関東大学選手権



関東学生A  関東学生B  甲子園ボウル 

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12月02日(日) 味の素スタジアム 13:00
チーム名1Q2Q3Q4Q合計
法政大学13147034
日本大学71014738
(現地観戦)
 
法政大学
日本大学
FG 1Q
FG
G×
TD
TD
1Q
2Q
TD
TD
TD
2Q FG
3Q TD
FL
TD
TD
3Q
4Q TD
FG×
FG×
G×
4Q END
(作者Aのメモより)
AK-CHART
AK-CHARTの見方


 この試合を観戦しようと思ったきっかけは、やはり日本大学が出場してくることが大きかった。関西でアメリカンフットボールを知って毎冬に甲子園での赤と青の対決を見て育った環境なので、やはり、そのチャンスがあるのならば東京まで調布までという思いがあった。

 さらに11月初旬に法政大学の対日本体育大学戦を観戦したのだが、その時にプレッシャーのかからないディフェンスやパスディフェンス等があったので、もしも法政大学が甲子園にくるのであればそこの真偽の確認の意味もあった。

 もしも日本大学勝利ならば17年ぶりという歴史的瞬間は現地で見るべきと考えるのは、やはり赤と青を知っている関西人の発想です。さらに、甲子園ボウルを観戦するに当たり、相手の力量を法政大学ディフェンスについて誤った判断をしたまま観戦するのもなんとなく気が引けた。

 なお、近年で関東大学選手権を観戦したのは2003年の法政大−東海大まで遡る。この年は、早稲田・法政・東海・専修の4校によるトーナメントで、早稲田と東海の準決勝ではタイブレークの末に東海が勝ち上がり、一方の法政専修も僅差の試合の末の決勝戦だった。
 それなりに目論見をもっての観戦だったが、その時は私の考えていた試合展開にはならなかった。という2003年の関東大学選手権以来となる。

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 さてこの試合を観戦するにあたり、展開予測は行ってはみたものの、日本大学の秋シーズンの試合を観戦していないこともあって、ほとんど不可能だった。

 今春日本大学は2回の関西遠征を行っていたのだが、ディフェンスに対して具体的な印象が無かったこと(私の観戦態度にも関係する)、オフェンスはキーメンバー以外含めた幅広い起用方法だったことで参考程度にしかならなかった。
 さらに、リーグ戦での日本大学のスタッツを見る限りでは際立った数値が残っていなかった(もっとも、1試合合計数値だけでは特徴が見えていないに等しい)こともあって、この試合は、両オフェンスの点の取り合いになる可能性からもしかしたら法政大学の一方的な展開まで、という幅の広い予測を立てて臨んだ。

 試合結果は最終スコアで4点差、法政大学終盤の追い上げは凄まじく、僅かな時間でエンドゾーン手前10ヤードに到達したのはさすがと言わざるを得ない。時間に追われながらも4回の攻撃チャンスがあったので、法政大学逆転勝利があっても不思議ではない試合だった。
 結果的に日本大学勝利で17年ぶりの甲子園ボウル出場なったが、再戦すれば絶対に同じ結果にはならない試合である。

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 ただし、試合展開組み立て面では両校に違いがあったようで、「相手にアジャストする」「試合をコントロールする」とはこのようにすることだ。という強烈なメッセージを日本大学が残した。

 関西で関西学院大学攻守の組み立てに芸術性すら覚えてしまう昨今だが、それに匹敵するかそれ以上の日本大学の試合組み立て方だった。怖いものを見てしまったというのが正直な感想で、これから甲子園ボウル試合終了まで眠れない夜が続きそうだ。

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 実際の試合内容だが、やはり、予想どおりに点の取り合いの試合になったが、それは両チームのパスディフェンスが機能しなかったことが大きい。DB5人を配しながらも様々なパスが固定ターゲットにヒットが続く。
 パスディフェンスVSパスオフェンスの力関係を見れば、先攻チームが先に試合の流れを掴んだというのも十分に頷ける。こうして試合前半は両チームともゲイン荒稼ぎ状態の中での攻防が繰り広げられた。

 第1Q、法政大学オフェンスはQB#4菅原からWR#7本間、#81栗原、#11戸倉へミドルパスを通して敵陣深くまで2ドライブする。だが2回ともFGに終わっているのはランプレー時のライン戦の結果であって、日本大学DLの壁と判断スピードのあるLBがFGに止めた。
 おそらく、ここの攻防で日本大学ディフェンスは法政大学OLとランプレーに対してなんらかの判断材料が手に入ったのではないだろうか。

 一方の日本大学オフェンスは、QB#10木村によるショットガンオフェンスを展開、試合前半はWR#25小嶋を半固定ターゲットとして、さらにWR#84吉田、#23秋山などへのミドルパスを加えていく。その後RB#21金の走路が少しずつ確保されてランも加わったドライブになっていく。

 ところで日本大学には第2Qに2回ドライブできなかったシリーズがある。オープンスイープなどで左右への展開を試みたが法政大学ディフェンスが対応してショートゲイン止まりとなったが、以降では、横へ展開するプレーを用いなくなった。

 そして圧巻だったのは、第2Q終盤、7−27とリードを広げられた直後のシリーズだった。WR#25小嶋などゲインが確実?というようなプレーを投入し、それををことごとく決めて、得点を獲得してしまった。

 何がゲインできて何が止まるのかを最終確認しながらのオフェンスドライブのように見えたのだが、それは、直前にオープンプレーをシャットアウトされた直後だったことも、そのような印象を深めた要因だろう。

 そして第2Q最後の日本大学オフェンスドライブ。このドライブが始まる直前に「このドライブで日本大学が得点したら、この試合の行方は判らなくなる」と友人にメールしたのだが、その意図は、日本大学オフェンス側がここまででゲインしていないプレーを選択するか否かという観点だった。結果は効果のあるプレー中心に、新しい試みも加わりで、最後は法政大学ディフェンスの粘りもあったが、FG3点を追加するまでに至った。

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 両オフェンスのこのような組み立てに対して後塵を拝するディフェンスだったが、ライン戦で日本大学DLが優位だったこと、そして、パスターゲットに対してDBの反応が効いてきたことが、試合後半、時間の経過とともに大きな力となっていく。

 止まらないパスコースやターゲットは存在したものの、少しずつDBカバーとDLプレスのコンビネーションがプレッシャーとなってQBに届くようになっパスを投げる余裕が無くなっていった。

 法政大学ランナーとしてはRB#29渓本、#31原、そしてQB#4菅原キープの3種類があったが、序盤からすでにランだけでは大きく切りくずせてなかったことも、パスに対して的を絞らせてしまった要因でもある。

 こうして、日本大学が法政大学オフェンスの芽を少しずつ摘み取っていく。試合時間の経過とともに法政大学の攻撃手段がなくなってしまった。なお、この試合はQB#4菅原オンリーでリーグ戦途中のように他のQBと併用することはなかった。

 一方の法政大学ディフェンスと日本大学オフェンスの攻防だが、なによりDLプレッシャーが日本大学QB#10木村、#12平本に届かなかったことがやはり大きなポイントとなった。
 サイドライン際へのショートパスというコース自体もディフェンスにとって厳しいところを突き、さらにRB#21金の巧妙なランも加わっていく。法政大学ディフェンスが落ち着かない、苛立っているのではないかという雰囲気は観客席にまで伝わってきている。

 スコア上は、日本大学5個目のTDドライブ途中での敵陣25ヤードでのFG失敗時の法政大学反則(罰退はハーフ)から得点を許したことが効いてくるのだが、それよりもオフェンスが手詰まりになってコンスタントなゲインができなくなったことで法政大学のペースではなくなってしまった。

 こうして甲子園ボウルに日本大学が17年ぶりに出場することが決定した。

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 関西の人々に日本大学攻守のイメージを掴んでもらうために誤解を与えてしまうことを恐れずにあえて例えるならば、立命館大学攻守のスタイルや力関係が最も近いか。
 オフェンスではRB#26松森に対するRB#21金、WR#1本多、#11前田に対する、WR#25小嶋、#23秋山、#22松林、TE#84吉田と、OLも若手主体ながらかなり整備されている印象で、似通っている。
 ディフェンスもDL#56岡本に匹敵するDL#92鈴木、#99一木、#90小宮というDLパワーとLB#8長島、#44中谷の俊敏な動きは同じ、DBも同じ傾向という印象だった。
 ただし、攻守プレー選択選手起用などのベンチワーク面では、どうだろうか。甲子園ボウルはこのあたりがキーポイントになるかもしれない。

 「甲子園ボウル」という名称で長居陸上競技場で行われる第62回東西大学王座決定戦は12月16日(日)13時キックオフです。

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 現在、試合から6日が経過した土曜早朝。観戦記とは名ばかりで、甲子園ボウル展望が混じってしまったこと、それ故に、法政大学側の視点からの部分が少なくなってしまいました。

 少しだけですが法政大学側の視点に立てば、今年も「P#4菅原」とか、「ロンリーセンター行ったり来たり」など、法政大学らしい凝った面白いプレーがあった。特に「ロンリーセンター以下略」では、これを長居でやったときの観客席のどよめきの声まで私の頭では聞こえていたのだが、これを見ることが出来ないのは少し残念な気がする。

 もちろん、QB#4菅原とWR#11戸倉、#81栗原、さらにTE#89東も加わった様々なパスオフェンスに対する関西学院大学ディフェンスという興味も解決したかったのだが。エンドゾーン目前10ヤード、そこから4回の攻撃チャンスがあったのだが、僅かに届かなかった。

(了)