関西大会 決勝 結果



関西大会 



06月18日(日) 王子スタジアム 13:30
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
大産大附属高校 0714021
関西大倉高校10140630
(現地観戦)
 
大産大附属高校
関西大倉高校
1Q TD
1Q FG
2Q
TD
TD
TD
2Q END
TD 3Q
TD
G× 3Q
4Q
TD
G×
4Q END
(作者Aのメモより)
詳細テーブル


斉藤杯(最優秀選手賞):#52村上昌隆(関西大倉高校)
奥川杯(敢 闘 賞) :#33楠田憲也(産大附属高校)


 関西大倉高校のオフェンスフォーメーションは、ショットガンとセットバックを併用し、さらに、ショットガンでセットしつつ、QBがシフトしてセットバックに変わるというパターンを多様した。プレー開始直前のこのフォーメーション変化は、ディフェンス側から見ると対応しにくいかもしれない。
 そして第1シリーズから関西大倉高校オフェンスがビッグゲインを重ねる。RB#3川端とQB#7呉田キープのランプレーが中央・OT・オープンとも止まらない。
 DLをOLがコントロールしている状況で1回5ヤードは確実に進み、第3列DBがロングゲインを止めるのに精一杯だった。
 この怒涛のランドライブによって関西大倉高校は第1シリーズを4回のFD更新の末に得点、さらに第2シリーズも3回のFD更新からFGで得点差を広げた。


 一方の大産大附属高校オフェンススタイルは、準決勝と同様のQB#18岡によるセットバック隊形。しかし、RB#33楠田、#3三木による中央突破ラン、QB#18岡キープが全く進まない。さらに、関西大倉ディフェンス陣がスクリメージを超えて侵入してくるので、ノーゲイン・ロスゲインが続く。攻撃を組み立てることができない状態で、2シリーズ連続FD更新ならなかった。

 第3シリーズで相手反則によってようやくFD更新なったが、両TEセットでもDL#69南に割って入られるなど状況は変化していない。
 そして、ディフェンスのプレッシャーを受けながら投じたパスをDB#19奥野にインターセプトされてしまう。前半ここまでの大産大附属オフェンスは、ほぼ完封された。


 一方の関西大倉高校オフェンスは、その後もRB#21海島、#3川端によるミドルゲインを連発、敵陣での第2D残り1ヤードのシチュエーションではロングパスを投じる余裕すらのぞかせる(結果はパス失敗)。
 こうしてショットガンフォーメーションでのQB中央スクランブルキープで24ヤードTDラン、さらにQ#7呉田からTE#4田中への24ヤードTDパスで得点を重ねた。

 第2Q残り3分の時点で、関西大倉高校24点、大産大附属高校0点。さらに、両校攻守の現在の力関係を考慮すると、予想もしていなかった大差の試合になりそうなムードが漂い始めていた。

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 第2Q残り2分59秒、大産大附属自陣28ヤードからの攻撃開始。

 QBキープとRB#3三木へのプレーアクション気味のショートパス成功も、第3D。両TEセットのRB#33楠田左オープンランが、絶妙なブロックもあって10ヤードゲイン、ここまでの最長ゲイン記録を更新してフィールド中央48ヤード付近に到達した。

 だが、FDでDL#52村上によるロスタックルを受けてロス3ヤード。大産大附属は1回目のタイムアウト行使した。残り時間2分00秒。

 タイムアウト後は、WR#82高田への右アウトパス13ヤードでFD更新、さらに、QBキープ左OTが5ヤードゲインとなった。

 残り時間1分44秒、第2D直前に2回目のタイムアウト行使。中央ラン3ヤード。
 そして、2ヤードを残した第3D直前で、最後のタイムアウトを使った。

 贅沢なタイムアウトの使い方だが、関西大倉ディフェンスの勢いを「間」を取ることで削ぐとともに、大産大附属オフェンスには冷静さと集中力を高めるための「時間」を確保し、どうにかしてリズムを変えたいという意図があったのかもしれない。

 第3D、タイムアウト後のQBキープ2ヤードでかろうじてFD更新して敵陣28ヤード、さらに、RB#3三木とWR#82高田へ2本の長短パスをつないで敵陣4ヤードまで到達した。

 第1DTDパスはDLカット。第2D両TEセットの左WRへのコーナーTDパスはDBカット。そして第3Dは第2Dと全く同じパスコースに対して関西大倉高校がパスインタフェアの反則。エンドゾーン前2ヤードでFDを得た大産大附属は2回のランプレーで第2Q残り28秒。ようやく1TDを返した。

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 ハーフタイム。観客席。

 私の周囲では、「大産大附属高校が1TDを返したものの、勢いはまだ関西大倉高校にあるだろう、したがって、後半先攻の大産大附属が先に得点を挙げれば、混戦になる可能性が残るかもしれない。だが、果たして大産大附属高校ディフェンス陣が関西大倉高校の攻撃をロースコアに抑えることが出来るだろうか。」

 フィールド内、両校ベンチではどのようなハーフタイムだったのだろう。

 後半開始。そして、前半とは全く正反対の試合が繰り広げられていくことになる。

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 後半先攻は大産大附属。自陣17ヤード両TEからのQB#18岡キープがいきなり23ヤードゲイン。その後もRB#33楠田の中央突破ラン14ヤードなど、前半と違ってOLが関西大倉DLをコントロールして大きな穴が空く。
 さらにRB#3三木へスローバック気味のパスがフリーで決まって21ヤードゲイン、敵陣7ヤードの第1Dランプレーでエンドゾーンへ飛び込んだ。

 続く大産大附属後半第2シリーズでも、自陣22ヤードからWR#82高田パスや、RB#33楠田中央突破20ヤード×2回などのビッグゲインが続く。関西大倉高校ディフェンスの勢いが消えてしまって一気呵成の2TD奪取となる。

 そして、攻撃が勢いに乗れば、ディフェンスも、となって、関西大倉高校QBキープ・RBランでノーゲインが続く。さらに、インテンショナルグランディングの反則によって大きく後退直後のパントでも距離が伸びない。こうして、大産大附属の攻撃開始地点は敵陣30ヤードとなった。

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 この時点で関西大倉のリードはわずかに3点。この位置からの大産大附属オフェンスならば、FGでの同点はもちろんのこと逆転も十分にありえる状況だった。

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 大産大附属高校中央突破ランに対して関西大倉DL#52村上によるロスタックル、再度の中央突破ランに対しても関西大倉DL#51内堀によるロスタックル。2プレーで合計10ヤード後退する。
 つい先程までは、大きな空間が開いた中央だったが、関西大倉高校ディフェンス陣が完全に塞いでしまった。

 20ヤード近くを残した第3D、大産大附属は中央突破フェイクのRB#22市川右オープンラン。フェイクがきれいに決まりかけたのだがLB#10東元の反応良く10ヤードゲインに止まる。そして第4DギャンブルではQB#18岡→#11藤本→のパスがわずかに逸れて失敗、大産大附属の得点チャンスが無得点に終わった。

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 両校の力関係に、わずかながら、変化が現れてくる。

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 続く関西大倉高校オフェンスでは、QBキープ左オープン13ヤードゲインでFD更新し、さらにRB#3川端への中央縦ミドルパス。シフトしてレシーバー位置に入ったRB#3川端へのパスは、DBのマークなくフリー状態だったのだが、惜しくもボールを弾いてしまった。
 結局ここで関西大倉高校はパントを蹴ることになるのだが、オフェンス手詰まりから開放される兆しが見えたシリーズだった。


 そして大産大附属攻撃は自陣22ヤードから。
    このシリーズでも第1Dと第2Dで中央突破のランを試みた。だが、DL#52村上などによって2回合計ノーゲインに終わる。第3D10ヤードのQB中央突破ランもLB#10東元に対応されて4ヤード止まり。大産大附属高校の攻撃が進まなくなった。

 そして関西大倉高校オフェンスが完全復活、RB#3川端による中央突破ランが45ヤードのビッグゲインとなって敵陣11ヤード、さらにパスインターフェアにより前進、残り2ヤードをランプレーで押し込んで9点差、セイフティーリードへ、一歩、近づいた。だ。

 残り時間6分03秒。ここで大産大附属が速攻で得点を挙げることができれば、まだ、一波乱の可能性は残ったが、関西大倉高校ディフンスが中央突破ランを阻止、そして、試合の行方が決した。

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 試合は、前半は完全に関西大倉高校攻守のペースで進んだ。そして 第2Q最後の大産大附属オフェンスシリーズから第3Q中盤までは、逆に、大産大附属高校の攻守が試合の流れを支配する。
 この逆転のきっかけとなったのは、大産大附属オフェンスの集中力だったり、連続タイムアウト行使とハーフタイムによる「間」だった。

 そして第3Q終盤、再び関西大倉高校が大産大附属高校を圧倒するようになる。
 このきっかけは、関西大倉高校ディフェンス陣の奮起による連続ロスタックルだった。

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 前半、関西大倉高校OLが大産大附属ディフェンスから大きなランホールを空けることができた理由は何か。あるいは、後半、なぜ大産大附属オフェンスが一気にゲインできるようになったのか。

 その答えの一つは、OLのブロックテクニックによるところがあるのだろう。あるいは、ないかもしれない。実際正直なところOLのブロックの細かいところまで把握できていない。この試合は、そういうライン戦の細かいところのテクニックが戦況を大きく左右していたに違いない。
 たとえば、OLの中でもTとGの位置とか左右の違いとか、あるいは対面のとの相対関係を微妙に変えた、とか。

 第3Q関西大倉ディフェンスDLが中央をとめることが出来たたのは、どこに。なぜそれまではミドルゲインが続いたのか、その違いは。その前後でのDLメンバーの違い、そしてOLメンバーの違い、ポジションの変化までを確認できていない。

 ただし、ここまで本当に原因を突き止めようと思ったら肉眼観戦だけでは不可能な部分もあり、やはり、ビデオとか双眼鏡が観戦のための必需品になってくる。そろそろ準備しようか。

(了)