による50ヤード近いFGトライが2回も成功したので、法政大学を射程圏内に捕らえられていたこと、ここも勝因の一つとして挙げられる。

 そしてこの試合も、第3Qを支配したのは日本大学攻守だった。

 選手は試合前半を戦いながら、スタッフはデータ収集と分析。そして、ハーフタイムまでに解析終了して対策を立てて、各ポジション各選手への依頼事項がまとまる。
 ハーフタイムで選手に指示を注入すると、第3Qのフィールド内で選手が確実に実行に移す、そんな壮大なフィードバックループが構成されている??のだろうか。

 これが秋の日本大学戦を映像で観戦しながら、確立していった日本大学チームのイメージです。

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 オフェンスメンバーは、RB#21原田、#35富澤、#4藤田。WR#22秋山、#83林、#81遠藤。QBは3年生#10安藤。

 ディフェンスは、DL#92冨田、#90中園、#93江頭、#17モトゥ。LB#34井上、#44天谷、#52笠井。CB#14吉田、#24丸山、S#40柳、#28斉藤。ディフェンスは、ラインが攻撃の動きを止めてキャリアを仕留めるのはLBDB陣という方向性で、特にLB陣と1年生スターターS#40柳などのスピードは要注目。

 そして特筆すべきは、ボールを奪うことまでを目標とするタックルが随所に見られること。レシーバーがパスキャッチしたとして、日本大学LBDB陣はプレーデッドを目標にするのではなく、レシーバーからボールを奪ってターンオーバーなるところまでが日本大学のタックルになっていること。
 なので、関西学院大学WRRBはボールキャッチ・ランゲインしたところで安心してしまうと、ターンオーバーもありうる。

 最後に、K#39井ノ口の長距離FGキックも脅威。

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 以上が、青:関西学院大学と赤:日本大学の今シーズンここまでの試合を観戦して感じたところです。

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 試合展開を考える上でのポイントは・・・

・関西学院大学が先行逃げ切りでリーグ戦を戦ったのに対して、日本大学は、試合後半に試合内容を一変させた逆転が多い。

・日本大学守備バックス陣と関西学院大学攻撃バックス陣の空間想像&空間創造能力とスピード競争。

・日本大学攻撃の得点スピード。特に、第3Q以降の逆転シーンにおけるプレー内容(ビッグゲイン一発かショートゲイン積み重ねドライブ)

・関西学院大学攻撃の得点スピード。特に、レッドゾーン侵入後の得点力低下は、昨年より改善されたものの、やはり、手間取るシーンがある。もっとも、一般的な話にしたとしても、レッドゾーンではディフェンスが分厚くなる(空間が狭くなる)ので、フィールド中央ほどランパスのゲイン距離が短くなるのは止むを得ないのだが・・・。

・関西学院大学QB#18畑君、日本大学QB#10安藤君が負傷しないこと。(おそらく15分Qなのでチーム総力戦となるのは必至、さらにケガは止むを得ずバックアップの準備は必要、とは言うものの、やはり、万全の体制での試合を見たい。)

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 以上を踏まえて、関西学院大学視点での試合の方向性は・・

 オフェンスは、試合前半と後半で内容を一変させたい。そして、日本大学の分析&アジャストを無力にして第3Qを制すること。今秋の関西大学戦は、まま、良い例。

 オフェンスはRBWRともにスピード自慢が揃っていて、おそらく、日本大学バックスとイーブンのスピード競争はあっても、競い負けることはない。立命館大学戦同様のスピードによる守備拡散は可能と見る。キャリアは、RBWRQB。

 レッドゾーンオフェンスでは得点を取りにくいので、できれば敵陣30ヤードあたりから一発で決めたい。

 日本大学攻撃に対して、関西学院大学守備のスピードが一発TDは許さないだろう。特にDB陣#4香山、#12重田、#14大森、#37鳥内などスピード判断は秀逸。そしてレッドゾーンディフェンスに追い込まれたフリをして、最終的に日本大学にはFG3点を与えるだけで、戻っていってもらう。
(昨年まで、関西大学が対関西学院大学戦で用いていた戦法になる。)

 QB#18畑君が怪我をしないこと。バックアップQBは#11糟谷君だが、バックアップというよりもQB#11糟谷のパスとランの絶妙なバランスが光れば試合の色が大きく変わるので、期待しています。

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 そして、日本大学視点での試合の方向性は・・・

 試合前半の失点を最小限度に留めておきたい。そして、試合後半のアジャストで試合の流れをひっくり返す、という、今秋リーグ戦の展開に持ち込めるか。そのためにも失点は少なければ少ないほどいい。

 法政大学戦同様に、K#39井ノ口によるロングFGで射程圏内に納めておく方法もあるが、ロングFGキックの失敗は、即、フィールドポジション逆転につながる。ので、試合前半はFGチャレンジの判断もキーポイントになる。

 守備では、関西学院大学キャリアのボールセキュリティに甘さを嗅ぎつけたならば、ファンブルを誘ってフィールドポジションを逆転、そこから最低でもFGで加点、という、守備チームで試合主導権を握りたい。

 そして、QB#10安藤君が怪我をしないこと。

 なお、日本大学攻撃で不明な点は、(注1)の攻撃バックのスピードなど、特に、個人スキルの面。私が、QBWRRBについて明確に把握していないので、ビッグプレーをどこまで想定したら良いのか判断できません。
 リードされていたとして、セイフティなリードからイエローシグナルに変化する境界がつかめていないので、日本大学にとっての最悪な試合展開を読みきれていません。

 同様に、日本大学守備で不明な点は、(注2)の守備ラインは本当に学生規格内に収まっているのだろうか、というところ。
 関東のチームにありがちな、関西のラインズより一回り近く大きくて、それでも早くて・・やはり、規格外であったならば、関西学院大学OLも今シーズン初めてのスタミナ勝負になるが・・・

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 以上のような攻守/守攻の関係と狙いどころを考えた上で、まとめてみると。

 関西学院大学が前半を2TD差以上リードしていれば、なんとか、逃げ切りも可能。理想は立命館大学戦のように17点差以上。

 だが、関西学院大学リードが2TD差以内ならば日本大学ペースで、第3Qを制するのはどちらか、という試合展開。
 もしも日本大学がハーフタイム時点でリードされているならば、第3Qは重要で、リーグ戦同様、試合主導権をイーブンに戻したい。流れを取り戻せなければ、第4Qだけでは苦しいかも。第3Qでイーブンの展開になれば、第4Qは、得点の取り合い。

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 スピードフットボールの青・関西学院大学
  VS
 システマチックなフットボールも加わった赤・日本大学

 「緑」の芝の上で交わる「赤」と「青」



 天気予報では、極寒ながらも晴れ。外野自由席上段でお待ちしています。

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 展望を執筆するにあたり、書式、および、内容について、一部、王国を参考にさせていただきました。



(了)