関西学生アメリカンフットボール Div.1 シーズン展望

Updated, 2008 Aug. 28 at 22:09 JST.
Updated, 2008 Aug. 30 at 02:11 JST.
Updated, 2008 Aug. 30 at 05:27 JST.



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関西学院大学・立命館大学・関西大学・京都大学・近畿大学・神戸大学・甲南大学・同志社大学








関西学院大学
(今春の試合結果)○52− 0日体大・○ 3− 0関西大・○27− 6甲南大・●10−15日本大
●22−23松電工・○34− 7明治大・○29− 0イワタニ


 昨年は関西学生リーグ2連覇を達成し、さらに、6年ぶりの学生日本一となって正月を東京で迎えることができた。そして今年は、関西3連覇とチーム始めての2年連続ライスボウル出場、さらには、7年ぶりの社会人撃破に挑戦するシーズンとなる。

 しかし今年のチームは、久しぶりにライスボウルまで出場したことで2008年体制開始が遅れたり、学生トップに立った昨年チームといろいろな面で比較されてしまうなど様々な功罪を引き継いでいて、選手の入れ替えがある学生チーム特有の苦しいシーズンを迎えることになる。
 過去には2001年シーズンにライスボウルに出場したときも翌年のリーグ戦では苦労していて、今春の関東関西社会人の強豪チームとの試合で苦戦続き黒星続きというところにもその傾向が現れている。
 と、最初から暗い話になってしまったが、チームとして始めての2年連続ライスボウル出場を目指すための産みの苦しみ、ということで、春の苦戦続きから夏を経て、秋には今年のチームカラーに染まって登場してくることだろうことは間違いない。

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 オフェンスは、今年もショットガン隊形からのランパスという攻撃スタイルになりそうで、今春の試合ではQB#16加納が先発出場して、#12幸田、#17浅海、#6加藤などが試合後半を担当することが多かった。

 今年スターターとなるQB#16加納は、NEBを筆頭にいくつかの試合ではパス失敗が続いたり判断に迷うシーンがあったが、その成否はパスタイミングや距離によって大きく異なっていて、ミドルレンジからショートレンジへとレシーバーとの距離が近づくにつれて成功確率が上がってくる。
 短いパスだけでドライブすると決めたシリーズではヒット確率は高く、春最終の明治大学戦ではノーハドル含めてイメージどうりに試合を組み立てられたのではないだろうか。
 つまり、単純に、もともと得意とする距離範囲と上達すべき距離ということになるのだろう。なおQB単独の問題ではなくレシーバーにも課題があるところである。

 レシーバーは、ショートミドル範囲のパスターゲットとして#4太田と#19中井、ミドルロングのターゲットに#18萬代と#1松原、マルチな存在に#87柴田、というのが大雑把な距離分担だが、これが全てではない。その他のレシーバーとしてTE#82中山、#95垣内、WR#86春日など、選手層は分厚い。この中では#4太田や#18萬代が際どいパスも執念深く拾い上げていたところが記憶に残る。今春は全般にQBWR間が不調だったが、秋リーグ戦中に今年のパススタイルが確立していくことになる。

 RBには#45石田、#21稲毛、#33多田羅、#27浅谷、#99河原、#38平田、さらに、1年生松岡など、タイプの違う人材が豊富で、ボディバランスのいい#99河原と#38平田、スピードランナーとしては#21稲毛と松岡など。スピードだけならば軽量の松岡のほうが速そうだが、それは3年前のデビュー当時の#21稲毛についても言えたことである。1年生のスピードランテクニックを
 なお、パワーランナーの担い手として期待したい選手に負傷者が多いところが気掛かりで、復帰なればオフェンスの幅が大きく広がることは間違いないのだが、ゲームプランを大きく左右することになるだろう。

 オフェンス起点となるOLでは#76寥が唯一昨年のスターターメンバーから残る。さらに#50新谷、#58島田も昨年から交替出場していて試合経験は多い。また、#57荒牧が2年ぶりにOLに復帰し、今春からスターターとなったC#74村田も安定している。今春試合では相手に圧倒完全勝利というほどのパワフルラインではないが、昨年同様に安定したライン構成になっている。

 以上の布陣による今年の目指すところのオフェンススタイルだが、秋リーグ戦でどこまで余裕があるかわからないが、リーグ戦中でも春の試合と同様の試合展開が繰り広げられながら、時にはインターセプトされることもあるかもしれないがミドルレンジ以上のパスを適度に組み込みながら、その中から成長ストーリーを探っていくことになるだろう。

 ところで、最近の甲子園ボウルや立命館大学戦では、ショートヤードなど特徴的なシチュエーションでQBを交代させたりRBをワンポイント投入することが多くなっている。そして今年も場面に合わせたスペシャリストの起用はあるのではないか。バックアップQBとしては#12幸田、#17浅海、#6加藤が控えている。RBは上記したメンバーから状況に合わせて交替出場することになる。

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 ディフェンスは、フォーメーションとしては昨年同様3−4−4を基本にDBLBを兼任するフリーマン1名のスタイルになっている。各ポジションとも昨年メンバーから若干の入れ替えはあるものの大きなマイナスはなく、選手層の厚さと試合経験は豊富で、いずれのポジションも概ね安定感はある。

 ただし、この数年間でタックルの正確性が大きく失われているところが気掛かりなポイントである。これは関西学院大学固有のことではなく、昨年甲子園ボウルで日本大学ディフェンスによる一発で止める的確で鋭いタックルを見た関西陣営には大きな衝撃が走ったはず。
 その正確なタックルを身体で体験した唯一の関西チームが関西学院大学なので、それが今年のタックルの姿勢に反映されていることを希望します。

 今年の関西学院大学ディフェンスの中では主将DL#93早川の存在が秀逸で、今春の試合でDL#93早川がフィールド内にいるときとサイドラインに控えているときのディフェンスの安定感が大きく違っていた。DLの中心NGに安定感のある選手が配置されるだけで、こんなにもディフェンスの雰囲気とパフォーマンスが変わるのかということを改めて実感した次第です。(次代のNGとの差が大きいということでもあるのだが)。
 その他にDL(DT)には#98黒澤、#52平澤、#51川島、#91村上など。重量感というよりもスピードタイプで、久しぶりに破壊屋のイメージのあるフロントラインとなった。

 LBは#7坂戸、#90古下、そして日本大学戦で値千金のQBサックを決めた#59吉川と神戸ボウルで堅守を披露した#29畑中。絶妙なプレー判断でビッグプレーを繰り返している#11深川は、今春もOLBとDBを兼任していたが、メンバーの成長と来年以降のことを考えるとDB専任になる可能性もある。

 DB(S)は#84徳井、#8善元、#3藤井が最終ラインをカバーするが、DB#84徳井の守備範囲の広さは昨年来実証済みである。CBは#20福田、#23頼本、#28三木、#25吉川、#10内藤、#46西岡が春の試合で先発出場していて、メンバーは豊富だが、この中から最終的にはパスカバーとタックルの正確さでポジションが決定されていくことになるのではないか。

 以上のディフェンス陣は、ディフェンスフォーメーションの中心線となるDL(NG)#93早川、ILB#90古下、DB(S)#84徳井が安定している。昨年とほぼ同じ中心線だが2年目を迎えて円熟味が増している。さらにスピードも備わっているので、ディフェンスで試合の流れを作り出すことも出来る、そのような布陣である。

 しかし、ランで中央付近を割られ続けるシーンがあり、ズルズルいかれると止まらない時がある。中心線が崩れるとディフェンスの建て直しに時間がかかるのは、上記の「中心線が安定している」ことの裏返しでもある。これまではDB#11深川によるプレー判断が窮地を救うことが多かったが、ズルズルと後退する時間と距離がどの程度で収まるかがポイントで、ここが試合の行方を分ける可能性も残る。

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 今年の関西学院大学攻守チームは、ディフェンスが春の段階でほぼ安定した布陣になっているが、オフェンスは形が整いつつあるものの細かい様々なところは試行錯誤状態が続いている。

 したがって、シーズンインしてからも最終的な攻撃スタイルをいろいろと模索していくことになるだろう。もっとも、リーグ前半戦だからといって余裕がある対戦相手ではないので、途中にはロースコアの試合展開が多くなるかもしれない。しかし、この期間に攻守の最終確認を行ってシーズン後半戦に突き進みたいところ。関西3連覇なるかは、リーグ戦序盤の試合にかかっているような感じがする。



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立命館大学
(今春の試合結果)○42− 0神戸大・○52− 7東海大・○16− 3京都大・○48− 9京産大
○12− 7内外電・○29− 3早稲田・○ 9− 7イワタニ・○38− 8オービック


 明るくてダイナミックなチームカラーがそのままプレーに現れるところがチームの魅力で、それは、すばらし運動能力を有する選手が揃っていること、さらに攻守システム面でも充実してきている。

 しかし、現在は、2005年の関西制覇を最後にトップの座から2年間遠ざかっていて、それはリーグ戦全勝対決の対関学戦2連敗による。昨年は逆転まであと一歩まで迫ったのだが最終的には届かずに惜敗、一昨年も僅差届かずという試合が続く。さらに昨年では、リーグ戦中盤の試合でも試合毎にパフォーマンスが大きく変化しているところがあった。

 ダイナミックな部分と緻密なコントロールは相反ような性格だが、過去に日本選手権を連覇していた頃のチームでは同時に成立していた。この数年の状態を選手に求めるかスタッフが担当する部分か微妙なところだが、少なくともこの緊張と緩和のコントロール機能が戻ってくれば、再び東西学生のトップの座に帰り着くことができるのではないか。

 私が観戦した試合は、4月の神戸大学と5月の京都大学戦。まだまだ今シーズン体制始動直後ということもあって試運転的な内容だった。やはり今春の立命館大学の試合で避けて通れないのは、予想に反して(?)圧勝に終わった6月の社会人オービック戦であろう。

 春の最終戦で社会人と対戦するということから想像すると、立命館大学側のモチベーションはかなり高かったのではないか。対するオービック側は春の学生相手の試合にどのようなモチベーションと選手構成で臨んだのかは想像が難しいところだが、それはあまり関係ない。
 つまり、春最終戦という目標に対する集中力が圧勝という結果をもたらしたならば、それはつまりモチベーションコントロール如何によって戦力が大きく変化することをものの見事に表した例に他ならない。今年もリーグ戦成績を別けるポイントは唯一この部分にある。

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 オフェンスは、QB#11松田(大)(3年)、#8松田(竜)(2年)による。ショットガン隊形とセットバックとを兼用するが、オフェンス全体の陣容から想像すると、ショットガンを積極的に採用する必要はないかもしれない。むしろ、セットバックのパワースタイルと併せたほうが得点力がアップするのではないか。

 オフェンスバックスの中でRBではTB#34橋本、#33山本、#9松森、FB#44浅尾、#41姉川などが揃いパワースタイルのIフォーメーションも十分に目指すことができるメンバー陣容である。その他にもリーグ戦経験者は多く存在し選手層は厚いが、一方で負傷者も多いかも。

 パスターゲットとしてはWR#堀田、#19田原、さらに#31常包、#2宜本、#1呉田、TE#5森、#95荒木など。昨年リーグ戦からスターター経験があるのはWR##1呉田、TE#5森など少数だが、やはりアスリートが揃う。また#1呉田のスピードはリターナーとしても重要な役割を果たしている。

 このようにオフェンスバックスは今年からスタートメンバーになる選手が多いが、OLは#62西川、#59浅野、#55岡崎、#50大西という昨年のメンバーがほとんどそのまま残っているので、バックスの経験不足を補う働きを見せてくれるだろう。昨年、セットバック系のオフェンスを志向していた時期があり実質2年目のOLユニットなのでパワー系もショットガン系もという欲張りなスタイルも考えられる。

 立命館大学と言えば一昔前には超スーパーアスリートとして全く手がつけられないバックスが複数いたのだが、少なくとも今年のオフェンスにどうしようもない、対応のしようがないというイメージはない。
 だが、昨年の先発メンバーに名を連ねた選手が少なく、試合を大きく左右するような存在ではなかったことが、このような印象を与えているだけに過ぎないのかも。今年のリーグ戦で、やはり、アベレージではなかったことが証明されることになるのか。

 以上を踏まえると、オフェンス攻撃の組み立て方針が、パワーラン系とスピード系のランパス、あるいはパス主体になるか、春を終わった段階では正直なところ攻撃の起点が見えてこなかった。しかし、今秋は、新たに違った内容で登場し、さらに、その後も変化が楽しめる、そうのようなオフェンスチームである。

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 ディフェンスは、再建色の濃いオフェンスと異なり、各ポジションともに昨年までの試合経験者が散りばめられていてる。

 DLは#57武知、#90久司、#92前田4年生3人が揃う。1年のときから少しずつ試合に出場していて経験値が豊富な黄金メンバーで、さらに、#57武知と#90久司はNEWERAでもチームを支える大黒柱として活躍している。そして今年は#南、#十亀、#青山などの若手から成長をしていて来年以降も楽しみな陣容である。

 LBは#99岸本、#52海島、#53相馬、#浦河と、こちらも経験豊かなメンバーが揃う。そしてOLB#99岸本の守備範囲の広さは要注目で、昨年関学戦ではスローバックパスに完璧に対応し、今年のNEBでもその卓越したプレー判断でファインプレーを繰り返している。そしてLBも次代を担うメンバーとして#49菊地2年などが順調に成長しており、選手層の厚さをうかがわせる。

 DBでは、今春からのスタータだがプレーに対する反応がいいDB(CB)#13滝澤に注目したい。4月長浜での神戸大学戦が私の観戦初体験だったのだが、ファインプレーの連続が光っていた。そして5月京都大学がDB#13の側にパスを集めたのでドライブが止まっている。秋リーグ戦が深まるにつれて、存在だけで相手攻撃の手を狭めることができるCBになるかもしれない。その他にDB(S)では#12今西、#4町という昨年からのスタートメンバーが揃う。

 このように今年の立命館大学ディフェンスは、各ポジションとも昨年までの経験値に新しい選手がうまく融合した状態で、スピードパワーを兼ね備え、さらに、スローバックパスに対応するLBなどのシステム面の向上加わってきている。おそらく、選手層の厚さとパフォーマンスの安定性では学生界トップに位置するだろう。

 過去にはカウンター系のプレーで振り回すことがディフェンス攻略の定番だったが、今年も、有効なのだろうか。対戦相手が立命館大学ディフェンス網をどのように攻略するのか、出来るのか。両方のチームの視点で試合を見ていきたい。

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 今年の立命館大学は、DIV1他のチーム同様にディフェンスの完成度は高くて国内トップクラスの陣容をほこる。一方のオフェンスは夏の整備を待つという状態で未完成の部分が多かったが、しかし、選手個々の能力はやはり凄いものがある。つまり、オフェンスの課題は、それを紡いで一体感のあるものが出来るかというところに絞られるだろう。

 そして、攻撃フォーメーションがショットガンになるかセットバックになるかも興味ある部分だが、どちらを採用するにしても最終的に勝敗に結びつくところは、緻密さや緊張感などのマネジメントの部分だろう。
 近年は、少々丁寧さが欠けていても、選手個人の力で勝ちあがってしまうアスリートな部分が、心的な調整に関する部分を00年年代前半の状態に戻してしまっているように思う。
 例えば、昨年関学戦でのタイムアウトの使い方には異質なものを感じる。幸か不幸かタイムコントロールの良し悪しが試合結果を左右するシーンはなかったが、実際にその場面を迎えたときに西宮スタジアムでの風景が再現されるてしまうのではないだろうか。

 今年は各チームともディフェンスが充実しているのでロースコア僅差の試合展開になる確率が高い。昨年リーグ戦では同志社大学戦、関西大学戦とも終盤までもつれる接戦を演じているが、今年はメンタルな部分のコントロールを誤ると昨年以上に危うい試合が増えるかもしれない。ちなみに対関学戦以外でのリーグ戦黒星は2000年の京都大学戦にまで遡ることになる。

 試合のためのモチベーションコントロールとゲームマネジメント、このあたりが勝負を、関西覇権奪回なるかの分岐点となる。そして両方を完璧にこなして敵地神戸に乗り込むのであれば、覇権奪取も十分に射程圏内に収まるのではないだろうか。



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関西大学
(今春の試合結果)○62− 7追手門・● 0−36法政大・○40− 7龍谷大・● 0− 3関学大
● 6−13早稲田


 2003年から5年連続3位を確保していて、順位的には安定的した成績を残している。しかし、8チームのリーグ戦にも係わらず、5勝に至らない星勘定でも5年連続3位を獲得できるということは、ずっと混戦リーグ戦が続いていることを端的に表していることになる。
 昨年のリーグ戦では序盤に同志社大学と引き分けながら立命館大学には勝利寸前までの試合を行うように、様々にブレが激しいシーズンを送っている。いずれも、ディフェンス健闘オフェンス得点力控えめというロースコアの試合なので、ひとつのファンブルターンオーバーなどのビッグイベントがそのまま勝敗に効いてくる。
 昨年の硬いディフェンスをそのまま引き継ぐディフェンス陣と、昨年のメンバーから大きな喪失のないオフェンス陣は実質2年目の成長分が見込める攻守陣容を擁する関西大学は、今年も上位順位達成を目論むシーズンとなるが、今年は昨年以上にいい意味で波乱を起こしてくれそうな可能性を秘めたチームになっている。

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 今年の関西大学のオフェンスの特徴といえば、まず最初にOLのサイズ&パワーアップが挙げられる。昨年の経験者がほとんど残った#56大谷、#54菅、#72大森、#75保呂、#57角田という構成に1年生小川が先発する試合があるように、選手層も厚くなってきている。パス攻撃以外にもランによる中央突破のための破壊力も備わり、様々なプレー選択が可能なOLになった。

 攻撃の司令塔となるQBについては、春観戦した試合では、#9宮城と#14原口を試合毎に使い分ける起用方法で、どちらをメインとするのかは判断しにくい状態だった。QB#9宮城はサイドラインでインカムをつけていることが多かったが、昨年リーグ戦序盤の負傷からの復帰なので回復状態との兼ね合いもあったのかもしれない。一方のQB#14原口は3年生ながらかなりの実戦経験を積んだ春シーズンであり、来年リーグ戦までを見据えた長期計画の一環と解釈している。
 このようにQBが定まらなかった春シーズンだが、個人的には、おそらく秋リーグ戦に向けてはQB#9宮城を中心にしたオフェンスユニットゲームプランが構築されていることだろうと判断している。

   レシーバーでは主将WR#16永川のスピードに注目しておきたい。レシーバーとして、また、リターナーとしての活躍が期待できる。その他にもWR#12森田、TE#86強、#89青木という構成で、各人とも長短様々なパスコースに対応できる幅の広さが特徴である。さらに春の試合では#7池井、#98守部など次代のレシーバーも確実に成長していて層の厚さを伺わせる。

 RBでは#21境家、#37大丸、#22松森という昨年までの経験者に1年生パワーランナー楠田が加わった。いずれもオープンを捲り上げるというよりも、OT付近までのインサイドをOLブロックが開いた穴を抜けるタイプのランナーである。春はショットガン隊形からの中央ランプレーが多かったが、セットバックからのパワーランゴリゴリプランはないだろうか。密かに楽しみにしているところなのだが。

 以上の布陣による今年の関西大学オフェンススタイルだが、QBが定まらなかった春の試合からだけでは、今秋リーグ戦のプレー選択面が明確には見えてこなかったというのが正直なところ。しかし、アメリカンフットボールを策略戦術のスポーツとすれば、それも十分にうなずけるところで、むしろ、故意に隠したのではないかとも想像してしまう。

 OLとRBは、ランプレーだけで前進を繰り返すパワースタイルも可能なのではないかと思わせる陣容であり、一方のレシーバー陣もパスだけでも前進できる可能性は既にNEB第4Qで実践している。このようにランパス様々にオフェンスの選択肢が広がる可能性を秘めている。春の試合は得点力不足の試合が続いたが、秋にはどのような姿になっているか、楽しみです。

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 ディフェンスは各ポジションとも昨年までの主力メンバーのほとんどが残る。さらにリーグを代表するような選手が多いのが特徴で、昨年リーグ戦でロースコアの競ったゲームをもたらしている。

 特に注目はLB陣で、#49宮崎、#33大館は昨年シーズンからも鋭い嗅覚とアグレッシブな動きでボールキャリアを追い詰めてファインプレーを繰り返したいる。今年はLB#49宮崎がチーム主将でもありプレー面では当然のこと、LBという中心位置から全体の精神的支柱としても大きく機能することだろう。さらに#2豊田、#45岡田、#4玉岡と若手にも鋭い選手が控えていて層が厚い。

 同様に、DLも#97中田、#92福岡、#91杉原、#90重近、#99池田と人材の宝庫であり試合経験豊富なメンバーが揃う。重量とスピードを備えたラインであり、LBがボールキャリアを確実にタックルできるシーンが多いのもDLが相手OLをコントロールできている証拠である。DL#97中田、#92福岡、#90重近は春の試合でも鋭く突っ込んでQBサックを繰り返している。

 DBは#13林、#23飯野、#83森本、#8飾磨などによる。DB#13林のパスカバーは昨年から注目を集めるが、春の数試合を観た限りでは全体的にDB陣のパスカバーに若干の不安を感じるところがあった。関西大学ディフェンス陣の中では試合経験者が最も少ないポジションでもある。さらに、DLLBが強力になって後ろへボールキャリアが到達する機会が減ったからか否かは不明だが、春夏を越えていかに、という一つの課題ポイントではある。

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 近年の関西大学は、攻守スペシャルチームともに年を重ねる毎に層が厚くなっているチームで、昨年も立命館に接戦し春には関学と接戦を繰り広げている。そろそろ最上位を脅かす存在になってきた。

 今年はのDIV1は、おそらく各チームともオフェンスの得点力は低くディフェンス主導のロースコアの試合が多くなるシーズンになりそうだ。関西大学もその傾向の一旦を担っているのだが、ディフェンス確実、オフェンスは未知だが潜在能力は高い。そしてP・K・Rの存在が大きい。
 P#86強によるコントロールされたパントキックによるフィールドポジションの確保、あるいは高速リターナー#16永川によるビッグリターンによる敵陣オフェンススタート、そして敵陣フィールドポジションで確実にFG3点を獲得するK#30小原の存在は、ロースコアゲームが多くなりそうな今シーズンリーグ戦の勝敗を決めるキーポイントである。春のNEBではロースコアゲームを3FGで逆転勝利に結び付けていることからも、P・K・Rの重要性は理解していただけるだろう。
 ここにオフェンス得点力がUPすればという願望はあるが、そのあたりは、夏と秋リーグ戦での成長に委ねる。

 近年は安定してリーグ3位を確保できるようになったので、今年の目標をその上に置いているのは間違いないだろう、そして、今年はもしかしたらワンステップアップが実現するかもしれない。
 開幕戦神戸大学戦と第2節近畿大学戦のスタートダッシュの試合を、攻守とも力強い安定した試合運びで白星につなげることができれば、リーグ戦後半戦は面白い存在になる。良い意味でリーグ戦に波乱をもたらすかもしれない。楽しみにしています。



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京都大学
(今春の試合結果)○21−10甲南大・● 3−16立命館・○14− 7東京大・●14−35鹿島
●17−35日本大・● 6−13京教大


 過去には関西学生覇権争いの中核チームだったが、この10年間はAクラスを確保するところで精一杯の位置にある。しかし、近年では何かおぼろげながらも上昇カーブの兆しが覗いているように感じるのは私だけだろうか。
 私が観戦した今春の試合は2試合。オフェンスは、メンバー不揃いな感じで調整段階の域を超えない2試合だった。ディフェンスは、両チームともフルパワーには程遠い力量の試合ではあったものの立命館大学攻撃ラインと均衡してロースコアゲームへ導き、日本大学戦はショットガン攻撃に手を妬きながらも、一方で年々ステップアップしていくDB陣のパスディフェンスの更なる飛躍を予感させた。
 昨年メンバーから攻守ラインのメンバー入れ替えが激しく、さらにいくつかのポジションでは経験不足な面も否定できないが、人材育成と戦術戦略を支えるノウハウはまだチーム内に備わっているはず。そこに期待したい。

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 オフェンスは、QB#10桐原がスターターとなって、セットバックからのバランスアタックを志向する。昨年は、ランプレーで相手ディフェンスを崩していき、さらに、パスも加わっていくというオフェンススタイルだったが、今年もそれを踏襲することになるだろう。しかし、春の試合ではRBの中心選手が定まらない状態が続いていて、最終的なオフェンススタイルが確立しなかったように思う。

 RBには、#21佐野、#2元村、#3曽田、#85上田、#39高松が今春試合に出場あるいは選手名簿に記載されている。しかし、QB#10桐原のキープランと他のRB陣がどのように絡んで、どのようなプレースタイルになるのかは、未知な部分が多い。
 日本大学戦ではRB(UB)に#11武藤が入ることもあったが、昨年までディフェンス全ポジションを担当していたので、リーグ戦でRBとして参加するかは不明。さらにコンバートという点では、TEに#20永田が入ってパスキャッチした試合もあったが、リーグ戦途中でもいくつかのポジションでコンバートがあるかもしれない。

 WRは、#82中村、#8吉村、#17生川など昨年までの経験者が多く残っているのが心強い。#8吉村、#17生川がショートレンジのアウトパターンパスターゲット、そして、#82中村がロングレンジからショートまでマルチターゲット対応という役割分担になっている。時折見せていた短いクイックパスコースは、もしかしたら一発TDプレーになるかもしれない可能性がある。
 さらに、QB#10桐原が今春立命館大学戦前の練習風景の中で披露していたロングパスを投じるときの滑らかなパスフォームとその飛距離は、DIV1他校QBと比較して筆頭に相当する内容だった。練習と実戦では大きく異なるのは当然だが、きわめて稀に試みるロングパスが、TDプレーになったりするかもしれない。
 だが、今春は長短パスともにレシーバーのパスキャッチ精度が悪くて攻撃が続かない要因の一つになっているところが課題である。

 京都大学オフェンススタイルは、今年も小刻みなゲインを繰り返したオフェンスドライブというスタイルになるだろうが、ランプレーの中に巧妙に織り交ぜるパスの成否が、そのままドライブの成否と試合の行方を大きく左右することになる。
 したがってキーポイントの第一はRBの人材確保とランプレースタイルの確立、そして第二はQBWRのパス精度の向上、そして、新人旧人混在するOL陣#52落合、#65角、#56井上の再構築とプレー面の完成度が求められるところだが、これらは、全て、春夏を経て解決する。

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 ディフェンスは今年もアグレッシブな激しいタックルが炸裂することになりそうだ。DLではNEBで活躍していた2年生DE#12内尾に注目したい。立命館大学DL陣と同じタイミングでオフェンスプレーを破壊していた運動能力は驚異的で、今後の京都大学DLの中心に座る人材である。他に#13飯田、#11武藤などだが人材不足な様子があるのが気がかり。昨年DLも担当した#11武藤は今春RBにコンバート中だが両面出場もありうるかも。

 LBでは、昨年までDLだった#91三井がコンバートされてILBのポジションを担当する。NEB他春の試合でもQBサックを連発するなど大活躍しており、今年のディフェンス陣の中核を成す。さらに#99又賀もRBからコンバートされて今春からLBに配されるようになった。その他にLB#27山口なども起用されているが、DLLBは昨年からの入れ替えが激しくポジション経験が浅いかもというところが課題ではある。

 DBは、昨年までの試合経験が豊富なメンバーがそのまま残っていて、#15前川、#14田畑、#47阿部、#23塩見、#1小澤が今年もディフェンス最終列を担うことになる。いずれも3年生、2年生ということもあって来年も安泰を保障されているポジションである。
 このメンバーによるパスディフェンスは、レシーバーカバーとコース判断がよく、積極的にパスインターセプトを狙っているところがあり、昨年は#15前川がシーズンパスインターセプト3回でリーグ2位の実績を残している。そして今春もDB#47阿部が日本大学レシーバーとの競争でも一歩も引けを取らない動きを見せており、今年もDB陣の活躍には注目しておきたい。

 ディフェンス全体では、「ランプレーをDLLBで潰し、QBにはプレッシャーを与えてパスコントロールを乱したところをDB陣がインターセプトする」という基本ストーリーが明確になっていて、さらに、DBが昨年までの試合経験が豊富なメンバーが揃う。一方でDLLBは新規スタートメンバーが多く経験不足気味な印象を受けるのだが、しかし、選手成長のためのノウハウはおそらく備わっているだろう。秋にはさらにステップアップしてくることを期待したい。

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 京都大学も、どちらかと言えばディフェンスのほうが整備が進んでいてオフェンスは未知の部分があるという状態でシーズンインとなりそうだ。したがってロースコアの厳しい試合が続くかもしれないが、しかし、QB#10桐原のパスは注目に値する。パス攻撃が充実する可能性を伺わせていた春シーズンだったので、もしかしたら秋は全く違ったスタイルで登場してくるかもしれない。

 今年はリーグ戦開幕戦から際どいカードが組まれていて、第1節スピードで振り回されるか近畿大学戦、対抗意識を持って臨んでくる神戸大学との第2節国立大決戦と続く。この2戦で順調に白星を重ねて、第3節では昨年黒星を喫した同志社大学にリベンジなれば、後半戦はリーグ戦を攪乱する面白い存在になるだろう。



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近畿大学
(今春の試合結果)○47− 3桃院大・○80−13明院大・○20− 3甲南大
○21−14金沢大・○35−17専修大・○ 3− 0内外電


 今春観戦したのは2試合。エキスポフラッシュフィールドでの甲南大学戦では相手ファンブルを得点に結び付けるなど絶好のフィールドポジションを維持して勝利を獲得する。
 6月最終週の内外電機戦は、ディフェンスが終盤の2回のピンチを救い(エンドゾーン手前ファンブルカバーとエンドゾーン前5ヤードをシャットアウト)攻撃が残り7分以上の時間を消費して逃げ切るという近畿大学らしい一体感のある試合で社会人を撃破し、春シーズンを全勝で終えている。

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 オフェンスの司令塔QBは、4年生の2名(#3井木、#18原田)が担当する。甲南大学戦では#3井木が前半出場してパス主体のオフェンス展開を、後半からは#18原田がランプレーを中心にオフェンスを組み立てている。内外電機戦では#18原田がフィールド内にいる時間が長かったが、途中には#3井木も出場してきて絶妙なチェンジオブペースとなった。

 しかし、両者でランパスの比率やプレータイミングなど微妙に違うところがありそうで、どのように分担して起用していくのかはサイドラインが決めることだが、オフェンススタイルがQBによって大きく変化するところが近畿大学の特徴である。さらにバックアップQBとして#8荒木(3年)、#10林(2年)が控えていて選手層は厚い。

 RBにはFB#44三好、TB#29吉田、#27三木という布陣で、いずれも昨年試合の経験がある。TB#29吉田のオープンランのテクニックは秀逸で、スピード豊かなランプレーは注目である。またインサイドランナー#44三好のダイナミックな走りとTB#29吉田が中央を突き抜ける。またQB#18原田のスクランブルランもキレがいい。

 レシーバーではWR#19森、#7永山のスピードとハンドリングテクニックが際立つ。さらに内外電機戦では1年生#13高田もパスキャッチ1回の記録(私のメモ)がある。ただしQBとのコンビネーションと言う点では、6月内外電機戦でもレシーバーの描いているタイミングやポイントと不一致な部分が多く、レシーバーのスピードが生きてこないのが残念だった。

 そしてOLには#55島田、#70塩田、#75ワク田(ワク:草冠に隻)など昨年の経験者が多く残るが、今年も選手層の面で不安を隠せない。

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 DLは昨年から試合経験のあるパワースピードの揃った#99平原と副将#52加藤、#91東條、#94藤村というユニット構成となる。
 LBは#9藤井、#2藤田、#34西村、#11古澤などが今春出場経験あるいは昨年リーグ戦から試合出場しているメンバーとなる。LB#9藤井がNEBでもホワイトチームの中核として様々なファインプレーを展開していた姿が忘れられない。

 今年のDLLBは、昨年経験者が存在するものの、再建色濃厚なポジション群である。甲南大学戦では昨年DBだった#34西村がLBに上がっているが人材豊富なDB陣からのコンバートで層の拡充を狙うか。

 そして昨年メンバーが多く残るDB陣はスピードありパスカバー良しというアスリートが揃う。DB#32鷲野はNEBでもパスインターセプト1回あるが、昨年から長身#21吉田とともにレシーバーカバーでは秀逸なところを見せている。さらに#26武藤、#25川野も動きがいい。

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 今年も攻守ラインの選手層の面では負傷者発生後の補充というところに不安を抱える陣容である。しかし、昨年も同じような状態だったのだが、大きなパフォーマンスの低下が発生しないままシーズンを乗り切っていて、いい意味で驚きを隠せないところがある。少数だが本当に精鋭なライン陣なのだろう。

 オフェンスの課題は、上記のようにパス連携に関する部分のステップアップは必要不可欠になるだろう。やはり、ランプレーだけで勝ち抜けるようなリーグ戦ではない。
 そしてパス整備を行うためにはタイプの違うQBをどのように起用していくかというオフェンスのゲームプラン全体に影響してくる。おそらく、ひと夏越えて秋リーグ戦を迎える頃には、オフェンスの方向性が明確に定まっているのではないだろうか。

 ディフェンスは新規スタートとなるフロント部分のパワーアップと連携プレーの再構築が必要だが、LB#9藤井と#34西村がLBの立場からディフェンス陣全体を上手にコントロールして仕上げてくるのではないだろうか。



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神戸大学
(今春の試合結果)○13−12甲南大・● 0−42立命館・○52−14横国大・○44−14同志社
○27− 6龍谷大・●24−13神戸SRC


 今春神戸大学の試合を観戦したのは甲南大学戦、立命館大学戦と同志社大学戦の3試合。同志社大学戦は攻守とも完勝の内容で、その後の龍谷大学戦、神戸SRC戦を1勝1敗という成績を残す。
 6月の2試合は神戸大学公式ページ記載のスコアとスタッツ数値だけで判断するしかないのだが、今春3試合の観戦結果を踏まえると、龍谷大学戦はディフェンスが相手攻撃をシャットアウトし、オフェンスは序盤で龍谷ディフェンスの勢いに押し込まれそうになるが後半はランとパスで攻撃の糸口を掴めた試合、一方の神戸SRC戦はランプレーでゲイン出来ず攻撃の糸口が見つからない状態、ただしパスは得点にはつながっていないがある程度ヒットしているかもしれない、というのが数字上から考えられる試合展開である。

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 オフェンスはQB#4大原が最終が学年となり、今年もショットガンスタイルで挑むことになりそうだ。そして今春から積極的に試合に起用されるようになったバックアップQB#11東野はまだ2年生ながらパスにオプションにと良い動きを見せているのが心強い。おそらく今シーズンリーグ戦でも試合展開によっては出場機会が増えてくるだろうが、QBポジションは来年以降も安泰である。

 パスレシーバーでは、WR#24大園が3年連続のリーグリーディングレシーバーの座を狙う。長短様々なパスコースに適応し、ストライクゾーンが滅茶苦茶広いためにパスキャッチ成功回数が増えている。そしてWR#24大園のパスキャッチでチームオフェンスチーム全体にリズムが出てきたのが5月同志社大学戦であり、チームのムードメーカー的な役割も果たしている。
 さらに今シーズンはWR#12石井、#84井上、#2桂、TE#83東内、#7稲垣などへ昨年以上に積極的にボール散らしているところがある。長短様々なパスコースに複数のレシーバーというスタイルで、相手パスディフェンスも対応に苦労するのではないだろうか。

 RBはTB#1小椋とUB#44大月の中央突破ランが力強かったが、この両名に続くRBを確認できなかったのが残念だった。昔は神戸大学のRBといえば特徴的な選手が続々と輩出されていたが、特にショットガンスタイルになってからRBの人材層が細って行くのを見るのがさびしい。
 #1小椋は来年も残るが、来年以降はどのような布陣になるのかと選手層が少し心配になったりもするのだが、リーグ戦で新たな選手の出現することを期待したいところだ。

 OLは#54河野、#56中、#59橋本、#73白川などによる。春序盤ではライン戦で優位に立ってランゲインを繰り返していた試合もあったが、今季からのスタートメンバーとの新旧融合も必要で、更なるステップアップ&パワーアップを伴って秋リーグ戦に再登場してくることになる。

 さらに安定したキック力を持っていてFGキックで3点を積み重ねていくことができるK#18阪本の存在も大きい。

 オフェンススタイルは、インサイドランと長短パスというマルチスタイルを志向しているが、どちらかというとパス比率のほうが高い。これまではパスのコントロール精度キャッチ精度に大きく依存する試合が多かったが、今年もやはりこの部分がキーポイントになる。ただし昨年に引き続いて2年目のQBWR関係でありパスターゲットも増えているので、このあたりに得点力UPの可能性を見出したい。
 ところで、個人的には中央付近のランのみのゴリ押しオフェンスを見てみたいのですが如何でしょうか。

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 今年の神戸大学ディフェンス陣は見所が多く、久しぶりに頑丈で怪我人の少ない陣容になりそうで、密かに期待している。
 DLは春から動きの良かった#99小澤、#94久岡、今春の出場がなかったが実績ある#95春山、#89杉本も最終学年、さらに昨年1年生ながらリーグ戦出場機会の多かった#97庭山と、昨年のメンバーが残る布陣になっている。

 LBは、#42玉井、#55宮川、#49浅野、さらに春は2年生の#3花田、#15前川が起用されている。そしてILB#55宮川の守備範囲の広さとアグレッシブにボールキャリアを追う姿に目を奪われてしまった春シーズンで、#55宮川がサイドラインに下がるとディフェンス全体のパフォーマンスにも大きく影響を及ぼしてしまうディフェンスの中核選手で、LB#42玉井とともにそのパフォーマンスはシーズン序盤から耳目を集めることだろう。
 そしてLB陣のファインプレーがはっきりと目に見えるということは、DLがライン戦で均衡以上の成績を残しているということにつながる。今年の前2列はパワフルで楽しみである。
 ところでLBは昨年も人材抱負なポジションだったのだが、怪我などで真価が発揮できずじまいで終わってしまったのがかなり残念だった。今年は負傷なくシーズンインしてくれるはず。

 DBは#26中江と#34宮路によるSコンビも円熟の3年目を迎えるが、春は昨年リーグ戦での成長著しい#5川崎がSに入って健闘していた。反対にCBは若手中心で2年生#17種田、#20川口がスターターとなった春の観戦した3試合である。なお、#17種田はNEBでも出場機会があった。
 4年生で今春出場機会がなかった(?)S#34宮路、CB#21山下が復活すれば、交代出場しながら盤石な第3列が構成されるだろう。

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 神戸大学の攻守とも勢いに乗ると止まらなくなるというDNAは今年も同志社大学戦で垣間見ることが出来た。また、オフェンスでの時間消費によるゲームコントロールも得意とするところである。3年前に一度入れ替え戦出場はあるもののDIV1の中で良くも悪くも安定したポジションにいるが、そろそろ違ったポジションを見てみたいものだ。

 開幕戦は昨年と同一カードとなる関西大学との試合になる。昨年も第4Q残り数秒まで勝敗の行方が混沌とした試合になっているが、今年も、ここはひとつの狙い目の試合となる。ロースコアの中でのオフェンス殴り合いの試合、というと表現の不一致だが、そのような試合になる。詳細は別途だが、ここを乗り切って良いスタートを切れば、それこそ勢いに乗ると止まらないシーズンが始まるだろう。



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甲南大学
(今春の試合結果)●12−13神戸大・●10−21京都大・● 3−20近畿大・● 6−27関学大
○56−21学習院・○10− 6名古屋大


 甲南大学は、昨年、龍谷大学との入れ替え戦に勝利して5年ぶりにDIV1に復帰してきた。5年ぶりなので選手の中でDIV1での試合経験者は存在しないが、その経験不足を一気に補おうとするかのように、今春はDIV1所属の4校と試合を行っている。試合を行った結果DIV1でリーグ戦を戦うことについてどのような感触を得ただろうか。

 今春のどこかの観戦記にも書いたが、昨年の甲南大学もDIV1に所属していたら面白い存在だったかもしれない好チームだったが、私が今春観戦した6試合中の4試合では、攻守とも深みのあるチームになってDIV1に復帰してきたように思う。
 リーグ戦最初は少々苦労する試合が続くかもしれないが、その中でスピードとパワーに慣れて行けば、その後の試合ではいくつか白星につながるのではないか、というのが今春の観戦結果に基づく私の感触である。

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 オフェンスの司令塔QBは昨年から#11松延と#13京極の併用が続いているが、今年もランパスのバランスアタックを2名のQB体制でリーグ戦に臨むことになりそうだ。

 バックスメンバーはRB#26高谷、#28板谷、#34永井、UB#31糟谷、WRには#16吉田、#14国田、#81宅和、#18大槻、TE#5橘田。ランナーレシーバーとも各学年に均等に分散していて、得意とするプレーも各人各様なので、プレー選択幅が広がるとともに、次代への伝承もスムーズに行える理想的な構成になっている。

 ランプレーではオープンをスピードで捲り上げるランプレーと、インサイドをラインの力を借りながら突破を試みるラン、さらにショートからミドルレンジのパスをつないでいくパス、というマルチオフェンスを展開する。レシーバー陣のボールへの執着心が高く、ランでも少しでも前へという姿は春の試合でも何回かみることができた。
 さらに春の近大戦・関学戦でワンポイントでしか出場しなかった秘密兵器的な存在や、ランナーレシーバー兼任のマルチプレーヤーが多いので、オフェンスプランの引き出しは想像以上に深くて広いチームである。

 このオフェンスチームの課題としては、攻撃の起点となるOLに今季からスタートメンバーになる選手が多いことと、QBWRのパス精度が悪いときに攻撃のテンポが出ないこと。これは、春以降の成長分でクリアするところと、レシーバーの執着心がカバーする部分になる。秋リーグ戦では、ワンステップアップしたオフェンスが展開されることだろう。

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 ディフェンス陣は、各ポジションとも新たなスターターが加わることになって新規の布陣で臨んだ春の試合だったが、経験の浅い分部分を各選手のスピードと集中力が補っていて、近畿大学戦、関西学院大学戦ともに崩され続けるシーンはなく、試合終盤まで均衡した試合を演出していた。

 DL#54宮本、#42塚本、#3池内、さらに関学戦でいい動きを見せていた1年生#74尼谷などによる選手構成で、全ての選手スピードがある。昨年の主将など存在感のあったDL選手複数名を卒業で損失することのマイナス面を危惧していたのだが、杞憂に終わりそうだ。

 LBは#4中田、#7佐藤、#5橘田というアグレッシブな構成で穴がない。さらに近大戦では1年生#6内芝も出場して遜色のないところを披露していた。

 DB陣は#8山本、#19川崎、#22田中、#20堀場、#27小椋、#34永井など。そしてDB陣によるパスディフェンスの集中力は特筆物で、レシーバーカバーでワンテンポ遅れていても最後のキャッチ寸前のパスカットシーンを何回も見ることが出来た。レシーバーに追いつくスピードと、集中力、そして最後まで諦めない執念のプレースタイルは、何故かDIV1他校で見かけることが少ない。

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 今年DIV1各校春終了時点の共通点は、ディフェンスは順当に整備されていてオフェンスが発展途上であること、そして、甲南大学もその系統に従う。したがって、ディフェンス堅守でロースコアの展開に持ち込むことが出来ればワンチャンスで試合の主導権を握ることも不可能ではない。

 ディフェンスは集中力でDIV1経験不足を補うが、補って余りあるものがありそうだ。オフェンスもプレーの幅が広いので、パスの成功率が高まればテンポアップしたドライブもできるだろう。

 5年ぶりのDIV1リーグ戦は、開幕戦立命と第2節は関学と続くが、このあたりでDIV1のスピードに慣れていけば、その後は、いくつか白星につながる試合があるかもしれない。楽しみにしています。



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同志社大学
(今春の試合結果) ○48−13立教大・●14−44神戸大・● 7−20愛学大・●13−24慶應大
● 6−20イワタニ・●26−27関東学院


 春の試合は6戦1勝5敗という結果になったが、近年の春の結果は意外と黒星が多く、昨年、一昨年とも6戦4敗である。このような成績でも秋リーグ戦ではいくつか白星を獲得しており、特に昨年は開幕戦京都大学戦白星、第2戦関西大学戦も引き分けという戦績を残している。一般的に春の試合結果は参考程度に捉えるべきものだが、このチームほどその言葉が当てはまるチームはないだろう。

 私が観戦した今春の同志社大学関係の試合は5月の神戸大学戦1試合のみ。まだチームの立ち上がり時期だったのでほとんど参考にもならない試合だったが、攻守ともに人材は豊富で、7月のNEWERAではホワイトチームの重要なポジションを任されていた。
 人材面で言えば、昨年までの試合経験を踏まえてさらにステップアップした人員構成になっていて、攻守とも経験豊富な最上級生が多くのポジションでスタートメンバーとなっているので、来年以降のことがどうなるか少々心配になるのだが、来年以降については今シーズン中の新戦力出現もあるだろうから、来年考えることにしよう。

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 オフェンススタイルはショットガン隊形からのランパスのバランスアタックを展開する。その攻撃を支えるOLは、#59松村、#62高倉、#69中野、#58友金と昨年経験者が多く残っているので、ラインの安定性は今年も維持されていることだろう。

 RBでは#2太刀掛が最上級のエースランナーとしてインサイドオープンともに力強いランを展開する。そして昨年終盤に登場してきたRB#34河野、今春神戸大学戦のRB#22重坂の走りのスタイルは次代のオフェンスを担うランナーとして期待したい。

 ショットガンパスのレシーバーでは、WR#7橋本、#5上原、#84足芝、TE#87居戸など。さらにNEBでもパスキャッチ機会のあるWR#81和田が新しいターゲットとして頭角を現してきた。
 サイドライン際への短いパスや中央付近へのミドルパスは、パスコントロールとハンドリングにミスがなければテンポアップしたオフェンスドライブにつながる。試合のモメンタムを逆転するまでの可能性を秘めた攻撃スタイルだが、反対にパス失敗が続くと、一気にトーンダウンしてしまう、パス主体オフェンスの宿命のようなものである。
 今春神戸大学戦でもパスドライブで得点を重ね、昨シーズンでもパスをきっかけにしてランパス怒涛のドライブとなった試合は多い。やはり同志社大学オフェンスリズムを決めるキーポイントは、QBWRのパス成否となるだろう。

 そしてオフェンスの司令塔QBは今年が最終学年となる#17多川が担当する。ショットガン隊形からのクイックパスとスクランブルラン、その豪快かつ大胆なプレーぶりは、時としてチームのピンチを救うことが多い。その逆のパターンもなくはないが、豪快なキープスクランブルはボールセキュリティが確保されるようになれば心強いプレーになる。
 パスが繋がらない、かつ、ランゲインできないオフェンス手詰まり状態でのスクランブルランなので強引になるのもうなずける。だが、それはそのままファンブルの発生確率が高まることでもある。ダイナミックなスクランブルランを見てみたい一方で、やはり、クイックパスをつなぐだけのオフェンスドライブに終始してほしいとも思うところです。

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 DLは#75清松、#56西村、#98夏目、#43栗山という布陣になりそうで、#56西村以外はスタートメンバーに名を連ねるのは今季からとなる。しかし、昨年からケガ人バックアップのための出場機会は多く、リーグ戦経験の豊富な今季のスタートメンバーである。
 そして昨年からスタートメンバーに名を連ねる#56西村の破壊力には是非とも注目したいところで、ビッグプレーメーカーとして今年も活躍することになるだろう。さらに今季主将#75清松、#43栗山なども昨年試合から動きがいい。総じてアグレッシブでダイナミックな選手が揃っているDL陣である。

 LBには2年時から試合経験のある4年生#10三浦、#52田中が今年もアグレッシブなプレーを行う。さらに#13植松、#41倉科、#24辻田、#16松田など新しいメンバーが加わった。
 DBにも#25遠藤、#30桝谷、#20岡、#9岸部昨年経験者が多く残っている。S#30桝谷、#25遠藤のボールキャリアへの寄りのスピードは速く安心できる最終列を構成している。昨シーズンは、#25遠藤がそのスピードを生かしてはリターナーも兼任していた。

 このように同志社大学ディフェンスは全体的に昨年のメンバーが多く残り、血気盛んで勢いあるメンバーが多い。さらに、粘り強さも兼ね備えていて、それが昨年リーグ戦での白星引き分けに繋がっている。

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 QB多川率いるダイナミックなオフェンスは、勢いづけばかなりの得点力を有する。今年のDIV1各校ともオフェンスが発展途上のチームが多い中では、得点力という点では潜在能力は高く、オフェンスで主導権を握れる可能性があるチームである。さらに、試合経験豊富で破壊力のあるディフェンス陣が相手攻撃を封じ込めることができれば、というのが勝利へのストーリーとなる。

 今春成績は1勝5敗。しかし、春の成績が当てにならないことはすでに昨年実証ずみで、昨シーズンでは冒頭に記した以外では第4節立命館大学戦で試合の主導権を握り、相手側の焦りを誘い出すなどリーグ戦前半から接戦を繰り広げている。
 今年のリーグ戦対戦相手は開幕戦関学・第2節立命の順になるが、おそらく今年もシーズン序盤から目が離せないことになるだろう。



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