関西学生アメリカンフットボール Div.1 プレーオフ 結果



 プレーオフ 



12月04日(土) 長居陸上競技場 17:00
TEAM1Q2Q3Q4Q合計TBTBTB合計
立命館大学 0 7 7 0 14 0 7 3 24
関西学院大学 14 0 0 0 14 0 7 0 21
 
関西学院大学
立命館大学
TD 1Q
TD
1Q
2Q
G×
FL
TD
REND 2Q
3Q TD
3Q
4Q
FG×
FL
END 4Q
TB1 G×
FG× TB1
TD TB2
TB2 TD
TB3 FG
FG× TB3
(作者Aのメモより)
詳細テーブル


 季節はずれの台風の影響で大阪地方は午後3時過ぎから雨が降り始めた。その頃私は長居球技場でXリーグの入れ替え戦を観戦していたのだが、時間が経つにつれて雨脚が激しくなっていく。
 長居球技場バックスタンドは屋根がないので観戦する側も大変なのだが、長居陸上競技場の観客席はほとんどが屋根に覆われているために観戦するのは楽である。しかしプレーをする側は、いくら暖冬とは言え、冷たい雨に変わりはない。雨なのでパスは投げないとなれば地上戦?とか芝でで足がすべってターンオーバーがあるかも、この雨はどちらに有利に働くだろう、そんなことを考えながら、雨がどんどん激しくなっていくなかで、キックオフの時を待った。

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 コイントスでに選択権を得たのは立命館大学だった。最近はコイントスで権利を得た側が前半の攻撃権を要求する場合が多い。しかし立命館大学は後半の選択を要求、そして関西学院大学の先攻で試合が始まった。

 関西学院大学オフェンス第1シリーズは自陣26ヤード、QB#14河野、ショットガン隊形。左側のレシーバー陣がそれぞれモーションで動きつつ、そしてレシーバーがQB付近を通過する寸前にセンタースナップ。QB河野からWRへのハンドオフプレーフェイクのQB#14河野による中央突破ランだった。

 このプレーは、WRのオープンからのランに比べるとスクリメージを抜けるまでが早い。そして立命館大学ディフェンス陣がボールの行方を少し判断しかねている隙に、OLブロックもあってディフェンス陣の中央をQB#14河野がすり抜ける。そして、そのまま74ヤードTDラン、試合開始からわずかに23秒後の出来事だった。

 さらに関西学院大学オフェンスは第2シリーズでも立命館大学ディフェンスのわずかな「時間」の隙を突いたTDドライブを見せる。

 ほぼフィールド中央で始まったその攻撃はQB以外へのダイレクトスナップがきかっけとなった。QBスクランブルより僅かだがタイミングの早いボールキャリアが中央突破、これで17ヤードとなった。
 さらに左右WRのモーションからのオープンランが20ヤードゲイン、これも今までと違ったタイミングプレーであり、一瞬の判断の遅れを突く。これで敵陣14ヤードまで侵攻すると、最後はQB#14河野が中央ランフェイクの右オープンキープランでエンドゾーンへ飛び込んだ。

 試合開始わずかに3分22秒。関西学院大学が速攻で2TDをリードした。

 しかし、ここまでに進んだプレーは、いずれも立命館大学ディフェンスの一瞬の判断遅れを狙ったプレーであり、つまり、「時間の隙間」を突こうというプレーばかりである。
 したがって、立命館大学がこのプレーに慣れてくると判断遅れという「時間の隙間」が埋まってしまう。慣れてくるまでに関西学院大学オフェンスがどこまで得点を重ねるかがポイントなのだが、2個のTD14点までが限界だった。

 これ以降は立命館大学ディフェンスがほぼアジャストしていてロングゲインにならなくなっていった。

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 立命館大学オフェンスはQB#12池野による通常通りのショットガンだったが、第1シリーズはパス失敗、RB#23古川ハンドオフ2ヤード、そして第3Dはパスからスクランブルを試みたがノーゲインに終わる。

 さらに第2・第3シリーズもLB#44田頭のプレッシャーを受けてパス失敗、さらにスクリーンパス、横パスいずれも失敗と続く。結局、最初の3シリーズ合計でも2ヤード程度のゲインにとどまっている。
 DLLBのプレッシャーが厳しいからコントロールが悪い、あるいは、判断が遅い等いろいろ原因が考えられるが、全くゲインできない状態。

 そして第4シリーズでは、QBに#11木下が登場、そしてQBスクランブルによって5ヤードゲインする。その後QB#12池野によって2回のFD更新となったが、フィールド中央付近で再び外へのパスコントロールを乱してしまい、パントに終わる。

 雨の影響ということもあるのだろうが、第1Q付近のQB#12池野のパスは全くコントロールされず、RBへのパスもタイミングがあわない。WR#7長谷川が執念でパスキャッチしたミドルパスがあったが、オフェンスドライブを計算できるような状態ではなかった。

 第2Q、立命館大学自陣で第4Dパントフォーメーション。パンター#21岸野からショートパスが投じられたが、関西学院大学もしっかりと詰めていてFD更新まで4ヤードを残してボールデッドとなった。

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 これで関西学院大学オフェンスは敵陣スタートとなるが、第1Q得点のきっかけとなったWRモーションによるQBWR間のハンドオフプレーに対して、立命館大学ディフェンスにほぼ完璧にアジャストされてしまった。LB#5内田による13ヤードロスゲインを奪われるなどで、関西学院大学オフェンスも攻撃手段が徐々になくなっていく。

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 第2Q残り時間5分25秒。立命館大学オフェンス自陣38ヤードスタート。WR#7長谷川へのミドルパス16ヤードヒット、そしてQBスクランブルは左OT付近に大きな穴が開いて33ヤードのビッグゲインとなった。これで、敵陣13ヤードと、この日始めて敵陣侵攻となる。

 しかし、続くQBキープで痛恨のファンブルロストとなってしまった。試合展開として立命館大学側から見ると最悪の流れになりかけていた。

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 第2Q残り時間2分38秒。関西学院大学は自陣4ヤードオフェンススタート。

 自陣エンドゾーンを背負うポジションだった。HBの中央突破で8ヤードゲイン、25秒計ギリギリスタートを狙うもディレイの反則で後退、その後もボールスナップまで25秒を費やして時間消費をしていった。
 その結果、第4Dパント前に立命館大学タイムアウト時点で残り時間はわずかに0分30秒だった。そして関西学院大学パント。

 26秒を残して立命館大学は敵陣28ヤード地点で攻撃スタートとなった。

 中央WR#7長谷川へのミドルパスはDBパスカットもインターフェア。

 敵陣12ヤード、残り時間15秒。左コーナーパス投げ捨て。

 敵陣12ヤード、残り時間9秒。右コーナーパスはDB裏のWR#11木下がゾーンギリギリのところでキャッチした。

 残り時間3秒という前半終了間際に立命館大学がTDを挙げて、点差を7点に縮めたところでハーフタイムとなった。

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 関西学院大学オフェンスが第1Qに速攻で2TDを挙げたが、その後は立命館大学にアジャストされてDL#99紀平、#57岩崎、LB#5内田によるロスタックルを受けるなどで、オフェンスドライブするきっかけを失ってしまった。

 一方の立命館大学オフェンスは、QB#12池野が関西学院大学DLの厳しいプレッシャーの影響でパスコントロールを乱し、さらに自らのキープラン中にファンブルロストと、オフェンスのモチベーションを維持するギリギリの状態だった。
 WR陣がボールに食らいつくようなパスキャッチを見せていたが、前半最後のTDシリーズはWR#7長谷川、#11木下が強引に力で奪い取ったパスドライブという印象だった。

 しかし、ここで立命館大学が得点をしたことによって両チームのハーフタイムの雰囲気が少し違ったことになっただろう。

 関西学院大学側は、オフェンスが進まないことと貯金が1TDになってしまった実感がジワリとのしかかって来る、そして立命館大学側から見ると、何にせよ、点差を縮めた実績が次への勢いにつながりそう。追われる関西学院大学と追う立命館大学の構図は、第5節の試合展開、昨年リーグ戦最終戦、そして今年のリーグ戦の過程と同じである。

 後半の見所はどちらが先に得点をするかだが、正直なところ、私の中の後半戦展望は、立命館大学がいつ得点をするか、もし同点になった時に関西学院大学が得点をする機会があるか、それはオフェンスの得点よりもディフェンス側の得点チャンスしかないかも・・・という内容だった。

 そして、立命館大学が得点したのはその直後のことだった。

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 後半開始。

 立命館大学オフェンススタートは自陣34ヤード。QB#12池野によるショットガンフォーメーション。右WR#11木下が縦に抜ける。そこへQB#12池野からのボールがジャストで飛んだ。DBのタックルをかわしてそのままWR#11木下がエンドゾーンへ飛び込んでTD。第3Q開始わずか20秒のことだった。

 14−14の同点。

 そして、雨天の中での闘いは、ここからは激闘死闘などという簡単な言葉では表現できない、凄まじい真っ向勝負の激突が繰り広げられて行くことになる。

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 後半は両チームとも攻撃が進まなくなっていく。立命館大学後半のFD更新は2回、対する関西学院大学は5回でフィールドポジションとしては若干関西学院大学が優位なのだが、攻めきれない。

 関西学院大学後半2回目の攻撃は自陣38ヤードから。中央ランでFD更新さらに左右オープン、OT付近をRB#6田中が連続キャリーで再びFD更新なるが、ディフェンスのコンテイン詰め上がりが早く平均すると4ヤード程度のゲインしか出来ていない。

 そして敵陣35ヤードからはミドルパスで一気にロングゲインを狙うがコントロールを乱し、またフリーのパスターゲットもなく結局第4Dに追い込まれた。
 この第4DではFG隊形でセットしてパントを蹴った。FG隊形だったことで立命館大学はリターナーを配置しなかった。つまり、関西学院大学はリターンさせないことが狙いだったと考えられる。工夫したパントキックだった。
 ただし、観客席からでは判断できないのだが、もしかしたら関西学院大学の選手がラインを間違えたかもしれない。立命館大学は自陣6ヤードからのスタートとなった。

 関西学院大学オフェンス3回目は、フリーのレシーバを探してWR#81多田へのパスが14ヤードヒットにより敵陣へ再び侵攻するのだが、中央ポストパスをDB#27福島がカット、ランプレーにはディフェンスの上がりが早くドライブがつながらない。

 4回目はフィールド中央からショットガンフォーメーションでのRB#6田中へのダイレクトスナップ中央ランで久々のロングゲイン19ヤード前進となったが、やはり、その後は立命館大学ディフェンスに対応されてしまう。
 第4Q残り時間6分台ということもあって少し距離があったがFGを狙ったが、右へ逸れて得点には至らなかった。

 後半の関西学院大学オフェンスはQB#14河野と#10出原の交互起用したシリーズもあったが、1回のビッグゲインプレーがあってもその次がつながらず、フィールド中央付近から敵陣へ入るのがやっとの状態。少しずつは進むのだが、そこで止まってしまう。

 立命館大学ディフェンスDL#99紀平、#97浮田が中央ハンドオフプレーでロスゲインを奪い、LB#9塚田、#45北仲、DBのコンテインでオープンへの展開も第一線を抜かせなかった。

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 一方の立命館大学オフェンスもDL#44田頭、#75、#73上村のプレッシャーが厳しく、RB#23古川、QB#12池野の中央ランがほとんど完封され、パスはコントロールが乱れたままで3シリーズ連続FD更新なしに終わっている。

 途中にはWR#11木下がDBを縦に釣った空間へWR#7長谷川が入り込んでそこへパスという練ったプレーもあったがパスが通らない。

 第4Q自陣でQBドローによるFD更新があるが、その後のパスはLB#85橋本の素早い詰めもあってノーゲインと2連続パス失敗。

 最終シリーズは関西学院大学ファンブルロストによって、後半始めてフィールド中央付近での攻撃開始だったが、QB#12池野からWR#88大滝へのミドルパスはDB#19岩城のパスカット、そしてWR#11木下へのミドルパスもDB#8渡辺にカットされて前進できなかった。

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 後半はフィールドポジション的には関西学院大学が有利、さらにランパスともわずかだがゲインしているのだが、立命館大学ディフェンスの最初のタックルも正確に決まるので、ドライブが続かない。

 一方の立命館大学オフェンスは自陣に釘付けにされそこから脱出することすら出来なかった。特にランプレーではRB#23古川とQB#12池野にボールが集まったこともあってプレーが広がらなかった。

 両チームともディフェンス優位の試合展開、得点は14−14の同点のまま時間だけが経過していった。そして両チーム誰もが判っていたのだろう、次の得点失点が試合の行方を決めることを。ひとつのタックルミス、ひとつのレシーバーカバーミスが致命傷になりかねないことを。
 しかし、立命館大学も関西学院大学もLBDBはランパスに完全に対応、DLはQBRBの中央突破ランをシャットアウトし続けた。

 オフェンスは関西学院大学は自陣でパスを投げない、立命館大学はパスを試みるも雨ということもあってかパスコントロールが乱れたまま。
 ランプレーでは互いに手の内をすべて見せ合ってしまった状態でもあり、さらにカウンタープレーもフェイクプレーにもミスのないタックルが続く。
 いわばアメリカンフットボールの究極点にまで到達してしまったこの状態では、もはや、どちらにも動きようがなくなってしまった。

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 第4Q残り時間0分30秒台、立命館大学はフィールド敵陣37ヤード付近からギャンブルFGを狙わずにパントで攻撃権を放棄、関西学院大学は残り時間22秒自陣10ヤードでは、ニーダウンせざるを得なかった。

 こうして、頂点に達してしまった闘いは4Q48分正規時間内では決着できず、甲子園ボウル出場決定戦はタイブレークへ持ち込まざるを得なくなった。

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 タイブレーク第1ピリオドは立命館大学先攻で始まる。敵陣25ヤード、RBへのハンドオフプレーはLB#44田頭が突っ込んでロス5ヤード。第2DはモーションしたWR#11木下へのハンドオフフェイクQB#12池野のキープ中央ラン、これで14ヤード前進してFD更新まで1ヤードを残した。

 この1ヤードを取るのに立命館大学はパワーIでセットして中央突破ランの構えを見せたが、実際は右横パスだった。ただしパスターゲットと合わずにパス失敗。
 第4Dでこの1ヤードをギャンブルによってFD更新という方法もあったが、立命館大学は#21岸野によるFGキックを試みる。
 しかし、ホルダーがボールを確保できず、仕方なしにスクランブルしたがFD更新にはいたらなかった。

 そして第1ピリオド関西学院大学の攻撃となる。ここで得点すれば関西学院大学勝利だったのだが、中央付近のランプレー3回計5ヤードに止まり、FGキックも外れてしまった。

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 タイブレク第2ピリオドは関西学院大学が先攻となる。そして先のピリオドと変わってショットガンからWR#1へのクイックパスが11ヤードヒット。
 パスが出ればランも出るようになるで、RB#6田中およびQB#14河野による中央突破でエンドゾーン手前1ヤードで再びFD更新、最後はRB#6がTDを奪い、関西学院大学が7点を獲得した。

 これにより立命館大学は絶対にTDが必要となってくる。ここでQBに#11木下を起用、ショットガンハンドオフフェイクのQB中央突破ランで14ヤードと大きく前進、右オープンピッチプレーに関西学院大学レイトヒットの反則でエンドゾーン手前5ヤードに迫ると最後はQB#11木下が左オープンランによってエンドゾーンへ飛び込んだ。さらにK#21岸野が確実にPATキックを決めて同点に追い付く。

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 こうしてタイブレークは第3ピリオドに持ち込まれた。

 先攻立命館大学はQB#12池野による中央突破ラン8ヤード前進。その後は関西学院大学LB#44田頭による2連続タックルによってノーゲインに止めた。そして立命館大学K#21岸野によるFGキックが成功した。

 今度は関西学院大学がリードされて攻撃を迎えることになった。最低FGが必要なのだが、その第1プレーがモーションしたWRへのピッチプレーだったが待ち構えていたDL#97浮田に2ヤードロスタックルされてしまった。
 QBパスからのスクランブルで5ヤード挽回したが、第3Dでのダイレクトスナップを再びDL#99紀平、LB#9塚田に真正面でタックルされてノーゲイン、第4Dでは飛距離40ヤード超のFGを狙ったが、わずかに右へそれてしまった。

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