日本選手権 ライスボウル



ライスボウル 




 ライスボウルを明日に控えた1月2日夕刻。ようやくJAPANXの映像を見る時間が出来た。今シーズンの鹿島の試合を観戦したのはこの1回のみである。

 鹿島の試合展開を見ていると「深みのあるチーム」という印象を受ける。試合展開上で上手に流れを作って自分たちのペースに引きずり込む、そんな深みを感じる。
 ただし、明日の試合において、その深みを感じることがあるだろうか、鹿島のオフェンスとディフェンスについてメモしていくと、この試合は「やってみないと判らない試合」というイメージのほうが強くなっていく。
 鹿島が自分のペースに引きずり込むか、あるいは、関西大学が主導権を握っていくか。だが、おそらく実際は、この綱引きの結果が判る前にタイムアップを迎えてしまう「混戦」になるのではないかと考えている。

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 まず鹿島オフェンスQBは、#12山城と#10尾崎による。RBは#29丸田、#39佐藤、#11曽根、WR#18前田、#2中川、#25小嶋、#15大谷。
 両QBともパスを得意とするQBで、そのショート〜ロングのパスは脅威だが、自らがキープランでゲインするタイプではないようだ。QB#10尾崎が負傷していることでもキープランは少なくなる方向だろう。
 そしてRBは#29丸田のスピードが際立つ。さらに#11曽根、#39佐藤が加わるが、1試合を観戦した限りでは役割分担までは判りませんでした。
 鹿島オフェンスにおいて特筆すべきは、人材豊富で得意とするプレーが多岐に広がるWR陣である。特にWR#18前田のスピードは学生時代以上に脅威である。さらにパスの投げられるQBとの連携でショートミドルレンジの巧妙なパスパターンは注意が必要になりそうだ。

 さて、この鹿島オフェンスに対抗する関西大学ディフェンスの方向性だが、対学生と対社会人ではスピードサイズが異なるものの、関西大学ディフェンス方針自体は、ディフェンスバックスに関しては甲子園ボウルのそれと大きく変化しないのではなだろうか、と、考えている。

 鹿島のランキャリアは、RB#29丸田に集中的にボールを持たせているところとショットガンセットでRB1名のスタイルは、関西大学ディフェンスにとっては、甲子園ボウルにおける法政大学RB#29原との対戦を想像させる。さらには走らないQBというのも甲子園ボウル法政大学QB陣と似通ったところになる。ただし鹿島には#18前田、#2中川などによるワイルドキャットがあって、特にスピードのある#18のキャリーは、「走らないQB」を想定しすぎると、落とし穴にはまるかもしれない。

 関西大学LB陣は、主将#33大舘、#2豊田、#11玉岡、#30小原が、RB#29丸田およびワイルドキャットに対して、甲子園ボウル同様にミスのないタックルでフィールド中央をカバーすることになる。
 さらに関西大学DB#8飾磨、#13林、#9砂川、#5中村も、豊富なレシーバー陣に対して密かにパスインターセプトを狙っているはずだ。

 懸念事項は鹿島OLと関西大学DLのパワー差の部分で、どこまで、いつまで押し込まれるか、になる。もうひとつは、WRとDBの体格差で、衝突したときに跳ね返されるか、それとも、軽量を生かしてレシーバーの前を舞うか。

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 鹿島のディフェンスと関西大学オフェンスの攻防だが、こちらも、鹿島DLと関西大学OLのパワー差が気になるところではあるが、バックスの勝負では、QBドロップバックからのドローとパスのプレーバリエーションでLBDB周辺に隙間が出来るかもしれない。その空間へ入り込んだWRRBへのパスと、QB自身のキーププレー。こちらも、甲子園ボウル法政大学戦と同様のプランになりそうだ。

 ところで、昨年のJAPANX@京セラの電工VS鹿島において、電工#2霊山によるダウンフィールドブロックに対して鹿島ディフェンスがなかなか対応できずにRB#20石野などのランプレーが大きくゲインしていたシーンが印象に残っている。
 それを今年の関西大学オフェンススタイルに当てはめると、RB#99楠田、RB#42菊池、TE#89青木がリードブロッカーになったRBQBのOT付近へのランプレーも、密かに楽しみにしているところです。ただしこちらも、社会人と学生の体格差がブロックの成否に影響してくるし、そもそも昨年と同じディフェンススタイルかという疑問もある。ここだけは、実際に対戦してみないと判らないところです。

 関西大学オフェンスとしては、RB#22松森、#1藤森やQB#14原口のランプレーだけでゲインできれば理想的だが、やはり、各上社会人にランプレーだけで試合の主導権を握ることはできないだろう。この試合は、やはり、RBWRへのパスが必要になってくる。
 甲子園ボウルでは、クイックヒットのミドルパスが#16岡、#7池井、#89青木にヒットしたが、その回数はごく僅か。QBランゲインとリターンだけでタイムアップなってしまったのは、関西大学オフェンスメンバーとしてはある意味で練習成果を発揮できなかった物足りなさがあるかも。
 今シーズンリーグ戦で用いていた様々なターゲットへのパスパターンが残っているはずで、ここの成否が試合のキーを握っている。ただし、パス失敗で時計を止めたくない。

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 過去5年のライスボウルは、社会人4連勝を経て昨年は立命館大学が勝利している。昨年の立命館大学勝利は、対戦相手に対する十分なスカウティングによって練りに練った対策をして攻守を封じたことが、その勝因として挙げられる。
 今年の関西大学も甲子園ボウル終了後に3週間もの時間があって、福岡ドームで練習をするなど準備は万全、スカウティングも十分に成されていることだろう。

 ライスボウルが学生VS社会人のカードになって以降の通算成績は、社会人14勝、学生12勝という数値が残っている。2009年シーズンの頂点の試合。+1なるのは社会人か学生か。キックオフは14時@東京ドーム。