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12月03日の2試合は、DIV1との入れ替え戦に出場するDIV2側の代表チームを決定するために行われ、東海学生および北陸学生の代表チームと関西学生DIV2のAB各ブロックの代表チームが対戦し、その勝者がDIV1との入れ替え戦に出場する権利を得ることになる。 このような仕組みになっているのは、東海学生と北陸学生が誕生していった過程に理由がある。 以前は、東海や北陸の学校も関西学生に属して同一のリーグ戦を行っていたのだが、各地区でのアメリカンフットボールチームが増えてきたために東海学生と北陸学生に独立してリーグ戦を行うようになったというのが両学生連盟の経緯である。 つまり、もともとは一つであったものが分かれただけという東海学生と北陸学生の各チームは、現在も関西学生DIV2と同列の位置にあり、そして入れ替え戦を経てDIV1への道がつながっている。 ******** ここ数年の入れ替え戦出場校決定戦は、DIV1最終節の試合日程と重なっていたので、なかなか観戦できなかった。過去にはDIV1の試合とハシゴしたことがあるが、今年は2001年以来のフル観戦である。 さらに私的には、東海学生の試合をいくつか観るようになっていたので、関西学生DIV2との差があるのかないのか、実施に目で見て確認できるということで楽しみにしていた試合である。 試合結果は、甲南大学27、名城大学21で関西学生DIV2の勝利となったが、東海学生代表の名城大学が関西学生DIV2の代表校と互角の均衡した内容の濃い試合になった。 ******** 先攻甲南大学は、第1シリーズでRB#23による中央突破とオープンピッチによるFD更新ドライブを見せる。 試合開始直後ということもあって名城大学ディフェンスが対応できないままの前進シーンだったが、しかし、最終的には名城大学ディフェンスLB#42、#5などがエンドゾーン前4ヤードの攻防に耐え、甲南大学FG失敗によって無得点に終わった。 さらに、その後の甲南大学RB#32のランプレーに対して名城大学LB#5、#42などディフェンスが対応できるようになっていく。 一方の名城大学オフェンスもRB#45、RB#3によるランプレー中心のドライブを展開する。UBフェイクのQB#12キープや、UBTBによる中央付近のランプレーが続き、さらに、QBのフェイク動作の妙もあって、甲南大学ディフェンス陣が振り回されるようなシーンが散見され、名城大学のオフェンスもドライブできる可能性を見せていた。 ******** 両チームとも立ち上がりはランプレーによる応酬となったが、しかし、実際の得点失点は、別のところから発生した。それはキックリターン、パントリターンによるビッグゲインがきっかけとなった。 第2Q中盤、名城大学リターナー#29がフィールド中央からのリターン。サイドライン際を絶妙なブロックの助けもあって大きく駆け上がる。リターンTDに1ヤード不足したが、名城大学はこのチャンスを確実にTD7点に結び付けて先行した。 しかし、その直後のキックで甲南大学リターナー#80が約80ヤードのリターンTDを奪い、たちまち同点に追いつくと、次のシリーズでも#80による65ヤードのパントリターンをFGに結びつける。 互いにビッグリターンによるチャンスを点に反映させて第2Qが経過していった。 ******** 第2Q終盤、名城大学は#3による35ヤードリターンと、その後のRB#3とQB#12によるランドライブによって敵陣24ヤード付近に到達した。 この時点で残り時間0分52秒、甲南大学10、名城大学7という状況だった。 名城大学としてはTD7点も重要だが、FGの3点は絶対に獲得しておかなければならないシチュエーションであり、そのためのプレー選択も必要だった。 一方で是非とも7点獲得して前半をリードして終えたい。残り時間52秒は、まだFGを蹴るには時間が残りすぎている状態だったので、7点を取りにいく姿勢も、また、十分に考えられるものだった。 結果は、エンドゾーン手前8ヤード付近で甲南大学DB#8にパスインターセプト。無得点に終わる。 ******** このインターセプトによって甲南大学は残り時間39秒自陣35ヤード付近から攻撃開始となるのだが、ここからのタイムコントロールオフェンスが、すばらしかった。 ショートパスやランプレーをつなぎながら、そして、時計を止めながらのドライブは、甲南大学側にまだタイムアウトが2個残っていたことも余裕を与えたのかもしれない。 この時計を睨みながらのオフェンスドライブは、2回のFD更新40ヤード前進して残り時間0秒でのFGにつながった。 ******** 第3Q名城大学最初の攻撃はランドライブが繋がるものの、最後のパスが通らない。 こうして一進一退の攻防が続いたが、パントの蹴り合いを通じてフィールドポジションを優位にした甲南大学がRB#23によるミドルゲインとQB#11キープ20ヤードの2プレーでTD7点を獲得する。 これに対して名城大学が#3による90ヤードのリターンTDによって即座に点差を詰めると、続く甲南大学も#80による30ヤードリターンと#23による38ヤードのTDラン。 前半と全く同じように、ビッグリターンを発端とする得点の重ね方になっていった。 ******** 名城大学オフェンス組み立ては、ランパスバランスアタックという試みだったが、パスに対して甲南大学DLが漏れてくることのプレッシャーや何回かのDBファインプレーなどがあったことが影響したのか、さらにランプレーではある程度のゲインできている状況もあって、時間が経過する毎にランプレー重視のオフェンスドライブとなっていく。このあたりは相手との力関係を見た上での判断なのだろう。 甲南大学ディフェンスも、名城大学RB#3、#45のランに対しては試合前半から手を焼く状態で、フェイスマスクの反則が多発しているのも意図したものでは当然のことだが、しかし、フェイスを掴まないと止まらないほどのランテクニックだった。 第4Q。名城大学RB#3による右OT付近から内側へカットインするランで15ヤードゲイン。このランプレーも甲南大学の反則がなければもう少し前進していた可能性もあった。 名城大学は、このシリーズをQB#12のUBフェイクキープとRB#3によるランドライブをつなげて、両チーム始めてのロングドライブによる得点となった。 この時点で、残り時間6分41秒、得点はわずかに6点差。名城大学に再び攻撃のチャンスが巡ってくれば、ランの脅威があったのだが。 ******** しかし、続く甲南大学オフェンスは、またも絶妙なタイムコントロールを見せつけた。 自陣20ヤード残り時間6分35秒からの攻撃シリーズ、QB#11、RB#23のラン、TE#92へのパスなどをつないでFD更新4回、第3Dコンバージョン2回成功、第4Dギャンブルも1回成功させた時間消費ドライブは、名城大学ディフェンスのボールを狙った執拗なタックルもかわして、そのままタイムアップとなった。 ******** この試合は、甲南大学の第2Qと第4Qのタイムコントロールが強烈な印象を残した。第2Qは如何にして時間を残すか、そして第4Qはどのように消費していくか。 簡単に出来るようで実際にその場になると難しいことだが、チーム全体オフェンス全体で徹底しているところは、次の入れ替え戦でも、大きな武器になりそうだ。 名城大学にとって6点差は、第2Q終盤のターンオーバー分が効いたことになるが、それは結果論。 名城大学オフェンスはランパスで様々な組み立てを展開して手の幅の広さを見せた。過去に何度か見たことにある名城大学の試合に基づいた個人的勝手な予想では、手の狭さから来るオフェンス手詰まりになってしまうのではないかと考えていたのだが、私の引き出しの中身を改めなければならない。 若い学年が多いチームでなので、来年のさらなるステップアップが今から楽しみです。 |
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龍谷大学がDIV1に在籍していたころの私個人的な龍谷大学オフェンスに対する印象は、トリックプレーとかややこしい難しいプレーを使って結果失敗に終わって無得点というイメージだった。 だが、この試合ではQB#12によるノーマルなランパスバランスアタックを展開し、奇をてらうトリックプレーもなくオーソドックスなプレーに終始していた。 第1シリーズは、RB#3、#31によるショートゲインのランプレーとWR#18へのパス。いずれも短い距離を確実に前進しようとする狙いが伺えるプレー選択を繰り返す。 しかし、龍谷大学OLが金沢大学DLとLBをコントロールしている状態で、なかなか龍谷大学ドライブが止まらず、結局4回のFD更新のロングドライブとなった。 この第1シリーズは最終的にはFG失敗に終わっているが、その後もRB#31、#3のランプレーとWR#9のパスドライブが止まらない。 第2シリーズは、WR#9の23ヤードTDプレー、第3シリーズもWR#9の16ヤードパスとリバースで得点を重ね、前半最後も、WR#9への左横パスからのスピードランを60ヤードTDプレーとした。 ボールキャリアは限定的なのだが、しかし、金沢大学ディフェンスが対応できない。龍谷大学は前半4シリーズを3TD1FG失敗で終えた。 ******** 一方の金沢大学オフェンスはQB#8、#16併用のランパスバランスアタックを展開する。 だが、3回目のオフェンスでは、WR#7へ13ヤード、WR#87へスクリーンヒットなどで敵陣到達するものの、続くミドルパスがDB#42にインターセプト。 4回目のシリーズではWR#7へ20ヤードミドルパスで敵陣へ入るが、エースターゲットWR#7へのTDロングパスがDB#8の厳しいマークでつながらず。そして、中央付近のプレーアクションパスをパスキャッチ後にファンブルロストしてチャンスをモノにできない、 前半2回のターンオーバーは、いずれも敵陣侵攻してからのもので、オフェンスドライブが結果に結びつかないもどかしさがあった。 第2Q最後のキックリターンで得た敵陣スタートのポジション。ここでもでもWR#7へのTDパスがつながらずFG3点に止まった。 ******** 後半も、前半の試合展開がそのまま引き継がれる形となった。 金沢大学は後半も1回のファンブルロストと3回のパスインターセプト、攻撃側は波に乗ることが出来ないまま時間だけが経過していく。 第4Q、自陣20ヤード付近からWR#21へのロングパス40ヤードゲインを絡めて敵陣へ侵攻、さらにランパスをつないで、約5分間80ヤードにわたるロングドライブで7点を返すに留まった。 一方の龍谷大学も、金沢大学オンサイドキック失敗後の敵陣スタートシリーズでQB#12キープとWR#9などによるミドルゲインを絡めた1TDドライブのみになる。 だが、試合前半のフェンス内容と若干異なっているところもあり、いろいろと試行錯誤したということなのかもしれない。 |
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