関西学生アメリカンフットボール Div.1 プレーオフ 展望



 プレーオフ 



12月04日(土) 長居陸上競技場 17:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計
立命館大学




関西学院大学




 


 今年の関西学生DIV1リーグ戦は全勝チームなし全敗チームなしの大混戦となった。

 リーグ戦注目の対戦となった関西学院大学と立命館大学の試合は第5節に神戸ユニバ記念競技場で行われ、関西学院大学が30−28で勝利を収めて単独トップに立つ。しかし、第6節京都大学戦で黒星を喫してしまい、立命館大学と勝ち数負け数で同数になったことで優勝争いが混沌となる。

 結局、最終第7節では両校とも白星で6勝1敗となり、立命館大学が関西学生3連覇を達成すると同時に関西学院大学は3年ぶりという両校優勝という結果になった。

 なお関西学生の順位は、単純に勝敗数(正確には勝ち点)のみで決定するので、今年のように複数のチームの優勝がありうる。最近では1996年に関学京大立命の3校同率優勝しており、1991年には関学京大の2校優勝している。
 関西学生リーグ戦は次のステージへ上がるための予選ではなく、両校優勝でリーグ戦の幕は閉じた。

 そして、この試合は甲子園ボウル(関西学生連盟が関東学生チームを招待する試合)に出場するチームを決めるための試合であり、甲子園ボウル出場決定戦というのがプレーオフの正式名称である。

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 なぜリーグ戦で同じ勝ち点のときに直接対決や得失点差で順位関係をつけないのか、という話を進めていくと、おそらくこの展望記事が試合開始時間に間に合わなくなってしまいそうなので、今回は詳細は省略するが。

 次のステップへ進出する権利がリーグ戦の成績によるとなれば、リーグ戦の権威が失われる可能性がある。例えば、リーグ戦中の戦い方に手心が加わって敗戦しても良いなどという邪念や言い訳が入ってくる余地があり、その結果としてリーグ戦が軽視されて存在意義が問われかねない状態になる。

 このような言い訳邪念を排除して、リーグ戦ですべてが終わる、リーグ戦と次は関係ない、リーグ戦が全て、ということを意思表示している単純明快な規約である。

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 さてこの試合の見所だが。。。

 関西学院大学は単独優勝まであと一歩に迫りながらの第6節黒星であり、立命館大学にとれば一度はあきらめていたリーグ優勝が手に届いたという状況である。

 つまり、追われる者が相手に追い付かれてしまった関西学院大学と、追う者が実際に相手に追い付いたという立命館大学である。一般的には追う側が断然有利なのはは間違いない。
 しかし、両チームともにこの有利不利という関係は第7節の試合前後付近までの心理状態であって、すでに現時点では過ぎ去ってしまっているだろう。

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 アメリカンフットボールは、改めて言うまでもなく戦術戦略の要素も勝敗に大きく影響する競技である。相手の攻撃や守備の傾向を掴んで有効な対策を練れば、そのプレーはもはや通用しなくなる。そのためのスカウティングビデオ撮影隊である。したがって、隠している手段が多いほど相手対して優位に試合に臨むことができると考えてよい。

 ところで第5節の直接対決によって、お互いに手の内を見せ合っており、プレーや選手の特徴傾向は相手側に筒抜けになっている。さらに、再戦するなどと考えずに手持ちの財産全てを曝け出して白星を獲得するべく試合に臨んでいるはず。という観点から両チームを眺めてみると。

 立命館大学オフェンスは、第5節の対戦時に#11木下のQB起用や#99紀平のTE起用などスペシャルプレーを披露している。
 一方でRBは#23古川、#34太田、#44齋藤によるローテーションを組んでいて、RB#22佃、#21岸野によるランプレーがなかった。おそらく両名とも負傷していたことによるのだろう。その両名とも最終節京都大学戦では数プレーだが出場している。
 怪我から完全復帰とは言いがたい状態と考えられるが、少なくとも関西学院大学相手にはまだ対戦していないので、ここ一番で登場してくることは十分に考えられるだろう。

 これに対して関西学院大学攻守を眺めてみると、おそらく第5節対戦時でベストメンバーであり、隠しているプレーも少ないのではないか。オフェンススペシャルプレーならば#90石田以外にもDLLBからワンポイント起用や・・・の起用とか、一観戦者の立場からいろいろと考えられるのだが、思いつくのはワンポイントプレーばかりである。
 ほとんどの手の内をさらけ出してしまった可能性があり、この点で関西学院大学が劣勢なのは否定できない。

 しかし、判っていても止まらないプレーというものもある。それは立命館大学WR#7長谷川、#11木下のパスキャッチからのランプレーであり、関西学院大学QB#14河野のキープランも破壊力がある。

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 関西学院大学オフェンスは前回と同様にフィールドを幅広く使ったプレーでディフェンスを広げることを試みてくるだろう。立命館大学ディフェンスを攻略する方法は前節京都大学戦でもパスをきっかけにしてドライブを許しているように、DBLBを振り回すプレーは効果的のようだ。
 したがってQB#14河野からWR#81多田、#84五百川、#9福井、#1板坂へに左右へのパスとQB中央キープランという基本的な組み合わせは変わらないだろう。

 ただし第5節対戦時に有効だったQBロールから逆サイドへのパスだが、今回どこまで通用するかは疑問である。京都大学LB#97近藤にインターセプトされたように、この試合でも狙われる可能性は大きい。このパスはQB#14河野の判断によって、絶妙なパスとするか不用意なパスとなるのかが分かれ目になるかもしれない。

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 一方の立命館大学の攻撃だが、京都大学戦でも威力を発揮したQB#12池野からWR#7長谷川、#11木下へのミドルレンジパスキャッチからのランプレーがどこまで前進できるかが一つのポイントになる。
 QB#12池野のパス精度とレシーバーとのコンビネーションに注目だが、ここに来てOLが安定してきており関西学院大学DLのプレッシャーがQBに届くかは微妙であり、パスが飛ぶことはある程度覚悟せざるを得ないだろう。

 その時にはDBに負担がかかるが、DB#8渡辺、#15藤井、#4星田等のアスリート陣の見せ場となる。特に第5節対戦時はロングパスで2回も抜かれており、今回は同じことにはならないはずだ。

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 第5節は30−28で両チーム4TD獲得というオフェンス優勢の試合だったが、おそらくこの試合でも4TD前後のハイスコアリングゲームになりそうだ。

 前回もファンブルロストやインターセプトから相手に試合の流れが傾きかけるという試合展開だったが、今回も攻めた結果のファンブルロストやインターセプトというターンオーバーも十分に考えられる。
 その時には、起きてしまった事は仕方ないとしてディフェンスが緊急発進に応えるはず。そのディフェンス堅守にオフェンスが次のシリーズで応えれば、ミスは帳消しになる。

 さらに、両チームとも試合中の負傷退場が多く、キーになる選手ということもあって、数プレー後にはフィールドに戻っている痛々しいシーンが続いている。

 ディフェンスがオフェンスを支え、オフェンスがそれに応える。負傷した先発メンバーの代わりにバックアップ選手がビッグプレーを見せる。この試合は両チームとも先発メンバーから控え選手まで、そしてベンチスタッフまでの全総力戦である。

 2004年12月04日土曜日17時キックオフ。長居陸上競技場でお待ちしています。






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