全国高校選手権大会 決勝 クリスマスボウル



関西地区  目次 



12月24日 (土)  味の素スタジアム  12:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
大産大附属高校 007714
慶應義塾高校 770317
(現地観戦)
 
大産大附属高校
慶應義塾高校
1Q TD
1Q
2Q
TD
FL
2Q END
3Q
TD
3Q
FL 4Q
TD
4Q FG
(作者Aのメモより)
詳細テーブル


三隈杯:青樹 礼生(慶應義塾高校)
安藤杯:斎藤 皓介(慶應義塾高校)
敢闘賞:上野 太輔(大産大附属高校)




 第36回全国高等学校アメリカンフットボール選手権大会決勝戦は、関西代表の大阪産業大学附属高等学校と関東代表の慶應義塾高等学校の対戦となった。選手権大会これまでの優勝回数は関西25回、関東11回(第4Q終了時点で同点引き分けによる両校優勝1回を含む)、近年では関西代表の8連覇が続いていた。

 試合は、前半に慶應義塾高校が2TDを先行したが、後半に攻撃のリズムを掴んだ大産大附属高校が2TDを返して同点に追いつく。そのまま試合終了かと思われた第4Q終盤、慶應義塾高校がパスインターセプトで得た最後の攻撃シリーズをFGにつなげて22年ぶり3回目の優勝となった。

********

 先攻慶應義塾高校は、自陣35ヤードのFDでQB#5青樹から左WR#81芳賀へ55ヤードのロングパスがつながる。敵陣9ヤードの得点チャンスにランプレー2本を挟んで最後は左コーナーWR#9笹谷へTDパスを通して先制する。

 一方の大産大附属高校はQB#18岡とRB#9上野によるランプレー中心の展開だが、OLが若干押し込まれていたこともあってDL#77芦名、#76斎藤、LB#95間仁田、#40荒井など慶應義塾高校ディフェンスが目立つシーンが多い。さらに大産大附属高校にディレイや交替違反の反則罰退などがあって、試合序盤は慶應義塾高校が優位なフィールドポジションを確保していた。

 慶應義塾高校オフェンスはQB#5青樹、RB#8斎藤、36村岡によるランとWR#81へのミドルパスというスタイルで、ボールキャリーは固定されているのだが、ショットガン・I・Tと様々のフォーメーションによる微妙なタイミングの違いがオフェンスの幅を広げている。
 ライン戦は、どちらかと言えば慶應義塾高校OLが大産大附属高校DLをコントロールしていた。だが、ラインが押し込んでいたにもかかわらず、大産大附属高校DB#10吉田のブリッツによるQBサックなど、要所でディフェンス第2・3列の的確なタックルを受けてロスしている。したがって、ランで4〜5ヤード以上ゲインする一方でロスという一進一退で、慶應義塾高校ランオフェンスは必ずしも順調ではない。

 ただ、慶應義塾高校オフェンスが優位だったのが、最初の得点シリーズにもあったミドルレンジ付近のパスだった。第2Q中盤、慶應義塾高校は再びコーナーへのミドルパスを使ってドライブをつなげた。
 敵陣45ヤードから始まったシリーズ、QBキープ3連続計10ヤードによるFD更新、左ショートパスキャッチとパスインターフェアによって20ヤード前進、さらにカウンターランで再びFD更新すると、最後は左コーナーWR#81芳賀へTDパスを決めて14点差に広げた。

 一方の大産大附属高校は、第2Q残り4分06秒からの前半最後のシリーズで、QB#18岡とRB#9上野によるオプション攻撃を展開した。リードオプションによるOT付近を突くランプレーが慶應義塾高校ディフェンスに対して有効で、この試合始めて敵陣深いところに到達する。だが、続くランプレーで痛恨のファンブルロストとなってしまい、前半は慶應義塾高校14、大産大附属高校0点で終わった。

********

 後半、大産大附属高校はキックオフで大きく戻せず自陣20ヤードスタート。さらに、ショットガンリバースとTEパスではFD更新ならずパント。
 フィールド中央付近スタートとなった慶應義塾高校は、QB#5青樹パスからのスクランブルが12ヤードゲインとなったが、その後はLB#13阪本のランストップ、LB#49玉岡のパスカットなど大産大附属高校ディフェンスの堅守によって第4Dとなった。

 大産大附属高校陣30ヤード地点で、慶應義塾高校第4D残り10ヤード。

 だが、ここで慶應義塾高校はプレーを選択してオフェンスがセットした。14点リードされている大産大附属高校にとってこのシチュエーションでギャンブルは予測できなかっただろう、フィールド内からかサイドラインからかは判らないが、大産大附属高校のタイムアウト要求は止むを得ない。

 そして、慶應義塾高校は普通にパントを蹴った。ここでの1回のタイムアウトの執らせ方/執らされ方は、慶應義塾高校側から見るとベストの結果になった。

********

 後半は、どちらかと言えば大産大附属高校のペースで試合が展開されていく。大産大附属高校ディフェンスは慶應義塾高校QB#5青樹のキープラン、RB#9斉藤、#36村岡のランプレーに対してDLLBが対応できるようになってくる。QB#5青樹から内へ切れ込む短いパスは、前半のパスコースと対になったプレーだがコントロールミスもあって繋がらない。

 一方の大産大附属高校オフェンスは、前半最後からドライブできるようになったQB#18岡のオプションキープがキラープレーになってくる。
 第3Q中盤、QB#18岡のキープで50ヤード超のビッグゲインで敵陣に入ると、RB#9上野のドロー11ヤード×2回とRB#33楠田の中央突破連続キャリーなどで敵陣深くに侵攻する。
 最後はエンドゾーン手前6ヤードでの3ヤードを残した第4DギャンブルでQB#18岡の右OTオプションキープがTDランとなって、大産大附属高校が7点を返した。

********

 大産大附属高校次のオフェンスシリーズではサイドチェンジとなった第3D残り16ヤードのシチュエーションでQB#11藤本を投入、右WR#7辻井へミドルパス16ヤードを決める。さらにWR#82高田へ縦パス16ヤードも繋がったのだが、慶應義塾高校ディフェンスの鋭いタックルにあってファンブルロストターンオーバーとなってしまった。

 だが慶應義塾高校オフェンスの攻撃を約2分間のFD更新なしで攻撃権を得た大産大附属高校は、再び自陣20ヤードからQB#18岡キープで10ヤード前進、さらにリバースフェイクの縦ロングパスがWR#7辻井へ飛んだ。ボールは失速気味だったが落下地点に戻ったWR#7辻井の好判断キャッチによって30ヤードゲインとドライブが繋がる。
 QB#18岡キープに対して慶應義塾高校も対応できるようになって第4Dギャンブルを強いられた大産大附属高校だったが、RB#9上野のオープンランでFD更新すると、最後はQB#18岡キープによって第4Q残り4分29秒、14−14の同点となった。両チームとも残りタイムアウトは1回。

********

 残り時間4分24秒、慶應義塾高校自陣30ヤードスタートのオフェンス。3回のランプレーでFD更新。いずれもフィールド内でボールデッドだったので時計が回る。
 大産大附属高校は2回目のFD更新を許さずに慶應義塾高校第4D。パント直前に大産大附属高校がタイムアウトを使って時計を止めた。残り時間1分08秒。

********

 大産大附属高校オフェンスは自陣10ヤードスタート。残り55秒。ロングパス失敗。ディレイ・オブ・ゲームの反則で5ヤードの罰退、自陣5ヤード、残り49秒。14−14の同点。

********

 14−14の同点後の慶應義塾高校のオフェンスシリーズと大産大附属高校オフェンスのここまでのシチュエーションで、いろいろな選択肢がある。

 そして、大産大附属高校は、「頂点に立つ」という初志を貫き通した。

 右サイドライン際の縦ロングパス。これは、ランによるファンブルロスト、ショートパスからのターンオーバーを避ける方法としてベスト。だが、この縦パスをキャッチしたのは慶應義塾高校だった。
 これは大産大附属高校から見るとパス成功・パス失敗に次ぐ第三の結果になる。フィールド中央で慶應義塾高校の攻撃を大産大附属高校が止めれば、まだ同点両校優勝の可能性は残っていたが。

 慶應義塾高校QB#5青樹に対して大産大附属高校DB#10吉田のQBサックロスで慶應義塾高校ラストタイムアウト。残り33秒。

 そしてここから再び慶應義塾高校QB#5青樹の左右外へのミドルパスがヒットする。左コーナーパス35ヤード、さらに右#34へ12ヤード、いずれもサイドライン外へ出たので時計が止まる。残り20秒敵陣7ヤード。

 慶應義塾高校はフィールド内へのショートパスを投じた。フィールド内ボールデッドのため時計は止まらなかったが、第2Dスパイクで、2秒、残った。
 FGキックはホルダーがボールをしっかりと確保できなかったかもしれない微妙なセットだったが、しっかりと蹴り出してFG成功、慶應義塾高校の優勝となった。